2002年5月16日


Web での議論とリンク・サイト


例えば A 氏が自分の Web サイトで、身体障害者に対して極めて差別的なことを書いたとしましょう。 すると B 氏や C 氏や D 氏や・・・・がそれぞれのサイトで A 氏に対して反論したり、 反論でも何でもなく単に自分の見解を述べたり、A 氏の人格に関して攻撃を加えたり、 A 氏のプライベートな部分にまで踏み入ってあれこれ語ったりと、 まあこういう事態は珍しくありません。

かねがね不思議なのは、いくら A 氏が暴論を吐いたからといって、 それに反論したくなる気持ちです。個人的には、そういうことが全くと言ってよいほど ないものですから。その反論するモチベーションはどこから来るのかが、素朴に不思議なのです。

もちろん、A 氏の見解に同意できなかったり、バカだよなと思ったりすることはありますよ。 いくらでもあります。でも、エキサイトしたり頭に血が昇ることはないです。 「これは反論しなくてはならない!」と思うこともないです。 自分のサイトでそれについての反論をしようとは思わないのですよ。

何故と聞かれても困ります。少なくとも Web の世界に限らず、自分の考えと違うことや、 納得できない暴論を目にしたところで、いちいち反論なんてしません。 何かしらの特別な事情があり、反論することが利益に繋がるか、 反論しないことが不利益に繋がるなら、その時は反論しますけどね。

もちろん、利益云々とは関係のない議論の意義を否定しているわけじゃありませんよ。

ネットで展開されるこの種の議論は、なんら建設的な結果を生まず、関係した人が疲れて終わり、 という結果になることが少なくありません。というより、それがほとんどでしょう。 当たり前ですよね。私は当たり前だと思っています。理由は省略。 何かしらのポジティブな結果を導くことが出来たら、それは例外的に幸福なことでしょう。

ということもあり、いや、そういうことがメインの理由ではなく、 単にモチベーションを感じないからなのですが、私は自分のサイトで A 氏に反論しようとは思わないのです。

興味深い現象としては、個人の Web サイトの個人的コンテンツを巡る議論の背景には、 リンク・サイト(日記才人とかテキスト庵とか)の存在が比較的はっきりと見えることです。 つまり、最初の例で言うと、A 氏が X というリンク・サイトに登録していたとすると、 B 氏以下もほとんど全てが X に登録している人々である、ということです。

つまり、B 氏以下にとっては、A 氏が X に登録していることが、反論するにあたっての、 なんらかの動機付けに繋がっているのではないかと思われるのです。ちと根拠に乏しいのですが、 なんとなくそんな感じがします。X というリンク・サイトとは全く関係のないところで、 A 氏とは別の人が A 氏と全く同じ主張をしているのをたまたま読んだとしたら、 はたして B 氏は自サイトでそれに対して、同じようなトーンで反論したでしょうか?

単に同じリンク・サイトに登録しているというだけで、 それも特定の思想信条に基づいたリンク・サイトではないのに、その人の発言の「他人事指数」 が降下してしまうのでありましょうか?

もちろん、場としてのリンク・サイトを考えると、読者が A 氏の発言も B 氏以下の発言も 平等に読みやすい環境であり、その中では議論を提起し易い、という事情もあるかもしれません。 でも、それだけでしょうか?

はっきりとは分かりませんけど、なんとなくモヤモヤと感じているのですよね。 リンク・サイトにおける何かしらの仲間意識のようなものが働いて、 通常よりも「他人事指数」を下げているような気がするのです。

私はリンク・サイトに対してはそういう仲間意識はないので、 普通の他人事は普通に他人事のままです。

仲間意識と言えば、何かしらのお題を決めて、みんなでそれに従った文章を書きましょう、 なんてことをしばしば目にします。私は参加したことがありませんし、参加したいとも思いません。 私は一匹オオカミ的な気質なのか、そういうのが苦手なんです。もちろん、 それは個人的な指向の問題でして、参加者の方々を批判してるわけじゃありませんよ。

ただ、またまた根拠が希薄な暴論になってしまうのですが、 自サイトで反論する人とその種のイベントに参加する人は、意外に重なっているのかも、 という印象があるのもまた事実です。




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