素朴な疑問であります。乳首はなぜ乳首と言うのでしょう。
素直に解釈すると、乳全体において、首を連想させるような部位を乳首と呼びそうなものです。
しかしながら、乳首は乳において首と言えるような部位でしょうか?
人間の体で考えると、胴体があって首があって、その先に頭がついています。つまり、
首は胴体と頭を繋ぐ部位です。ところが乳においては、乳首は乳の先端であり、
乳本体と乳の頭部を繋ぐような部位ではありません。
首とは言えない部位でありながら、我々は乳首と呼んでいるのです。不思議なことです。
その昔、乳首の先には乳頭が付いていて、乳首は文字通り乳首だったのだが、
乳頭は近年になって退化してしまい乳首だけが残り、それで今でも乳首と呼んでいる、
などという話は聞いたことがありません。
そういえば、昔々のことですが、笑福亭鶴光師匠が若かりし頃にやっていたオールナイト・
ニッポンでは、女性聴取者からの電話に対して鶴光師匠が挨拶のように、
乳首とかパンツの色を尋ねていましたが、鶴光師匠は「乳首」とは言ってませんでした。
「にゅうとうの色は?」
と尋ねていたのです。「にゅうとう」とはおそらく「乳頭」でありましょう。
あの部分を乳頭と呼ぶのは理にかなっています。まあ、頭みたいなものですからね。
少なくとも首よりは頭に近いでしょう。
因みに当時、鶴光師匠の質問にむちゃくちゃ恥ずかしがりながら「ピンク」とか「茶色」
とか答えていたお嬢さん達も、今では 40 歳を超えているのではないでしょうか。栄枯盛衰。
試しに Google で「乳首」と「乳頭」を検索してみると、「乳首」が 226,000 件、
「乳頭」が 57,800 件でした。57,800 件のうち多くは「乳頭温泉」に関連したものでしたから、
「乳の先端部分」の意味では「乳首」の圧勝と言えるでしょう。
誰が最初に乳首という単語を使ったのかはわかりませんが、冷静に考えて「首」
というのはあまり適切ではないことは明らかです。やはり「乳頭」なり「乳頂」
なりのほうが、乳首を表すのに適していると言わざるを得ません。
しかしながら、我々は既に「乳首」に慣れ親しんでおります。その親しみは、
「乳首」という文字表現だけではなく、「ちくび」という音にもあります。
今更、「にゅうとう」とか「にゅうちょう」とか言われても、
ワクワクドキドキはしないのです。「にゅうとう」でドキドキするのは、
鶴光師匠のオールナイト・ニッポン世代だけです。
まことに不本意ではありますが、私は今後とも「乳首」という漢字表記と
「ちくび」という発音から離れることは出来ないのです。