| 奥まで見えるか見えないか |
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仕事も終わり、私は診察室に置いてあるパソコンで、ネットサーフィンをしていた。 アダルト・サイト巡りというのは、毎日やっていると飽きてくるものだが、 しばらくしていないとまたやりたくなる。ということで、しばらくぶりの私は、 ブックマークしていた某アダルト・サイトへ。 ここは広告のバナーやサブ・ウィンドウがうるさくないので好きだ。内容は、 特に過激な画像が豊富というわけでもないが、「お好み別」に整理されていて 見やすい。「お好み別」というのは、巨乳、お尻、脚、フェラ、等々である。 男のちんちんを見てもしょうがないので、「お尻」を選ぶ。サムネールのイメージ が出てきて、そこから見たいものをクリックすると、解像度の高い画像を見ることが できる。ヒップラインというのは本当に美しいと思う。もちろん女性に限る。 いくつかの新着画像を見ていたら、いつのまにか美貴が後ろに立っていた。 「高樹センセ! お、も、し、ろ、い?」 こんなところで、アダルト・サイトを見ているんだから、美貴に見つかるのは 最初から覚悟の上、別に驚いたりはしない。過去にも美貴の前で見たことが 何回もある。 「うん、まあね。一緒に見るかい?」 「今日はななちゃんのとこに行かないの?」 ななちゃんのとこ、というのは「スナックなな」のことである。ここ二週間ほど ご無沙汰しているので、そろそろ行かなくてはならない。 「ああ、後で行くよ」 私は相変わらずの生返事だ。こんなときに声を掛ける方が悪い。 「なにこれ、お尻の写真ばかりじゃない?」 美貴が見たのはサムネールイメージである。 「うん、お尻の写真ばかり集めたところだからね」 「ふーん、センセってお尻が好きなの?」 「ああ好きだよ。お尻の曲線って綺麗だと思わないか?」 「まあ、綺麗と言えば綺麗だけど・・・ センセ、お尻とおっぱいだと どっちが好き?」 「お尻かな」 「何で?」 「理由はないけど、お尻の方が好きなんだからしょうがない」 「じゃあ、私がお尻とおっぱいのどちらかを見せてあげる、って言ったら、 お尻を選ぶの?」 本気にしてはならないことは言うまでもない。でも、マウスをクリックする手を 止め、目もモニターを離れて美貴を見てしまったのは、いたしかたない。 「両方。いや、全部!」 「全部はダメ! おっぱいだけならいいけど、はい!」 そう言うと美貴は、白衣の胸元をちょっとだけはだけた。それで終わり。 何も見えない。それなら、前かがみになってもらったほうが、よほど奥まで 見えるというものだ。詐欺である。まあ、いちいち文句を言ってもしゃあない。 「お尻だったらどうするんだ?」 スカートをちょっとめくるのかと思えば、後ろを向いてお尻をちょこんと突き出す だけ。やはり詐欺である。指浣腸してやろうかと思ったが、ここは自重。 「どうもありがとう。目の保養になったよ。今度はもっと本格的なやつを 頼むよ」 とりあえずお礼の言葉。 「また、いつかね!」 はいはい。 「ねえセンセ、男の人ってみんなお尻のほうが好きなのかしら?」 「いや、おっぱい派とお尻派に分かれると思うよ。どっちが多いかは よく分からないなあ。それより、女性にとってはどっちを見られるのが、 より恥かしいんだい?」 「うーん、状況によるけど、私はどちらかというとおっぱいね。お尻を見られて、 ついでにその奥まで見られちゃうんだったら逆だけど」 「なるほどね。タレントのセミヌード写真なんかでも、お尻は見せてもバストトップは 見せない、ってのが多いもんな」 「でも、その逆もあるでしょ。ヌード写真集なんだけど、お尻を後ろから撮った カットが全然なくって、横からとか斜め後ろから、チラッとだけしか写ってない っていうパターン」 「ああ、あるある。私はお尻が好きだから、そういうのは欲求不満になってしまう なぁ。乳首見せてるんだから、お尻くらいしっかり見せろよ! という感じで」 「でもね、センセ。あれは多分、お尻を見せるのが恥かしいからじゃないと 思うの」 「ん? それじゃ何故なんだ?」 「お尻の肉付きが悪い娘は、真後ろから見ると、奥まで見えちゃうのよ。 それは写真集には載せられないでしょ。だから、カメラマンはそういうカットを 撮っていても、編集の段階で全部ボツ。で、そういう女の子はヒップラインも そんなに綺麗じゃないから、奥まで見えないような微妙な角度を探したりしてまで、 無理してお尻のカットを載せなくてもいい、ってことになるんじゃないかしら」 「なーるほど!」 きっとその通りだろう。勉強になった。そう言われれば、お尻を見せない娘は あまり豊かなお尻ではないような気がする。さすが美貴である。ヌード写真集 でも撮ったことあるんじゃなかろうか? 「ところで美貴の場合は大丈夫だろ?」 真後ろから見ても、奥まで覗けたりしないだろ? という意味だ。 「もちろんよ、昔の彼にヌード撮ってもらったことあるけど、大丈夫だったわ!」 あたーりー、ドンドン! である。 「そうか、それじゃ今度その証拠写真を見せてくれよ」 「あら、本物より写真がいいの?」 「あ、いや、もちろん本物がいいけど・・・」 「ダーメ!! ななちゃんに怒られちゃうから。さ、ななちゃんのところに 飲みにいきましょ!」 美貴はそう言うと、ロッカー・ルームに向かった。さっきは「またいつか」 って言ったのに、なんてことは言っても無駄である。女心は変わりやすいの、 とかなんとか言われるだけだ。 私はといえば、こういうパターンには慣れっこなので、さはどダメージを受ける こともなく、どう言いくるめれば、美貴にヌード写真を見せてもらえるかを、 頭をフル回転させて考えていた。
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