| ライムの味 |
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いつものように、私と美貴は「スナックなな」に来ていた。 もう 12 時近い時間である。客は私と美貴の他は誰もいない。 今日は雑務がたまっていたので、二人で残業し、9 時位からここにいる。明日は 休診日なので、私も美貴もハメをはずし気味だ。 今日入れたばかりのジンのボトルが、もうほとんど残っていない。私は ロックで、美貴は生のライムを搾ったジン・ライムだ。ここのジン・ライムは ちゃんとライムを搾るのである。ななママもジン・トニックでお付き合い。 3人ともすっかり出来上がっている。そして、3人とも重力の法則には逆らわない 性格なので、話題は自然とシモネタへ。ななママは、 「ぼ〜ぼ〜、ぼ〜ぼ〜、私つるつるじゃないの」 と意味不明なことを口走っては、泣いてみたり、 「ちんちんぶらぶらそうせいじ」 と言っては、美貴と一緒にゲラゲラ笑い転げたり。女同士のシモネタ話には ついていけない。 「ねね、ななちゃん、ツルツルの先っちょってラブリーだよね? パクッと いきたくなるでしょ?」 「うんうん、ラブリーラブリー! ペロペロパクッってしたくなる」 おーい、ここに男がいるんだぞ。なんちゅう会話しとんじゃ。 「そうそう、魚肉ソーセージの先っちょみたいでおいしそうだよね〜〜」 「うん、特にピンクのやつは食欲そそるわ〜〜」 ごめんよ、私のはピンクじゃないです。でも、艶は悪くないと思うけど。 「ねえ、センセ?」 と美貴。 「何が??」 「ラブリーでしょ?」 「あほか、男でちんちんをラブリーだなんて思っている奴は気持ち悪いわ!」 「でも、ラブリーだも〜ん、パクッってしたくなるも〜〜ん!」 相当酔っている。そろそろ切り上げたほうがよさそうだ。が、ここまで言われたら 私としても少しくらい言い返しておかないと。 「ほおう、そうかそうか。そんじゃ、今ここで俺のをパクッとやってもらおうか」 「いいわよ〜〜、ハイ脱いで脱いで!!」 う、予想外の展開。ちょっと動揺。でも、かなり嬉しい。 「あぁぁぁ、美貴ちゃんずる〜〜い、あたしもあたしも!」 ああ、なんてことだ。ななママも相当キテいる。でも、ここは素直にお言葉に甘えて、 ダブル・フェラもいいかな・・・ 「センセ、でもねぇ、勝負よ勝負!」 「何が?」 「三分もったらセンセの勝ち、ダメなら私の勝ち!」 「何じゃそりゃ。で、もし俺が勝ったらどうなるんだ?」 「エッチしたげる、うふ〜〜ん」 美貴は完全に暴走状態。手がつけられず。 「負けたら?」 「エッチしたげなーい!」 「でも美貴ちゃん、センセが負けるってことは、もう出ちゃってるのよ。どっちに してもセンセがいい思いするだけじゃない?」 「あそっか・・・・、うーん、勝負はやめ!」 「じゃ、あたしが! さ、センセ脱いで脱いで」 「そんなのずるーい、ななちゃん、私が先!」 「美貴ちゃんは、もうおりたんでしょ?」 阿鼻叫喚である。さすがの私もギブアップである。 「おい美貴、もうお開きにするぞ、ママ、悪いけどつけといて」 私は優良顧客なので、ツケがきくのである。 「ええーーーっ! もう帰るのぉーーー??」 美貴とななママの得意のハーモニー。私はそれにかまわず、 「さ、もう遅いから帰るぞ」 と美貴をせかす。美貴は、 「つまんなーい!」 などと言いながらも、しぶしぶ立ち上がる。いや、立てない。フラフラだ。 美貴も決して弱いほうじゃないが、さすがに飲みすぎてる。私もちょっと足元が ふらつくが、私よりもたくさん飲んでいるかもしれない。 私は美貴に肩を貸してやっとの思いで立たせると、出口に向った。 「どうもありがとうございました。美貴ちゃん、気をつけてね。センセ、 がんばってね」 何が「がんばってね」だか知らないが、さすがにななママはしっかりしている。 私はななママに手を振って店の外にでた。美貴は相変わらずフラフラで、 私が肩を貸さないと、立っていることも出来ない。 仕方がないので美貴のマンションまで、送っていくことにして、タクシーを 捕まえた。ちょっと苦労して美貴をタクシーに押し込む。運転手さんに行き先を 告げたのは私だ。 タクシーの後部座席で、美貴は私にもたれかかっている。半分寝ているようだ。 美貴の髪からは甘い香りが。うーん、ムラムラは抑えきれないものがある。 「ねえ、センセ」 おや、寝ていなかったのか。 「ん?」 「私、センセのことだーーーいすきよ」 ありがたいお言葉だが、70% OFF 位で考えておいたほうがよさそうだ。 「ありがとう、私も好きだよ」 「ななちゃんとどっちが好き?」 酔っぱらいのくせに、痛いところを突いてくる。何と答えようか、と迷って いたら、スースーと寝息が聞こえてきた。 美貴のマンションに着くまでの間、私は右肩にかかる美貴の頭の重みを感じていた。 ムラムラのスケベ心が落ち着いて、澄んだ気持ちになっていくような気がした。 タクシーがマンションの前に停まると、私は料金を払い、美貴を引き摺り出した。 「うーーーん、ここどこぉ?」 「自分のうちもわかんないのか? さあ、鍵出して、鍵」 「ふゅん、はぁいこれ」 「ふゅん」てのが何だか分からないが、かわいらしいもんだ。私は美貴を抱える ようにしてエレベータで美貴の部屋がある 5 階まであがり、さっき預かった 鍵でドアを開けた。美貴は一人では立っていられないので、ここでさよなら、 というわけにもいかないようだ。 リビングのソファに美貴を横たえると、美貴はもう起きているのがやっと、という 風情。 「んーー、センセ、ごめんなさいね」 「いや、別に気にすることないさ」 「・・・・」 「それじゃ、帰るよ」 「・・・・」 美貴は目を伏せている。寝ているのか起きているのか良く分からない。 「それじゃ」 ともう一度言って、私は美貴の顔をのぞき込んだ。すると美貴はさっと私の首に 両腕を巻き付けて、 「センセ、どうもありがとう」 と言うと、私の顔を引きつけるようにして、チュッとくちづけ。ものの 3 秒位 だったはずだが、私にはそれが妙に長く感じられた。 美貴は私の首に回した腕を放すと、全身を脱力させてソファに横たわっている。 私は再びムラムラが立ち上がってくる気配を感じたが、美貴の静かな寝息を聞くと、 それはまたすぐにおさまってしまった。どうやら、本格的に寝てしまったようだ。 私は寝室から毛布を持ってきて、美貴に掛けてやると、部屋を後にした。 ドアを外からロックして、鍵は郵便受けから中に落とす。 マンションを出てタクシーを探して歩く私の唇には、ほのかにライムの味が 残っていた。
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