読書 1999年9月

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初版発行日

感想

1

個を活かす企業 The Individualized Corporation

スマントラ・ゴシャール+クリストファー・A・バーレット

ダイヤモンド社
初版1999年8月5日

 6年に渡って20以上の企業のマネジャーを観察した結果がこの本にまとめられている。企業変革の意思を持ちながら、成功した会社と失敗した会社の両者を比較してあるので、客観的で分かり易い内容になっている。

 個人がリスクを取ることを恐れない風土を持つ企業の代表として、3Mが挙げられている。3Mが他社と違う点は、「個人の能力に対する、深く誠実で揺るぎない信頼」を行動の基本においていることにある、と述べてある。3Mといえば、ポスト・イットで当てた会社というい印象があったのだが、決して「当てた」というのではなく、継続的にそういった開発と失敗を容認してきたことによるものだと知った。
 変革に失敗した企業の問題は、「あまり変えようとしなかった」のではなく、「あまりに変えようとしすぎた」ことが大半を占める、と述べてある。マネジャー達はより効果的な組織モデルを求めて、関連のない活動プログラムを拙速に、ほとんど思いつくままに実行するそうだ。確かに、行き先を決めずに、進め進めと言うのは無理がある。暗闇で手を引かれているようなものだろうか。
 企業経営本の名著「エクセレントカンパニー」で紹介された優れた企業は、その後没落していったそうだ。本書に載っている企業ははたしてどうなるか。

2

思考スピードの経営 Business @ The Speed of Thought

ビル・ゲイツ

日本経済新聞社
初版1999年4月2日

 ビル・ゲイツが書いた経営指南書なのだが、自社製品の紹介本と言った方が良さそうだ。電子商取引やナレッジ・マネジメントでマイクロソフトの製品がどのように使われて、成果を挙げているか長々と説明してある。何よりも、ビル・ゲイツが顧客のことをものすごく詳しく知っているのには驚いた。
 CEO自らが、顧客のことをここまで詳細に知っているとは。デジタル・ナーバス・システム云々よりも、顧客を知ることが、マイクロソフトの繁栄の要因なのではと思った。

3

人の目なんか気にしない!

デューク・ロビンソン

サンマーク出版
初版1999年5月31日

 この手の本が最近はやっているので、とりあえず一冊読んでみた。

 いい人が犯す九つの勘違いとして、
@完璧主義になる
Aがんばりすぎる
B自分が何をしたいかを言わない
C怒りを抑え込む
D言いがかりを真に受ける
E人を傷つけないためのうそ
Fおせっかいなアドバイス
G人を救おうとする
H悲しみから守ろうとする
があげてあり、それぞれについて処方が述べてある。
 自分自身がいい人だとは思わないが、周りを見渡してみると該当する人が結構いるもんだ。

4

元気な産業 意外なビジネス

牧野昇 月尾嘉雄

PHP
初版1999年4月2日

 将来有望な産業について述べてある。将来有望というと、やたら情報通信関係に偏るきらいがあるのだが、本書はまんべんなく、さまざまな分野の産業を紹介してある。第一次産業にも目を向けてある。日本の農林業は産業として破綻したように思えるが、環境保全という視点から考えると、新しいビジネスがまだまだ開ける、と述べてある。環境保全というより環境復元と言ってもいいかもしれないが、一度作ったダムなどを壊して、もとの河川に戻すこともありうる。アメリカではこのような事は増えているそうだ。

5

一人勝ちの経済学

大前研一

光文社
初版1999年8月30日

 月刊宝石に連載していたものをまとめた本。
 一人勝ちをキーワードに、東京三菱銀行、郵貯、アメリカ、ビル・ゲイツ、ジョージ・ソロスなどについて、評論されている。

 ビル・ゲイツについては、べた誉め。彼の著書「思考スピードの経営」こそ最高の経営書である、というようなことが書いてある。
 預貯金が東京三菱と郵貯に集まっていることへの警鐘も。東京三菱銀行は、他の銀行に比べれば体力が残っているが、それでもこの先の氷河期を乗り越えるのは難しい。郵貯はペイオフの対象にならないから、お金が返ってこない可能性もある。このように書かれていると、結局のところ、リスクがあることに変わりないのなら、直接投資をもっと考えるべきだなと思ってしまう。今の僕にはそんなお金ないけど、心の準備はしておこう。
 最近、中国に対するアメリカの態度が冷たくなったのは、中国には思ったほど、ドルがないことが分かってきたからだそうだ。
 大前さんは、その歴史観についても、私は歴史の専門家ではないがと断りながら、本書で披露されている。徳川家康を日本を救った人物として取り上げている。封建社会を作った家康を大前さんが評価していることは意外だった

6

上司の哲学

江口克彦

PHP
初版1997年12月18日

 松下幸之助の逸話を交えながら、上司の心構えを説いた本。上司がどのようなことを考えているのか、なんとなく分かった。対話をすることが大事なんだね。みんなそれを望んでいるんだな。

7

部下の哲学

江口克彦

PHP
初版1999年2月1日

 「上司の哲学」に引き続き読んでみた。松下幸之助のような人を上司に持つことは、必ずしも幸運なことではないと思う。その厳しい体験から生まれた本だけあって、考えさせられることが多々あった。

8

ひと駅の間に一流になる

中谷彰宏

PHP文庫

 58の役に立ちそうな話。すぐには役に立たないかもしれないが、そのうち、知っていていいことがあるんじゃないかと思う。

9

成功の法則

江口克彦

PHP
初版1996年12月18日

 「上司の哲学」「部下の哲学」を読み、松下幸之助の逸話をもっと知りたいと思うようになり、この本を読んでみた。

 人は成功するようになっている、成功しないのは何かがおかしいからだ、という言葉に、何やら気が楽になってきた。熱意をもち、感動を与えるように心がけることにしよう。
 我がふるさと鳥取県米子市に、松下電器の工場があるのだが、その工場の創設話が載っていた。昭和41年、松下幸之助が販売店の大会で米子に行ったとき、泊まった旅館の女中さんに、若い人が都会に行ってしまわないように働く場所を造ってください、と頼まれた。これをきっかけに、米子のみならず、全国各地に松下の工場ができていったそうだ。
 著者の江口氏は松下幸之助を、老子、孔子に比して、松下は「繁栄する社会」を目指したと記した。

10

自分との対話

船井幸雄

徳間書店
初版1999年7月31日

 船井幸雄の本を読むのはこれが初めてだった。自我自賛が多いのが気になるが、分かりやすい表現が使われており、読みやすかった。

 船井さんの体験から、苦しいときには人相が悪くなると言われている。会社が危なくなったとき、顔がゆがんできたそうだ。
 組織体はトップ一人で大半が決まる。これを知るには、コンチネンタル航空の復活を描いた「大逆転」を読めばいい、と薦められている。
 ひとづくりの名人として、吉田松陰が挙げられている。わずかな期間、松下村塾で講義をしただけで、あれだけの人材を世に放ったことは、不思議なことだと僕も思う。いったい何を講義したのか気になる。なにはともあれ、松陰は、「人はだれでも人材になれること」「それにはあまり時間は必要でないこと」「人材づくりのコツがあること」を実証してくれた、と船井さんは述べている。まさにその通り。
 本の後半は、宇宙に「サムシング・グレート」が存在しており、という何やら宗教の教えのような話になってくる。

11

資本の意志が日本を復活させる

増田俊男

徳間書店
初版1999年3月31日

 船井さんの本に増田俊男という人の話がでており興味を持ったので一冊読んでみた。物事を熱く語っており、何を主張しているか分かりやすかった。

 アメリカが子供で日本が大人、さらに、アメリカは単細胞で日本は多細胞というような表現がされている。単細胞には多細胞のことは分からないから、日米関係では日本が重要な役割を担うそうだ。石原慎太郎さんでもここまでは言ってなかった。アメリカを脅威として受け取るのではなく、子供と考えるとは、マッカーサーもびっくりだろうな。
 これからは「精神資本主義」の時代が来て、そこでは日本が主役になるそうだ。

12

自己組織化と進化の論理

スチュアート・カウフマン

日本経済新聞社
初版1999年9月13日

 理論生物学者のカウフマンが進化について専門的に書いた本。訳者が物理学者で占められているが、内容は多岐に渡り、本書を理解するには、生物学、物理学、化学、数学の知識が要求される。ワールドロップの「複雑系」である程度の予備知識を持っていたが、それでも難しかった。

 ダーウィンの進化論は、突然変異と淘汰を中心としているが、カウフマンは自己組織化を中心とした進化論を唱えている。進化とは突然変異のような偶然の産物ではなく、自己組織化によるなるべくしてなったものだという主張。
 生命の誕生についても説明してある。自然淘汰では説明不可能な生命の誕生も自己組織化という考えで説明可能となる。そして、進化の過程も一貫して説明できる。

 読み応えのある本だった。

13

不況・男・決断の時

渡部昇一、竹村健一、増田俊男、船井幸雄、澤田秀雄、渡辺一雄

ビジネス社
初版1999年6月20日

 ビジネス社から出ているONE PLUS BOOKシリーズの6冊目。
 竹村健一と増田俊男の対談に注目。対談というよりも、一方的に増田俊男が喋って、竹村健一が聞き役に徹していた。資本の意志の話がここでも繰り広げられていた。消費意欲を高めるには不労所得を増やせば良い。そのためには株があがればいいのだが、その株はこの秋、円とともに暴騰する。これは1995年以降アメリカに流れつづけていた日本のお金が、日本に戻ってくることによる。ダウは9000ドルあたりまで大暴落する。

14

部下を育てる12の視点

江口克彦

経済界
初版1999年7月2日

 江口克彦が松下幸之助の逸話を交えながら部下の育て方を指南する。

 百の力をもっている人に千の目標を与えても五十の目標を与えてもやる気を失う。適切な目標が必要だ。そして成果に対して正しい評価を与えれば、新しい困難な仕事に取り組む意欲を湧かせる事ができる。
 バブル経済崩壊後の内定取り消し五十歳以上の自主退職は今後に禍根を残す。部下指導も面からも厳しくなる。

15

こんな上司と働きたい

中谷彰宏

PHP文庫

 江口克彦の本と比べてみようと、中谷彰宏の視点から見た上司についての本を読んでみた。

 若手はみんなO型。おだてると力を発揮する。
 部下を直接把握できるのは10人が限界。TV映画の「コンバット」を見ると良い。「コンバット」はビジネス・スクールでも研究対象になっている。

16

男子豹変のすすめ

童門冬二

PHP
初版1999年9月24日

 歴史上の人物で豹変を繰り返しながら大物になっていった人たちの話。坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟、真田昌幸、細川幽斎、河村瑞賢、松永久秀の生涯を紹介してある。全ての人を豹変の人生を送ったといってしまうのは無理があるような気がするが、読み物としては、気になる人物の生涯が短くまとめてありよかった。

17

こころのマネジメント

田坂広志

東洋経済新報社
初版1999年9月23日

 複雑系の経営、情報共有、ナレッジ・マネジメントといったテーマの本を執筆されている田坂さんの新刊。

 田坂さんの職場では、毎週一回「ウィークリー・メッセージ」を各々がメールで送信している。これによって職場の仲間同士の理解度が高まり、意志の疎通の少なさに起因するトラブルがなくなる。
 MBWA -Management by Wandering Around- という職場を徘徊し、雑談をすることにより、その職場の問題点を把握するマネジメント手法をとっているマネジャーがいる。田坂さんの上司にもそういう人がいて、的確に職場の問題点を把握していた。しかし最近は、ただブラブラして雑談してひまをつぶすマネジャーが増えてきているそうだ。

18

京阪バレー

日本経済新聞社編

日本経済新聞社
初版1999年9月20日

 不況の中、躍進を続ける京都大阪の企業を取り上げた本。京セラと日本電産については、それぞれ稲盛さんと永守さんの本を読んでいたのである程度知っていたが、ローム、村田製作所、日東電工、任天堂、キーエンスについては、その華々しい業績しか知らなかったので、本書を読み、それらの企業の中身を知ることができた。関西の企業なので社長も関西人ということで、社長の発言が関西弁のまま掲載されており、現実感があった。

 ロームのIC製造は、前工程はカネの力で大手と同じ土俵に上がり、得意の後工程で白星を重ねる、という戦略をとっている。

 日本電産の永守社長の倍と半分の法則:競争相手の二倍働き、半分の納期にせよ。

 京セラの稲盛さんは、業務量に見合った人数以上で仕事に当たらせない。石油危機で仕事量が減ったとき、余った人を掃除などにまわした。半減した仕事に同じ人数で取り組むと、生産性が低下し、受注回復しても低下した生産性がなかなか回復しない、と懸念したため。

 村田製作所のマトリックス経営:グループ内の製品別・工程別などの経営管理単位をできる限り、細分化し、それぞれ独立採算の収益管理をすること。
 名誉会長村田昭氏は人物評価の時「鈍くさい人材の方がいい。才気走って俺が俺がというのはいかん」と周囲に漏らすことがあるそうだ。

 キーエンスは給料高いなー。

19

ひと駅の間に知的になる

中谷彰宏

PHP文庫

 中谷さんのひと駅シリーズ。知的な人というのはどんな話でも面白おかしくしてしまう。人になにか話すときは「私はこんなに難しい話を知っています」ではなく、「私はこんなに面白い話を知っています」という気持ちで話すよう心がけることにしよう。

20

ひと駅の間に成功に近づく

中谷彰宏

PHP文庫

 この本を読んで成功に近づこう、という気持ちで読んだわけではないが、半歩くらいは前進したかな。

 日本の若者は腰抜けになって戦争になったらすぐに降参する、というお年寄りがいるが、三井チームとか三菱チームというように企業単位で師団を組織化すれば、強力になるそうだ。

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