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No. 題名

感想

1

監督たちの戦い
[決定版] 上

浜田昭八

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2001年4月1日

 野球ファン必見の本。これを読めば、プロ野球の歴史が分かります。

 また、本書は管理職の方にお勧めできます。著者の浜田さんは日経新聞に連載を持っておられるので、ビジネスマンの方もご存知ではないかと思います。
 この『監督たちの闘い』は、人の使い方について、その気なって読めば、ものすごく得るものがあるに違いないです。わがままな野球選手を使う方法は、現代の若者を使う方法と共通点が多いと思います。森監督に使われたい、広岡監督には短い間なら使われたい、大沢親分はやっぱり親分だ、などど27歳の私は思いました。

■王貞治
 巨人の監督時代は、5年間ずっとAクラスを保ったにも関わらず、実質的に解任されてしまった。

■仰木彬
 あの1988年10月19日川崎球場ロッテ対近鉄から13年もたってしまったのか。有藤監督の長い抗議がなければ、などと今でも思ってしまう。
 オールスター戦でのピッチャーイチローについては、人気のないパリーグにお客さんを呼ぶための演出であり、決して野村監督の言ったような、野球を冒涜しているような行為ではない、と本書を読んで思った。

■野村克也
 「生涯一捕手」という言葉は、南海の監督兼選手を解任された野村氏がロッテに選手として移籍した後に色紙に書き始めた言葉。その南海の監督を解任された理由だが、サッチーがその当時からしゃしゃり出て、これではチームがまとまらないと、南海のオーナーの川勝氏が判断したことによる。

■上田利治
 ヤクルトとの日本シリーズでの、大杉勝男のホームランの判定を巡っての抗議が有名。自分の娘の統一教会入信に関連して、突然監督を休養したという汚点もある。
 選手で目が出ず、25歳でコーチに就任した上田氏は、自分より野球が上手な選手に指導するとき「私はできなかったが、君ならできる」と言ってその気にさせた。

■西本幸雄
 江夏の21球で有名な近鉄−広島の日本シリーズのときの近鉄の監督。
 選手としても成績は大した事ないが、その原因は、プロ野球に入ったのが30歳だったことによる。

■吉田義男
 吉田さんと言えば、1985年の阪神日本一。
 昔の吉田さんは、ケチで有名だったらしい。王金田広岡吉田(おう金だ、ひろおかよした)という言葉は吉田さんの昔の性格をしっかり表しているようだ。
 阪神の監督にほぼ10年おきに3度就任したり、フランスナショナルチームのコーチになったりと、監督としては、変わった経歴の持ち主。

■近藤貞雄
 近藤さんがどんな選手だったか知るよしもないが、なんと、1946年、巨人で23勝をあげた投手だったそうだ。そのまま巨人のエースへ、と思った矢先、交通事故で指を痛め、それ以来投手としての力は半減した。それでも近藤投手は投げつづけ、中日移籍後、3年で24勝をあげた。この経験が、監督コーチになったとき生きた。ケガで落ち込んだ選手に対して「まだ終わったわけじゃない」と励まし続けた。

■三原脩
 知将三原といえば、野球ファンなら誰でも知っている。1974年生まれも私も知っている。巨人に恨みをもって辞めて行き、西鉄監督として、日本シリーズで巨人に雪辱。
 野武士集団と言われた西鉄をまとめあげた秘訣は?

2

監督たちの戦い
[決定版] 下 

浜田昭八

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2001年4月1日

■長嶋茂雄
 第一期長嶋政権時代に、南海に投手のトレードを申し込んだら、監督兼選手の野村克也が巨人に来たがっている、という話が舞い込んできたそうだ。そのときは、長嶋監督が拒絶した。…本当の話だろうか。

■星野仙一
 「上司にしたい人」「上司にしたくない人」の両方のアンケートで上位にランキングされる星野監督。グランドを離れれば、ものすごくいい人なのだそうだ。若手記者にもよき兄貴分として接し、キャンプなどでは朝食をともにとることもあるようだ。

■森祇晶
 西武の黄金時代を築いた監督。コーチ時代は、広岡管理野球の実行者として辣腕を奮い、選手から嫌われまくった。しかし、監督に就任するや、自分の特色を出し、選手を思いやり、選手の長所をたたえ、若者に理解を示すよき監督となった。2001年の横浜ベイスターズの監督では苦戦しておられるが。

■広岡達郎
 広岡さんほど選手時代、監督時代の逸話が面白い人はいない。「ひとこと多い」と言われる性格なので、つねに周囲と衝突している。巨人時代は川上監督と争い、ヤクルト監督時代は松園オーナーと衝突した。
 妥協を許さないその性格には尊敬の念を抱く。1年くらいなら、広岡さんの下で自分を管理してもらってみたい。きっと、成長するに違いない。

■大沢啓二
 監督としては、優勝一回だけだが、いろいろなことが印象に残っている。「面白い野球」を目指した大沢監督。その背景には、人気のないパリーグを何とかしなければ、という思いがあった。これは、パリーグの監督に共通する思いであり、仰木監督、上田監督もそのあたりをすごく意識しておられる。

■川上哲治
 選手時代はわがままだった。しかし、監督になったとたんに「チームプレー第一」という考えに変わられた。9連覇という偉業もあるが、「勝つけど面白くない野球」の元祖でもある。

■藤田元司
 巨人の監督を無難なく勤められた人。川上野球の後継者のひとりであり、2番川相を作り上げたことが印象的。

■鶴岡一人
 監督通算23年で1773勝1140敗81分け、勝率6割9厘という驚異的な数字を残された野球界の元老。

3

バターはどこへ溶けた?

ディーン・リップルウッド

道出版
初版2001年5月1日

 『チーズはどこへ消えた?』の逆説的な本。「人生どうにかなるさ」という気楽気持ちにさせてくれる内容だった。『チーズ』を読んだ人は、ぜひ『バター』を読んでみてもよいのでは。

  • 走るのに、いや、走らされるのに疲れたら、休めばいいのである。(10頁)
  • この世のものはみんないつかはなくなるもんさ(32頁)
  • なんのわけもなく、
    なんとなく好きというのが、
    きっと、
    一番好きということなのだろう (70頁)

4

龍馬 一 青雲篇

津本陽

角川書店
初版2001年4月20日

 本書は、東京新聞、中日新聞などに連載されている『奔馬の夢』を『龍馬』と改題し単行本化したもの。
 史料を丹念に調べ、その時代を正確に表そうとするのが津本氏の著書の特長なので、幕末とはどのような時代であったのか、ということを小説を通して知りたい方にとって、本書はうってつけです。

 龍馬を扱った小説といえば司馬遼太郎氏の『竜馬がゆく』が著名であり、私も読みましたが、この津本陽氏の『龍馬』もそれに匹敵するような小説になると思います。

 江戸に赴いた龍馬が、佐久間象山の弟子となり、黒船来航の折、ともに黒船見物に出かけた、という話があったが、これはフィクションかな。

  • 龍馬の父八平と兄権平は砲術に堪能であった。(41頁)
  • 佐久間象山は、入門志願者がくると、面接してみて気に入らない態度をわずかでもあらわす者は、追い帰した。(166頁)
  • (江戸三大道場)力は斎藤、技は千葉、位は桃井(174頁)
  • 吉田寅次郎がはじめて佐久間象山を訪問したのは、嘉永四年(1851)五月であったという。(220頁)
  • これから世間は変わってくる。しばらくは形勢を見ることじゃ。あわてちゃいかん。龍が雲を呼ぶにも、機をはからにゃいかんがじゃ。(381頁)

5

未来への決断

ピーター F.ドラッカー

上田惇夫、佐々木実智男、林正、田代正美訳

ダイヤモンド社
初版1995年9月7日

 "MANAGING IN A TIME OF GREAT CHANGE"の日本語訳。論文集であるが、一冊の本にまとめることを念頭に書かれたものであるので、前後のつながりに違和感は少ない。

 変化する未来に備え、その未来をつくり出すための決断を促すことが、本書の目的となっている。
 『ポスト資本主義社会』を参照、という内容が多かった。

  • 情報が権力に取って代わりつつある。(6頁)
  • もはや、職業やキャリアをこれまでのように考えることはやめなければならない。新しい課題を次から次へと引き受けていくのだというふうに考えなければならない。(10頁)

T部 マネジメント

 履歴書を書くならば、過去の経歴よりも、自分に何を期待できるか、ということを書かなければならない。

  • 体系的かつ意識的に廃棄を行わない限り、組織は次から次へと仕事に追われることになる。行ってはならないことや、もはや行うべきでないことに最高の資源を浪費することになる。(38頁)
  • 組織は、顧客志向ではなく、市場志向でなければならない。(40頁)
  • 必要なのは天才ではない。勤勉さである。(43頁)
  • 成功するイノベーションは、すでに生じている変化を利用する。(46頁)
  • この可能性を現実へと転化するには、企業の強みと能力を機会にマッチさせることが必要となる。(50頁)
  • 今後10年ないし15年後には、ほとんどの組織が、自らの組織にとって収益源でない支援的な業務、トップ・マネジメントへの道になっていない業務のすべてを外部委託するようになる。(80頁)

U部 情報型組織

  • イノベーションとは、ジョセフ・シュンペーターが言ったように創造的破壊である。(91頁)
  • 組織は社会やコミュニティや家族と異なり、目的に従って設計され、目的別に専門化した存在である。(99頁)
  • リーダー的な地位を得るためには、他者にはできないこと、あるいは少なくとも、他社にはかろうじてしかできないことが、容易にできなければならない。(149頁)

V部 経済

  • アメリカはサービス貿易で巨額の黒字をあげている。(168頁)
  • ケインジアン、マネタリスト、サプライサイド、新古典派のいずれのものであれ、経済を刺激するための政策が効果をあげた例はない。(175頁)
  • 政府による景気刺激策は、景気の循環的な回復過程と偶然に一致したときのみ成果をあげる。しかし、そのような偶然は稀である。(175頁)
  • すでに証拠が明確に示しているように、政府は経済の天気をコントロールすることはできない。(175頁)
  • 東アジアにおいて、日本市場向け製品を生産するために行った投資は、前述したように、日本の国内に失業をもたらすどころか、逆にきわめて多くの雇用を生み出した。(182頁)

W 社会

  • 知識労働者は、正規の教育によって仕事と職と社会的地位を得る。(260頁)
  • これからは、教育ある人間とは、いかに学ぶかを学んだ者、そして一生を通じて学び続ける者、とくに正規の教育によっていかに継続して学ぶかを学んだ者を指すことになる。(262頁)
  • 知識社会では、現実に適用される知識が基本となる。(264頁)
  • 知識社会では、成果をもたらすのは個人ではない。成果をもたらすのは組織である。(269頁)

6

現代経済学の巨人たち

日本経済新聞社編

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2001年4月1日

 1994年に出版されたものの文庫版。

 ケインズ、シュンペーター、ハイエクなど20世紀を代表する経済学者について、竹中平蔵、佐和隆光、中谷巌など日本を代表する経済学者が解説を書いている。初出は日経新聞の「やさしい経済学」なので、内容もやさしく書く努力をされていると思われる。

 シュンペーターについては、竹中氏が書いておられるが、やはり「起業家精神」「創造的破壊」という言葉には、最近の若者としては、ぐっとくるものがある。何かしなければと思う。

 物理学の相転移論で出てくるような「自主的秩序」や「自己組織的構造」という考えを、ハイエクもいち早く経済学の分野で取り入れていたとは。

 経済学と物理学をはじめ、数学、科学、コンピューターサイエンス、などに多大な業績を残したフォン・ノイマンは、電話帳をさっと眺めて番号の総和が言えた。

  • われわれが何か積極的なことをするのは、期待収益を計算した結果というよりは、やむにやまれぬ衝動としてのアニマルスピリッツによるのである。 (ケインズ 24頁)
  • 不断に旧きものを破壊し新しきものを創造して、たえず内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異−この創造的破壊の過程こそ、資本主義についての本質的事実である。(シュンペーター 35頁)

7

あなたが動けば、人は動く

中谷彰弘

PHP文庫
文庫版初版
2001年3月15日

 人を動かすにはどうすればよいかを、中谷流に記したもの。

  • 人は、だれでも失敗したあとに一番動きます。(57頁)
  • 人を動かすのがヘタな人は、脅迫へもっていってしまいます。(79頁)

8

「トヨタ経営」ひとり勝ちの法則

週刊ダイヤモンド編集部編

新潮OH!文庫
文庫版初版
2001年6月10日

 週刊ダイヤモンド2001年2月3日号のトヨタ経営の特集を早速、文庫化したもの。

 「変わらざるは悪」という言葉に著者はトヨタの競争力の源泉を感じているようだ。常に仕事について問題点を探し、発見し、解決していくトヨタ社員の姿には、読んでいて恐怖すら感じてしまう。連結で売上13兆円、経常利益1兆円のトヨタだが、本書を読むと、もっと儲かっているのではと思ってしまう。

9

天皇家はなぜ続いたのか

梅澤恵美子

ベスト新書
初版2001年7月1日

 大和朝廷成立の謎を解く本。史料の乏しい古代について想像力と推理を働かせて、梅澤氏独自の歴史観を展開されている。

出雲大社の大国主命と仲哀天皇が同一人物。

恵比寿様の事代主命と武内宿禰と浦島太郎が同一人物。

諏訪大社の建御名方命と応仁天皇が同一人物。

という結論に達しておられる。

10

古代史の結論

豊田有恒

青春出版社
初版2001年7月5日

 土器捏造事件を嘆きつつも、それでも日本の古代は考えられていたよりも文化的であったことを強調している本。

 縄文時代、弥生時代、邪馬台国の時代、飛鳥時代といった、いまだはっきり解明されていない時代について、著者が見解を示している。

11

円の支配者

リチャード・A・ヴェルナー
吉田利子訳

草思社
初版2001年5月14日

 著者はドイツ生まれで、オックスフォードで博士号をとり、東京大学で学び、野村総研、日本銀行の研究所、大蔵省の研究所などで働き、現在は上智大学で講師を勤めている。"Princes of the Yen"というのが英語の題名で、『誰が日本経済を崩壊させたか』というのが副題。

 本書を読む直前に『現代経済学の巨人たち』を読んだので、内容が理解しやすかった。おかげで、楽しめた。この本は面白い。知的興奮をもたらす。

 以下、私なりに本書の内容を要約。

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戦後、日銀の目的は
(1)大蔵省の支配から脱し、円(日本)の覇権を握ること
(2)1920年ころの日本のような、雇用の流動性が高く起業家精神にあふれた日本を創ること、
の二点に絞ることができる。

 強い日本を創るためには、戦前から続く統制経済を打破しなければならない。そのためには、このシステムは機能しないことを示さなければならない。そこで、日銀は通貨発行の権限を利用し、その量を管理することにより、好況と不況を創り出し、変革を促していった。その最後の仕上げが、バブル景気とその崩壊であった。

 バブル崩壊後、日銀は円の供給を増やせば、いつでも好景気を創り出すことができた。しかし、日銀が理想とする構造改革は達成されてなかったので、改革を促す目的で、意図的に不況を長引かせた。

 政府が行った赤字国債による公共事業(ケインズ政策)は全く意味がないものであった。本来、別のことに利用されるお金が、国債購入にまわされるだけなので、使われるお金の量は結局のところ変わらない。

 2001年現在、日本の構造改革は進み、また大蔵省解体も達成されたので、後は日銀のプリンスが信用創造拡大のゴーサインを出すのを待つだけ。その時が来れば、日本は5年以上にわたって4%成長を享受でき、それは第二の日本経済の奇跡と映るだろう。

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 本書で述べられている日銀のやり方について、私自身は、嫌悪感は抱かなかった。現在の日本は戦前の統制経済を引きずっているという考えは、堺屋太一さんや日下公人さんの著書に「昭和15年体制」と言う言葉で表されているし、景気回復は紙幣を印刷するだけでよい、という考えは、ポール・クルーグマンが主張していることに近い。日銀が意図的に不況を創り出した、というのはドラマチックな考えに思えるが、通貨供給が景気を決めるというマネタリストの考えには、うなずけるものがあった。

 本書の内容に従えば、バブル崩壊後、政府が行った景気対策で、最も有効であったのは、「地域振興券発行」ということになってしまう。

 

 

 

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