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感想

1

ハーバード流交渉術

フィッシャー & ユーリー

金山宣夫、浅井和子訳

三笠書房 知的生きかた文庫
文庫版初版
1990年1月10日

GETTING TO YES by Roger Fisher & William Ury 1981

 ハード型でもソフト型でもない、原則立脚型交渉術について述べた本。この交渉術は、ハーバード大学交渉学研究所で開発されたとのこと。

 原則立脚型交渉(principle negotiation)、別名利益満足型交渉(negotiation on merits)とは、威圧的でも恭順的でもなく、お互いが満足する結果を目指す交渉である。相手を攻撃するのではなく、相手を褒め、相手の考えを支持し、そして巧妙に自分の考えに同調させるものである。

 アメリカではこのような交渉術の研究をしていたのか。「ディベート、ディベート」と騒いでいた人たちは、残念ながら、交渉術の一面しか見てなかったんでしょうね。

■1950年代の鉄鋼業界の労使対立を防止するための調停委員会での方法(64頁)
 一時に怒っていいのはひとりだけ、一人が怒鳴りだしたら、他は黙ってなくてはならない、というルールをつくった。その結果、ひとりが怒鳴りだしても、相手側は、言われっぱなしを後で非難されることもなくなり、「まあ、言わせておけよ」という態度をとるようになった。

2

決定版 ハーバード流”NO”と言わせない交渉術

ウイリアム・ユーリー著
斉藤精一郎訳

三笠書房 知的生きかた文庫
文庫版初版
1995年6月10日

GETTING PAST NO NEGOTIATON WITH DIFFICULT PEOPLE by William Ury 1992

 原則立脚型交渉術の上をいく「交渉突破戦術」について述べた本。

 交渉の際は、一歩退いて、バルコニーの上から状況を見るようにすればよい。客観的な視点で交渉を見ればよい、とのことです。

■交渉において最も重要な技術(43頁)
 相手の立場に立ってみること

■反撃による交渉戦術があなたに利益をもたらしてくれることは非常に稀である。(63頁)

■第3代大統領トーマス・ジェファーソンの言葉(91頁)
「怒りを感じたときは、口を開く前に一から十まで勘定せよ。ひどく怒りを感じたときは百までだ」

■交渉の進行速度を緩めるためのごく簡単な方法は、丹念にメモをとることである。(95頁)

■本当に有能な交渉者というものは、少し鈍いと見られるほうがことを有利に進めることができることを知っている。(96頁)

■手強い交渉相手とぶつかった場合(103頁)
 まず、自分自身の感情のコントロールを心がけなければならない。

■質問は「イエス」「ノー」で答えられないものをせよ(180頁)

■交渉とは、ある意味では自分が「話す」ということよりも「質問をする」ということに対して重点を置いて臨むべきものであるといえる。(228頁)

3

「超」納税法

野口悠紀雄

新潮社
初版2003年1月25日

 『週刊新潮』2002年3月14日号から10月24日号に連載された『「超」納税法』をまとめたもの。

 さすが大蔵省出身の野口氏が書いた税金の本だけあって、教科書として使っても全く問題ない内容になっています。

 「難しい」を「簡単」にするために、「男はつらいよ」の登場人物を例に、税金の説明をしてあるのだが、残念ながら私は、寅さんファンではないので、途中から何が何だがさっぱり分からなくなった。
 朝日印刷のたこ社長が、法人税対策で会社を赤字にするために、自分の報酬を増やす。また、従業員の博が自分で会社作って、朝日印刷と業務委託契約を結び、博の会社の法では、家族を社員にし、所得を分配し、そうすると、納税額が少なくなります、という話です。

 野口悠紀雄氏が『「超」整理法』などでベストセラーを連発していたとき、所得税額と住民税を合わせると2億円くらいになった。しかし、ベストセラーを争った某氏の名は、長者番付には乗らなかった。その某氏は、その後、脱税の疑いで週刊誌を賑わせた。納税の対処を誤ったのではないだろうか、とのことです。
 その某氏とは、大前研一さんのことかいね。大前さんも脱税疑惑がありましたんで、、、

■シャウプ勧告(23頁)
 1949年5月に来日したコロンビア大学教授カール・シャウプを団長とする使節団が8月に提出した「日本税制報告書」のこと。シャウプは翌50年にも来日し、第2次報告書を提出。それまでの苛烈な税徴収から、穏健徴収路線へ転換した。
 しかし、これはシャウプを隠れ蓑にした大蔵省のやらせである、というのが野口さんの主張。他に、ドッジラインも大蔵省が裏で糸を引いたもの。

■加藤紘一氏の場合(48頁)
 氏は2002年3月27日に、「自宅家賃金額が政治活動費」と説明したが、これは個人事業者が自宅の家賃や生活費のすべてが必要経費だと主張するのに似ている。普通の人がこうしたことを税務調査で主張したら、相手にされないだろう。

■日本に赤字法人が多い理由(124頁)
 景気が悪いことでもなく、虚偽申告が多いことでもない。基本的な原因は、税制そのものにある。

■日本型政策対応の典型的パタン(151頁)
 不満が生じたとき、制度全体を見直して公平を目指そうとするのではなく、不満グループにアメを与えて懐柔した。

■野口氏が垣間見た田中角栄の人心収攬術(152頁)
 1964年、野口氏が大蔵省に入省したとき、田中角栄大蔵大臣は、初対面の新入生20名のひとりひとりの名を呼び、握手をし「お!野口君、頑張れよ」という調子で片っ端からやった。

■サラリーマンの経費(158頁)
 「サラリーマンには経費が認められていない」というのは、誤解であり、給与所得控除を経費の概算控除と考えれば、きわめて寛大な経費控除が認められていることになる。

4

基本のキホン あなたが知らないあなたの年金

千保喜久夫

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2002年2月1日

 基本のキホンということで、なかなか分かり易い内容であった。

■夫がサラリーマンから自営業に代わったときに、奥さんについても同様に国民年金の手続きをしないと、そこで奥さんの加入が途切れてしまう。(19頁)

■公的年金の始まり(22頁)
 
日本における公的年金制度のそもそもの始まりは、公務員の恩給制度。(22頁)

■被用者年金は世帯単位で、夫の保険料のなかには専業主婦の妻の遺族年金分まで含まれている。(30頁)

■公的年金を積立方式で運営する国は数えるほどしかない。欧米諸国ではひとつもない。よく引き合いに出されるチリの場合も、積立方式が始まって20年、個人ベースの確定拠出年金であり、その行く末はこれからということではないでしょうか。(35頁)

■厚生年金は、創設後しばらくの間は積立方式で運用されていた。しかし、1954年に修正積立方式(しだいに賦課方式へ移行する方式)に変更されている。(36頁)

■アメリカの方式(77〜78頁)
 アメリカの公的年金制度は社会保障年金と呼ばれているが、1970年代のスタグフレーション下(景気低迷とインフレが同時に進行する状況)、年金のインフレスライドが効きすぎ、財政難に陥った。これに対する改革が手間取り、1983年には、準備金が枯渇し、年金支払い不可能になると予測された。そこで、1981年、レーガン政権時に議会と超党派で社会保障改革委員会が設置された。その委員長は、グリーンスパン。
 1983年にあと半年で、年金積立残高がなくなるところで、改革が実施された。
 そのときの改革内容は、
保険料(ペイロール・タックス、給与税といわれ、税金と一緒に徴収される)の引き上げ
・高所得者の年金への課税
・新規連邦職員の強制加入
・2027年までに年金支給開始年齢を67歳に引き上げる
などだった。

■厚生年金の保険料の会社負担分は賃金かどうか(108〜109頁)
 会社負担分は、これまでの研究では、賃金の一部とのことだが、しかし、仮に年金制度が廃止されても、給与に上乗せされることはないだろう、というのが実務家の意見。

■「失われつつある10数年」の長いトンネルの出口には人手不足が待っており、年齢、性別にかかわらず、すべての人に就業機会が広がるものと期待される。(122頁)

■仮に社会補償金を税方式に転換すると、その途端に他の歳出項目と競合し始め、財源の奪い合いに巻き込まれる可能性が強い。(154頁)

5

地域間交流が外交を変える 鳥取−朝鮮半島の「ある試み」

片山善博、釼持佳苗

光文社新書
初版2003年2月20日

 鳥取県知事の片山氏へのインタビューを釼持佳苗氏が一冊の本にまとめたもの。

 江戸時代、日本海を漂流していた朝鮮漁船を鳥取藩が助け、無事、朝鮮を送り届けた、という出来事があった。その朝鮮漁船の子孫を探しを通じた、韓国と鳥取の交流が紹介してある。

6

剣豪 その流派と名刀

牧秀彦

光文社新書
初版2002年12月20日

 2003年の大河ドラマが『武蔵』、2004年が『新選組!』ということなので、予備知識を得るために読んでみた。

 著者の牧氏は、剣豪について大変造詣が深い方であり、よくここまで調べられたものだと、驚嘆しながら読みました。

■最古の剣術(15頁)
 古墳時代前期(3世紀後半〜4世紀末)に、最古の剣術が創始され、それは、常陸国鹿島神宮の祝部(はふりべ)、国摩真人(くになずのまひと)が編み出した「鹿島の太刀」を基とする関東七流。
 当時は諸刃の剣だった。

 

7

経営はロマンだ! 
私の履歴書

小倉昌男

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2003年1月6日

 ヤマト運輸の小倉さんの『私の履歴書』

■経営はロマンである。だから経営は楽しい。目標を決め方法を考え実行する。この間の緊張感は堪らない。(4頁)

8

プロ野球よ! 浮上せよ「魅せる9イニング」

日本経済新聞社運動部編

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2003年2月1日

 日経新聞の運動部一同の著書。

 日本のプロ野球は何から何まで駄目、それに引き替え、メジャーリーグは何から何まで素晴らしい、ということが延々と書いてある。

 日本プロ野球の改革のための提言が随所に織り込まれている。野球ファンを代表しての提言らしいが、その内容は一般の野球ファンを全く無視した内容となっている。

 日経新聞の運動部のメンバーはろくに野球を知らない人間の集まりだろうから、仕方ないか。
 結構いい文章を書く浜田昭八氏も執筆者の中に入っているのだが、残念な内容であった。

9

「場」とはなんだろう

竹内薫

講談社ブルーバックス
初版2000年11月20日

 この本は物理学の話です。昔の復習のつもりで読んでみました。

 マックスウェル、ファラデー、ディラック、ファインマンといった人たちの業績や考え方が紹介してあります。
 経路積分の方法は、本書を読んで始めて理解できたような、、、

 竹内さんの著書は、物理を懐かしむのに、ちょうどよいレベルです。

 それにしても物理学とはなんと魅力的な学問なんだろうか。

10

質問する力

大前研一

文藝春秋
初版2003年3月1日

 質問する力(Inquisitive mind)があれば、危機は未然に防ぐことはできる。人の話を鵜呑みにしていては駄目だ。
 特に、1993年の住宅金融公庫「ゆとり返済」に乗っかってしまった700万人の人々に質問する力があれば、その後の不動産下落も予想できたはずである、とのこと。

 1985年のWindows1.0発売以降がアフターゲイツ、それ以前はビフォーゲイツと区別する、という大前さんの考えは他の著書でも読んで、訳分からんと思っていたが、いまだに主張しておられるとは。時々、変なことにこだわるから、共感者が少なくなってしまうんでしょうね。

 大前さんは高速道路建設賛成派なのだが、持論のプレート課税というのは、とてもいいと思う。ETCも料金自動払いではなく、安全運転に特化したシステムにするべきだと、私も思う。
・道路公団を民営化ではなく、直ちに廃止
・高速道路を国道ゼロ号線として、今後の建設は政府が国費で行う
・道路公団の借金40兆円は、プレート課税で返済する
 自家用車1万円、タクシー10万円、トラックとバスは30万円で、これらを13年間払う。

■デルの経営手法(46頁)
 CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を融合したものと言われている。

■長期低落の始まり(64頁)
 日本は、かつてのポルトガルやスペインがそうであったように、世界の中で除々に地位を下げてゆく、長期低落過程に入っています。

■ピーター・ドラッカーではありませんが、収益とは将来の成長に対する投資の糧です。(65頁)

■新生銀行(77頁)
 リップルウッドは長銀を10億円で買い、その後約1000億円の資本増強をしたが、上場するときには、株価は大幅に値上がりしているだろう。
 なにしろ、アメリカの厳しい会計基準で不良債権が全て洗い出され、問題のある債権は瑕疵担保条項を使って政府に買わせている。つまり、今度こそ完全に身ぎれいになった。

■あおぞら銀行(80頁)
 ソフトバンク、オリックス、東京海上火災のあおぞら銀行(旧日債銀)は、リップルウッドのようなことができずに、動きが取れなくなった。日銀出身の頭取も就任間もなく自殺してしまった。

■年金債務は800兆円、国債と地方債で約700兆円の負債。ふたつあわせて1500〜1600兆円。下手すると1900兆円ぐらいになる。(86頁)

■ムーディーズの国債格付け(91頁)
 ムーディーズが日本国債の格付けを下げ続けるのは、責任ある格付け機関としては、むしろ当然。実際政府がいかなる方法で国債を返済しようとしているのか、私には全く見当もつきません。

■日本経済を良くしようと考えたときに、不良債権を処理することは決して優先事項ではありません。そんなものは放っておいて、潰れる銀行には潰れてもらい、債権者として話し合って法的に決められた通りに負債を負担すればいいのです。(100頁)

■小泉さんは、大蔵官僚出身の福田赳夫氏の秘書として政治家のキャリアを始めた銀行族です。銀行にとっては、郵貯は邪魔な競争相手です。(132頁)

■国債価格(135頁)
 国債は世の中の金利が上がったり、国債の信用が落ちたりすれば価格が下がるのです。以前にも78年に発行された「ロクイチ国債」という表面利率6.1%の国債の2割も暴落して、大騒ぎになったことがあります。

■経団連の奥田さんの「消費税を毎年1%ずつ上げろ」について(241頁)
 コストダウンのトヨタ会長に期待するのは、日本政府の無駄遣いの大幅削減。

■駄目な経営者(251頁)
 問題点を羅列し、それを逆さまにして解決策と称する傾向がある。

11

あしたの経済学

竹中平蔵

幻冬舎
初版2003年1月30日

 『改革は必ず日本を再生させる』というのが副題。

 経済財政政策・金融担当大臣として、与党にも野党にも評論家にも批判され、小泉さんには丸投げされ、そんな中、日々奮闘しておられる姿には頭が下がります。

 竹中さんの方針に賛意を唱える人はもっといてもいいと思うのだが。本を読む限り、野口悠紀雄さんや大前研一さんは、竹中さんのやり方にどちらかというと賛成で、他には、榊原英資さんは、賛成なんだけど、昔の意趣返しで、「ペーパードライバー」などと言って、感情的な批判をされている。

 「長期的に考えれば、人はみな死ぬ」が前提のケインズ政策を「長期的に考えても、人はみな生きている」という時代に行っても、効果はないと私は思います。ケインズが生きていても「事実が変わったから、私は考えを変えました。あなたはどうしますか」、なんてことを言うんでしょうね、きっと。

 シュンペーターの「古きものには死をもたらす創造的破壊」についての言及は、本書にはなかった。サプライサイドとマネタリストをくっつけたような議論がされていた。

■日本経済成長の理由(27頁)
 際立って強い企業や産業が日本にあったからこそ、日本経済全体も成長することができたのです。それを私たちは、日本全体が素晴らしいシステムを持っていると思い込んでしまっていたのではないでしょうか。

■日本の税制改革(63頁)
 戦後、シャウプ勧告によって制度がつくられて以来、消費税が導入された以外には50年にわたって大きな税制改革は行われず、長い間つぎはぎしながらやってきました。

■新しい銀行(95頁)
 自動車、情報通信など日本を代表する産業から、新たに銀行業を始める積極的な企業が出てくることを期待しています。

■貿易黒字の中身(198頁)
 かつては黒字の3/4を貿易で、1/4を所得収支(海外からの利子や配当金などのやりとりの収支)で稼いでいたが、今は半々くらい。

■平和の配当(202頁)
 国家が軍事に力を入れているときは、技術者の多くが軍事にかかわる。しかし、冷戦が終わって軍事費が減れば、技術者の多くが民間のマーケットになだれ込んでくる。アメリカでは、こうして民間の競争力が強くなった。これを「平和の配当」と表現している。

■トヨタの奥田碩会長の話(198頁)
 今仮にトヨタ自動車の輸出がゼロになったとすると、たちまち日本は貿易赤字に転落する。

12

地政学で世界を読む 21世紀のユーラシア覇権ゲーム

ズビグニュー・ブレジンスキー著、山岡洋一訳

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2003年3月1日

THE GRAND CHESSBOARD : American Primacy and Its Geostrategic Imperatives by Zbigniew Brzezinski 1997

 ドイツとフランスの関係のように、日本と韓国もなれないものだろうか。

  • 見方によっては、米ソ対立は地政学者が好んで使う理論が、現実になったものだともいえよう。(27頁)
  • 文化の支配は、アメリカの世界覇権のなかでも過小評価されている側面である。アメリカの大衆文化については様々な意見があろうが、とくに世界の若者の間で大きな魅力をもっている。(55頁)
  • 核兵器の登場によって、戦争は政治の手段として、威嚇の手段としてすらも、有用性が大幅に低下している。(72頁)
  • 日本が国際政治面で自制の姿勢を崩していないことから、アメリカが東アジアの安全保障で中心的な役割を果たせるようになっている。(85頁)
  • フランスには現在、約500万人のイスラム教徒が住んでいる。したがって、フランスにとって、北アフリカの安定と順調な発展は国益にかかわる問題だ。(135頁)
  • 20世紀にロシアの国民が被った恐怖と苦痛を軽視するわけにはいかない。(151頁)
  • 1990年11月19日ウクライナのキエフでのエリツィン大統領が宣言した言葉。後にウクライナ人とチェチェン人が同大統領を批判する際に引用されることになった。「…他国を支配している国の国民は幸せになれないというのが、歴史の教訓である。」(165頁)
  • ロシアは、拡大するヨーロッパと拡張主義の中国の緩衝地帯になるだろう。(192頁)
  • アメリカにとっては、ロシアは同盟国としては弱すぎるが、患者でありつづけるには強すぎる。(194頁)
  • カフカス地域のアゼルバイジャン領内では、400万人弱のアルメニア人はキリスト教徒、ア800万人強のゼルバイジャン人はイスラム教徒なので、宗教紛争の要素もある。(209頁)
  • ロシアの場合、トルコに対する敵意は脅迫観念に近い。(224頁)
  • 偉大な中国が凋落した過去150年間は、異常な時期、本来の地位を失った屈辱の時期、中国人ひとりひとりにとって名誉が傷つけられた時期だった。(257頁)
  • 日本には、ドイツにとってのフランスにあたる国がアジアにない。(281頁)
13

中華連邦 台湾から明日の中国が見える

大前研一

PHP研究所
初版2002年11月20日

 本書は、『チャイナ・インパクト』(講談社)、『中国シフト』(小学館)に続く中国三部作の第三弾。

 The Emergence of The United States of Chunghwaというのが英語のタイトル。

 『チャイナ・インパクト』を発刊して依頼、幾人かの政治家や財界人が、大前さんの意見に耳を傾けて来るようになった、とのこと。中国は「地域国家」になる、日本は「道州制」にした方がよい、という考えは、日本人のなかにも浸透していくのではないでしょうか。

 個人的には、東京一極の中央集権体制から、地方分権の「道州制」になって欲しいと思っていますし、近年、元気のいい地方知事が増えているので、そういう方向に確実に進んでいるのでは、と思っています。

  • 私自身は、日本が経済的に中国に負けるとは思っていないし、歴史的に見て危機感をもち、共通の目標を掲げた日本人が強いことも承知している。ただ、このまま対策を講じなければ、日本経済が回復の機会を失うことも間違いないない。(15頁)
  • 戦後の日本人は個々の能力は高くても、全体としてまとまったときの決断が鈍い。(16頁)
  • アメリカ人やシンガポール人は一人ひとりの平均的な能力では必ずしもそれほどすぐれているとは思えないが、組織として国家としてまとまったときの決断は大胆で正確だ。(16頁)
  • 『中国シフト』でも指摘したように、国内の空洞化を懸念する意見もあるが、私はそうは思わない。「日本より空洞化が二倍以上も進んでいるイギリスやドイツやアメリカなどの経験を見ても、輸入品が増えたことで国力が衰えた国はない」のだから。(22頁)
  • アメリカの防衛産業にとっては、予算獲得のためには、仮想敵国としての大国・中国の存在がとても重要なのだ。(88頁)
  • 中国軍は、軍隊というよりはむしろ政商という感じで、武器を売るためにイデオロギーをうまく利用しているのが実情だ。(99頁)
  • 日本では、「均衡ある国土の発展」などという言葉がよく使われるが、中国の場合には、均衡はあまり重視されていない。(128頁)
  • 商品価格のうち、製造業が占める割合はわずか3割。つまり製造コストは商品代の30%にしかすぎず、残り70%は広告費やブランド料、それにデザイン料や研究開発費などの専門的なサービスが占めている。(196頁)

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