読書録 井上靖

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題名

感想

・印象的な内容(一部要約したものあり)

1

孔子

新潮文庫

 「孔子」は、井上靖の最晩年の作品。孔子の死から33年後、孔子の弟子が、孔子の研究者に向かって孔子について語る、というスタイルで物語は進められていく。辻邦生の「西行花伝」と似たスタイルであるが、こちらの「孔子」の方が古い。
 
僕が今まで読んだ本の中にも孔子は度々登場してきたが、孔子は偉大な人物であったという表現より、その偏屈な性格を揶揄するような表現で描かれているものが多かった。このように、真面目に孔子について書かれた本を読んだのは初めてだった。

  • 君子、固より窮す。小人、窮すれば、斯に濫る。
  • 道の将に行われんとするや、命なり。道の将に廃れんとするや、命なり。
  • 巧言令色、鮮なし仁。
  • 死生、命あり、富貴、天にあり。
  • 未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。

2

額田女王

新潮文庫

 井上靖の小説を読んだのは十年ぶりだった。十年前、「敦煌」と「蒼き狼」を読んだときは、ずいぶん難しい表現をされる作家だと思ったが、今回はそういうことを感じなかった。

 大化の改新から5年経った650年から物語始まる。度重なる遷都、遣唐使派遣、白村江の戦い、壬申の乱、このような時代を額田女王を中心に描いた作品。
 雰囲気的に少し前に読んだ辻邦生の「西行花伝」と通じるものがあった。

3

敦煌

新潮文庫

 国境の街敦煌をめぐる西夏と宋の攻防を題材にした小説。

4

蒼き狼

新潮文庫

 成吉思汗の話。

5

天平の甍

井上靖

新潮文庫

 遣唐使の時代、鑒真の日本渡航に尽力した僧の話。昭和32年の作品だそうだ。

 軍記ものばかり読んできた僕だが、最近は奈良平安時代の本をやたら読みたくなってきた。「日本人が自分の気持ちを表現するのなら万葉言葉が最も良い」と何かの本で読んで以来その傾向が強い。

 阿倍仲麻呂が唐で生涯を終えたことは有名だが、このようにひとたび唐に渡り、二度と日本に帰ってこなかった人たちは結構いたようだ。

  • もともと時の政府が莫大な費用をかけ、多くの人命の危険をも顧みず、遣唐使を派遣するということの目的は、主として宗教的、文化的なものであって、政治的意図というものは、若しあったとしても問題にするに足らない微少なものであった。(6頁)

 

 

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