読書録 松下幸之助

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題名
初版発行日

感想

・印象的な内容(一部要約したものあり)

1

人生談義

松下幸之助

PHP文庫

 松下幸之助が92歳から94歳で亡くなるまでの間に語ったことをまとめた本。若いころの苦労の回顧録のようでありつつ、それでいてそんなに悲観的な内容ではなかった。

  • "ぼくは自信がない"などと安易に言っている姿は結局甘えに過ぎない。
  • 夫婦仲が良いお店は倒産することがなかった。

2

物の見方 考え方

松下幸之助

PHP文庫

 「人生談義」に引き続きPHP文庫の松下幸之助の本を読んでみた。江口克彦の本で松下幸之助のことをある程度までは知ったので、今度は、幸之助本人の書いた本を読んでみようと思い、さしあたって文庫本になっているものを何冊か読んでいる。

 この本は、昭和38年に出版されたものだが、読んでいてそんなに古さを感じなかった。アメリカに対する記述など、昨今のものと全く変わりない。アメリカでは社員を簡単に解雇できるが、社会保障がしっかりしているので、路頭に迷わす心配がない、というようなことが書いてあった。
 「スピードの時代」という記述もあった。最近言われ出したのではなく、昭和38年にはすでにスピードの時代に突入していたらしい。

3

指導者の条件

松下幸之助

PHP文庫

 松下幸之助が指導者について、日本と中国の故事をもとに語る。信長、秀吉、家康を例にした話が多かった。松下幸之助は、歴史からさまざまな教訓を学び続けていたようだ。

4

道は無限にある

松下幸之助

PHP文庫

 昭和50年に出版されたものの文庫版。若手にお説教をしているようだが、かといって嫌な気にならない。

 「きびしい時代」という言葉が印象に残った。

  • 自分の考えにあやまちがないか、足らざるものがないかと、くり返し反省していかなければならない。
  • 自分は困難に直面して、命をかけて仕事をしていなかった。楽をしていこうと考えていた。そこにこの煩悶があるのだ。
  • 大器晩成型の人というのは、終生勉強だという考えが心のどこかに力強くひそんでいて、そして常に新しいものを吸収し、勉強し、人の教えを喜んで受けていくという態度が失われない人。

5

仕事の夢 暮らしの夢

松下幸之助

PHP文庫

文庫版初版
1986年1月13日

 昭和35年に出版されたもの。

 自転車屋に奉公していた少年時代のこと、独立したときの苦労などが記してあった。

  • われわれは貧困を克服するために生産をやるのだ。よりよく人生を楽しむために生産するのだ。カネもうけのためとか、そんなことは第二義的のことであって、ほんとうの使命はそこにあるのだ。(49頁)
  • (フォードの工場に倉庫がない理由)フォードは100台の需要に対して99台しかつくらない。1台も倉庫に積む必要がない。(78頁)
  • 不景気に直面して、不景気を克服するだけの力というものは、景気に便乗してできた会社、景気に便乗してできた商売人には耐えられない。(111頁)
  • 感謝の心を持てば、それはいろんな形になって、報いられる。(119頁)

 

6

夢を育てる

松下幸之助

PHP文庫

文庫版初版
1998年9月16日

 松下幸之助が日経新聞に連載した私の履歴書をまとめたもの。松下さんは私の履歴書を2回にわたって連載していた。1回目は昭和31年、2回目は昭和51年。2回も連載した人は他にいるのだろうか。

 フィリップス社と合弁会社をつくる際、フィリップス社に経営指導料を要求し勝ち取った。技術指導料は、松下からフィリップスに払い、経営指導料をフィリップスから松下に払う、という条件で合弁会社が造られたそうだ。

 松下電器の工場が全国各地にできていった理由について、PHP研究所の江口さんの本では、鳥取県米子市で工場建設を頼まれたことになっていたが、本書では高知県で頼まれたことになっている。両方正しいのだろう。

  • 商売というものは損したりもうけたししながら成功するという考え方もあるが、それは誤りだ。商売は真剣勝負と同じで、切られているうちに成功することはありえない。(32頁)
  • 本来高い価値をもった経営について「経営とは芸術なり」という見方もできる。(124頁)

 

7

縁、この不思議なるもの

松下幸之助

PHP文庫

文庫版初版
1993年1月19日

 本書は1983年にPHP研究所より刊行された「折々の記」を文庫化にあたり改題したもの。松下幸之助さんが、「今日のぼくをあらしめている」と言う、数々の出会いのなかから、20の出会いについて記したもの。

 国鉄総裁の石田礼助さん、東芝の石坂泰三さん、池田勇人総理など著名な方との出会いについても記してあったが、読んでいて印象に残ったのは、少年時代に奉公した五代夫妻、まだ松下電器が小さかった頃大きな取引をした岡田乾電池の岡田悌蔵さんといった、松下さんが無名時代に出会った人との思い出話であった。
 松下さんは本当によい出会いをしていると、本書を読むと思わざるをえない。松下さん自身が人との出会いというものを非常に大事にしているので、自然と良い出会いが多くなっていくのだろう。

 東芝の石坂泰三さんと松下幸之助さんが、電気機器の販売方法について三越に物申しに行ったとき、三越の態度を石坂さんが憤慨して、「松下さんは金持ちだから、三越の株を全部買ってしまえ」と言った話は、面白かった。石坂さんは「もう君にはたのまない」と大蔵大臣に向かって発言したなどの逸話が、城山三郎さんの著書で紹介されてあったが、まさにその通りの人物のようだ。

  • 地位がないから、権限がないから仕事が出来ないというのは、やはり熱意のない姿、勇気にかけている姿だと言わざるを得ない。(153頁)

 

 

8

社員稼業

松下幸之助

PHP文庫

文庫版初版
1991年1月21日

 1974年にPHP研究所より刊行されたものの文庫版。

 「社員稼業」という言葉には、会社に勤める従業員は、ひとりひとりが独立した社員稼業の店主である、という意味が込められている。

  • 今日に生きるみなさんは、非常に幸せだと思います。自分の好む仕事を求めやすい時代です。(41頁)
  • 不平はよそで言わず社内でいう。社長にいう。よそへ行ったら、「私の会社は非常に努力させてもらいます。悪いところもあるかもしれないけれども、みんな頑張ってお役に立つような仕事をしようといっております。一生懸命やらせてもらうよう申し合わせております」というようにいってください。(86頁)
  • 私は家庭電気器具をつくって普及し、今日、日本の婦人は遊ぶ時間もできた。楽しむ時間もできた。これは婦人開放じゃないか。そしてら(ソ連副首相の)ミコヤン氏は私の手をぐっとにぎって、おまえは資本家だけれど偉いぞといった。(190頁)

 

9

松下幸之助発言集ベストセレクション第一巻

商売は真剣勝負

松下幸之助

PHP文庫

文庫版初版
1996年3月15日

 松下幸之助発言集ベストセレクション全10巻の第1巻。昭和35年から38年に行われた講演が収録されている。

 本書を読むと、松下さんの経営理念、人生観のほかに、その当時の時代背景もうかがい知ることができる。昭和30年代後半は、人手不足の時代であり、それを解消するには日本の人口が1億5000万人必要だ、などと言われていたようだ。

 松下さんは、ヒトラーの成功と失敗について繰り返し語られている。

 松下さんは経営に臨んで、「素直な気持ちになる」「水道哲学」という理念を幾度も述べておられるが、それらよりも本書の題名になっている「商売は真剣勝負」という言葉こそ、松下さんの経営理念と最も近いのではないだろうか。「斬ったり斬られたりはありえない。一度斬られたら終わり。」という気持ちをいつも持って商売に取り組んでいたと考えれば、ややあくどいやり方をされたことも納得ができる。

  • 薄利多売に断固反対する。(26頁)
  • 水害でも火事でも、被害を受けた町は十年後例外なしに発展している。(72頁)
  • 一円で買うたものを九十銭で売ることをだれも要求していない。お得意先は、一円で買うたものは一円二十銭で売るということをみんな承知してくれる。(136頁)

 

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