読書録 永井隆雄 ホーム

No. 題名

感想

1

優秀な部下が辞表を持ってきた時

豊田雅司、永井隆雄

中経出版
初版2001年10月8日

 

 本書は、部下が上司に「辞表を持ってくる」ということに焦点を当てて、部下が辞めないようにするには、どうすればよいかを考えたもの。

 「辞表提出」が本書のテーマになっているますが、「組織の中での人間関係全般について書かれた本」という印象を読み終わって受けました。管理職の方だけでなく、何がしかの組織に属する全ての人々にお勧めできる本です。

■(辞表を持ってきた)部下の言い分、聴き方の九つのポイント
 1 相手の言葉を途中でさえぎらない
 2 余計な解釈を加えない
 3 相手と違う表現に言い換えしない
 4 不明な点はタイミングに注意して確認する
 5 徹底的に聞く
 6 威圧的にならない
 7 自尊心を尊重する
 8 共感的に聴く
 9 肯定的に受け止め、頭ごなしに否定しない

■辞めていく部下のパターン
 ・青い鳥シンドローム
  (いつまでも理想を追い求める)
 ・責任感の強すぎる人
  (自分で全てを背負い込む)
 ・自分に前向きすぎる人
  (自分だけが空回りをしているが、それに気づかない)

■すぐ使える九つのコーチング
 1 シャッターを上げる(相手の心を開く)
 2 相手の話の全体イメージを共有化する
 3 答えられる質問を投げかける
 4 必要に応じて沈黙し考える時間を与える
 5 同じ言葉を繰り返す
 6 未来を魅力的にする
 7 距離を置いて見る
 8 切り口を与える
 9 褒め続ける

  • 企業の中で、自分の役割を見い出し、その役割を果たせば大きな喜びを感じます。上司と部下の関係も、この部分に回帰するのです。(59頁)
  • 人材確保のための手法としてメンタリングが、近年、アメリカで注目されています。(途中略) メンタリングとは、1対1の関係で半年なり1年間、一種の師弟関係で指導を行うものです。(61頁)
  • 部下に対して、事あるごとに意見やアドバイスを求めてみるのもいい方法でしょう。そうすれば、部下は自分が期待されていると思い、内心で意欲を持つものです。(63頁)
  • ビッグバンに端を発し、カオスからコスモスへの変革を自己の変遷としてドラマチックに体験したい、演じたい、そのような潜在意識を大なり小なり持ち合わせている若者にとっては、なごやかな雰囲気を醸し出しながらも、強力なリーダーシップを執って、革新・改革を推し進めていき、ときとして厳しい態度で、ときとして戸惑いを解消してくれる寛容性の高い上司こそが自分たちが「なびける」上司なのです。(149頁)
  • 日本労働機構の調査によると、転職コストは500万円とも1000万円とも言われています。リスクのある新天地に行って良いことばかりとも限らず、そのリスクは常に転職者が負うのです。(188頁)
2

人事コンサルタントが書いた転職心理作戦

永井隆雄

オーエス出版
初版2002年3月15日

 著者の永井隆雄氏は、この先きっと大注目される人事コンサルタントに違いない。

 『転職心理作戦』というタイトルですが、転職に関した本というより、自らをキャリアアップするための本、という印象を受けました。キャリアアップを目指す多くの人にお薦めしたい本です。

■転職新人の心得
1革新するよりも融和せよ
2よき聞き手にまわれ
3会社独自のルールにアンテナを張れ
4話題は振るな、振られてから慎重に答えよ
5フィードバックを進んで求めよう

  • 一流企業志向の強かった大学生が、あえてベンチャーに就職するようなことも珍しくなくなった。きちんとした人材育成のシステムもないベンチャーが、新卒者にとってバラ色のフィールドなのか、大いに疑問であるが、新しい状況である。(11頁)
  • マネジメントの世界では戦略という言葉が頻繁に使われるが、端的にはSWOT分析である。すなわち、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析し、強みを生かし弱みを攻められないようにし、機会に乗じて脅威を避ける展開をしていく。(18頁)
  • いつからであっても遅くないので、キャリアプランを練り直し、キャリアを高位均衡させるという発想を持ち、そのための取り組みを始めないと、たちまち行き場がなくなってしまう時代になってきている。(73頁)
  • キャリアで成功する人は、自分自身が中心になって努力し続ける人である。スキルを磨き、知識を増やすことに余念がないし、向上心が旺盛である。他に努力する事柄がないものかと探し続けるくらいの気持ちを持っているものだ。誰かにあやかり、ぶら下がろうとする人は、成功しないし、成功しても長くは続かない。(95頁)
  • 欧米では、ハッピーリタイアメントといい、成功して財をなすと早めにリタイアすること夢見る人も多い。しかし、この点は日本の場合、成功したポジションに居座ろうとする傾向が強い。(96頁)
  • 職務を成功させるのは、経験でもなく、知識でもないということが共通認識になりつつある。サービスの品質を高く保とうとすることや、チェックをかけようと徹底確認すること、あるいは対人的な感受性を踏まえた効果的なチームワークなのである。(105頁)
  • 今もなお、中小零細企業は、多くがトップとその取り巻きの古参社員が井の中の蛙と化し、自画自賛や身内どうしのご機嫌取りで白雪姫に出てくる魔女のような問答をとめどもなく繰り返しているのが組織の現実である。そこでうまく立ち回ることもある程度は必要になってくる。(179頁)
3

同僚と10倍差がつく職場の心理学

永井隆雄編著

総合法令
初版2002年6月6日

 組織人事コンサルタント永井隆雄氏の著書。書店で売られる本では三冊目となる。

 「ディレーラー」と「モラルハラスメント」という言葉は、永井隆雄氏の著書や記事をきっかけに、メジャーになるような気がします。

■職場におけるいじめのカテゴリー(ホーン・スタイン)(30頁)
(1)うそをつく
 部下に正確な情報を与えなかったり、わざと部下が混乱する命令を出す。
(2)拘束する
 職場以外における部下の「活動範囲」を規制する。
(3)脅迫する
 上司の意に添わないとき、会社の規定にない懲罰を加えると脅す。
(4)利己的に振舞う
 問題が起きると部下のせいにし、自分を守ろうとする。
(5)不公平な処遇を与える
 仕事関係ない基準で不公平な処遇をする。
(6)残酷な行為をする
 公の場で屈辱を与えたり、個人的な攻撃でや中傷で部下の自尊心を故意に傷つける。
(7)悪意に満ちた配慮のなさを見せる
 部下の生活にはなはだしいまでの配慮のなさを見せる。
(8)公私にわたって奴隷扱いする
 主人と奴隷の関係のように、公私にわたり、無理な要求をする。

■47歳
 人間が生涯のうち最もお金を使う時期は47歳。47歳人口が増えれば、経済はある程度活性化するはず。しかし、その47歳人口は2009年まで減少を続け、さらに、その年齢層は雇用、賃金、年金の不安を抱えている。

■コーチング
 もともとコーチングとは、スポーツの世界で発達してきた考え方で、選手とコーチのような関係で組織内の支援活動を行なうものをいうようである。(216頁)

■メンタリング
 メンタリングとは、部下が変わる前に上司が変わる相互啓発的コミュニケーションの技術だといわれている。
 メンタリングの由来は、トロイア戦争後のオデュッセウス王の流浪を歌ったホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場するメントールの名前にある。(228頁)

  • ホーン・スタインは、些細なことをきっかけに相手の人格を非難し攻撃するのはその人物が内心にコンプレックスを抱えているからだと指摘する。(28頁)
  • よく組織内に人材を投入すると、自然発生的に2:6:2で人材が階層化し、2割が何となくリードするようになり、6割が中間層を形成し、残りの2割がおどおどしてぶら下がりになるという。(75頁)
  • 上司の人事考課の項目の中に「正しい人事考課ができる」という項目を設け、そのウエイトを高くすれば本気で人事考課に取り組むかもしれない。(139頁)
4

最強の「営業チーム」づくり

永井隆雄

ぱる出版
初版2002年7月10日

 組織人事コンサルタントでご活躍中の永井隆雄さんの著書。

 営業部門の心理的負担というのは、私のような技術部門の人間では想像つかないほど大きいらしい。

第1章 売れない時代に売るにはどうするか

第2章 できる営業マンのコンピテンシー

  • 人事評価マニュアルを作ったくらいで、パフォーマンスが画期的に上がることなど今までもなかったし、今後もありえない。(34頁)
  • 市場においては、自己の利益を求めるだけではなく、相手を騙す・脅かすなどの策略を用いることを「戦略的相互行為」といい、それは取引コストを高める。(ウイリアムソン 56頁)
  • いわく、「日本の組織は、市場原理が浸透していないからダメだ。だから、市場原理を取り入れ、内部競争を激化することが望ましい」という。これはウイリアムソンに従えば、頓珍漢な議論だということになるかもしれない。(57頁)

第3章 営業マンをやる気にさせる報酬戦略

  • (報酬決定について)部門実績を処遇に反映することはやめ、あくまでも職務行動の品質やプロセスを重視した評価をすべきだと提唱している。部門の実績など参考程度でよく、実績を導くのに必要な成果行動や業務プロセスを見つめた評価で処遇すべきだといつも強調している。(87頁)
  • 成果主義を唱える会社は、先行きの見通しが悪く、現下の人件費をのっけから下げたい場合がほとんどである。(88頁)

第4章 最強のチーム作りの決め手になるものは?

  • しばしば人事コンサルタントと称する人たちは、全体の目標を各部門へ、そして各担当へとブレークダウンするというが、徹底的に落とし込んだところで部門的達成(部門としての達成)が全体の組織目標の実現にならないことが少なくなく、どうしても不満を残す結果になっている。(103頁)
  • もはや組織への盲目的追随を責任もって推奨することは難しくなっている。ドラッカーは、組織へのロイヤリティではなく、職務へのロイヤリティを持つべきだと職業倫理の変遷を予言したが、いまや陳腐化著しい職務さえもコミットするには薄氷である。(108頁)

第5章 チーム営業と上司の問題点を考える

  • モラル・ハラスメントの加害者は、自分の勝ちか負けかをいつも考えている。(164頁)
  • 周りの人間は、その(モラル・ハラスメントの上司の)思考パターンには一定のルールはなく、予測がつかないように感じる。しかし、予測がつかないルールを強制される。(166頁)

第6章 人事評価制度はこう活かす

 バランスト・スコアカード(BSC)の4つの視点
  (1)財務的指標の視点
  (2)顧客の視点
  (3)社内プロセスの視点
  (4)学習と成長の視点

第7章 チームを強化する組織変革のすすめ方

 

ホーム