読書録 日本経済新聞社編

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題名
初版発行日

感想
・印象的な内容(一部要約したものあり)

1

京阪バレー

日本経済新聞社編

日本経済新聞社
初版1999年9月20日

 不況の中、躍進を続ける京都大阪の企業を取り上げた本。京セラと日本電産については、それぞれ稲盛さんと永守さんの本を読んでいたのである程度知っていたが、ローム、村田製作所、日東電工、任天堂、キーエンスについては、その華々しい業績しか知らなかったので、本書を読み、それらの企業の中身を知ることができた。関西の企業なので社長も関西人ということで、社長の言葉が関西弁のまま掲載されており、現実感があった。

 ロームのIC製造は、前工程はカネの力で大手と同じ土俵に上がり、得意の後工程で白星を重ねる、という戦略をとっている。

 日本電産の永守社長の倍と半分の法則:競争相手の二倍働き、半分の納期にせよ。

 京セラの稲盛さんは、業務量に見合った人数以上で仕事に当たらせない。石油危機で仕事量が減ったとき、余った人を掃除などにまわした。半減した仕事に同じ人数で取り組むと、生産性が低下し、受注回復しても低下した生産性がなかなか回復しない、と懸念したため。

 村田製作所のマトリックス経営:グループ内の製品別・工程別などの経営管理単位をできる限り、細分化し、それぞれ独立採算の収益管理をすること。
 名誉会長村田昭氏は人物評価の時「鈍くさい人材の方がいい。才気走って俺が俺がというのはいかん」と周囲に漏らすことがあるそうだ。

 キーエンスは給料高いなー。

2

いやでもわかる株式

日本経済新聞社編

新潮文庫

 上場を目指す会社社長と、さあ株を買ってみるかというサラリーマンを主人公に、株についてやさしく解説した本。はしがきに述べてあるようにこの本は株式投資の入門書ではないのだが、基本的知識はいやでも得ることができる。何気なく聞いていた言葉の正式な定義が書いてあり、勉強になった。

  • (配当金について)日本では配当を額面に対する割合で考える企業が多く、これが日本企業の配当率の低さにつながっている。(27頁)
  • 店頭公開というのは、証券業界の全国組織である日本証券業協会が管理している市場に会社を登録することで、株式は上場の場合のように証券取引所で売買されるのではなく、証券会社の店頭で取引される。(38頁)

 

3

いやでもわかる金融

日本経済新聞社編

新潮文庫

 「いやでもわかる株式」に続いて読んでみた。

 1章、2章は為替と国債について書いてあり、エコノ探偵団風の書き方で、物語としても面白かった。それが終わりの章になると、個人の主張が多くなって、金融のしくみを理解するには難しくなってきた。何人かの人たちの共著なのだが、易しく書ける人もいれば難しくしか書けない人もいたようだ。

4

いやでもわかる経営

日本経済新聞社編

新潮文庫

 ワールド電機という架空の会社をモデルに経営について分かり易く説明した本。人事、社会貢献、研究開発など企業が取り組む課題について、それぞれ日経新聞社の専門化が執筆している。

 1992年に出版されたものなので、不況ということに全く触れてなかった。これからは人手不足になるのでどううやって人を集めようか、など景気のいい話が書いてあった。特に、中高年が1ヶ月のリフレッシュ休暇を取る場面があるが、今そんなことやったらどうなることやら。経営書というものの多くは10年を経たずに古くなってしまうのだろう。

5 いやでもわかる経済学

日本経済新聞社編

新潮文庫

 数式などを使わずに、やさしく経済学を説明してあるそうなのだが、結構難しい、というより表が多すぎて、読みにくかった。

 1991年に出版されたものなので、現在とは合わなくなった話もあった。この先人手不足になるのは確実で、、、などと書いてあると、何やら可笑しくなってくる。人手不足なので、企業が就職活動の時期を早めている、と書いてあるのだが、今となっては、就職先がないので、学生が就職活動の時期を早めてしまっている。学部3年で就職が決まってしまうので、研究室配属後は、研究に打ち込める。就職協定など必要ない。

6

現代経済学の巨人たち

日本経済新聞社編

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2001年4月1日

 1994年に出版されたものの文庫版。

 ケインズ、シュンペーター、ハイエクなど20世紀を代表する経済学者について、竹中平蔵、佐和隆光、中谷巌など日本を代表する経済学者が解説を書いている。初出は日経新聞の「やさしい経済学」なので、内容もやさしく書く努力をされていると思われる。

 シュンペーターについては、竹中氏が書いておられるが、やはり「起業家精神」「創造的破壊」という言葉には、最近の若者としては、ぐっとくるものがある。何かしなければと思う。

 物理学の相転移論で出てくるような「自主的秩序」や「自己組織的構造」という考えを、ハイエクもいち早く経済学の分野で取り入れていたとは。

 経済学と物理学をはじめ、数学、科学、コンピューターサイエンス、などに多大な業績を残したフォン・ノイマンは、電話帳をさっと眺めて番号の総和が言えた。

  • われわれが何か積極的なことをするのは、期待収益を計算した結果というよりは、やむにやまれぬ衝動としてのアニマルスピリッツによるのである。 (ケインズ 24頁)
  • 不断に旧きものを破壊し新しきものを創造して、たえず内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異−この創造的破壊の過程こそ、資本主義についての本質的事実である。(シュンペーター 35頁)
7

経済学をつくった巨人たち 先駆者の理論・時代・思想

日本経済新聞社編

日経ビジネス人文庫
文庫版初版
2001年7月1日

 『現代経済学の巨人たち』(日経ビジネス人文庫)の姉妹書。マルクス、アダム・スミスなどが取り上げられている。

 景気循環の太陽黒点説をウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(1835−1882)という学者が唱えていたとは驚いた。太陽風を伴う太陽の黒点運動が、人間の経済活動に与える影響というのは、生命科学の研究課題として、何年か後に浮上するのではないだろうか。真面目な話として。

 現在の日本の状況は、アーヴィング・フィッシャー(1867−1947)のテッド・デフレーション理論に最もあっている。

  • シュンペーターによると、『国富論』は「これまで公刊された書籍の中でもっとも成功した科学書である」と言う。(27頁)
  • スミス以来の経済学の基本的な考え方は消費者主権である。(33頁)
  • リカードは、国際分業の原理として比較生産費(比較優位)説を確立した。(48頁)
  • 古典学派によれば、貨幣賃金の引き下げは物価を下落させ、実質貨幣量の増加によって貨幣利子率が低下し、投資を刺激し、雇用量を増大させると説いた。しかしケインズは流動性トラップ(利子率の最低限度)がある時は、実質貨幣量が増加しても利子率は低下せず、貨幣賃金を引き下げても雇用量は増加しないことを論証した。(61頁)
  • これに対し、貨幣賃金の低下が物価下落をもたらせば、その結果、実質賃金残高が増加→貯蓄意欲の減退→消費支出増大となる(これをピグー効果と呼ぶ)。かくて賃金や物価が下方伸縮的なら、ケインズ政策をとらなくても完全雇用になる、と主張した。(62頁)
  • しかし、ピグー自身は『雇用と均衡』で自らの主張を修正し、ピグー効果は理論的演習にすぎないと弁明している。(62頁)
  • 物価の下落は有効需要に負の影響を与える可能性が高い。これがフィッシャーのデット・デフレーション理論である。(187頁)

 

 

 

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