読書録 大前研一…元マッキンゼー日本支社長

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題名
初版発行日

感想

・印象的な内容(一部要約したものあり)

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日本の真実

大前研一

小学館
初版2004年7月20日

 大前研一氏は、日本の真実について述べた本。

■社会党の主力は自治労や日教組、民社党の主力は自動車総連、ゼンセン同盟などだった。ところが社会党と民社党が民主党の中の一派閥、それも主力ではない弱小派閥になったことによって、その応援勢力である騒動組合も影響力を喪失してしまった。(18頁)

■日本の幼児国家化を助長しているのは、朝日新聞的戦後民主主義である。(78頁)

■中国の歴史から見れば、日本の侵略はかすり傷みたいなものである。たとえば、南京大虐殺がまるで史上最悪の犯罪であるかのように言われているが、歴史認識を正しく持って中国共産党が自国民をどれだけ殺してきたかのか、毛沢東が何をしてきたのかを考えれば、中国政府は日本に謝罪を求めるより先に、まず自国民に謝罪すべきではないか。(95頁)

■政府・日銀は円高ドル安になると、必ず円売り介入してドルを買う。本来、ドルの買い手がいないはずの水準までドル安が進んでも、政府・日銀だけは円を売ってドルを買う。だから、いつまでも円高になってしまう。(202頁)
■ただし、この為替問題には後日談がある。2004年春以降、日本政府の過剰介入を非難されて、今まで円高阻止のドル買い一辺倒だったのが、4月からは円買いに大きく転換しはじめた。(204頁)

■年金と生活保護は分けて考えなくてはならない。(245頁)

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質問する力

大前研一

文藝春秋
初版2003年3月1日

 質問する力(Inquisitive mind)があれば、危機は未然に防ぐことはできる。人の話を鵜呑みにしていては駄目だ。
 特に、1993年の住宅金融公庫「ゆとり返済」に乗っかってしまった700万人の人々に質問する力があれば、その後の不動産下落も予想できたはずである、とのこと。

 1985年のWindows1.0発売以降がアフターゲイツ、それ以前はビフォーゲイツと区別する、という大前さんの考えは他の著書でも読んで、訳分からんと思っていたが、いまだに主張しておられるとは。時々、変なことにこだわるから、共感者が少なくなってしまうんでしょうね。

 大前さんは高速道路建設賛成派なのだが、持論のプレート課税というのは、とてもいいと思う。ETCも料金自動払いではなく、安全運転に特化したシステムにするべきだと、私も思う。
・道路公団を民営化ではなく、直ちに廃止
・高速道路を国道ゼロ号線として、今後の建設は政府が国費で行う
・道路公団の借金40兆円は、プレート課税で返済する
 自家用車1万円、タクシー10万円、トラックとバスは30万円で、これらを13年間払う。

■デルの経営手法(46頁)
 CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を融合したものと言われている。

■長期低落の始まり(64頁)
 日本は、かつてのポルトガルやスペインがそうであったように、世界の中で除々に地位を下げてゆく、長期低落過程に入っています。

■ピーター・ドラッカーではありませんが、収益とは将来の成長に対する投資の糧です。(65頁)

■新生銀行(77頁)
 リップルウッドは長銀を10億円で買い、その後約1000億円の資本増強をしたが、上場するときには、株価は大幅に値上がりしているだろう。
 なにしろ、アメリカの厳しい会計基準で不良債権が全て洗い出され、問題のある債権は瑕疵担保条項を使って政府に買わせている。つまり、今度こそ完全に身ぎれいになった。

■あおぞら銀行(80頁)
 ソフトバンク、オリックス、東京海上火災のあおぞら銀行(旧日債銀)は、リップルウッドのようなことができずに、動きが取れなくなった。日銀出身の頭取も就任間もなく自殺してしまった。

■年金債務は800兆円、国債と地方債で約700兆円の負債。ふたつあわせて1500〜1600兆円。下手すると1900兆円ぐらいになる。(86頁)

■ムーディーズの国債格付け(91頁)
 ムーディーズが日本国債の格付けを下げ続けるのは、責任ある格付け機関としては、むしろ当然。実際政府がいかなる方法で国債を返済しようとしているのか、私には全く見当もつきません。

■日本経済を良くしようと考えたときに、不良債権を処理することは決して優先事項ではありません。そんなものは放っておいて、潰れる銀行には潰れてもらい、債権者として話し合って法的に決められた通りに負債を負担すればいいのです。(100頁)

■小泉さんは、大蔵官僚出身の福田赳夫氏の秘書として政治家のキャリアを始めた銀行族です。銀行にとっては、郵貯は邪魔な競争相手です。(132頁)

■国債価格(135頁)
 国債は世の中の金利が上がったり、国債の信用が落ちたりすれば価格が下がるのです。以前にも78年に発行された「ロクイチ国債」という表面利率6.1%の国債の2割も暴落して、大騒ぎになったことがあります。

■経団連の奥田さんの「消費税を毎年1%ずつ上げろ」について(241頁)
 コストダウンのトヨタ会長に期待するのは、日本政府の無駄遣いの大幅削減。

■駄目な経営者(251頁)
 問題点を羅列し、それを逆さまにして解決策と称する傾向がある。

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中華連邦 台湾から明日の中国が見える

大前研一

PHP研究所
初版2002年11月20日

 本書は、『チャイナ・インパクト』(講談社)、『中国シフト』(小学館)に続く中国三部作の第三弾。

 The Emergence of The United States of Chunghwaというのが英語のタイトル。

 『チャイナ・インパクト』を発刊して依頼、幾人かの政治家や財界人が、大前さんの意見に耳を傾けて来るようになった、とのこと。中国は「地域国家」になる、日本は「道州制」にした方がよい、という考えは、日本人のなかにも浸透していくのではないでしょうか。

 個人的には、東京一極の中央集権体制から、地方分権の「道州制」になって欲しいと思っていますし、近年、元気のいい地方知事が増えているので、そういう方向に確実に進んでいるのでは、と思っています。

  • 私自身は、日本が経済的に中国に負けるとは思っていないし、歴史的に見て危機感をもち、共通の目標を掲げた日本人が強いことも承知している。ただ、このまま対策を講じなければ、日本経済が回復の機会を失うことも間違いないない。(15頁)
  • 戦後の日本人は個々の能力は高くても、全体としてまとまったときの決断が鈍い。(16頁)
  • アメリカ人やシンガポール人は一人ひとりの平均的な能力では必ずしもそれほどすぐれているとは思えないが、組織として国家としてまとまったときの決断は大胆で正確だ。(16頁)
  • 『中国シフト』でも指摘したように、国内の空洞化を懸念する意見もあるが、私はそうは思わない。「日本より空洞化が二倍以上も進んでいるイギリスやドイツやアメリカなどの経験を見ても、輸入品が増えたことで国力が衰えた国はない」のだから。(22頁)
  • アメリカの防衛産業にとっては、予算獲得のためには、仮想敵国としての大国・中国の存在がとても重要なのだ。(88頁)
  • 中国軍は、軍隊というよりはむしろ政商という感じで、武器を売るためにイデオロギーをうまく利用しているのが実情だ。(99頁)
  • 日本では、「均衡ある国土の発展」などという言葉がよく使われるが、中国の場合には、均衡はあまり重視されていない。(128頁)
  • 商品価格のうち、製造業が占める割合はわずか3割。つまり製造コストは商品代の30%にしかすぎず、残り70%は広告費やブランド料、それにデザイン料や研究開発費などの専門的なサービスが占めている。(196頁)
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ビジネス・ウエポン

大前研一

小学館
初版2002年12月20日

  『サラリーマン・サバイバル』シリーズの第4弾。

■株を持っている人
 日本の場合、株を持っているのは、銀行、生保、外国人の機関投資家。個人金融資産に占める株の割合は5%に過ぎない。(24頁)

■21世紀のサラリーマンの三種の神器(54頁)
 英語、IT、財務

■問題解決法(68頁〜
 大前研一さんの問題解決法は下記のようになる;
(1)事実に基づいて質問し、問題を狭めていく左脳のロジカルシンキングから始める。
(2)戦略的自由度のプロセスで右脳側に開放し、直観や想像力で幅広く答えの可能性を見つけていく。
(3)そこから出てきたものを再び事実に基づいて検証・評価し利害、実行可能性、適任者について検討して答えの幅を狭め、最終的に一つの案にまとめる。
(4)行動計画を立て、人員を配置し、予算を計上して実行段階に入る。このプロセスでは、その気にならない人をその気にさせるための説得や交渉が必要になる。いわゆるEQである。

■ソニーは技術を抱え込みたがる(197頁)
 ソニーはベータの技術を抱え込んでしまったがために、VHSに敗れた。PS2も同じ戦略とのこと。

■高速道路をどうするか
 高速道路をただちに廃止し「国道0号線」として道路関係予算のなかですべてやってしまう。そして借金部分には「ナンバープレート課金」する。(202頁)

■デジタルテレビが流行らない理由(217頁)
 誰がリモコンであれこれ付帯情報を見るだろうか?

  • 銀行は経済の血管だというが、日本の銀行はこの10年間、血液の循環機能を全く果たしていない。それでも日本経済が破綻していないといういうことは、銀行が潰れても何の影響もない、ということである。(23頁)
  • 前例のない問題を解決するためにはロジカル・シンキングだけでなく、問題解決法の全プロセスを身につけなければならない。(68頁)
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サラリーマンIT道場

大前研一

小学館
初版2002年3月20日

 『サラリーマンサバイバル』、『サラリーマンリカバリー』に続くサラリーマンシリーズの第3弾。

 一冊読むだけで、とても勉強になる。

■ケータイ不況が進行中(46頁)
 可処分所得のうち携帯電話代に使われる割合が増えたため、他の消費が抑制され、それが不況の原因になっている。無駄話よりも楽しいことが増えるか、あるいは昔からの電話に戻れば、不況という問題は解決されるとのこと。

■骨太の方針で示された7つの改革プログラム
 (1)民営化と規制改革
 (2)チャレンジャー支援
 (3)保険機能強化
 (4)知的資産倍増
 (5)生活維新
 (6)地方の自立と活性化
 (7)財政改革

■デフレの定義
 森政権は2年続けて物価が下がったからデフレである、といったが、デフレの場合はGDPも縮小しなければならない。しかし、森政権のころは、GDPは縮小していなかった。物価が下がるだけの場合は経済学では「ディスインフレ」と言う。

■インフレ
 もともとボーダレス経済では、先進国はインフレになりにくい。世界から安くて良いものが自由に入ってくるので。

  • 日本はITを核としたネットワーク社会への対応が遅れている。工業化社会は1億2000万人の日本人を食べさせるのに十分な力を持ったが、ネットワーク社会において1億2000万人をどうやって食べさせていうのか、という問題については、まだ答えが見つかっていない。(14頁)
  • 日本では、ケインジアンを自称する宮沢喜一大蔵大臣(当時)がその教えであるところの「有効需要の創出」を税金の垂れ流しで行ない、借金の山を子孫に残すことになった。(26頁)
  • あと数年すれば日本はブロードバンドでも世界一になるのは間違いない。問題は、それで何をやるかだ。(151頁)
  • 小泉首相のメールマガジンは何億円もかけたらしいが、みんなが見たのは1回目だけである。(167頁)
  • コンピュータを中学校から教えているところの教科書ではデジタルとは何か、などというしち面倒くさいところから入って、コンピュータ嫌いを量産している。(192頁)
  • IBMやワングは顧客の意見に耳を傾けて成功したわけですが、成功した途端に耳を貸さなくなりました。(シスコCEOジョン・チェンバース 227頁)
  • 最近よく「One-to-One」という言葉を耳にするが、それを自社の製品名に使用できるのはブロードビジョンだけである。1993年にドン・ペパーズ氏とマーサ・ロジャース氏が書いたベストセラー『The One to One Future』。そのコンセプトをコンピュータの世界で実現しようと考えたブロードビジョンの創業者ピーフォン・チェン氏がペパーズ氏に会い、「One-To-One」という言葉を自社製品の登録商標として使う承諾を得たからである。(254頁)
  • もてはやされていた渋谷系の経営者は勉強が足りない。(304頁)
  • ただ、先に経営の勉強をしすぎると、今度は破壊力や崖から飛び降りる勇気がなくなってしまうので、ある程度は両方のバランスを取ることも必要になってくる。(305頁)
  • もし、あなたが自分は破壊力のある人間ではないと自認しているなら、まず経営の勉強をして、”経営のプロ”になることをお勧めする。この先独立して起業する場合はもちろん、会社勤めを続ける場合でも、人の上に立つ時やプロジェクトを動かす時には、必ずそれが役に立つからである。(305頁)

8

一人勝ちの経済学

大前研一

光文社
初版1999年8月30日

 月刊宝石に連載していたものをまとめた本。
 一人勝ちをキーワードに、東京三菱銀行、郵貯、アメリカ、ビル・ゲイツ、ジョージ・ソロスなどについて、評論されている。
 ビル・ゲイツについては、べた誉め。彼の著書「思考スピードの経営」こそ最高の経営書である、というようなことが書いてある。
 預貯金が東京三菱と郵貯に集まっていることへの警鐘も。東京三菱銀行は、他の銀行に比べれば体力が残っているが、それでもこの先の氷河期を乗り越えるのは難しい。郵貯はペイオフの対象にならないから、お金が返ってこない可能性もある。このように書かれていると、結局のところ、リスクがあることに変わりないのなら、直接投資をもっと考えるべきだなと思ってしまう。今の僕にはそんなお金ないけど、心の準備はしておこう。
 最近、中国に対するアメリカの態度が冷たくなったのは、中国には思ったほど、ドルがないことが分かってきたからだそうだ。
 大前さんは、その歴史観についても、私は歴史の専門家ではないがと断りながら、本書で披露されている。徳川家康を日本を救った人物として取り上げている。封建社会を作った家康を大前さんが評価していることは意外だった。

7

21世紀維新 栄える国と人のかたち

大前研一

文春新書
初版1999年10月20日

 大前研一が来たるべき21世紀維新についた述べた本。単なる経営コンサルタントではなく、日本はこう変わるべきだ、というような国家的思考を持っておられる。「経営コンサルタント」改め「国際政治学者」と呼ぶべきか。

 精神的にも物質的にも荒廃している日本を、維新によって何か新しいものを生み出す社会にしなければならない。そこには、特定のモデルなどなく、ゼロから作り上げていかなくてはならない。21世紀社会の本質は、サイバースペースとリアルスペースが共存する社会であり、それは、ハイゼンベルクの不確定性原理の世界に酷似している。
 ヨーロッパについて多くのページが割かれている。1999年1月に始動したユーロがイマイチなのは、それはアメリカに警戒されないための、作戦であり、ユーロ本格導入となる2002年7月にヨーロッパは勝負に出る。
 ユーゴ空爆について、宣戦布告なしに行われ正当化するのであれば、真珠湾攻撃をした日本についても名誉を回復し欲しい、という趣旨のことが書いてあったが、まさに同感だ。

  • (サイバースペースでは)ハイテクだけれどもハイタッチ…この相矛盾する両面を持ち合わせた会社でなければ成功しない。(12頁)
  • ユーロの場合、ドイツが「ノブレス・オブリージュ」(高い身分に伴う道徳上の義務)により犠牲となって貢献している。日本にアジア共通通貨「アセア」誕生のためにそれを発揮する覚悟があるだろうか。(87頁)
  • 「坂の上の雲」を見上げつつ工業化社会へと突き進んだ明治人たち。あのインセンティブとエネルギーは、一体どこに消えてしまったのか。(173頁)
  • 日本のように大会社のトップらを集めて産業競争力会議などと称するものをやる国は、まったく救いがたい。(185頁)

 

6

変わる世界 変われ日本

大前研一

PHP研究所
初版1998年8月17日

 今、日本には強力なリーダーが求められている。イギリスはサッチャー首相が登場するまで、数十年間停滞してきた。日本に足りないのは強力なリーダーだけ。このようにプロローグで述べてある。

 このままでは日本はだめになってしまう。そうならないためには…、ということが書いてある。
 アメリカについて本書ではやた批判的になっている。今までの大前さんからは想像できない。

5

時代の交代 世代の交代

大前研一

PHP研究所
初版1997年11月4日

 ビッグバン、税制問題、さらに政治問題まで述べてある。

 この本で初めて知ったのだが、大前さんが昔から主張されてきた「所得税一律10%」という考えには、共感できた。また、フロー(所得)ではなく、ストック(資産)にもっと課税することも提案されている。

4

もう騙されないぞ

大前研一

青春出版社
初版1997年6月25日

 夕刊フジ、週刊朝日に連載されていたものをまとめたもの。時事問題を大前さんが解説している。

3

サラリーマン・サバイバル

大前研一

小学館
初版1999年1月1日

 「知的ホワイトカラーを目指せ」「世界標準から見た会社の常識・非常識」「年金破綻・ビッグバン時代の資産運用」など、サラリーマンへの大前さんからの熱いメッセージ。大前さんの本でこのように熱く書かれたものは他にはないだろう。

2

サラリーマン・リカバリー

大前研一

小学館
初版2000年7月20日

 「サラリーマン・サバイバル」の続編。「会社から自分の人生を取り戻せ」と表紙に書いてある。なにもそこまで言わなくてもと思われるような内容もあったが、うつむいている人を叱咤するためには過激な内容にならざるえないだろう。

 リカバリーするために何を成すべきかが、20代、30代、40代、50代のそれぞれの世代に分けて書かれている。若いうちはある特定の分野に秀でた「T型人間」を目指せと書いてある。反対に40代はゼネラリストを目指し、苦手なところを鍛え、50代は定年後の人生を考えろと書いてある。57歳の大前研一さんも終の棲家を考えているそうだ。

 新しいことを学ぶことの重要さとともに、かつて勉強したことをもう一度あらためて学びなおすことの大切さも述べられていた。教養や人間の幅の広さを持つためには、先へ先へ進むのではなく、来た道を戻って勉強を始めるべきだとある。

  • 1945年の太平洋戦争の敗戦から55年たった2000年、日本政府や多くの大企業は「見えない大陸争奪戦」の前半戦で再び敗北した。しかし、敗戦後だからこそ、自立した個人が何事かを成す絶好の好機なのである。(9頁)
  • 日本において、そうしたレールから外れることを恐れる心配はまったくない。失業保険の支給額は世界一だし、職業訓練校もいろいろなプログラムが用意されていて、そこに通えば費用の八割は国が出してくれる。(20頁)
  • 日本では、大学で経済学や財政学を教えている先生でさえ財務の力がない。みんな利息が0.3%しかつかない銀行や郵便局にお金を預けている。(41頁)
  • 会社は、うっかりしていると、忙しい、忙しいで40年たってしまう不思議なところだ。(58頁)
  • 日本の場合は「30歳プラスマイナス2歳」が新しい勉強を始める適齢期なのである。(75頁)
  • これからの日本では、会社の仕事の大半がアウトソースや派遣の対象になって、ほとんどの人が一度や二度はレイオフされる。(92頁)
  • ボーダレス経済の時代には、CPA、MBA、FPあるいはSCMやEPRなどシステム開発のエキスパートといった国際的に通用する資格やアウトソースされる資格を取得するべきだろう。(127頁)
  • "サラリーマン・リカバリー三種の神器"である「コンピュータ」「外国語」「ファイナンス」は全員必修である。(148頁)
  • 大創業者を見ると、自分の人生を自分で生きるために、みんな何らかのかたちで必死に努力する時代を必ず経験している。そのがんばりは、無理なスケジュールを組み、栄養ドリンクを飲んで残業を続ける受動的ながんばりとは異質なものだ。(167頁)
  • 事実に基づいた論理的思考ほど世界中で役に立つものはない。(186頁)

 

1

Re-Boot! ゼロからの出発

大前研一+大前・アンド・アソシエーツ

PHP研究所

初版2000年12月21日

 本書は、雑誌THE21とVoiceに掲載されたものをまとめたもの。全部で五つの章からなり、
 第1章 経営 ドットコム企業の明日を読む
 第2章 情報 日本でITが進まない本当の理由
 第3章 行政 よい公共事業 悪い公共事業
 第4章 外交 戦略なき外交が日本を滅ぼす
 第5章 教育 オールクリアにしてゼロから発想せよ
という内訳になっている。

 ドットコム企業の経営者について、大前さんがその経営手法を高く評価されているのがAOLのスティーブ・ケースとシスコシテムズのジョン・チェンバース。大前さんは「早撃ちガンマン」という言葉で彼らを表現していた。AOLのスティーブ・ケースのように、光通信なども株価が高い頃に、新日鐵などの大企業を買収していれば、いまのようなことにはなっていなかったかもしれない、と大前さんは言っておられる。これは極端な意見だと思うが、機に臨んで変に応じることの難しさと、変に応じることができなかったときの怖さは、実感できる。

  • アメリカは世界中の力で繁栄しようとしているのに対し、日本は子孫から借金した税金の力で繁栄しようとしている。(16頁)
  • 日本の光通信も時価総額が最高に達した時点で、新日鐵などの大企業を買収していれば、いまのような状況には陥っていないかもしれない。(44頁)
  • シスコシテムズのCEOジョン・チェンバース氏の手法は、「経営の神様」といわれた松下幸之助氏と酷似している。実は、松下電器産業は、買収で大きく成長した企業なのである。(44頁)
  • 私はほんとうのネットワーク社会のあり方を示し、旧秩序を徹底的に破壊したい。(51頁)
  • ITという言葉が、あたかもいま出てきた言葉のように使われているが、じつは20年以上前から使われてきたものである。(54頁)
  • 吉野川の河口堰は、200年に1回あるかもしれない大洪水を問題にしている。(80頁)
  • 宮崎のシーガイアは稼働率100%でも黒字にならない。(116頁)
  • 岐阜県が地理的に日本の真ん中に位置する都市という視点も、首都に相応しいとする理由の一つであるが、歴史を調べてみても、世界中で首都が国土の真ん中に位置する国はほとんどない。(120頁)

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