読書録  Michael E. Porter  ホーム

No. 題名

感想

1

競争の戦略

マイケル・E・ポーター、土岐坤、中辻萬治、服部照夫訳

ダイヤモンド社
初版1982年10月15日

COMPETITIVE STRATEGY by Michael E. Porter 1980

 企業のとる戦略についての不朽の名著。論理構成が素晴らしい。世界最高の経営書のひとつだと、読んでみて実感する。

 ポーターが若かりし頃に書いた本なので、後の著書に見られるような、極端な主観が含まれてなく、客観的事実に即して書かれていた。

 本書が書かれた1980年ごろは、アメリカで煙警報機業界がものすごく発展していたのだろうか。やたら実例が登場してきた。

■この本の内容
(1)業界における競争の性質を決める基本原理
(2)競争業者たちのビヘイビアの形をつくる諸要因
(3)会社が効果のある競争戦略を策定するための方法

■この本の狙い
(1)経営者が自分の置かれた競争環境を正しく理解し、
(2)その環境が将来どのように変化するかを正しく予測し、
(3)強固な市場地位をもたらしてくれる競争の仕方を選ぶ
これらについて助言すること

■競争についての発見
 著者がハーバード・ビジネス・スクールで行った過去10年の研究の結果、競争のやり方は国や産業で異なることはあるが、競争および競争の基本原理はみな同じだとういうことを発見した、とのこと。

■この本の読者
 この本は、実務家、すなわち事業成績の向上に努める経営者、経営者のための助言者、経営養成学校の教師、事業の成功または失敗の原因をつかみそれを予見しようとしている証券アナリストその他の情勢観察者、あるいは独禁法関連政策をつくるために競争状態を理解しようとしている政府高官のために書かれている。(6頁)

T競争戦略のための分析方法

1 業界の構造分析法

■五つの競争要因
 (1)新規参入の脅威
 (2)代替製品の脅威
 (3)顧客の交渉力
 (4)供給業者の交渉力
 (5)競争業者間の敵対関係
というものは、業界の競争が、既存の競争業者だけの競争ではないということを示している。顧客、供給業者、代替製品、予想される新規参入業者のすべてが「競争相手」なのであって、状況によって、それらのどれが真正面に出てくるか分からない。
(20頁)

■構造分析の狙い
 経済および技術の構造に基づく業界の基本特性を発見することにある。(21頁)

■新規参入の脅威(22頁)
 参入への障壁、および既存業者が新規参入業者に対してどれくらい反撃をおこすと参入者が予想するかによって決まる。

■参入障壁(22〜30頁)
(1)規模の経済性
(2)製品差別化
(3)巨額の投資
(4)仕入先を変えるコスト
(5)流通チャネルの確保
(6)規模とは無関係なコスト面での不利
 …習熟またはエクスペリエンス曲線など
(7)政府の政策

■広告合戦(35頁)
 同業者間の価格競争は、業界全体を傷つけるが、広告合戦は、需要を拡大したり、製品差別化の水準を高めることで、同業者全ての利益につながる。

■撤退障壁(39頁)
 過剰キャパシティの状態はよくならないし、競争に負けた会社もギブアップしない。業界全体の収益率はどうしても低下する。

買い手の交渉力

売り手の交渉力

■効果的な競争戦略とは、
 五つの競争要因ごとに防衛可能な地位をつくり出すために、攻撃あるいは防御のアクションを打つことなのである。(50頁)

2 競争の基本戦略

■他社に打ち勝つための三つの基本戦略(56頁)
 
五つの競争要因に対処する場合、他社に打ち勝つための三つの基本戦略がある。
(1)コストのリーダーシップ
(2)差別化
(3)集中

3 競争業者のフレームワーク

■競争戦略とは、
 競争相手よりもすぐれている点を生かして、その価値を最大にするように事業を位置づけることである。(73頁)

■すぐれた競争分析者(73頁)
 すぐれた競争分析者は、つぎのような質問に答えられるものでなければならない。
 「この業界ではどの企業を競争相手にするべきか、その企業のどんな動きを競争の対象にするべきか」
 「その競争業者の戦略的な動きは自社にどんな影響を及ぼすか、その動きをどれくらい重視する必要があるのか」
 「自社がまともに競争すると相手が感情的になったり自暴自棄になるおそれがあるので、競争を避けたほうが望ましい分野はどこか」

■戦略策定(86頁)
 戦略策定の一つのやり方は、競争業者に脅威を及ぼすことなしに目標を達成できるような位置を市場の中に見つけ出すことである。

■成長指数(97頁)
 成長指数=資産回転率×税引利益×[負債/資産]×[負債/株式配当]×留保利益

■競争分野の選定(102頁)
 ある企業がとった行動に対し、必ず競争相手が対抗行動をとるものと仮定すると、戦略上での問題点は自社にとって最も有利な競争分野はどこかということになる。

4 マーケットシグナル

■マーケットシグナルとは、企業の意図、動機、目標、もしくは社内状況を直接、間接に示す行動のことをいう。(109頁)

5 競争の行動

■寡占状態(128頁)
 囚人のジレンマに似た状態となる。

■防御的な行動(141頁)
 最もすぐれた防御とは、戦いそのものを引き起こさないということである。

■約束
 約束を信じさせるためには、それを実行する意図のあることをはっきりと伝えなければならない。(147頁)
 なりふりかまわず約束を遂行しようとしているという感じが強ければ強いほど、相手がその企業に逆らわないようにする傾向も強くなるだろう。(148頁)

6 買い手と供給業者に対する戦略

■購買戦略(173頁)
 購買戦略を業界構造の視点から見た場合の主要な問題点はつぎのとおりである。
(1)供給業者の安定性と競争力
(2)垂直統合度の最適水準
(3)数社の有力な供給業者への発注量の配分
(4)選択した供給業者に対する強力な交渉力の行使

■仕入れ先の分散化(175頁)
 仕入先を分散させることによって、交渉力を強くする。但し、分散しすぎて、購買量が仕入先にとって無視していいくらいになると交渉力強化につながらない。

■仕入先変更コストをなくす(175頁)
 変更コストをなくすということは、技術援助を仕入先に求めたいという強い誘惑に負けないことであり、自社と仕入先の従業員との共同作業をなくすことであり、仕入先が将来の力関係の逆転をはかってコストもかえりみず自社のためだけの特注品を開発しようとするのをはばむこと、などである。

7 業界内部の構造分析

■参入障壁と移動障壁(188頁)
 参入障壁を形成している基本的な経済上の要因は、より幅広い言い方をすれば移動障壁ということになる。

8 業界の進展・変化

U 業界環境のタイプ別競争戦略

■業界環境もちがえば戦略も根本的にちがってくるが、これを浮き彫りにするには三つの面から環境をとらえるとよい。
 ・業界の集中度
 ・業界の成熟状態
 ・国際競争の影響

9 多数乱戦業界の競争戦略

■多数乱戦の原因(263〜268頁)
(1)規模の経済性、あるいはエクスペリエンス曲線がきかない
(2)高い輸送コスト
(3)在庫コストが高く、売上げの変動も大きい
(4)買い手や供給業者が強すぎて大手でも取引が有利にならない
(5)規模の不経済が致命的
(6)多様な市場ニーズ
(7)いちじるしい製品差別化、とりわけイメージによる差別化
(8)撤退障壁
(9)各地域の条例
(10)政府による企業集中の禁止
(11)新規業界

■多数の市場ニーズに標準品で対応せよ(270頁)

■川上に向かって垂直統合する。(280頁)

10 先端業界の競争戦略

■先端業界の特徴(286頁)
 競争のルールがない。

11 成熟期へ移行する業界の競争戦略

■成熟期には、一般に製造工程の革新がとりわけ重要になる。(318頁)

■成熟期に入って、買い手に知恵がつき、競争がいっそう激しくなると、利益を維持するには顧客の選び方が決め手となる。(320頁)

■成熟期の技術開発(325頁)
 新規開発や製品改良よりも、標準化へ技術開発を移すことが望ましいが、企業によっては、抵抗を受けることもある。

■分権化から再び中央集権化へ(329頁)
 成熟期に入ると、原価管理に重点をおく必要から、それまで工場単位などで分権化し、利益責任をもったプロフィット・センターをつくる方向へ進んでいた流れを、逆転させる場合も出てくる。

12 衰退産業の競争戦略

(1)リーダーシップ戦略
(2)拠点確保戦略
(3)刈り取り戦略
(4)即時撤退戦略

13 グローバル業界の競争戦略

■グローバル競争が有利になる原因(362頁)
(1)比較優位
(2)規模の経済性や習熟曲線
(3)製品差別化の利点
(4)市場情報や技術の万国共通性

■新しい市場が徐々にあらわれる(384頁)
 これまではアメリカが飛びぬけた大市場だったので、グローバル競争の勝敗を決する戦略市場とされていたが、やがて将来、中国、ソ連、おそらくインドも巨大な市場として登場することになるだろう。

■中国とソ連が自由に市場進出を許さなければ、両国の中から主な世界的企業があらわれるかもしれない。両国の市場へうまく進出できた企業には、大きな売上げ量が約束されるので、進出については戦略の重大な問題となるだろう。(384頁)

V 戦略デシジョンのタイプ

(1)垂直統合
(2)大きなキャパシティ拡大
(3)新規参入

14 垂直統合の戦略的分析

■統合するというのは、供給業者や顧客から技術情報の流れを断ち切ってしまうことである。(404頁)

15 キャパシティ拡大戦略

16 新事業への参入戦略

2

競争優位の戦略

マイケル・E・ポーター著
土岐守、中辻萬治、小野寺武夫訳

ダイヤモンド社
初版1985年12月19日

COMPETITIVE ADVANTAGE by Michael E. Porter 1985

前著『競争の戦略』以上に読み応えのある著書であった。

日本の競争優位が危ない 日本語版に寄せて

■この本は、競争優位を論じている。ますますグローバル化する市場という新しい時代に、会社が競争優位を守り、さらに創造するための方法に関して、理論的で厳密な理解への道をお教えしたいと望んでいる。(B頁)

序文

■私の前著『競争の戦略』では、業界と競争会社を分析するフレームワークを提言した。また、競争優位を確保するための三つの基本戦略−コスト・リーダーシップ、差別化、集中を述べた。この『競争優位の戦略』は、三つの基本戦略を実践する方法についての本である。(E頁)

1章 競争戦略―その中心概念

■業界の魅力度および競争的地位の両方が一つの会社で動かされることがある。このために、どんな競争戦略を選ぶかということが難しいだけではなく、わくわくする喜びともなるのである。(4頁)

■競争のルールというものは、つきつめてみると、五つの競争要因によって形成される。(1)新規参入業者の参入
(2)代替品の脅威
(3)買い手の交渉力
(4)売り手(供給業者)の交渉力
(5)現在の競争業者間の敵対関係 (7頁)

■業界で平均以上の業績を達成するための三つの基本戦略が考えられる。(1)コスト・リーダーシップ、(2)差別化、(3)集中がそれだ。集中戦略には二つのやり方―コスト集中と差別化集中がある。(16頁)

■ターゲットとしたセグメントが、それ以外のセグメントと異質でない場合には、集中戦略は成功しない。(22頁)

■集中戦略というのは、意図的に、売上量を制限しようとするものである。そこで、集中戦略に成功すると、その成功の理由を見失ってしまい、売上増という成長を狙って、集中戦略を曖昧にするのである。(24頁)

■コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略も、互いに矛盾する関係にある。差別化に成功するには、ふつう高いコストを要するからである。(25頁)

■基本戦略のどれも、別の戦略からの攻撃には弱体である。(30頁)

■競争優位を診断し、それを強化する方法を発見するための基本手段は、価値連鎖(バリュー・チェーン)である。(37頁)

T 競争優位の原理

2章 価値連鎖と競争優位

■価値連鎖という概念は、コストのビヘイビアおよび差別化の、現存または潜在の源泉を理解するために、会社を戦略的に重要な活動に分解するのである。(45頁)

■競争優位を調べるには、付加価値よりも価値連鎖を分析するほうが適切である。(51頁)

■価値連鎖に影響する競争分野の幅には、四つの次元がある
 ・セグメントの範囲…生産される製品の種類と狙う買い手の種類
 ・統合の範囲…活動が外部の独立会社によってではなく、会社の中で行われる程度
 ・地理的範囲…会社が統一戦略で戦う地域の範囲
 ・業界の範囲…会社が統一戦略で戦う関連業界の範囲 (68頁)

3章 コスト優位のつくり方

■価値活動のコストは、時間の経過とともに、習熟によって低下する。(92頁)

■習熟は、供給業者、コンサルタント、臨時社員、他社製品の分解検査などのメカニズムを通じて、一社から業界内の他社へ伝播(スピルオーバー)してゆく。(93頁)

■会社の相対的コスト地位は、つぎの二つの関数である。
 ・会社の価値連鎖の構成と競争相手のそれとの対比。
 ・個々の活動のコスト推進要因に対する会社の相対的地位。(123頁)

■コスト優位を確保するには、大きく二つの方法がある。
 ・コスト推進要因をコントロールする。
 ・価値連鎖の再編成。(125頁)

■コスト削減は、差別化を台なしにしてしまいかねない。だから、コスト削減を積極的に追求するのは、差別化に関係のない活動に限らねばならない。(126頁)

■習熟はというものは、ひとりでに発生するものではなく、経営者と従業員の努力と注意から生まれてくるのである。(127頁)

■業界によっては、後発会社にコスト優位が与えられることがある。技術が急速に変化していると後発会社が有利であり、また、先発会社の行動を観察して、安いコストで模倣することができるからである。(131頁)

■コストというものは、ひとりでにあるいは偶然に低下したりはしない。むしろ、勤勉と不断の注意の結果低下するのである。(144頁)

■コスト・リーダーシップ戦略の落とし穴
・コストという言葉を口にすると、ほとんどの管理者は本能的に製造を考える。ところが、トータル・コストのかなりの部分(けっして圧倒的部分とはいえないが)は、マーケティング、販売、サービス、技術開発、全般管理といった活動から発生している。(146頁)
・労働活動コストの削減には熱心だが、購買資材について殆ど注意を払わない会社が多い。(146頁)

4章 差別化の基本的考え方

■買い手にとって価値のある何かについて、会社が特異性を持てると、競争相手から会社は差別化したことになる。(151頁)

■買い手に対して、単に安い価格以上の価値が提供できる特異性を持つと、他社と差別化できたという。(152頁)

■差別化は普通、コストを食う。(161頁)

■買い手は、価値が現に存在しているとしても、それに気付かなかったら、その価値にカネを払いはしない。(177頁)

●差別化の落とし穴
特異性がすべて価値があるとは決まっていない
差別化のやり過ぎ
価格プレミアムが大きすぎる
シグナル価値の必要を無視する
差別化のコストに無知である
価値連鎖の全体ではなく製品だけに注意を集中する
買い手のセグメントに気付かない(201〜203頁)

5章 技術と競争優位

■技術変化は、競争を推進する有力な要因である。(207頁)

■先発者は技術その他の活動に関し規格を設定できる。追随者はこれに従わざるを得ない。(233頁)

■買い手のニーズが変化して、先発者の価値を認めなくなると、先発者は弱い。(236頁)

■技術的非連続性は競争上の地位を変化させる最大のチャンスである。技術的非連続性は既存技術に基づく先発者メリットや参入障壁を台無しにする。(244頁)

6章 競争相手の選び方

■競争業者は確かに脅威ではあるが、良い競争業者は、会社の競争的地位を弱めるよりも、むしろ強める。(249頁)

■競争業者を比較の基準にして、自社の差別化能力を強化することができる。(251頁)

■いくら強調しても過大評価にならない競争業者の役割といえば、モチベーターのそれである。健全な競争業者は、コスト削減、品質改善、技術変化への対応を刺激するモチベーションの原動力である。(255頁)

■良い競争業者は、業界を制覇したいとか、ズバ抜けた成長率を達成したいという野望を持たない。(263頁)

■競争相手を選ぶ原理は、100%のシェアを持つことが、(たとえできたとしても)最適の戦略でないことを教えてくれる。(271頁)

●競争相手を選ぶ落とし穴
会社は市場シェアが最も近い相手、あるいは戦略が似ている相手を、最大の敵とみなしやすい。他の相手を無視しても、こういう相手を繰り返し攻撃する。実際には、こういう相手は、実害のない良い競争相手であることが多い。(277頁)

■競争業者は幸福の源泉でもあれば、不幸の源泉でもある。(279頁)

U 業界内部の競争分野をどう決めるか

7章 業界細分化と競争優位

■業界を細分化するためには生産者や買い手の違いを把握するために、次に述べる四群の観察可能な細分化変数を、個別または組み合わせて使う。
・製品の品種
・買い手のタイプ
・チャネル(中間の買い手)
・買い手の地理的立地 (291頁)

■広ターゲット業者は、魅力のないセグメントも相手にせざるを得ないことがある。というのは、そのセグメントが共通価値活動の総コストを下げたり、差別化を進めたり、あるいは、構造的に魅力のあるセグメントでの地位を防衛してくれたりするからである。(317頁)

8章 代替に対する戦略

●代替の脅威は次の三大要因に左右される。
・業界の製品と代替品との相対価値、価格(RVP)
・代替品への切替コスト
・買い手の切替性向 (335頁)

■代替の脅威の変化は、代替の経済学から直接導かれるつぎの五つの分野で発生する。
・相対価格の変化
・相対価値の変化
・買い手の価値認知の変化
・切替コストの変化
・代替性向の変化 (350頁)

■総需要に対する代替品のパーセントを経時的にプロットすると、成功する代替品は、たいがいS字曲線を描く。ライフサイクル初期の製品は、他の製品を代替することが多いので、S字代替曲線はおなじみのプロダクト・ライフサイクル曲線に似ている。(357頁)

●代替予測モデル
 S字型浸透仮説に基づく各種の予測モデルは、流行伝播過程の研究から生まれた。最も良く使われる流行伝播モデルは、指数関数の一種である「ロジスティック関数」である。
 F/(1-F)=指数関数K(時間)
  但し、F=潜在市場全体のなかで、代替品に切り替わった部分
     K=初期の代替成長率をあらわす変数
ロジスティック関数は、次の二つの重要な仮説に基づいている。(1)もし代替が数%進行すれば、最後まで進行を続けるであろう。(2)ある代替品が製品を代替する速度は、まだ代替されずに残っている製品の量に比例する。 (362頁)

●代替の促進
(1)初期切替者に的を絞る
(2)RVPに最大の影響を与える分野で製品を改良する
(3)切替コストを低減または助成する
(4)シグナルに投資する
(5)プル効果をつくるために、中間統合を使うか、川上統合を誘う
(6)複数の供給源と適切な生産能力を確保する
(7)補完製品または共同施設の改善を推進する
(8)RVPの向上と障壁の構築との得失を計算する
(9)代替品の市場を広げるために、新しい機能を考え出す
(10)代替品の競争地位を保てなければ刈り取る (366〜369頁)

●代替品に対する防衛
・コストの削減、品質の改善、補完製品の改善などによって、代替品との相対RVPを改善する
・製品のイメージを改善する
・切替コストを引き上げる
・買い手の買い手に向けて強力な販売攻勢をかけ、プル戦略を阻止する
他に
(1)代替品に影響されない新しい用途を見出す
(2)代替品の利点を避ける競争を考える
(3)防衛を支援してくれる供給業者の協力を得る
(4)代替攻勢に対する脆弱性が最も低いセグメントに戦略の鋒先を変更する
(5)防衛せずに刈り取る
(6)代替品業界へ参入する (370頁)

●代替品に対する戦略上の落とし穴
・代替品の認知を誤る
・緩慢な初期浸透の読み違い
・RVPを動かないものとみる
・競争と協調
・成熟の容認 代替によってパイの大きさを広げるほうが賢明かもしれない。 (373頁)

V 企業戦略と競争優位

9章 事業単位間の相互関係

10章 水平戦略の効用

11章 相互関係の活用

■相互関係を経営戦略に生かし成功しているのはもちろん日本の会社に限られているわけではない。しかし、日本的経営の特徴には相互関係の活用に適した性質が強い。(493頁)

■日本の会社の武器は、最初は低賃金だった。それに取って代わったのが第二の武器である品質と生産性である。おそらくこのつぎに競争優位の武器として立ちあらわれるのは、創造力を磨いてつぎつぎと生み出す相互関係の力であろう。(494頁)

12章 補完製品と競争優位

■必要条件さえ整っていると、相互支援戦略は業績改善の手段として大きな効果がある。世間に評判の高いジレット、コダック、ゼロックスなどがこの戦略を実行し、成功を収めてきた。しかし、この戦略を実施する好機は長くは続かず、積極的に手を打って成功の条件を維持してゆく必要がある。(531頁)

W 攻撃と防衛の競争戦略

13章 業界シナリオと不確実性下の競争戦略

14章 防衛戦略

●構造的障壁を高める(583〜590頁)
構造障壁を高める防衛戦術は、挑戦者が攻めてくると思われる道をふさぐ行為である。主として次のような行為が考えられる
・製品やポジショニングの隙間を埋める
・チャネルの利用を阻止する
・買い手の切替コストを高める
・試用コストを上げる
・防衛の目的から規模の経済性を高める
・防衛の目的から必要資金を増加させる…競争に必要な資金量を増大させる
・代替技術を独占する
・占有ノウハウを守るために投資する
・供給業者との提携
・競争業者の投入コストを上げる
・防衛の目的から相互関係を追求する
・障壁を高めるように政府の政策を促進する
・障壁を高めるために提携するか、または挑戦者を吸収合併する

●報復見込みを高める(590〜593頁)
・防衛意欲を宣伝する
・障壁作りの気配を見せる
・防衛拠点の確立
・販売政策を同等にする
・撤退またはシェア低下による損失を大きくする
・報復資源を蓄積する
・良い競争業者を刺激する
・見本を示す・・・報復のイメージをうえつける
・防衛的提携を築く

●攻撃中の報復(593〜594頁)
・テスト販売や市場導入を撹乱する
・抜きつ抜かれつする
・告訴

●攻撃の誘因をなくす(595〜596頁)
・利益目標を下げる
・競争業者の仮説を操作する

■シェアの小さい挑戦者は、見分不相応の広告費を使わざるをえない。(597頁)

15章 業界リーダーへの攻撃戦略

3

日本の競争戦略

マイケル・E・ポーター、竹内弘高

ダイヤモンド社
初版2000年4月13日

Can Japan compete?というが英語でのタイトルです。

 断定的で少し大げさな表現がしてある。読者としては、著者の伝えたいことが分かり易くてとても良い。あの分厚い『競争の戦略』も読まねば。

■日本の資本生産性は低い(9頁)
 1960年代から80年代を通じて、日本の労働生産性は急上昇したが、資本生産性は低いままであった。低い資本生産性が、高い労働生産性を相殺していた。

■日本政府は新規製品に対する初期需要を刺激することで、産業競争力の向上に貢献した(56頁)

■企業が卓越した業績を追及する二つの方法
(1)オペレーション効率(138頁)
 同じかあるいは似通った活動を競合他社よりもうまく行うことを意味する。
(2)戦略(139頁)
 戦略とは、顧客に価値を提供する上で、トレードオフ(二者択一)を行うことである。何をしないかという選択が、戦略の核心である。

■労働力不足(244頁)
 短期的には、失業問題が深刻化することが見込まれるが、数年もすれば、むしろ労働力不足が真の問題であることが明らかになるであろう。

■今や、日本は品質を軸にした競争から、戦略やイノベーションを軸にした競争へと転換しなければならない。(301頁)

  • 日本の産業は、政府が競争を管理した場合に成功したのではなく、政府が自由な競争を許した場合に成功してきたのである。(B頁)
  • 1974年にモトローラが松下電器にテレビ部門のクウェーザーを売却した際、松下は驚くべきことに、同じ生産施設と労働者を用いて数年以内に欠陥率を1%に引き下げされることを発見した。(121頁)
  • 日本企業は、品質をコストを同時に改善するというオペレーション効率の視点からのみ競争をとらえているため、競争において持続的な成功を収めることを自ら極めて難しいものにしてしまっている。(123頁)
  • 継続的改善の積み重ねは、戦略ではない。競合他社の模倣や同じ手法を少し上手に行うことも、戦略とは呼べない。(126頁)
  • 市場シェアに固執することで、日本企業は模倣戦略を遂行し、互いに同質化するようになる。(263頁)

ホーム