読書録 辻邦生

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題名

感想

1

西行花伝

辻邦生

新潮文庫

 平安時代末期から鎌倉時代を生きた歌人西行を描く。
 北面の武士だった佐藤義清だが、鳥羽院中宮待賢門院と、かなわぬ恋に落ちたことがきっかけとなり、出家して西行と名乗る。

 知らざりき 雲居のよそに 見し月の かげを袂に 宿すべしとは

 出家した後も、浮世の出来事に関わり、崇徳院とともに歌による政治の実現を目指していた。しかし、保元の乱でその願いは消え去った。後白河天皇方に敗れた崇徳院は、讃岐に配流となり、その地で非業の死をとげた。崇徳院の死後、その御霊を慰めるために西行は讃岐を訪れた。

 よしや君 昔の玉の ゆかとても かからん後は 何にかはせん

 崇徳院死後の西行の人生は、まさに出家した人を思わせるものに変わった。蓮華乗院勧進、東大寺大仏殿再建の寄進を求める旅など、仏教に生きることが多くなった。また、歌の道に本格的に生きるようにもなった。

 にほてるや なぎたるあさに 見わたせば こぎ行跡の 浪だにもなし

 この歌が西行最後の歌となった。

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