もっぴーはこの春から3年生。母が仕事をしているので学童保育に
入所してしているさて、今年は何が起こるやら・・・。

 

   3 年 生  
1.Mちゃんの入所
2.七夕の願いごと
3.ミニ縁日
4.異学年の交流
5.ネットワーク学習会

 

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1.Mちゃんの入所
 今年度、10人の1年生が入所した。そのうちの1人Mちゃんはまったく目が見えない。
Mちゃんの入所をめぐって、父母会がすったもんだした。

 現在、学童には30人以上の子どもが入所しているが、夏休みなど長期休暇中だけ通っ
てくる休暇生も含めると40人近くになる。それに対して指導員は、正指導員1人とパート指
導員4人がローテーションを組み、3人ずつ出勤している。1年生がたくさん入所し、ただで
さえ手薄なのに3人体制では大変だ。しかし指導員を増やすとなると経済的なことが問題
になる。民間の学童保育は、市からの補助はあるものの、父母が負担する保育料で経営
が成り立っている。人件費を捻出できなければ、保育料の増額やバザーの実施なども
検討しなくてはならない。その子ひとりのために他の父母の負担が増えるのはいかがな
ものか、という意見もあったそうだ。役員が新年度の収支を試算したところ、保育料を増や
さなくても何とかやりくりできそうだということがわかった。

 しかし、指導員の適任者がすぐに見つかるわけではない。また、指導員が1人増えたと
しても、学童の周囲には古い材木や瓦が積んであったり、裏が崖になっていたりとあまり
安全とはいえない。誰かがMちゃんをケガさせてしまったり、指導員がMちゃんにかかりっ
きりになって、もし他の子どもがケガをしたら、どちらもがいやな思いをするのではないか、
という意見もあった。
 指導員の増員も、周囲の環境を整えることもMちゃんだけのためではなく、他の子ども
たちにとっても必要なことではないだろうか。結果的には当分の間、小学校への通学の
ときに介助をするボランティアの人が学童でもついてくださることになった。ボランティア
さんがいつまでついているかは、しばらく様子をみてから考えようということで…。

 安全には十分配慮する必要があるけれど、目の不自由な子どもにとっても、晴眼者の子
どもにとってもそれぞれが育ちあうよい機会だと思う。子どもたちに障害についての知識
を教えるなど、いろいろすべきことがある。しかしその前に、まず父母達がMちゃんのご
両親と、手助けが必要なこととそうでないことをよく話し合い、漠然とした不安感をなくす
ことが先決かもしれない。
 指導員さんの話によると、女の子たちはMちゃんの世話をやきたがっているらしい。また
ある父母の話では、子どもが「Mちゃんは目が見えないのに、服の色がわかるんだよ(手
触りで、どの服を着ているか識別できるということらしい)。すごいでしょ。」と
自分のことのように自慢げに話してくれたそうだ。子どもたちのほうが、もうMちゃんの
ことを着実に受け入れているようだ。

 

2.七夕の願いごと
 七夕の頃になると、もっぴーの学童では近くの河原で竹を取ってきて、短冊をつるして
軒下に飾る。もっぴー母は、毎年短冊に書かれた願いごとを読むのを楽しみにしている。

「字がじょうずになりますように」
「じてんしゃにのれるようになりたい」
1年生の子どもの定番だが、素直な気持ちが伝わってくる。
「おりがみでぱっくんちょができますように」
チョコレート菓子のことかと思ったが、指導員さんに聞いてみたところ、折り紙で作るもの
にそういうのがあるそうだ。

「大金持ちになりたい」
「宝くじがあたりますように」
こんなことを書くのはだいたい中学年から高学年の男子。
「おとうさんが会社をクビになりませんように、おかあさんが会社をクビになりませんように」
と、時節柄笑い飛ばせない、子どももいろいろ考えているのかな、と思わせるような短冊
もある。

「Mちゃんの目が見えるようになりますように」
これを発見したときは、宝物を見つけたような気分になった。その感動に浸りながらさらに
短冊を読んでいくと
「おねえちゃんがあまりおこりませんように」
マジックでしっかりと書かれた、目の見えないMちゃんの短冊があった。

 

3.ミニ縁日
 ミニ縁日は去年から始まった夏休みのイベントだ。夕方から高学年が焼きそば、ホットケ
ーキなどの軽食と風船つりやスライムなどの模擬店を用意し、1・2年生を招待する。
暗くなってから近くの公園で花火大会。その後高学年は町内の銭湯で汗を流し、学童でお
泊まりする。遠くへ遊びに行くわけではないが、学童で泊まるというのは非日常的で子ども
たちに好評だ。

 今年、特に力が入っていたのはおばけ屋敷。もっぴーの学童は古い民家で、母屋と離れ
がある。おんぼろの離れという絶好のロケーションに、高学年が様々な仕掛けをした。
白い着物を着て幽霊に扮した子、黒いマントを羽織って死神になった子、狼男のマスクを
かぶった子、さらに首だけのマネキン(美容師さんのK君パパから借りたのかな?)もあり、
迫力満点。母屋で待っていたら、真暗な離れから時々「ギャー!」という悲鳴が聞こえてき
た。1回で慣れてしまって「もう一回行ってくる」という子もいたが、泣きだしてしまった1年生
も何人かいた。恐がりもっぴーは3年生としてのメンツもあり、泣きはしなかったがかなり
腰が引けていた。高学年のみんな、お疲れさまでした。

 

4.異学年の交流
 授業参観は道徳の授業で、他人に対する思いやりや親切について考えるというテーマ
だった。授業の最後に、先生が子どもたちの作文をいくつか紹介してくださったが、その
中に学童に通うYちゃんの作文があった。

――Yちゃんが1年生の頃、6年生のKちゃんはちょっととっつきにくいと思っていた。
Yちゃんは虫や小動物が大好きだが、それまで肉食動物はあまり好きではなかった。でも、
あるときKちゃんが肉食動物についていろいろ教えてくれた。Yちゃんは動物のことをよく
知っているKちゃんのことをすごいなと思い、Kちゃんのようになりたいと思った。そして
肉食動物も好きになった。――

 だいたいこんな内容だが、いきなり肉食動物という言葉が出てくるのが、動物が大好き
なYちゃんらしい。

 学童の特長の一つとして、異学年の交流というのがある。少人数で遊ぶのがあたりまえ
の昨今、いろいろな学年の子どもたちが放課後を一緒に過すのは貴重なことかもしれない。
しかし、必ずしも1年から6年までが入り乱れて遊んでいるわけではない。面倒見のよい
3、4年生の子が1年生と遊んでいるのは見掛けるが、高学年は高学年だけでかたまって
いることが多い。もちろん、高学年にとっても学童は放課後のくつろげる居場所であり、
別に低学年の子守りをするためにいるわけではないのだ。6年生ともなれば思春期に入り、
自分たちだけの世界を持ちはじめる。お迎えのときなどに見掛けるKちゃんは、低学年の
子どもたちとあまり関わっているようには見えなかった。高学年になると学童に残る子どもは
少なくなり、人数が多く元気な低学年の子どもたちと比べると手持ち無沙汰な様子の子も
いる。異学年の交流といっても実際には難しいのかもしれないと思っていたが、やはり毎日
一緒にいることで、何らかの関係が生まれたり、影響しあっているのだ。そのことがわかって
何だかうれしくなった。

 3年生のもっぴーは最近よく1年生と遊んでいる。でも、それは面倒見がよいからではなく
て、ケンカしてもかろうじて負けずにすむ相手だからかもしれない。それでも多少はお兄ちゃ
んらしいところを見せているときもあるだろうか。

 

5.ネットワーク学習会
  もっぴーが住む市では昨年、従来の学童保育連絡協議会に替わり、学童保育ネット
ワークという組織が発足した。ネットワークは連絡協議会から引き継いだ活動に加え、
行政との話し合いでの民間学童の窓口的な役割を果たすなど、学童保育の充実を図る
ための活動を行っており、将来はNPO法人化も視野に入れている。そのネットワークで
今年初めての試みとして、学童保育を考える学習会が開催され、指導員として20年以上
のキャリアを持つ山本先生の講演会と分科会が行われた。講演会は、学童保育の成り
立ちから現在の学童の実態、さらには事前アンケートで寄せられた父母たちからの質問
に対する答えもあり、盛りだくさんの内容だった。アンケートに対する答えは、学童だけで
なく子育て全般についても参考になるお話だったので、ごく一部だがご紹介しよう。

「親が助言しても反抗して投げ出してしまう」
――子どもは自分にとって利益のある行動なら動きます。大人の都合で言うことではなく、
子どものプラスになることを本人にもわかるような言葉を選んで助言したほうがいいと思
います。
「帰ってから子どもと接する時間が短い。上手に接するには?」
――大事にしてほしいのは、子どもの側から話す条件を作ることです。どうするかというと
実は親自身が発信することなのです。食事の時間に「今日はこんなことがあって…」と親
の側が話していると、子どもも「ぼくは今日ね…」と話したくなります。食事の時間を大切に
してほしいと思います。
「勉強嫌い、本を読まない」
――勉強や本は本来面白いものです。親が先頭を切って勉強は面白い、本を読むのは
楽しいという姿を見せていると、知らず知らずに子どもも好きになっています。
「高学年の子どもも喜んで来てくれる学童づくりのポイントは?」
――子どもたちが何を望んでいるかを掴み、それによって生活内容を考えていくことでしょ
う。25年前から6年生が自分たちの力で計画を立てて出かける冒険旅行をやっています。
卒所生はそれがすごくいい思い出だと言いますし、無人島で生活するという学童の頃の
夢を、大人になってから実現しようとしているメンバーもいます。
 
 子どもは誰でも「こっちを向いて」と思っている。低学年のうちは愛されたいと思うから
素直に大人のいうことを聞くが、中学年になると言葉遣いが悪くなったり、口答えするよう
になる。親の権威で無理やり押さえつけようとしたり、口先だけで注意しても効かない。
子どもは鋭いから本気で向き合ってやらないとそれを見抜いてしまう。しかし、完璧な理想
の親を演じ続けるというのも無理な話だ。親がひとりで悩んでいてもはじまらない。

学童はただ放課後の居場所というだけではない。子どもと指導員、親と指導員、子ども
同士、親同士、子どもとよその親、というように多様な人間関係がある。子どもを見守っ
てくれる指導員がいる。親同士が悩みを語り合ったり、指導員に相談することもできる。
学童は子育ての強い味方なのだと改めて思った。

 

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