2003年5月31日(土) 許せ、普通の週末だ




 大雨が絶え間なく降るなか、それでも小雨どきを見計らい外出。昼食を食べ、近くのCDショップで安価で叩き売られていたヒッチ先生の『ファミリー・プロット』『フレンジー』『ハリーの災難』DVDを購入。これを機にヒッチコックのDVDコンプリートを考える。
 
 帰って原稿のために、雑誌掲載を断片的にしか読んでいなかった『地獄甲子園』を読み直す。画太郎先生といえば、今週のチャンピオンはすごかったな。いや根本はるみのオッパイじゃなくて、確かにそっちもすごいんだけど、問題は『樹海少年Z001』。明らかに時間に追われたとおぼしき原稿仕上がり。まぁ「オゲゲ〜!」「ブリブリ〜!!」とゲロとゲリの描写だけで終わってしまう回もあったり、今さら何の指摘ぞという気もするが、古巣ジャンプでも再び連載が始まったし、さらに拍車がかかりそうで不安。
 そういえば昔『ギャラリーフェイク』の最終ページで、ミミズののたくったようなペン入れに驚いた回があったが、あれは単行本収録で修正されたのだろうか。

 夜、NHKスペシャル「よど号と拉致」(前編)を視聴。日航機よど号事件に絡むハイジャッカー達の妻が、北朝鮮工作員として暗躍していた件を追及。でも文書の核心は明日で悶々とする。
 その後、ニュースでプロ野球「巨人対阪神」の結果に触れて呆然。ジャイアンツが高橋のヒットで2点差をつけ、そこでタイガースの負けを確信しTV中継を見止めたのだが、9回表の11点取得が、字ヅラだけだとあまりにも現実離れしていて、一瞬ウソかと思う。

 土曜深夜は慣例で「愛のエプロン」を見るが、だんだんまずい料理を作ることがキャラ立ち戦略化してきて面白みに欠けてきたな。




2003年5月30日(金)
TSUTAYA WAVEのリフレイン
オレが店員ならちょっとキツい




 仕事場のフローリング床で横になったまま寝てしまい、錆びついたように体が軋む。まるで巨大ロボットが始動するかのようだ、自分事ながら。
 そのまま夕べ夢うつつにビデオ録画したTBS「正三郎の部屋」を見る。わざわざ録ってまで見るもんかよって? すまんの、膝から毛の生えた程度に熊田曜子ファンなもんで。

 とりあえず、今月で終えられる限りの原稿を終えようと孤軍奮闘。しかし、一日じゅう家にいられないタチだし、原稿のためのビデオ資料が必要になり、近くのTSUTAYAへ。誕生月の190円レンタルを活用する最終チャンスとばかり、いらないものまで7本ばかり貸りる。
 ただこれをやると、延滞したときがワンダフル。一度レビューを書く必要性があって『∀ガンダム』を10本イッキにレンタルしたことがあるが(大阪時代に活用していたレンタル店は、火・木曜日がアニメ1本100円だった)、これが返却日までに全部見きれず3日延滞。計9000円+税のお支払い。あんまりくやしいんで経費扱いにしたのが懐かしい。

 階下のブックコーナーで『風雲児たち・幕末編3巻と、平田弘史の『黒田・三十六計』を買って店を出る。
 帰り際、オレと並んでも身長差がほとんど無い『エアマスター』の相川摩季みたいな巨大女子高生が、友達とエロ本を立ち読みする異様な光景に出くわしてしまった。いや、エロ本立ち読み云々より、コギャルスタイルって、やっぱ150センチ向けだよなと痛感。

 帰ったら留守電に『ウオッチ・ア・ゴーゴー』編集部より原稿の依頼と、楽天より『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫』が届く。604ページ4500円の映画大著が半年で3刷とは異例の増刷。「『仁義なき戦い』を作った男たち」でも紹介されていた“笠原メモ”が掲載されていて感動したよ。これ、就寝読書の長い友になりそう。




2003年5月29日(木)
仕事のための試写通いなのか、
仕事から逃避するための試写通いなのか




 銀座はヤマハホールにて『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』特別映像を観る。
 ソニー・ピクチャーズ作品は日米同時公開が原則となっているので、『バーティカル・リミット』の頃から マスコミ向けにこうやって製作途上の映像フッテージを公開するのが恒例だ。今回もアヴァンタイトルからミッドポイントにあたるアタマの30分と、全編から山場となる4シークエンスを10分にまとめた計40分のものを披露。
 原稿に追われている身だし、完成した本編を観たいという思いも強く気が進まなかったが、先行してレビュー記事を書いているので、書いた内容に齟齬がないかの確認をせねばならない。

 公開された映像に関しては、アクションシーンのワイヤー消去や色調統一などのエフェクト処理もまだ。さらにオリジナルスコアはまだ完成していないらしく、ところどころでテンプトラックが貼り付けられていたが、だいたいの雰囲気は味わえた。キャラクターそれぞれの設定を活かした内容(特にドリュー)にもなっているようだ。そもそもチャリエンにどれだけストーリーを期待しているヤツがいるのか疑わしいが

 観終わったら真っ直ぐに家に帰ろうと思ったが、怖いもの見たさで聖路加タワーに向かい、SPE試写室にて『スウェプト・アウェイ』を鑑賞。
 嫁(マドンナ)の世迷い言にたぶらかされた、ガイ・リッチーの色ボケ映画。完全に周りが視界から消えているだけじゃなく、監督のスタイルも完全に消えている珍作。ディテールがいちいちおかしいし、観賞後に「バランス悪ぃ」と呆然としてしまう。これをラブロマンスというのなら、『オータム・イン・ニューヨーク』以来の衝撃作だ。ラジー賞受賞も当然。それをウリにすればいいのに

スウェプト・アウェイ』の戦慄を抱えながらも、続けて『キリクと魔女』の試写。試写場の映画美学校に行くと、受付にはまるで寝起きのような叶井俊太郎がいた。
 作品はNHK教育で祝日の昼にイレギュラー放映するような風体。『ファンタスティック・プラネット』や『時の支配者』のように、絵ヅラがこれでもかとフランスアニメしているが、色彩設定が素晴らしい。ジブリの共同配給だという先入観があってか否か、なんだか『風の谷のナウシカ』みたいな骨格のストーリーだったなぁ。

 結局、家に帰ったのは夜9時前、仕事という名の現実逃避。





2003年5月28日(水)
キミのために地下鉄掘ったんだ、松ヶ崎まで




 コレ本当に使った口説き文句。切り取って財布に入れとこう!

 今日も今日とて原稿と格闘。くどいようだが、月末月初めは締め切りが集中するんで。しかし、この慌ただしさにかまけ、何かとっても大事なことを忘れているようだが、いまひとつ思い出せずに仕事に没頭。

 ところでキャメロン・ディアスの来日、ほぼ100パーセント確実だそう。けど個別インタビューはTV媒体ですらも選別の嵐で、活字媒体に至っては殆どがハネられているらしい。別にいいんだけどさ。

 夜、友人Mと電話、めずらしく真剣な話。そのなかのひとつ。

 例えば、タマちゃんが多摩川の汚染された水や変な毒エサで突然変異体の怪獣になり、上陸して市民を喰い始めたとしよう。それでも新聞やTV報道では、
「タマちゃんお台場に上陸 死傷者500人」
とか、どこまで呼称をタマちゃんで通すのか。どんなに人身被害が及ぼうと
それでもタマちゃんか? 


 しかしタマちゃん、音頭が出るようになったらそろそろあああ思い出したぞ! 京橋フィルムセンターに『斬人斬馬剣』観に行くの忘れてたんだぁ! キアヌなんかよりもっと重要じゃねぇかああああ!!!

 画竜点睛を欠く口惜しさ。もうアレだ、自分の仕事の生産性の悪さにマジで辟易したよ。
 あんまり自分自身に腹が立ったので、とりあえず焼きメシを作る一心不乱にね。以下写真。


…なんか玉子多くないか?




2003年5月27日(火)
天ツユだけかけてご飯食べてるキミへ




 今日はジョエル・シルバーとゆかいな仲間たち一行様の記者会見があったのだが、仕事で行けまへんした。というか、公開を間近に控えたこの時期、新聞やTV媒体以外に価値のない記者会見。オレが行っても意味なかろうが。
「せっかくキアヌ様の姿をナマで拝見できるのに、何もったいないこと言ってんのよこのダメ男!」
 と、ファンからすりゃ当たりの宝くじを鼻紙に使うムダ感が強いのだろうが。そりゃ好きな人物なら万難を排してでも行くよ。オレもお袋の葬式ほったらかして、スピルバーグの記者会見行ったクチだし。

 …あ、でも、なまラリーは見たかったかも。今回の来日でまたマッドハウス作品のDVDとか買い占めるんだろ、アイツ。
(【マメ知識】ローレンス“モーフィアス”フィッシュバーンは、あんな怖い顔してて日本のアニメが大好き。特にマッドハウス作品)

 仕事場とトイレと寝室以外に全く移動のない日。おかげでチャンピオンの『チャリエン』カラー原稿あがったし、久しぶりに「セクシー女塾」を観ることが出来たし。でもまだ秘宝やら、フェイントで入ったムック原稿、フィギュア王やら締め切りヒーヒーだ。おまけに右の鼻の穴からだけ、ヅルヅルと鼻水が出てくるしよ。

 

 ちょっと詩、書きますね。

 
    「辛っ! おまえんとこ団子の粉と称して塩売るんか」
                 
                     ヘップバーン一男

      お姉さん
      いくら目をこらしても
      もうないんだよ 南海ホークス
      大阪球場は あるかもね

      天つゆだけかけてご飯食べてるキミへ
      いくら目をこらしても
      像がボヤける 
喫茶カトレヤ
 
      誕生月は、ビデオレンタル190円
      オレ、もう4日しかない





2003年5月26日(月)
ガチンコ兄弟、東映アニメーションギャラリーへ




 映画ガチンコ兄弟は試写室でふんぞり返って新作映画を観て、それをオカズにバカなこと言ってるだけの凸凸コンビに思われがちですが、実際そのとおりですそうではありません。シネマ愛を極めるために裏では学究の徒となり、日夜映画の勉強に精進しているのです。

 今日も今日とて大泉学園に赴き、東映アニメーション大泉スタジオ内に設置された「東映アニメーションギャラリー」を見学してきました。
 日本が誇る東映長編アニメーションの歴史的資料を網羅した本ギャラリーは、アニメーターや研究者の後学の場として今年の3月に設置されたもの。勉強に余念がないガチンコ兄弟、慌ただしいスケジュールの合間をぬって念願の訪問です。

 守衛さんに「ギャラリーを拝見させてください」とお願いして設置場に通されると、あるわあるわ宝の山が!! 『白蛇伝』のセル画やコンテ、『西遊記』の手塚治虫の直筆キャラ設定画などなど、これをまんだらけに持っていけば輝かしい歴史の足跡を、時間の立つのも忘れて夢中で追うドリーとテリー


『少年猿飛佐助』東映スコープのセル画に見入るテリー。
よからぬ算段を脳内によぎらせつつ。


 6月からは東映長編アニメの最高峰『わんぱく王子の大蛇退治』を中心とした第二弾に展示が変わるので、来月またここに来ることを固く誓いつつ、東映長編動画オタクのドリーさん、『エアマスター』や『明日のナージャ』をこよなく愛する変態野郎オンタイム東映アニメ愛好家のテリーさんともども、
「ああ、これでまた映画への造詣が深くなったわい」
と、謙虚に、そして満足顔で帰途に就いたのでした。

 しかし途中、東映アニメーション近くのビデオバンクというレンタルビデオ店の、あまりのアダルトビデオのストック充実ぶりに驚いてしまい、
「AVのアーカイブというのは作れないものだろうか」
「保存という見地から生産されてるワケじゃないし」と、真剣に話し合ったあげくに大ゲンカ!!

 良識ある大人が、恥ずかしくもアダルトビデオのことで映画ガチンコ兄弟は、常に映像文化の未来を考えているのです。




2003年5月25日() 甘いぜギャロ!!




 ヴィンセント・ギャロが新作をカンヌで酷評され「もう映画なんて撮らない」と声明を発表したニュース。
 まぁ、感性という塊をこねて固めてひとつの形にするタイプの作家だし、作品の精度や整合性を希求されれば「すいません」な出来だったのは想像に易い。おまけにネガ発言って響きデカいからなぁ。コッポラも「10の絶賛よりひとつの酷評のほうが影響力デカイし、精神的にもこたえる」というくらいで。
 もっとも評論する側も酷評のほうがインパクトが強く、手っ取り早くアイデンティティを誇示する手段にもなる。褒めるというのは、意外や難しい芸を要求されるものなのだ。
 でもギャロもよくねぇよなぁ、そういう甘えた発言は。表現者ならとことん闘えよ!

 オレのようなフリーランスでも、日曜日の夕刻は奉公人の名残で侘びしいものを感じる。テリーはテレ東の「話題の医学」を見ると鬱になるらしいが、それは日曜日の象徴だからなのか、朝っぱらから直腸癌の全腸間膜切除術や、十二指腸潰瘍の摘出を見せられるからなのかは知らん。
 ちなみにオレが最高に至福を感じる時間はというと、10年ほど前の金曜日の夜。コーラ片手にカレーコロッケくわえながら「鶴瓶・上岡パペポTV」を見るスタイル。ああ、マジで幸せだったなぁ。
 このコーラ+カレーコロッケというのは現在でもオレのビデオ視聴時には欠かせないもので、今夜もそのスタイルで『マイノリティ・リポート』のDVDを視聴。ところが、観ている際にすさまじい既視感に襲われ、自分がどこにいて何歳なのか一瞬、混乱してしまう。

 左瞼に異物感を覚える。おそらく物貰いの前兆、ああ、明日起きるのが憂鬱だ。




2003年5月24日(土)
オレもいちおう作り手だったんだけど…




 ジトッとした蒸し暑さで目が覚める。でもこの時期、関西にいた頃のほうがひとしお暑かったように感じられたよなぁと、東京という名の埼玉に住むオレは思うワケよ。

 進行を要する仕事はあるが、気分だけは週末なので外に出て自由を満喫。ついでに図書館に行き、「昭和の劇−映画脚本家笠原和夫」を借りようと思うが未入荷。しょうがないので「大島渚1960」と「ヒッチコック−映画と生涯」の上下巻を借りて帰る。帰宅後、「昭和の劇」を楽天で注文。
 
 夜、フジテレビでオンエアしていた『アポロ13』を少し視聴。何度も観るほどの映画でもないが、ガチンコ兄弟の大好きなクリント・ハワードが『デビルスピーク』以来もっとも出番が多く、その点ではリピートを促される。プロローグとエピローグにアポロ計画の歴史を滔々と語るナレーションが入るが、おかげで大作映画が妙に安っぽい印象に。

 深夜、仕事の合間に「大島渚1960」を読む。映画作家として最も刺激的だった60年代の自身を自らが語るという主旨のものだが、少なくとも大島は作り手でありながら、自分の主義を言語生成して評論家と台頭に渡り合える舌力を持っていたし、論敵だった石堂淑朗や松本俊夫も同様のスタンスだったワケで。そういう意味では、完全に瓦解してしまった映画評論体系への憧憬が強くつのる。
 
 …あ、おかげで「愛のエプロン」見逃してしまった。




2003年5月23日(金)
長生きとラーメン? ラーメンだな。




 個人情報保護関連5法、成立。決まってしまったものに抗いようがないが、フリージャーナルの首絞める悪法にトロープすんのは火ィ見るより明らか。船底に穴が空いてる船の航海を見送る気分だな。カッ、胸クソ悪ぃ

 少チャンのカラーPデザインが上がってきたので取りかかるが、同時にインタビューのまとめにも入る。それら作業中にエルマガジンよりTEL。夏休み映画特集の原稿打ち合わせ。とりわけ情報が遅い『T3』の話題。アニマトロニクスで描かれていたスケルトン・ウォリアーが、T−1000を生んだCGでクリエイトされるところに12年の歳月を感じる云々みたいなオタク話に。

 所用で中野に行っていたテリーと駅で合流し、彼が推薦するラーメンの名店「秋津屋」で肉ラーメンを食す。魚醤ダシ系ラーメンだが、麺の食感がかなりいいと思う。香りに独特のクセがあって、ダメな人はダメなんだろうなぁ。

 夜中、突然にDVDで『マトリックス』を見直す。『リローデッド』もタルかったが、改めて観るとこっちも相当ケツにくる
『リローデッド』って、『SWエピソード2』の草むらゴロゴロと変わらないウォチャ兄弟の童貞センスに問題があるんだよなぁ。さかりのついたネオとトリニティとか、レイヴパーティのシーンとか。アクションだけじゃなくて、そういうとこもムダに膨らんだ気がする。
 それと「バレットタイム」なんて誰が言い出したんだ? “フロ=モ”あるいは“フローモーション”だろ? オレも便宜上使うけどさ。

 ちょっとお仕事でしばらく家を空ける可能性が出てきたので、スケジュールの調整をして、できる原稿は早急に上げてしまおうという気持ちになる。もちろん、なっただけ。




2003年5月22日(木)
誕生日とハルクとデ・パルマと



 ハッピーバースデイ、俺!(ついでに田中麗奈と唐沢俊一先生にも)。不肖オザキ、キューブリックが『博士の異常な愛情』を撮り、スコセッシが『ザ・バンド/ラスト・ワルツ』を撮った歳とタメになってしまいました。トホホ……。

 そんな感慨ひたるヒマなく、朝から都内へ。今日はヴァージンシネマズ六本木ヒルズにおいてグリーン・ジャイアント…もとい『ハルク』のプレゼンテーション。

 株主や協賛企業絡みの背広組がワラワラいるなか、『映画秘宝』松崎君&ウエダハジメ画伯の“地獄の映画観光”コンビとハチ合わせ。次号はこれがネタか。
 ところが予定時刻より大幅20分遅れての開始。特別公開映像に字幕を挿入する作業が遅れて終了したらしい。
 まずはハルクの視覚効果を担当するインダストリアル・ライト&マジック(視覚効果スーパーバイザーはデニス・ミューレン)の、輝かしい業績をまとめたデモンストレーション映像を流し、その後ILMの視覚効果アートディレクター、ウィルソン・タンによる、ハルクのVFXティーチング。土埃にくすんだ体表面や汗のウエット感、皮膚に連動した筋組織のしなやかな動きなど、ヒューマノイド型3DCGキャラとしては驚異的な完成度のエフェクトワークを誇示する。
 続いてユニバーサルのインターナショナル上級副社長ランディ・グリーンバーグによる『ハルク』ダイジェスト映像を交えたプレゼン。アン・リーにマーヴェルものなんてミスマッチすぎて誰も期待してなかったろうが、戦闘ヘリに追われてコナン走りをするハルクや、SWATや軍隊がハルクを包囲するシーンのスプリット画面処理など、かなりエキサイティングなビジュアルを見せてもらった。モンスタームービーとして期待値を上げていいかも。
 しかし、ニック・ノルティが何かに激しく怯える演技なんて初めて見た。自分以外に怖いモノがあるのかお前

 終了後の昼食会で久しぶりにUIP関西支社の平内さんとお会いし歓談。『ハルク』はUSJでのジャパンプレミア試写を予定していて、大阪もパブ展開は大変そうだ。

 その後、松崎&ウエダ&オレで六本木ヒルズを徘徊。別れて築地に向かい松竹試写室にて『デッドベイビーズ』。
 主演のポール・ベタニーは『ロック・ユー』の吟遊詩人がオレ的にグッドなので期待もしたが、上映中、意識が別のところへ行ってしまうほど面白味に欠け全然ノれず。UKスタイリッシュ・ポップもキャラとストーリーが弱ヨワじゃ持続性に乏しい。

 試写室を出て友人と会い、ささやかにお茶して誕生日を祝う。その後しばらく時間をつぶし、夜8時より日比谷みゆき座にて『ファム・ファタール』。
 分割画面、360度回転、ディープフォーカス、主観キャメラ、高速度撮影、フレーム・イン・モニター……ああ、デ・パルマ大先生の持てるすべての意匠、すべての演出表現が詰まった最高の誕生日プレゼント。あまりいいい評判を耳にしなかったが、別にクサすほどじゃない。「変わった映画だなぁ」と思うだけ。この作品に嫌悪感を覚える人は、たぶん映画の戒律を破る●×●があるからだろう。
 でも最前列で陣取って観てた映画秘宝編集部のみんなもニコニコ。オレもニコニコ。




2003年5月21日(水) 職人監督とオタク息子と




 午前中にチャンピオンに入稿を済ませ、午後から六本木に移動。映画秘宝編集部さんと合流し『デッドコースター』のデビッド・リチャード・エリス監督にインタビュー取材。
 ところが、ここで恐るべきニアミスが起こってしまうのだが、それは敢えて秘す。

 ティーンホラーというジャンルと作品スタイルから察するに、若手監督かと思っていたが、前日に下調べをしたら50歳を越えたベテラン。役者から転身し、ワーナーのスタジオ助監督として下積みを重ねた典型的な職人だった。でもジャンルに愛もなければ日本映画に対する興味もない。苦労人だから人あたりはいいが、面白みという点では少し不満。
 だが、オヤジに同行してきた16歳の息子が大アタリ。来日目的は秋葉原に行ってゲームを買うこと。オヤジに投げかけた『リング』の話に反応したのもコイツ。もう風体が見るからにオタクを語っているよ。『AKIRA』のタイトルを口にしたときから怪しいとは思ったが、おまえらは深作親子か!

 その後、同行させたテリーと別れ築地へ。松竹試写室にて『ハリウッド★ホンコン』試写。
 タイトルはダイホム街を眼下に望む高級住宅ビル、プラザ・ハリウッドを指し示す。周迅(ジョウ・シュン)を愛でに観に行ったのだが、恐ろしく教条的で残酷なギャグにアテられてしまう。焼き豚屋の巨漢親子3人が、そのルックスといキャラといい物語の引き込み線として申し分なし。




2003年5月20日(火) はだがづまっでだいへんだ




 鼻水&咳ひどし、されど熱はなし。鼻が詰まって相当おマヌな声になってる。しかも左の鼻腔のみ通りがよく、そこから鼻水がズルズル出るのが絵的にもマヌケ。

 こういうときは家でおとなしく仕事。チャンピオンの『トレジャー・プラネット』原稿や、明日のインタビューのレジュメ作り、別件のインタビュー企画書の作成。『トレジャー』はどうフォローしても、スティーブンソンの『宝島』より『天空の城ラピュタ』風情で、これ指摘しちゃっていいのかなと

 仕事を終えたら試写に出ようと思うが、いまひとつ映画を観る気分にならず。
 そんな思案をしていると、夕方より豪雨。ベランダを越えて窓を叩きつける雨音を耳に「あぁ、でかけなくて賢明」と安堵するが、同時に買い物にも支払いにも出ることが出来ない、ちきしょう。

 マンハッタン・ピープルより『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』の40分編集済みバーション試写の日程を耳打ち。これだけは確認してレビューに臨める。もとより誰もストーリーなんか気にしてない映画だけどさ。

 秘宝編集部よりお借りした“ FEAR and LOATHING in LAS VEGAS ”(ラスベガスをやっつけろ!)のクライテリオン版DVDを視聴。公開時は今は無き京都朝日シネマで観て、ひどく冴えない2時間をやりすごした覚えがある。というか、パッケージデザインにもなってるラルフ・ステッドマンの世界観が強すぎて、ギリアムのアートワークとしては味が薄いんだよ。というわけで、見直してもさして作品の印象は変わらず。ベニチオ・デル・トロの作り込んだ演技には改めて感嘆。サプルメントの異常な充実ぶりに感化され、手元に置きたくなる。

 そんなこんなで深夜までを奔走。ていうか1日が早っ!


 



2003年5月19日(月)
「軽部真一のことを想う会」発足




 久々にテリーより相談を受けたかと思えば、こんなこと。「お台場にエサ投げる」とか、活動例がいい加減なので却下。

 睡眠と薬で早期に根をつぶしたか、風邪の諸症状は治まったよう。
 ただここ一週間、左目まぶたが痙攣しっぱなしで治まる気配がないので、こっちは観念して午前中に近所の病院へ行く。見た目今村昌平そっくりの医者に診断してもらうと、
眼精疲労だよ。寝不足とパソコンが原因。あと、少しウエイトを落としなさい。これは症状との因果関係ではなく、医師としてのアドバイス
 と、ミもフタもないことを言われる。

 午後から、資料の探し物があったので高田馬場に立ち寄る。その足で築地に移動し、松竹試写室にて『アダプテーション』。
『マルコヴィッチの穴』のスパイク・ジョーンズ監督最新作。ニコラス・ケイジ扮する脚本家チャーリー・カウフマン(!)が、蘭を密猟する男のルポをスクリプトしようと悩む涙ぐましい物語。『ザ・プレイヤー』と『バートン・フィンク』の色合いが濃いが、相変わらずムダに豊かな造型力と、おかしな着地コースは類例がない。
 それよりデジタル・コンポジットがあまりにも自然で、ニコラス・ケイジが同一画面上に二人いることに全く違和感を覚えない。『戦慄の絆』のモーション・コントロール・コンポジットでスゲェと言っていたのが、今となっては可愛らしいのう。
 もっとすごいのは、自動車事故の並々ならぬ描写。『デッドコースター』といい『パンチドランク・ラブ』といい、映画界は今、ちょっとしたクラッシュブームだ。
 それにしても、メリル・ストリープの旦那役で『8Mile』のカーティス・ハンソン監督が出ていたのが謎。『激流』つながりか?

 試写室で田野辺さんら映画秘宝一行と一緒になり、帰りに『アダプテーション』を観た直後にも関わらず『あずみ』の感想大会になる。

 帰路の山手線内、周囲と明らかに空気の違う扇情的な美女が隣に座り、グレープグミを口に持っていきながら「てぃんくる」(女性高額収入バイト情報誌)を読み始める。しかも目にしているのはダクション系のところ。スレすぎだよ彼女……。




2003年5月18日() 虚弱体質かねキミィ




 昨夜から風邪の兆候を喉に感じていたが、朝になって本格的に症状が咳・頭痛・鼻水へと拡大。おかげで豊島区椎名町のトキワ荘跡地を訪ね、池袋の自由学園・明日館(フランク・ロイド・ライトによる設計)を見に行く友人との約束は日延べとなる。他の人のHP日記にも、風邪を引いたという記述が多く散見されるが、流行っているのだろうか。危ないなぁ時節柄。

 そんな朦朧とした意識で、恒例のテリーに説教。日記更新を怠けていることと、仕事量と経験値の低い物書きが、見返す余裕のない締め切りギリギリになって仕事を始める姿勢はどうかということを長々と。どんな駄文であれ日記を日々更新することは、それだけで文章慣れのために効果はある。1日1000字程度だって、10日も続けりゃ400字詰原稿用紙25枚分。太宰治の「走れメロス」と同等の分量だ。怠けるな、精進しろ!……と、もちろん言っていることは全て自分に跳ね返ってくるのだが。

 その後、前述に同行してもらう予定だった友人M氏に、予定をつぶしてしまったことに対する詫びTEL。その際、おとつい食べた麺屋武蔵で、湯切りのハデなパフォーマンスを見せる兄ちゃんと、湯切りした熱い飛沫が後ろのバイト君を直撃し、店内の笑いをさそったことについて話すと、
それは偶然じゃなくて“仕込み”。客が回転するごとに見せるサービスじゃないの? しかも芸のランクとしては、飛沫をかぶる兄ちゃんのほうが上
 などとのたまう。うーん、面白すぎ。

 夕方に昼食を食べにでかけたうえに、薬が効いて意識が飛び、寝室で気絶。気が付けば深夜の3時。しこしこと雑文を記し、チャンピオンの原稿にかかる。




2003年5月17日(土) ハンセン病資料館へ




 寝不足の帳尻を合わせたせいか、10時間近くに及ぶ睡眠を経ての起床。
 次週のステップを踏むためのリフレッシュと称し、国立療養所多磨全生園に行って森林浴。「オレは宮崎駿か」と思いつつ、さらに高松宮記念ハンセン病資料館を見学。不勉強ゆえに見識を深めようとか、そういう考えには乏しい。それなりの感心と知識は持ち合わせている。ただ映画や小説・マンガからモノを学んできたボンクラなので、意識のフラッシュポイントは『ベン・ハー』の隔離谷であり『砂の器』のお遍路行であり、『わたしが・棄てた・女』だったりと地場は不安定だが。強いて言うなら「近場だから足を運んでおこう」という漠然とした義務感か。

 それでも、訪れてみると自分の浅学が露呈する。らい菌は試験管培養が不可であり、研究用には動物の検体培養が用いられている事実や、園内通用券(紙貨幣)は感染を懸念したものではなく、「脱走しても外で困るぞ」という脱走抑止の効果を狙ったものであるとか。

 しかしかねて疑問に感じるのは、ハンセン病療養所に従事していた医師や看護者、あるいは従業員たちの立場だ。
 誤った認識にせよ、不完治の伝染病が横行する場として、患者への接触を畏怖する者もいただろう。しかし国家の医療機関ゆえ、意思の優先などなく強制的に勤務を命じられるケース、あるいは破格の報酬をもってリスクの代償としたのか……いろんな想像が頭をもたげる。国と医学の無知による犠牲者は、加害者の側に置かれがちな人間にもいるのでは? って、やはり見識が浅い証拠だ。

 帰り際、多数の看護学校生に付き添われた、患者とおぼしき車イスの老人とすれ違う。過去の断片として漠然と見てきたものが、重い現実として自分を嘖む。




2003年5月16日(金) 京橋・築地小周遊




 朝6時に起床。『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』の週チャンレビュー用のラフを仕上げ、10時に飯田橋の秋田書店へ。編集の望月氏と軽く今後のラインナップ打ち合わせと雑談。昨夜の『マトリックス・リローデッド』、もちろん話題の俎上に。 
 話が終わって昼食を食べ、1時の試写には余裕がなく、さりとて3時半の試写にはかなり早い時間を持てあます。せっかくなので国立近代美術館フィルムセンターに行こうと思い立ち、有楽町線に乗り銀座へ。
 一丁目の路上で『TAXi3』のプジョー406(ダニエル仕様)がトレーラーに乗せられ、プロモ回遊しているのを目撃。以前メディアボックスの宣伝さんと本作の宣伝話になったとき、
ダニエルのプジョー持ってきて都内走って回ればいいのに
 と進言したところ、
普通車一台だとインパクトに乏しいし、それにアレ、公道走れないんですよ
 などと言っていたが、そのテできたか。

 京橋はフィルムセンターでしばし常設展示「映画遺産」を鑑賞。ついでに機関誌別冊「フィルム・アーカイブの仕事:再定義」を購入。フィルム復元の理念と方法論を把握するには良著だが、既にデータが劣化しているところも。

 フィルムセンターを出てから築地方面へ移動。その途中に蘭学者・桂川甫周の屋敷跡地に遭遇。『風雲児たち』愛読者としては深い感慨に囚われたので、思わず携帯していたデジカメでパチリ。

 その後、仕事の絡みもあって今度こそ『フリーダ』を観に松竹に向かう。とにかくサルマ・ハエックの繋がりマユ毛が頭を離れない。ところが、遅寝早起きが祟って長丁場(2時間7分)への弱気が膨らみ、キッと松竹を通り過ぎてUIPへ。

 いやいや、週末にはやっぱりこっちというワケで、3時半より『アンダーカバー・ブラザー』試写。三留まゆみさん来ていたので挨拶。
「黒いオースティン・パワーズ」と例えられる作品だが、ブラックカルチャーをとことん揶揄する自虐ネタに、オースティンの100倍は笑っちゃったよ。エディ・グリフィンも、筧利夫にスミ塗ったような“信用のおけなさ感”バリバリなツラがピースだしさ。UIP、こんな傑作シネパトス送りとは、『ズーランダー』の轍を踏むんだな。

 終了後、試写室で一緒になったギンティ君らと共に秘宝編集部へ。ここでも話題の中心は『マトリックス・リローデッド』。ついでに『デッドコースター』監督のインタビュー依頼を受ける。最近ホラー作家のインタビューが続くな。

 秘宝を出て明治大学前でエルマガジンの須波さんと電話。ここにきても話題は『マトリックス・リローデッド』。関西は5月20日が試写だと。おいおい、マスコミ関係者への披露が東京の一般人より遅いなんて、どうかしてるぞ。というか媒体各社既に取り上げ済みだし、観せたという既成事実だけ作っとけってことか? 

 夜は西武新宿に向かう帰路、週末の有名ラーメン店で並んでラーメンを食べようという精神的余裕があったので、麺屋武蔵・新宿店でラーメンを食す。味は悪くないが、脂っこく辛い。基本的に若いヤツ向けのラーメンだよな。




2003年5月15日(木)
アンディ、ラリー。もっとスゲェの見せてくれよ!


 雨がしとど降り、外出もおっくうになるが、今日はちょっとフォローしとかなきゃならない試写もあり、午後より外出。
 銀座に赴き、近くの某有名中華料理屋さんに駆け込んでラーメンとチャーハンを注文。ところが手打ちのハデな音をドスンバタン響かせているワリには、麺にちっともコシがないガックリ食感。でもチャーハンは叉焼の甘みを活かした精緻な味付け。痛し痒し。

 とりあえずさっさと食事を終え、まずはヘラルド試写室にて『パンチドランク・ラブ』。
 ポール・トーマス・アンダーソンのカンヌ映画祭最優秀監督賞受賞作。いや、かなり屈折してるけど本当にラブロマンスだったんだなぁ。相変わらずスクリプトのセオリーを逸脱した独特の物語や、キャラクターを追って前後左右に揺り動くワイドフレーム。殊に『虹男』みたいな抽象カラーのセグメント、あれが妙にリンチ映画っぽい。そういやカンヌでデビッド・リンチに見初められたんだろ? 分かる気がするよ。

 続いてメディアボックスに移動し『茄子 アンダルシアの夏』。
 これは本年度カンヌ映画祭の監督週間に出品された中編アニメーション。マッドハウスの描画力は見事に自転車レースを活写してるが、同時にパートごとに作画のムラがあるのもマッドハウス。原作エピソードの絡め方がタイトなうえに語り口が『紅の豚』っぽく、パヤオ門下臭がきつい。でもジブリブランドじゃないから宣伝力は心もとないし、そういう意味では肩入れも惜しくない佳作。しかし意外や大泉洋、声優としての演技力が著しく向上しているのに驚く。
 ところで本作、上映フォーマットはスタンダードだけど、TVアニメ企画のスピンオフだったのだろうか。

 終了後、メイジャーさんとの話もそこそこ、銀座線に飛び乗り渋谷に移動。渋谷東急にて『マトリックス・リローデッド』。
"RELOADED"って、思いっきりダイレクトなタイトルだったのね、『必殺! 主水死す』レベルの。しかし長々としたところにきて、設定の口カスがヤケに多くなったというのがダイレクトな印象。アクションもバリエーションは予告編で見せた以上のものはないし。そもそも前作、
「物理的制約を取っ払った作品世界のステージで、とことんカッコいいアクションを見せる
 ってポリシーがあったワケじゃん? 今回も中盤のカー&バイクチェイスなんか、絶対不可能なカメラポジションの連打だったし、そういうのをオレとしては徹頭徹尾見たいワケよ。しかもケツに流れた『レヴォリューション』のビジュアルのほうがインパクト強烈でお預け感覚強いんだよ。
 しかしなぁ『マトリックス』、なんだか微妙にジョエル・シルバー濃度が高くなってる気がする。やだなぁ。

 帰ってFAX送信されていた文字稿チェック。そのままフロを沸かしてバスに潜り込み、半睡半醒の状態でしばしよどむ。




2003年5月14日(水)
タルコフスキーの方面向いて、はい土下座の用意!




 午前中は細かい仕事を消化し、午後イチ『ソラリス』の品定めにフォックスへと足を運ぶ。しかし六本木ヒルズ効果か、平日の昼間はまるで赤字路線のように閑散としている地下鉄大江戸線の、ウソみたいな高乗車率に驚く。

『8Mile』の試写を観て銀座から移動のテリーと現場で待ち合わせ。試写室の前で待ってると、ようやく向こうから見慣れた巨漢がやってくるので、「おお、思ったより早かったなぁおまえ」と手を振ったら水野晴郎先生だった。

 しかしまいったね『ソラリス』。 この誰のためにもならないリメイクに対し、それでも全てのネガティブ要素が飽和すりゃプラス変容もありえるなんて、詮ない希望を一瞬でもした自分にとどめを刺す『イベント・ホライズン2』。タルコフスキー版より勝っているのは催眠効果だけ
 だいたいソラリスが海洋惑星であることが明示されなきゃ、地上での水からみ演出が意味を成さないし、作品世界の骨格に肉迫せず上っ面ばかり掠めとりゃ、サイコロジストであるはずのケルヴィンがただのバカに見えるだろうが。処置なし。ソダーバーグ、おまえ地獄に堕ちろ

 六本木交差点でテリーと別れ、そのまま松竹に移動して『フリーダ』を観る予定だったが、移動が面倒になったのでお隣のギャガにて『スティール』試写。スティーブン・ドーフ主演のXスポーツ強盗団映画。87分のタイトな上映時間、全編が強奪シーンの連続という動的要素の高い映画なのに、『ソラリス』の催眠効果がタールのようにまとわりつき、意識が遠のく。

 しかしホント、『ソラリス』がここ数年で最も唾棄すべき映画体験だったので、帰って口直しに『惑星ソラリス』DVDを視聴。もちろんお約束どおり、観ながらすさまじい眠気に襲われて気絶する。




2003年5月13日(火) トランボの復権




 レギュラー原稿、ほぼ終了……。
 でも安堵感に浸るヒマなく、少チャン編集部から『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』のスチールデータが送られてくる。カラー原稿のラフを早急にあげろとのお達し。シワシワ縮んでいく気持ちの“音”が内耳に響く。

 仕事優先で一週間近くスクリーン離れしていたため、手に震えがくる。映画ジャンキー、ちょいとクスリを求めに新宿へ。テアトルタイムズスクエアで8月に公開される『ローマの休日 製作50周年デジタル・ニューマスター版』の試写。
『ローマの休日』のデジタルレストアは米パラマウント・ホーム・エンタテイメントからのDVDリリースに伴い施されたもので、本国ではビデオスルーでのお披露目。だから日本上映はパラマウント・ホーム・エンターテイメント・ジャパンの配給となる(冒頭に流れた"Restoring Roman Holiday" はDVDの特典映像だし)。
 さすがに行き届いたノイズ消去と色調補正で 元・東京アイマックスの巨大スクリーンに投影しても見苦しくないクオリティになっているし、モノラル音源の5、1ch化が定番の昨今。敢えてモノラルのままという心意気も嬉しい。

 そんなことより驚いたのは、脚本のイアン・マクレラン・ハンターが、今回新たにダルトン・トランボの名でクレジット変更されていることだ(トランボに関しては現代教養文庫の『ハリウッドとマッカーシズム』を読んでくれ)。1991年にトランボ名義はオフィシャルに認められているんだが、実際にオープニングクレジットに変更が加えられると妙な感じだ。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』へと改題されてしまった感覚に似たり。

 映画はあまりにもポピュラーすぎて、今さら内容に関しては言うべきこともなく。そういえば『ローマの休日』、亡くなったオカンが好きだったんだよなぁ……と、ちょっと母親のことを思い出しながら帰路に就く。





2003年5月12日(月)
笑ってやって、今ごろ『たそがれ清兵衛』ですわ




 未入稿のレギュラー原稿も残すところあと1誌。なぜか分からんが、今月は攻めあぐねたよ。まだ食いきっていない椀子そばの椀に、オバちゃんがポイポイそばを投げ入れている感覚。

 少し余裕が見えてきたので、久々にツタヤに足を運んで未見のDVD作品を貸りる。タイトルで記したとおり、レンタルしたのは『たそがれ清兵衛』。職業柄、昨年の日本映画の賞を総ナメした作品を観てないなんてかなり致命傷だと思いつつ。
 うーん、ストーリーは予定調和なまでに山田洋次なんだけど、考証や設定、時代劇の絵作りが徹底していて“らしくない”違和感を覚える。初の時代劇だから、今までに類比すべきインター・テクスチャリティがなかったこともあるが。特に田中泯の演じた善右衛門は、山田洋次の映画には絶対登場しそうにないエキセントリックでクレイジーなキャラクターだしな。たこ社長VS寅さんのバイオレンスとは意味合いが違う。
 あと、やっぱり黒澤への礼節みたいなものが少し感じられたな。冨田勲の音楽は評判通り素晴らしかったが、サントラ盤がマキシCD並みの収録曲数なのに納得。

 そう考えるとチャン・イーモウの『HERO』って、山田洋次的な武侠モノだよ。『たそがれ』オキニな人は必見。




2003年5月11日() そういう日もある



 特記することなし。ひとつひとつシラミつぶしに原稿を仕上げていく。

 午後からメチャクチャ眠気が差し、ひたすらに寝入ってしまう。倦怠感が強く、肝臓障害かと妙な疑いが頭をよぎる。ここ数年は健康診断を受けていないので、どこかガタがきていてもおかしくはない。酒タバコもやらないし薬も服用しない。となると暴食か? 限りなく疑わしいオレの体。というワケで、近々健康診断に行こうと決意。その決意だけが実りある一日だったかもしれない。細々といろんなことはあるが。






2003年5月10日(土) 杏ちゃん、ますます肥大化




 毎月簡単に終わるものが今月は終わらない。どうしたんだオレ。
 友人M氏より神田祭(神幸祭)に誘われるが、上記の理由で赴けず。今年は開府400年にあたり、賑わいもとびきりだったらしいが。まったく、金銭的余裕があるときには時間的余裕がなく、時間的余裕があるときにはその逆だ。

 昼食時、テリーから岩井俊二のショートフィルム『花とアリス』のネット配信を聞き、とりあえず視聴、半ば義務的感情で。
 中学3年生の花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)が、ある日乗り越した通学電車で気になる男子高校生を見かけ……で始まるボーイ・ミーツ・ガール。沿線の駅名が「水木」「石ノ森」「藤子」「手塚学園」と、何だかなぁ。音楽を岩井俊二本人が担当しているが、テーマモチーフが二つくらいしかなく、全編にべったり乗っかってウルせぇ。おまえはカーペンターか
 詳細なデータがないので、メイキング映像を収録したDVDがついてるキットカットのパックをファミマで購入。その中で写っている撮影カメラを確認したら、ソニーのHDCAM-24Pだった。デジタルシネマか。ほとんど自然光撮りで、撮影監督は篠田昇。

 深夜、『愛のエプロン』を観てから24時間営業のディスカウントスーパーに行き、お茶やら食料を買い込んで臨戦態勢に。




2003年5月9日(金) 赤裸特工




 今日も今日とて、さんざ遅延原稿との格闘。ところが某所から『赤裸特工 Naked Weapon 』のDVDが贈られてきたので、何はさておき観てしまう。人生、ところどころに誘惑のワナがあるな。
 世界のアチコチから集めた姉ちゃんを戦闘教育し、お互いを戦わせて精鋭美女ウェポンを完成させ、要人暗殺に送り込むという、キャバクラチックな『あずみ』というか。“斬りたくなくても斬らされる。きぃっちゃまぁ〜”って感じ。でも美女だから殺しはエレガントに、そしてセクシーに、とりあえずそういう映画。
 しかし関係ないけど『バトル・ロワイアル』って、シリーズが5くらいまで続くと絶対に女子高を舞台にしたヤツが製作されると思う。いや、お願い。
 
 プロ野球はアレ、好調タイガースに浜中、片岡、アリアスの三打者連続ホームランが出たそうで。今ごろ大阪では「15年前の再来だ!!」と、ファンがビュンビュン戎橋から身投げしてんだろうなぁ。溺死体の後かたづけも大変そうだ。

 結局、『赤裸特工』のせいで時間ロス。おかげで『アダプテーション』の試写に行けずにガックリ寝。





2003年5月8日(木) 朝晩、寒いよ




 いや、いろんな仕事やら個人的問題やらが平行して、日記もままならないワケで。
 そんな原稿の一環として、サンプルビデオにて『略奪者』を視聴。12億相当の砂金を強奪したワル4人がトレーラーで取引先まで疾走する、あの『恐怖の報酬』を換骨奪胎したような作品。アンリ・ジョルジュ・クルーゾー版よりはフリードキン版の匂いがプインプイン。自然光撮影のザラっぽさや差し込み斜光、汚しのレリーフがフランス映画というよりBD。この監督、次の作品はコミックの映画化ということで、なるほど……でもベッソン・ブランドだぜ

 ちょっと思うところもあり、駅前の焼鳥屋さんにてテリーに説教。仕事が控えているのでアルコールは入れず(もっとも下戸だが)、ただただひたすらに焼き鳥をほおばりながら「おまえには計画性が云々」「自分の原稿を読み返せない余裕さえない仕事でどうするアレコレ」。
 往々にして説教というものは、他人に言ってる傍から自分に言い聞かせている部分が大きいので、まぁ、自分を奮い立たせる意味合い強し。いやしかし関東ってホント、焼き鳥文化圏だな。




2003年5月7日(水)
おとなしいトム・グリーン




 朝、とりあえずチャンピオン原稿をあげ、そのままFAX。クリスチャン・デュゲイだけで1ページ埋めるのは、とても大変なことなんだぞ。

 半睡のまま東宝東和に行き、『ニュー・ガイ』試写。『ザ・コア』で、人類存亡のキーはこいつに委ねられるD・J・クォルズ主演の学園コメディ。ローサーがジョックスに復讐するヒエラルキー逆転映画。ジーン・シモンズにトミー・リーといったムダに豪華なカメオ。監督がファレリーBrosのバカ友エド・テクターだから、空気のように差別ギャグあり。

 そのまま居残って『キャンパス・クレイジー』試写。ハーバードに合格した姪の入学金3万ドルを用意立てなきゃならなくなるジェイソン・リー&トム・グリーンのバカ映画。当然トム・グリーンはトム・グリーンとしてドラマに荷担しない存在なんだけど、まだ物語への組み込まれ度は高いほう。でもそれを誰も期待してないので、 ラジー賞候補は当然か。

 同席していた映画秘宝編集部の大内さんと別れ、秋葉原に移動。「イッツ」に赴き仏PAL版DVD“ L`EMPIRE DES SENS”を受け取りに行く。大島渚の『愛のコリーダ』といったほうが通りがいいか。
 もともとフランス資本のフランス映画、お膝元からのリリースということになるワケだけど、既に米Fox Lorber版を持ってるんで、いまさらオリジナル云々は個人的に重要じゃない。問題は画質で、そこはそれ『愛のコリーダ2000』の国内版DVDと比べても完全に勝る美しさ。でもいくらきれいでも、画面に映るのは藤竜也や殿山泰治のチンコだしなぁ
 メイキングドキュメンタリーは製作の若松考二や、助監督として撮影についていた崔洋一へのインタビューが主。フランス盤なのにヘンだ





2003年5月6日(火) 砂漠の冒険




「ドリーさん、今までで一番感銘を受けた映画は?」
    
 という質問をよく訊かれるが、人と場合と状況を見て『砂漠の冒険』と答えている。……あ、なんか疲れてるな。

 朝から仕事場に詰めっきりで、原稿諸々で死にそうになっている状況下、ふと『砂漠の冒険(1970年・監督:ジャミー・ヘイズ)のことを思い出してしまった。

 飛行機事故で生き残った少年とその飼い犬が、砂漠を冒険する……という他愛のないアドベンチャー映画。
 ヘビの毒が目に入り、熱で倒れた少年を土人…もとい部族の人がパンみたいなものを口の中に入れてモゴモゴし、それを目に当てて治療してやるシーンや、彼らが生気を取り戻した少年に肉をごちそうするも、連れの犬がいないことに気付いた少年が「オレの食ってるの、ひょっとして…」と誤解し、怒りながら村を逃げ出ていく場面などがとても印象深い(そこしか覚えていないんだけど)。

 いちおうこれ、1970年製作のイギリス映画ということになっているのだが、本当は1969年のメイド・イン・スゥエーデン。主人公の少年の名前をとった『ダーキー』というのが原題だ。

 これ、小学校のとき学校の体育館で観ている。俗に“公民館巡回映画”というヤツで、たぶん多くの人が何らかの教育施設で目にしている作品だ。
「ひょっとして、今もどこかで……」
 と思って検索してみたら、2年前に小平市中央公民館で上映されているではないか!!
というワケで、この映画と久々に再会したくなったので、ちょっと探してみようと思う。もちろん原稿終わってからです。すいません現実逃避で。ほんとヤバイです。





2003年5月5日() 雑記みたいで勘弁




 祝日だが関係ない。今日も原稿締め切り攻勢に泣く。

 その合間、テリーと軽く原稿の打ち合わせをするが、彼の寝起き頭が『イレイザーヘッド』のジャック・ナンスみたいなのを指摘。ところがテリー、褒めたつもりが烈火の如く怒り、行方不明に。
 まぁ彼奴のことは放っておき、原稿のために送付されたサンプルテープを見ようと思ったら、何を間違えたのが『第26回日本アカデミー賞授賞式』の番組録画テープをセットしてしまい、しかもそのまま何の疑問もなく見入ってしまう。でも宮沢りえのスピーチ、ちょっと感動しちゃった。

 タマちゃんに釣り針が刺さって保護するかどうかのニュース。どうでもいいけど、すっかり成長しちゃって、もはや可愛くもなんにもないという事実に目をつぶるのはいかがだろうメーン

ホミサイド/殺人捜査課』のファーストシーズン&セカンドシーズンのDVDがアメリカで発売されるというニュースを聞き、悶々とする。国内版がリリースされそうにないしなぁ……と考えつつ、夜中に突然ミニストップのソフトクリームが食べたくなったので、深夜徘徊。
 あっちゃこっちゃ行ったあげくの、明け方の寒さに打ち震えながらソフトクリームを食うオレ。いろんな疑問が頭をよぎるが、とりあえずミニストップのソフトクリームの美味さには感動する。180円+税。





2003年5月4日() 北京原人の逆襲




ドリーさん、今までで一番感銘を受けた映画は?

 という質問をよく訊かれるが、人と場合と状況を見て『北京原人の逆襲』と答えている。
 これを観たのは25年前の、今は無き米子ピカデリー。プロフィールでは10日間上映劇場に通い詰めたと書いているけど、もちろんウソさ! けど都合3回映画館に行き、しかも一日中劇場にいて合計10回は観たのはホントの話。

 ダイレクトな残酷描写、今やるなら小池栄子しかいないエロ女ターザン、鬼瓦権蔵みたいなペキンマンに、大がかりなミニチュアセット(特撮は有川貞昌)。エテモノの中でもひときわ怪獣度とオッパイ度の高い作品で、自分の足場を見失う度に観たくなる1本。ところがなかなかビデオ化されず、ようやく3年くらい前にミラマックスから北米版DVDがリリースされた。しばらくタランティーノに足を向けて寝られなかったね。

 なぜ今になってそんな話を蒸し返したのかというと、その『北京原人の逆襲』のDVDを新たに入手したのだ。ここに記すからには今さらミラマックス版なんかじゃない。昨年、天映娯楽(Celestial Pictures)というメディアカンパニーがショウ・ブラザーズ作品760本のTV放映・ビデオグラム化ならびにリメイク権を買収し、3年計画で全作品のデジタル・リマスター作業を敢行。その中に『北京原人の逆襲』もあり、同年に東京国際映画祭でピカピカの本作が披露された。そのレストア版がようやくDVD化となり、オレの手元に存在する。
 このDVD、フィルム傷もダズトノイズも完全に消去され、まるで新作のよう。スクイーズ収録じゃないが、それを補って余りある高画質だ。初公開時に観たときだって、こんなに綺麗じゃなかったもんな。感動のあまり2度も3度も観て、今日という日をムダに過ごしてしまいました。いや、オレ個人としては全然ムダじゃないんだけどさ。
 
 天映娯楽のウェブにも記されているが、ミラマックスがショウ・ブラザーズの作品50本のリメイク権を譲り受けている。もしその中に『北京原人の逆襲』が入っていたら、2005年12月に公開予定のピーター・ジャクソン版『キング・コング』の向こうを張ったリメイクを製作して欲しいね。いや、別に望まずともピーターのコングが『北京原人』テイストに仕上がると思うけど。






2003年5月3日() ああ、だるい。




 黄金週間3連休。親父がこっちに遊びに来る予定だったが、キャンセルしたとのこと。やもめ暮らし、怪しいったらねぇや。
 こちとら連休かまわずテリーに説教。仕事の段取りの悪さと未消化の多さ。バカキャラを売りにするのはいいけど、本当にバカじゃ使いものにならんみたいな厳しいことを。
 
 という自分も仕事に火がつかず、倦怠ムードで久しぶりにTVでプロ野球「巨人対広島」をダラダラと見る。ところが9回裏逆転色が濃厚だったので、夕食を食べに外出。案の定、犠牲フライで巨人に勝ち譲ってやんの。野球って筋書きのないドラマのわりに、妙に予定調和なところがある。
 だが災難との出会いはいつも突然。晩飯を咀嚼していて脳血流が活性化したのか、10時からのNHK教育のETV特集「『仁義なき戦い』を作った男たち」のことを突如思い出す。あわてて帰ってチャンネルを合わせたときには既に番組も終盤。話題は笠原和夫の東映戦争大作脚本の話と、『スター・ウォーズ』の試写が回り始めてから『宇宙からのメッセージ』の企画を通した東映の機動力について云々。どこが『仁義』なのかサッパリわからない中途観賞

 夜は「愛のエプロン」を見て、執筆謹呈本『三池崇史の仕事1992-2003』を読んでいるうちにZzzzzz。





2003年5月2日(金)
さぁ〜て、来週の『サザエさん』は?


 カツオです! 今日は家でおとなしく原稿やらなきゃならないのに『恋愛寫眞』の試写に行ってしまいました。だって昨夜、夢枕で広末涼子ちゃんが、
観てくれなきゃ脳溶かしちゃうぞっ!
 とか言うんだもん。あの笑顔でそんなこと言われて、あんた断れるか? そんなワケで次週は、
「波平、タランティーノとメル友になる」
「カツオ、そいつは共和党だ!」
「マスオ、ヒトラーの一日側近体験」
 の3本です。来週も観てくださいね、じゃんけんぽい! 負けた!!
  

 一時期の涼子バッシングに胸を痛めたこのオレ様の、まぁいろいろ浮気もしてみたけれど、やはり基本はここにあるんだなぁと感じさせる作品。ヒロスエ、国で保護な。
 堤幸彦も日和った映画撮りやがってと思ったら、ムダな小ネタ満載でいつものヤツでした。巨根ネタもあるしさ。ところが試写観に来てるマスコミ連中、誰一人としてニコリともしない。というか堤、なんだかギャグレベルが竹中直人に、ビジュアルセンスが岩井俊二と化してきたなぁ。

 しかし小池栄子のツラって洋ピンの日系人女優…もとい濃いオリエンタリズムを発してるから、今回は役的に説得力あるなぁと考えつつ、すぐ横のUIPに移り『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』試写。
 冤罪で投獄され死刑執行を待つ死刑廃止論者と、彼の無実を証明するため、物的証拠を得んとする女性ジャーナリストを描いたアラン・パーカーの新作。作家的には『ミシシッピー・バーニング』系統の社会派素材を『エンゼルハート』&『バーディ』を掛け合わせた演出の語り口で描きましたって感じか。『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』の頃からカッティングセンスとビジュアルスタイルに変化もなければ古びもしない、まるでUK映画界の由美かおるだ。主演はケビン・スペイシーなので、もちろん衝撃のラスト付き。ケイト・ウィンスレットが儲け役。何以来?って問われれば『乙女の祈り』以来としか。うーん、ブランクありすぎ。

 帰りに秘宝編集部に立ち寄り原稿の話、打ち合わせに来ていた池田憲章先生からITC&『謎の円盤UFO』の裏ネタを教示いただく。







2003年5月1日(木)
「世の中には二通りの人間がいる。
ギリシャ人とそれを羨むヤツだ」


 原稿が遅れ気味だが、GW前にどうしてもフォローしておかねばならない試写があり、都内へ。その前に駅前の西友でプリントを頼んだ写真を受け取り、近くの書店で『ワイド版 風雲児たち』13巻(リイド社)と『明治の精神異説』(岩波書店)を買って電車に乗り込む。
 デジカメプリントは初めてだが、ホームプリンターに比べると確かに高画質な仕上がり。ただフィルムに比べるとやはり色の締まりとエッジのシャープさに乏しい感じ、まぁ、サイズと画素数によって画質も大幅に違ってくるだろうが。

 まずはワーナー試写室にて『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』。原題表記の最悪な例。大デブの結婚式じゃなく、ギリシャ姉ちゃんの結婚騒動記。ここ最近で一番、試写室の笑い度数が高かった作品。ギリシャといえばアンゲロプロスとヴァンゲリスくらいしかピンとこないオレも、思わずつられ笑い。
 脚本・主演のニア・ヴァルダロス。劇中じゃ30歳の役だけど、プレスに年齢が載ってないので調べたらなんと41歳! 冒頭のオバサンぶりは役作りじゃなかったのか。というより、後半の美人度アップを考えると驚きの実年齢。それもさることながら、いまどきドルビーSRってところがロウ・バジェットのそれ。

 その足で銀座ヘラルド試写室に移動し『EX エックス』。2代目クローネンバーグことクリスチャン・デュゲイ監督による、エクストリーム・スポーツを材にした“クリフハンガー”アクション。物語と肝心のXスポーツが連動しておらず、敵役がいてもいなくてもストーリーに関係ないのはどういったものか。物語を取っ払って1時間くらいに短縮し、アイマックス映画にしろ!(画は荒くなるが) 
 もとよりデュゲイ、おまえの傑作ってTVMの『ジャンヌ・ダルク』くらいじゃねぇの。もっともアレはリリー・ソビエスキーで勝ち拾ったようなもんだが





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