2003年6月30日(月) 怪談




 今日は急を要する試写もなく、そろそろ原稿に本腰入れないとヤヴァイやなと、朝から仕事部屋に詰める。でもやる気に火がつかず、購入してほったらかしだった『怪談』DVDを視聴。

『切腹』と双璧をなす小林正樹のこの傑作は、初公開以降、京橋フィルムセンターでも京都文化博物館でも、はたまたビデオでも161分のカンヌ出品短縮版しかお目にかかれなかった。ところが2年前に182分のオリジナル版のマスターポジが発見されたそうで、それをHDテレシネマスターにして今回のDVDリリースとなった。「黒髪」のラス前のくだりや、「耳無し芳一の話」の壇ノ浦合戦のシーンなど、確かに冗長と思われるシーンがごっそり削られていたことがわかる。
 オレ的にはこの『怪談』、ミュージック・コンクレートを用いたサウンドトラックに驚いたクチ。画で語っていることを楽曲で語るという付随性から“音”を開放し、一義を多義にする武満徹のアプローチには心底震えた。

 映像特典として収録されていた『怪談の面影〜小泉八雲の愛したもの〜』は、ラフカディオ・ハーンゆかりの地として出雲・松江の名所がバンバン紹介され、妙に里心をざわつかすドキュメンタリーだったが。

 崇高なるクリエイティブ精神に感化されたか、机に向かって仕事を始める。でもそんな気合いも『ニュースステーション』が始まる頃にはすっかりシボんでカケラもない。挫折、早っ!!




2003年6月29日(
悲しみが来ても友達迎えるように微笑わらうわ




 睡眠不足のツケ払いだろう。あれだけ早い時間に床に入りながら、起きたのは11時。

 外気より暑苦しい沈鬱な顔をして、テリーが真剣な相談を打ち明けに来る。聞けば9月18日に発売される「斉藤由貴CD−BOX」が6月30日予約締め切りで、果たして予約したものかどうかと。
 普段ならパンチの一発、後頭部にめり込ませて「完」の段取りだが、オレも我が事のように本気で悩む。日頃からやれ上戸彩だ矢田亜希子だと、アイドル新陳代謝だけは活発で劣化のないオレたちだが、斉藤由貴は真の骨抜き偶像。高校時代にどれだけいっぱいカネ使ったと思ってるんだ。
 ケンケンガクガクのすえ、要は「悲しみよこんにちは」が聴ければいいってんで、ならベスト盤買えばということでお悩み終了。そういえば、
「高校時代は考えもしなかったが、今なら営業次第で斉藤由貴に会えるじゃん」
 とテリーが言うが。いやそれは違うんだ。オレは乙羽信子に会う気はないので。

 この暑さで体調狂ったか、夜まで締まりのない生活をする。『EZ!TV』でt.A.T.u.騒動の顛末ルポを見るが、共産圏でああいうコンセプト、あいつらコミックバンドじゃなかったのか。それからジュリア、日曜の銀座歩くときはブラぐらいしろ。
 そのままニュースに流れ、NHKアーカイブス『新日本紀行「三重連の峠」』を視聴。
 秋田・青森県境の矢立峠を駆けるD51の三重連走。別に鉄道マニアじゃないが、オレのオヤジが若いころ国鉄の機関区員で大のSL好きだったせいか、蒸気機関車の魅力を擦り込まれた。ああ、機能美ここに極まれり





2003年6月28日(土) 携帯電話




 夜は12時前に寝て、朝は5時起床という健康的な生活リズムが定着したここ最近。しかし暑いな。持てあますぞ自分の体、10年くらい前から。

 昨日取りに行き損ねた新しい携帯と、モバイル用PinFree1Pを受け取りに出掛ける。というわけで携帯を変えた。同時にモバイルのためのPHS契約も解除し、@FreeDに移行。外でのメールチェックやネットアクセスの通信頻度を考えると、こっちに踏み切ってもいいだろうと判断。こうなってくると新しいシグマリオンが欲しくなるが、そこまでキーボードタイプのWindowsCE機に操を立ててどうするという疑問も

 家に帰って新しい携帯とチャカチャカ格闘。困ったのは電話番号管理。「ケータイエディ」も新しいバージョンはWindows版しか出てないしと、ブツクサ考えつつためしにやってみたら、あら、うまくデータ転送できたじゃない。

 こんなことをやっていると、時間は夢のように過ぎていく。「愛のエプロン」見て寝る。すまん、そういう日もある。





2003年6月27日(金)
映画ガチンコ兄弟、またまた
東映アニメーションギャラリーへ




 人間、齢を重ねると体感速度が早くなるというが、本当だよな。あっという間の週末だ。

 午前中は昨日の週チャンのリライトであたふたし、昼直前に大泉学園へと向かい、東映アニメーションへ。先月行った東映アニメーションギャラリーの展示入れ替えがあったので。
 今回の目玉は東映長編動画の最高峰である『わんぱく王子の大蛇退治』を中心とした展示アイテム。『虹のかけ橋』タイトルの台本と絵コンテ、宣伝用セルに動画セルに背景画、モデル人形に設定画と、今回も垂涎の歴史的資料がワンサカ。特に考証を担当した画家・蕗谷虹児の初期デザインがレアか。



天の岩戸のライブアクションを見て嬉しそうなテリー。
ちなみに中央右に位置するスチールは、演出の芹川有吾と
作曲の打ち合わせをする伊福部昭

 ギャラリーに通してくれた総務課のおばちゃんが、わざわざの見学にと『おジャ魔女どれみドッカ〜ン!』の団扇をくれる。いいオッさんが大学生のアニヲタと間違われたのだろう。しかも、
「若い子は最近の作品のほうがいいでしょうけど。あなたたちもそうでしょ?」
 などと言うので、
「『ホルスの大冒険』スッとばして『ワンピース』とか展示したら、殴り込みに行くからな!
 と捨てセリフを吐いて帰る、ウソ。

 東映アニメーションを後にし、テリーは『ファム・ファタール』の最終試写に向かい、オレは映画美学校第2試写室にて、黒沢清の新作『ドッペルゲンガー』の試写を観る。
 自らの分身=ドッぺルゲンガーを見た者は死ぬという、ホラー仕立ての前フリになっていながら、後半は人口人体を巡る奪取戦が展開される、ずいぶんとイビツな着地点。黒沢が愛する『JAWS』のフォーマットなのか。スプリット画面で二役を処理するという面白い試みはあるが、作品のフットワークが軽すぎて感慨に乏しい。

 銀座は日産ギャラリーでテリーと合流し、東宝に移動して『ドラゴンヘッド』試写。
 うわぁ、いろいろ疑問もあるけれど、これ夏休み映画いちばんのオススメ。だって、今後観られなくなる可能性も充分に考えられるんだもん。すなわち“平成版『ノストラダムスの大予言』”。東宝特撮パニック映画の意匠を借りた、キチガイ大集合ムービーなのだ! ロボトミー手術の少年なんか、テイストが完全に新人類。これ絶対テレビ放映できないだろうなぁ。それはともかく、廃墟と化した市街のCGデパートメントが秀逸。

 夜11時に帰宅し、返事を要するメールが山ほど来ていたのだが、睡魔に勝てず寝る。





2003年6月26日(木) 青いな、おまえ




 テリーが日記でコンビニ受難話を書いてるけど、オレも浪人のときや学生時代はコンビニバイトやってたから、そんなのは何度も経験済みよ。しかも場所が市内の歓楽街だったんで、ヘンなのは比じゃないぜ。
あー私は石原裕次郎だが、ヘネシーを持ってこい」という怪電話が一ヶ月くらい続いたり、近くで起こった絞殺事件の、凶器となったヒモがウチで買ったものらしく、警察の調書取りに数日間協力させられたり。買い物に来る常連のホステスをデートに誘ったら、そいつの彼氏が地元ヤクザの構成員で、面倒なモメ事を店のママさんに収めてもらったとかね。そういうへヴィなエピソードじゃないと。季節の変わり目によく登場する人じゃ、インパクト薄いぜ。あとつのだひろが買い物に来るとか。

 今日は午前中に関西ウォーカーの仕事をあげ、午後は昨日よりの検案だった携帯契約の変更をする。その足で秘宝編集部に向かい、原稿の打ち合わせ。同時に本誌の他にムック第2弾の原稿を依頼される。久々に1万字クラスの長文を手がけることになりそう。

 帰り際に田野辺さんが
尾崎君さ、『時をかける少女』が好きなんだってね
 というもんだから、
ええ、ジャスト世代だし、原田知世と同い年だし
 と即答。すると田野辺さん、
キミはこれを観て矯正が必要だよ
 と、やにわにDVDをとりだす。何かと思えば『宇宙からのメッセージ』じゃないの。
 いろんな疑問が頭をよぎるが、必死にベバ2号の真似をする田野辺さんの姿に目頭が熱くなり、ここを出たら即買いしますと告げて編集部を後にする。当人の手前そんなことを言ってはみたものの、お茶の水の夜風が次第に自分を冷ます。なにより、すでに10時を回ってて買えるとこなんかありゃしない。仕方がないので書店にいき、熊田曜子のムック写真集を買って帰宅。なんかスゴイ背信行為ですいません。遠きの深作より目先のお姉ちゃんですんで

 帰って即効、週チャンの杉田さんに電話。原稿の件で、配給会社の理不尽なポリシーのためにリライトを要求される。試写もまだだわそのクセ口だけは出すわで辟易。テンション下がっちゃったんで寝る。






2003年6月25日(水) 飛べ!グリーンジャイアント




 朝はかなり早く起きたのに、何をするというでもなく昼になり、昼食と服を買いに外出。
 ついでにバッテリー消耗が早くなったため、携帯電話を変えようと思ったが、NTTドコモ関西契約者はドコモショップでの機種交換しかできない(しかもかなり割高)。仕方がないので解約し、関東エリアに乗り換えようと決意。電話番号が変わるのは抵抗あるんだが。

 いったん家に帰って身支度をし、夜7時30分より五反田イマジカで『ハルク』試写。
 3Dアニメーションキャラとしてのハルクの造形&CGの完成度に驚く。本編もストーリーは別に大した話じゃないが、破壊映画としてのドッカンドッカンなパワフル描写に唸らされるし、『アンドロメダ』のオープニングや『クリープショー』のように画面が複数スライドし、コミックのコマ運びを再現したような場面転換はやたらカッコいい。デジタル編集ならでは。アン・リーの作家性なんて全然見えないけどよ。

 久しぶりに新宿経由で家に帰るが、ゴールデン街あたりに火事跡独特の臭いが残っている。

 帰ってから衝動買いした『グラディエータースーパービットDVDを視聴。
 説明は野暮かも知れないが、スーパービットってのは映像特典や日本語吹替、オーディオコメンタリーに割かれている容量部分を全部本編にまわすことで、高画質を追及したハイエンドユーザー向けDVDソフト。
 うん、これは確かにすごい、映像のキメの細かさが全然違う。既に所有しているソフトをこっちに買い換えたくなるね。正直、DVDの音声解説や映像特典なんて、仕事としては文字資料ほど使い物にならないしなぁ。






2003年6月24日(火) 審判の日は…




 朝、チャンピオンの原稿をあげファックス。担当の杉田さんから折り返し電話を受け、その後のスケジュールと雑談。
 ところが彼女、とんでもない毒吐き魔であることが判明。二人で『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のアナキンの話になり、オレの、

「かりにも悪の権化ダース・ベイダーになる男がさ、ジェダイの戒律を破って禁断の恋に踏み込む理由が“アミダラの人間性に惹かれて”とかじゃなく、ヤリたい盛りの思春期な肉欲でいいのかなぁ」

 という疑問に対し、

「あたしはそれをリアリティと受け止めましたよ。しょせんベイダーも人の子なんだなって。やっぱり男の人はセンチにものを考えますね」

 とサラリ。いやでも、あの古色蒼然とした描写をリアリティと捉えるなんて、ルーカスも喜んでくれるよ。

 その後はエルマガジン編集の竹村兄と電話でページ構成の打ち合わせ。メールで嬉しい写真を送ってくれる。

 それから家を出て恵比寿へ向かい、OTCへ。リニューアルするCS『衛星中立放送パンドレッタ』の収録打ち合わせに参加。
 それから日比谷線でテリーと有楽町へと移動し、よみうりホールにて『ターミネーター3』マスコミ完成披露試写。

 そうか、ドラえもんで来たか…。あいや、ここ数年でもっとも製作費を投入した大作なのに、プログラムピクチャー臭のキツさがモストゥ的というか。キャメロンの設定した世界観をとことん遊びに転化し、観ている間の楽しさはあるが、それと引き替えに風化速度はやたらと速そう。ベルトラミの音楽アプローチは『スクリーム』に毛の生えた程度で、良くも悪くも地味。それにしてもジョン・コナーが呆れるほど醜悪な顔になっていたのは、キャラ的に含むところがあったのだと納得。

 帰宅して名古屋章の訃報を知る。オレにとっては、やはり『新マン』のナレーションだろう。ウルトラバーリアだもん、合掌。





2003年6月23日(月)
オレ様、木更津の遠さに今日も弱音を吐く




 今日も5時起き。昨日と同じく、本日も千葉県木更津市に行かなきゃならないオレ。本日は『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』の製作発表記者会見があるのだ。
 昨日で移動の段取りは掴めたし、余裕をもって7時くらいに家を出たが、平日でこの時間、通勤ラッシュに往生。昨日の小旅行気分は消え、イヤでも仕事モードになる。
 10時前に木更津駅に到着、そこから会場までタクシーかよと思ったら、記者会見用の送迎バスが用意されていたので乗る。

 記者会見場は関東圏内の人間なら誰もが知ってる、
「♪こ〜こは〜楽〜しい〜、ホテルみかづ〜きぃ〜〜」
 でお馴染み竜宮城ホテル三日月。わざわざ遠いところまで足を運んでくれたマスコミに、温泉でもつかって帰ってもらおうという趣向らしい。気づかいはいいから、会場は新宿パークハイアットくらいにしてほしかった。

 11時より記者会見が始まるが、昨日でお役ご免の感があるので、黙って皆さんの豊富やら意気込みやらを拝聴。つつがない会見だったと思うが、木更津に対する思いをそれぞれ訊かれた際、酒井若菜の、

私は東京のようにゴミゴミした場所が嫌いなので、木更津の何もないところが好きです

 というガチンコ発言が戦慄の瞬間だったかと。許してやれよ、栃木人の偽らざる感想として。

 記者会見が終り、さっそく温泉でもよばれようかと思ったら場所が分からず右往左往。仕方がないのでいいタイミングで来た送迎バスに乗って木更津駅へ。昼ご飯を食べようと商店街をうろつくが、これといった店もなく、その多くが閉まっている、街が息をしていないじゃないか。


名物あさり丼。見た目親子丼みたいだが。


 とりあえず近くの食堂であさり丼をいただき、名物を食べたという充足感だけは得て駅に戻り、昨日と同じルートで家に帰る。そして寝る。





2003年6月22日(
オレ様、木更津の遠さに弱音を吐く




 昨日は0時に寝て、今朝は5時に起床。とは言っても熟睡したのは1時間にも満たないのだが、不思議と眠気が尾を引いてない。
 そのまま出支度をして駅へ向かう。そう、今日は『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』の撮影取材のため、オレにとってはこんな非常識な時間に東京湾をグルッと周り、木更津まで向かわねばならないのだ。

 とりあえず西武池袋→丸の内線で東京駅へ出て、有楽町にありながら東京駅という疑問も甚だしい京葉線へ。移動途中、なぜか吉村作冶教授と遭遇。
 日曜日の早朝なので乗客も少なく、ゆったりした小旅行気分に浸るが、新浦安駅で突然女子高生の大集団がゾロゾロ乗り込み、車両を満杯に埋め尽くす。しかも各々平気で第3ボタンまではずして胸元はだけ、スカートをバッサバッサ仰いでパンツ丸見えの大騒ぎ。天国気分といいたいところだが、こんなんでも一応は男の手前なんだからさ。そこまで節度なくすなよってか。

 9時20分に木更津駅に到着し、タクシーでそのまま撮影拠点となる某ホテルへ。そこで到着早々、アニ役の塚本高史とマスター役の佐藤隆太にインタビュー。といっても、コメント取り程度のフランクなものなので、ぶっちゃけてトーク。ここまで来るのが大変だったとぼやくと、二人に、
僕らはここ泊まりですよ。でもマジ所沢からだと大変っすねぇ。今朝は5時起きくらいじゃないですか?
 と激しく同情されてしまう。特に日芸出身の佐藤君は場所的に実感があるせいか、同情がやや重め。

 それから昼食をとり、場所を今日のロケがある畔戸マリンポートへと移動。そこで撮影を見学させてもらう。
 オジー(古田新太)にキャッツアイのメンツと山口先輩(山口智充)が家代わりの船を提供するシーンだが、現場での機材設置と撮りの早さに驚く(撮影はHD24P)。完全にTV撮りのスタンスだ。
 いちおうメインのキャストが全員揃っていたが、ナマで遭遇して一番感慨深かったのはやっぱ安部サダヲか。相変わらず挙動不審オーラを放ってたし。酒井若菜は地味にかわいいけど、オッパイがだんだん重力に負け気味になってきているなぁ。

 3時半には再びホテルに戻り、ウッチー役の岡田義徳にインタビュー。エキセントリックで『犬神家の一族』の猿蔵チックな儲けキャラだが、素の彼はかなりクールな男。そういやぶっさんこと岡田准一(V6)が他媒体のインタビューを受けていたが、彼のマネージャーも典型的なジャニ顔で笑う。おまえらはジャンゴとボバ・フェットか。



木更津ホールの元建物。野球狂の詩や
男の勲章跡地にも行きたかったんだが。


 帰りに木更津ホールの元になったパブを見て、それから「♪しょ、しょ、しょじょじ」のタヌキ囃子で知られる證誠寺に立ち寄り、木更津キャッツアイの生活拠点という設定のみまち通りを抜け駅へ。京葉線乗り場から丸の内線乗り場まで歩くのはごめんなので、新木場で降りて所沢まで一本で帰る。

 帰りの車中、なぜ『木更津キャッツアイ』じゃなくて『東村山キャッツアイ』にしてくれなかったのかとクドカンを恨む秋津キャッツアイでもいいんだが)。 





2003年6月21日(土) 谷間の安穏




 結局、夕べから朝10時頃まで起きっぱなしで夜を明かし、それから寝る。
目が覚めたのは昼の3時。アスミック・エース関西支社・中村さんからの電話で叩き起こされる。明日の『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』撮影現場取材の件で打ち合わせ。「木更津……遠いよなぁ」で意見が一致。オレんところからだと、東京=大阪を新幹線移動するのと同等の時間消化だしな。

 夕方(といっても半ば夜)はテリーと少し今後の話をする。その流れで昼ご飯(常識で考えれば夕食だが、オレたちにとってはあくまでイブニング)を食べ、帰宅して巨人対阪神をTV観戦。8回表の阪神の猛攻、最初の3点あたりで勝利の目鼻立ちがついてしまい、選手も楽な気分で打席に立てるから、後は惰性の大量点。そんな雑な試合が多いな、今年は。

 深夜、「愛のエプロン」を見て、関西ウォーカーさんからの原稿依頼メールを確認&返事。明日に備えて眠たくもないのにムリヤリベッドに潜り込む。





2003年6月20日(金) 深作健太よ、どこへ行く




 午前中に仕上げられるはずの仕事が午後に食い込み、そのまま家で作業。それを無事終え、勢いで『HERO』の少年チャンピオンのカラー記事ラフ切りも仕上げ、新担当との挨拶も兼ねて飯田橋の秋田書店へ。後任の杉田女史は以前『七人のナナ』アニメレビューのときにお世話になったが、実際に顔を合わせるのは初めて。コリン・ファレルが好きらしく、『フォーン・ブース』の紹介にこだわる。そりゃキミ『デアデビル』の話で盛り上がったのは言うまでもなかろう。

 秋田書店を後にし、丸の内東映に行く。夜9時より『バトル・ロワイアルII』試写。
 なんだかさ、青臭い高校生が背伸びして撮ったような映画になっちゃったな。突貫工事みたいな脚本でキャラの描き込みハンパだから、作品世界に奥行きがないし。アタマの上陸シーンはどう言い訳しようと『プライベート・ライアン』の戦闘描写を上書きしたワケだろ。ただそれを邦画のステージで完コピしたことを誉めたい気もするんだが、深作欣二の代理監督としてではなく、次世代作家としての深作健太を思うと、オタク知識の吐きどころみたいな映画がおまえの本質かよ?という不満もよぎる。うー、心中複雑。

 映画が終わって外に出ると、入り口には出演者の顔がチラホラと。テリーは御贔屓の前田亜季を目ざとく発見して悦に浸っていたが、オレの傍らをブレザー姿(なぜ?)の加藤夏希が通り過ぎていったのに気にもとめない。夏希も愛する貴様が何故その存在に気付かなかったのかを問いつめると、

「だって、亜季ちゃんはこんな夜遅くに銀座なんかにいちゃいけない娘だから目立つけど、夏希はその逆。溶け込みすぎてて保護色まとったカメレオンだ」

 …訊くんじゃなかったという思いを引きずりながら終電で帰宅し、ビデオに録画していた『タモリ倶楽部』を見る。なんと叶井俊太郎特集だが、まぁ、しゃべっていることはこの間の『パンドレッタ』のときとあまり変わらず。




2003年6月19日(木) 暑い




「3DCGアニメーションでブルース・リーを完全復活させる」という映画の取材に中国へと行くのだが、北京郊外の周口店で一人置いてけぼりにされて右往左往。しかし、失われた北京原人の骨をオレが新たに掘り当て、すっかり時の人として凱旋帰国する……という、壮大だがネタとしてはイマイチなにうなされ起床
 だが目が覚めた直接の原因は、6月下旬にして気温30度という暑さだチキショー!! 脳細胞がイッキに5万個は死ぬ!! いや、オレがもう少し肉服をまとわぬ痩身努力をすればいいのか。んなワケで自己完結。

 とりあえず午後から映画秘宝編集部へと出向くものの、テリーの買い物のためタイムロス。顔だけ見せてハイさようならという感じに。その際に『サイゾー』最新号を小笠原君に見せて貰うが、秘宝主幹・田野辺尚人氏の記事が載っていて、ご本人近影のマブシイ美中年ぶりに驚く。おお、田野辺さん、こうして見るとなかなかのパタリロというか、文化人の香り漂うルックスで笑う…じゃなくて感心するよ。

 そそくさとその場を後にし、原稿の必要性に駆られギャガ試写室にて『コンフェッション』(監督:ジョージ・クルーニー)を観る。
 ロス先生、お初にしては「おっ!」なディレクションも散見できるが、基本的に分かりやすい演出に務めている。TVプロデューサーの顔と殺し屋の顔の極端な振り幅も、それがドラマの面白さに貢献しているかは疑問で、ただ事実関係のみ滔々と語られている印象。モノが実話じゃ、さすがのチャーリー・カウフマンもどこに作家の力点置いていいのやらって感じか。





2003年6月18日(水) たまにはテレビさんの日




 いやぁ、梅雨時って本当に洗濯物が乾かないなという無難な挨拶をドカンと。
 
 今日は朝から夕刻まで自宅で仕事。電話確認とイレギュラーの原稿を平行しつつ。夜はもうひたすら怠惰にテレビを観て過ごす。この蒸し暑さとエアコン依存で、にわかに体調が狂った感あり。

 7時から『黒部の太陽』のメイキングビジュアルを確認しようと思い『裕次郎最期の真実』にチャンネルを合わせていたのだが、ついついプロ野球中継に浮気。試合は巨人が5対1で広島を下したが、各スポーツニュースこぞって「メイクドラマ再現へ始動!」とノボせた報道するのはどうかと。だいたい7年前の最大11.5ゲームをひっくり返した優勝は「広島の怪我人続出による急激な失速」という要因も噛んでのこと。1位の阪神が負けない現状を考えると、目先の勝利だけで一喜一憂してられねっつーの。もっともレアルへの移籍問題で渦中の来日ベッカムに、スポーツ報道の耳目が集中すりゃザマァねぇやと思いつつ。

 それから裕次郎にチャンネルを戻すつもりが、『ディスカバ!99』に熊田曜子と小沢のアニキ(小沢仁志)が出ていたので、そっちにさらなる浮気。熊田の「たくさんの人とエッチして、相性のいい相手を見つけなさい」という家訓にドキドキ。もっともな話とはいえ、そしてバラエティトークとはいえ、エロ本持ってるだけで犯罪者扱いだったオレの両親ケースを思うとなぁ
 結局、裕次郎のほうは目的のネタをごっそり見逃してしまい、後の祭り。そういうことを想定してビデオ録ってたけどね。
 そのままNHKの『ニュース10』を見てTVを切るが、特集の『ネットで氾濫、違法映像』は「そういう事例がある」程度の内容でガッカリ。

 

 ここんとこアクセス数が急激に増えたなと思ったら、あの【アニオタニュースで、この日記(実写版『サンダーバード』のロンドン取材のくだり)が紹介されたそうで。すまんのう、大した情報開示ができなくて。





2003年6月17日(火) チャリ・エン記念日




 今日は仕事なんかするものかという気分で午前をやりすごし、都内へ。
 午後1時より有楽町朝日ホールにて『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』。
 乳、カンフー、コスプレ、尻…… 前作同様、非のうちどころがありません!
 ただ事前に発表されたシノプシスでは、マディソン(デミ・ムーア)の行動にキチンと動機付けがなされていたのに、完成本編では見事にスッ飛ばされてて涙。オレ、チャンピオンでそのへん、もっともらしく書いちゃったよ。取り返しつかねぇじゃん
 
 でも映画の素晴らしさの前には、そんなのお子供さま級プロブレム。すっかりウキウキ足取りで築地に向かい、聖路加のソニー試写室にて『ベーシック(原題)』を観る。内覧だったのだが、興行関係っぽいオッさん4人以外、ライターはオレだけという空間。なぜよ?
 映画はトラボルタ星人とサミュエル・L・ジャクソン主演の軍事サスペンス(監督はジョン・マクティアナン)。シネマの定番“偽りの回想”を全編にまぶした『ユージュアル・サスペクツ』タッチの…いや『戦火の勇気』に近いのか。あれほどスウィートな結末じゃないが
 どんでん返しの落とし所が4カ所くらいあるのだが、後々考えるとドラマのつじつまが微妙に合わないところもあり……ただオープニングの、ジャングル上空を飛ぶ戦闘ヘリの描写は、
おお、『プレデター』やってるじゃん!!
 と喜んじまったい。
『ダイ・ハード』以降、自作は全てワイドスクリーン(シネスコ)で撮っているマクティアナン。今回もシネスコだが、それを巧みに活かし、限定空間を手狭に見せないのは見事。そういやマクティアナンといえば“キューブリック・オマージュ”でお馴染みだけど、最近はめっきり影を潜めてしまったなぁ。同じクセ持つヤン・デ・ボンも、果たして『トゥーム・レイダー2』ではキューブリックねたを織り交ぜるのだろうか?

 聖路加を出て2件ほど電話で仕事の話。その後は丸の内東映の前にて、仕事で上京している郷里の友人と会う。その足で築地に移動し夕食。つつましく寿司など。その後、浜松町で見送りをし、きびすをかえし映画秘宝編集部にいく。そこで作業&打ち合わせ。

 帰宅が深夜12時を回っていたので、風呂に浸かって今日はそのまま寝よう……ところが何を思ったか、いきなり部屋を片付け始める。しかも勢い余って『めざましテレビ』のスポーツコーナーまで見てしまう。




2003年6月16日(月) 日本車礼賛映画




 しかし蒸し暑いなぁと、誰に言うとはなく。
 夕べより寝たり起きたりを一時間半ごとに繰り返し、意識ボヤンボヤンの状態で起床。 起き抜けで「ズームイン!!SUPER」を観ていたら、大桃美代子の番組結婚発表に面食らう。そうか、オーモモ博士に春が来たか。『テレビのつぼ』時代に一度ナマでお会いしたが、劣化のない人だよなぁ。
『テレつぼ』といえば、『虎の門』にパクったようなコーナーがあるが、あそこはお笑いがソツなくオトしちゃうんで、オチない素人という『テレつぼ』にあった価値観がごっそり欠落しているのが哀しい。

 午後は『HIRO』の画像素材を受け取るついでもあり、UIPにて相談の件もあり、『ワイルド・スピードX2』試写をフォロー。
 うーん、ヴィンとコーエン監督の穴はきれいに埋められてるとは思うんだが、ライブアクションとライブアクションをCGで繋いだカメラワークは、スピード描写に優れていてもナマの臨場性には乏しく、『フレンチ・コネクション』のカーアクションこそが本物の……という人には苦手な作品になるんだろうなぁ。
 それにしてもデヴォン青木の行きすぎたオリエンタル・ブス風情、まるで『うしろの百太郎』みたいな強面(ごめん麻紀さん、いただいちゃったよ)が怖いよ。

 終わってお茶の水駅に向かい、映画秘宝編集部へ。例の件で連絡の取れない配給会社があり難渋するが、その関西支社に電話をし、便宜を図ってもらうという策略をとる。ご無沙汰の挨拶も兼ね話をしていると、さらに傍らで携帯が鳴り、エルマガジンの竹村兄より文字稿チェック催促の連絡。そのあまりに大阪モードな瞬間に、自分が今どこで仕事しているのか妙な感慨に。ふとよぎった里心、傍らにいる田野辺さんやギンティ君の姿で引き戻しの感アリ。





2003年6月15日() 漫画マトリックス




 合間トイレに行ったり水分補給をしながらを繰り返し、朝の5時から夜の7時まで延々ひたすら寝まくる。そういや帰国から今日まで、時差ボケと睡眠不足で日常生活ボケボケだったもんなぁ。その帳尻合わせといえば言えなくもないが、ムダに長時間寝て疲労感だけは残っている感じなんだけど。ひょっとして、オレの今いる世界は誰かに観させられている幻想で、本当は(以下略)。

 そんな話がイントロなのは単なる偶然だが、夜、DVD『アニマトリックス』を視聴。
 説明の必要はないと思うけど、『マトリックス』の世界観から派生させたショートストーリーを、海外評価の高い日本アニメクリエイター(他の人種もいるが)が手掛けたオムニバス作品。作画はどれもハイクオリティで、完成度の極端なバラツキはない。

 それでもあえてグッドジョブを選ぶなら、前田真宏の『セカンド・ルネッサンス』。遠慮のないクルエル描写と独特のマエダレリーフを織りなした作画が素晴らしい。ストーリーも“マトリックス前史”ともいうべき重要エピソードだが、これ『ターミネーター』のスカイネットと人間との戦いといってしまえば、それはそれで通用してしまうんだけどオチャ兄弟。それと森本晃司の『ビヨンド』もいい。特に最後の“血”が深遠なコノテーションに満ちていて、巧みな演出センスを感じる。

 後はまぁ、似たり寄ったりの印象。敬愛する川尻善昭の『プログラム』は『獣兵衛忍風帖』を望むユーザーに目配せしたワン・アイディアだし、氏が脚本を担当した、肉体への限界に挑む者がマトリックスに到達する『ワールド・レコード』はパッションが悪くないものの、肝心の躍動感に乏しい。渡辺信一郎の『ウェイキング・ライフ』テイストな絵ヅラの『キッズ・ストーリー』、そして押井の『迷宮物件』みたいな背景処理の『ディテクティブ・ストーリー』は、ともにそのエクスプレッションが借り物臭くてイマイチ。

 でもこのシリーズ、これっきりにしないで続けていけばいいのに。登板する監督も我らが富野由悠季芦田豊雄大地丙太郎桜井弘明、はたまた原恵一とかどうよ。脚本も浦沢義雄あたり引っ張ってきてさ。いつも普通に書いてる話が『マトリックス』みたいなもんだし。

 …しかしこの発想、『刑事まつり』かよ。





2003年6月14日(土)
土曜日にドリフってのは、
生涯逃れられぬオブセッションなのだろうか




 湿気と高温のうだるような午前。それでも西日本よりは平均3度ばかし低いはずで、去年の今頃を思えばまだマシなんだが、暑いモノは暑いんだよ!

 貸出図書の返却日なので、図書館まで行き返却。返す刀でCD『ドリフだョ!全員集合』赤盤と青盤に『8時だョ!全員集合の作り方 笑いを生み出すテレビ美術』を借りる。ドリフターズ攻勢の週末。でもドリフと言えば、長さんの様態が気になるところ。

 その足でTSUTAYAに行き、資料として借りたビデオの返却。1Fの書籍コーナーで吉岡忍『墜落の夏』(新潮文庫)と『月刊 国分佐智子』を購入。『墜落の夏』は日航機123便墜落事故の1年後に上梓されたルポルタージュだが、補償交渉問題についての項をパラパラ立ち読みしていたら、つい引き込まれての衝動買い。『月刊』シリーズは愛しの国分様だったので、こちらは内容確認の余地なく。

 帰宅後、仕事場でエアコンをかけっぱなしで横になっていたら、ついウトウトしてそのまま夜まで寝てしまう。目が覚めたら体が硬直した感じで肩痛状態に。しかもその体勢で『墜落の夏』をイッキ読みし、暗澹たる気持ちになる。あぁ、心身ともに重いや。

 その後、途中観賞だった「『仁義なき戦い』を撮った男たち」の再放送をしているのに気付き、あわてて見始めるが、ちょうど浅間山荘事件の「悪を主人公にしてもいいんだ」と深作が達観する箇所。アホ、前回と同じとこからやんけ。





2003年6月13日(金)
グレゴリー・ペックの訃報を知ったのは…




 深夜3時頃だったか。インターネット・ムービー・データベースのトップでさりげなく伝えられていた。
 そのわずか数時間前、『ローマの休日 製作50周年デジタル・ニューマスター版』のパブを担当しているメディアボックスの山田さんとグレゴリー・ペックの話をしたばかりで、あたかもそれに呼応するがごとく逝ってしまったのには驚いた。
 それよりなにより、ニュースを見るまで既に物故者だという認識が強かったオレは、映画ライターとして致命的な欠陥があるのだろうか。私的「コレ!」って作品を一本挙げるなら『渚にて』の潜水艦長。合掌。

 今日は詰まっていた原稿をあらかた脱稿。午後から高田馬場で降りて所用を済ませ、地下鉄東西線から銀座線に乗り換え京橋へ。京橋フィルムセンターにて伊藤大輔の『斬人斬馬剣』と『御誂治郎吉格子』を観る。
『斬人斬馬剣』は“移動大好き”の面目躍如というか、動的快楽に満ちた作品。ダイジェストだからそういう印象も強いのだろうが。『御誂治郎吉格子』は“おせん”と“お喜乃”を演じた伏見直江・信子姉妹が妙に小雪っぱい顔立ちだったなぁと、同行した友人M氏と納得しあう。

 その足で映画秘宝編集部へ。現在進行している企画の絡みで、どうも反応の鈍い配給会社があり、そこに再度電話。けどここ、作品を自分たちからプッシュしておいて肝心の試写状は送ってこないし、関西にいたときに比べてどうも血の巡りが悪い。もっともその程度の扱いしかされない、自分の認知度の低さを追及するのがスジなんだろうが。




2003年6月12日(木)
スクランブルエッグに卵の殻が混じっていたような
このジャリっとした違和感はなんだ三題。




 長年面倒みてくれた担当氏から退職の知らせ。寂しさより「後任者とどう付き合っていこうか」という気持ちを即座に抱く自分に不快感。移動の多い商売、別れに対する不感症がこれ以上進行するくらいなら、いっそ黙って消えてくれという自棄な気分に。

 仕事意欲もなんだか失せ、キーを叩くフリしてネットに逃避。DVDリリース情報に目を通すと、フォックスホームエンターテイメントより『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』が発売予定とな。しかも『羊たちの沈黙』とのカップリングボックスも出るとのこと。オレ心情的に正しいと思うが、ホプキンス卿のレクターでトリロジーをまとめようとしたラウレンティスはどうなんだろう?

 そんなことに思いを巡らせながら、セブンイレブン先行販売の「バニラコカ・コーラ」を飲む。ゲッ! これ消しゴムコーラの香りじゃねえか!





2003年6月11日(水)
まさに水曜どうでしょう




 午前中は週刊少年チャンピオンの原稿をアップ。ついでに次回作品のキャッチと一緒に入稿。

 午後は午後にて本郷三丁目のアスミック・エースに赴き、『茄子 アンダルシアの夏』の主人公ペペの声を演じている大泉洋にインタビュー。以前、日記で同作での声優ぶりを褒めた経緯もあるが、取材依頼を受けた最大の理由はひとつ。我々映画ガチンコ兄弟(特にテリー)が『水曜どうでしょう』のファンだからだ(もっと遡ると『パパパパPUFFY』になるが)。
 実際の大泉洋もあの番組を地で行く、見立て通りの楽しい男。さらにはマネージャー氏が『フィギュア王』読者ということで、妙にほのぼのしたインタビューになる。ただ、待ち合わせ場所を間違えたテリーがその場に立ち会えなかったのがバカ

 インタビュー終了後、メイジャーの大久保氏としばし歓談。『スパイ・ゾルゲ』のバックステージと膨大な資料のデジタライズの話を聞く。作品をクソミソにけなしたオレだけど、こういうのを耳にすると弱いね。伊藤律関与説に映画が言及できなかったのは、篠田監督のゾルゲ事件史観に依拠するモノではなく、完成済みの脚本に組み込めなかっただけの話らしい。
 メイジャーはこの後も大友克洋の『スチームボーイ』に押井守の『イノセンス』、それから『ハウルの動く城』とアニメ大作のパブが続くので大変そうだ。

 さぁ帰ろうかと思ったところ、次の取材媒体だった「テレビブロス」一行がインタビュールームを出てきたのだが、そこで大学の同期だったカメラマンの梅原君とバッタリ遭遇。10年ぶりの思わぬ再会に喜び合うも、お互い次が控えていたので、後日会おうと約束して別れる。

 その後、映画秘宝編集部に行ってひと働き。途中OTCのディレクター安藤氏より「パンドレッタ」絡みの打ち合わせ電話。ビューティーズは今夏メンバーチェンジがあるらしいが、内田とかいなくなると寂しいなぁ。
 それからテリーと洋泉社を後にし、家へつくとそのまま睡眠不足を補うかのようにバッタリ倒れて寝る。





2003年6月10日(火) 今日だって働いてるよ




 今日も今日とて一日じゅう家で原稿。
『ウォッチ・ア・ゴーゴー』の映画記事を執筆中、本編セリフのいいヤツを拾うために幾つかの作品ビデオを見る。とりあえず『トップガン』など再視聴するも、名セリフといえるようなものが一言も発せられてないことに暗澹たる気分になる
 例えば『ライトスタッフ』なんかは公開当時「およそ100ほどの名セリフがある」と絶賛したくらいなので、改めて見なくてもピックアップできるのだが。こう書くと『トップガン』はそういうふるったセリフのひとつもないクソ映画みたいに思われるだろうが、その通りFー14と“なんちゃんて”ミグのドッグファイトは、後の『エネミーライン』へと繋がるグラフィズムであり、少なくとも映画史のムダにはなってないんじゃないの。ブラッカイマー+プロパガンダのお手盛りアクションの礎的作品ではあるけれど。

 とまぁ、夜までこんなことの繰り返し。





2003年6月9日(月) 働いてるよ




 一日中仕事。エルマガジンとフィギュア王の原稿をアップ。
 今日は昨日の件で、配給会社からの電話連絡のやりとり多し。
 フォックスの佐々木お姉様よりTEL。依頼の件、複雑な権利関係があってダメだそう。『28日後…』を熱く薦めるので、この間ロンドンに行ってロケ場を歩いた旨を伝えると、
「それどっかに書いてくださいよ。ウチではダニー・ボイルのオシャレ映画として売るので
 とオレの顔を顰めさせることをシレっと。シネクイントだもんなぁ。
 
 連載コラムに載せる写真の許可をもらうため、アルバトロスの叶井さんに電話。
「おお、全然オッケーだよ。どんどん載しちゃって」
 いいのか、悪口のオンパレードだぞ。そんな叶井さんとトークした『衛星中立放送パンドレッタプラス』の『えびボクサー』特集は6/14(土)24:00〜25:00から初回放送が始まるんで。みんなスカパーMONDO21見てね。

 その回の画像データをもらうため、OTCの野口氏に電話。ついでに企画書送付を確約。 電話口で鶴岡法斎氏が
解散、いいかもしれませんよ。テリーさんに自主性を植えるためにも
 とアドバイス。いや、オレはすぐにでも解散したいんだけど。




2003年6月8日() 休日出勤




 渡英中、とても規則正しい生活をしていたので、こっちに帰ってきて修正。朝方の7時に寝て昼頃に目が覚める。そういう人なのだオレは。

 でも、今日は日曜日というのに洋泉社へ。映画秘宝編集部は現在、本誌と別冊MOOKの同時進行でゾンビの手も借りたい状態。しかも翌々号はあっと驚く誌面展開、ガチンコ兄弟もその打ち合わせと、下準備のために一肌脱ぐ。

 ついでに原稿の文字稿赤入れをしていると、テリーとジャンクハンター吉田氏が二人でアダルトビデオの会社作ろうとか、AVのお姉ちゃんと飲み会やりましょうとか、なんか初対面なのにすっかり意気投合してる。オレ、30すぎてガチンコ兄弟はキツくなってきたので、キミたちでどうだ?

 所用でテリーは先に帰宅したが、オレはその場に残り作業。
 空腹を抱えながらの帰り、明治大学前の吉野家け駆け込み牛丼を頼むと、雑炊のように容赦ない汁洪水の牛丼が出てくる。「もはや牛丼とは呼べない別のなにか」レベルの。ここ、贔屓にしよ。

 帰宅したときにちょうど「ガキの使い」をやっていて、久々の山崎邦正VSモリマン。しかしこの対決、加藤鷹やら加藤和也やら、相変わらず観客が変だぞ。




2003年6月7日(土) 観光ゾンビ映画




 久々に宅配便…ならぬ郵便配達員の訪問で叩き起こされる。渡英中に送ってきた矢田亜希子の等身大ポスターが再配達されてきたのだ。
「そんなもん、業界人の特権で頂戴しろよ」
 と言われそうだが、週プレ編集部とは面識がないもんで、せっせと応募券を貼って送りましたですよ。でもポスターとしてのクオリティはよろしくない。昔の東スポの一面写真みたいに修正気味というか、まるでイラストみたいだ。

 それにしてもグッスリ寝たものだ。しかし、そのぶん仕事のツケが溜まって大わらわ。困ったなぁと思案しながら留守中のメールをチェックしていると、@niftyからBフレッツの光ファイバーが工事費無料というお知らせあり。ADSLモアが大失敗だったオレにとって、これは好機とばかりに登録する。

 その後、ロンドン土産の『28日後…』DVDを視聴。
 ダニー・ボイル版『死霊のえじき』ともいうべきこの終末映画は、日本もアメリカもこれからお披露目だが、イギリスでは昨年末に公開されているので、ちょうど今時がパッケージソフトリリースとなった。
 このDVD、監督ダニー・ボイル&脚本アレックス・ガーランドの副音声解説が収録されているが、同時に字幕でも収録されているので、ヒアリングが苦手でも理解できるのが嬉しい。それによると、冒頭のロンドンに人が一人もいないゴーストタウン描写は、市街地封鎖とデジタル消去で作り上げたとのこと(本作はDVによる撮影)。
 他にも軍隊内に飼われているキャリアの描写は「ロメロの『死霊のえじき』のキャラクター、バブを参考にした」といい、軍隊の晩餐シーンは「『地獄の黙示録・特別完全版』のフランス駐留軍シーンだよ」とリファレンスを明示しまくっている。
 しかしこの作品、先日のロンドン渡航で実感したが、トラファルガー・スクエアやウェストミンスター・ブリッジなど、要所要所ロケーションを押さえた観光映画になっていて、今改めて観ると妙な気分だ。

 そういえばこれを買ったトロカデロのHMV、『殺し屋1(イチ)』と『DEAD or ALIVE』のDVDが平積み状態で、改めて海外での三池崇史のネームバリューを実感したなぁ




2003年6月6日(金)
森下千里の乳首論争に巻き込まれる




 11時間ほど密閉空間にいた精神的桎梏を除けば、それなりに快適だったフライトを経て日本時間午前9時に無事日本・成田空港へと到着。お世話になった皆さんに挨拶をし、それぞれ現地解散。

 帰りに京成成田駅で電車を待っていると、大先輩の高橋良平先生とビジュアル・エフェクトの話になり、『ターミネーター3』の信じられないCGショットの話を聞く。例えば『ハルク』のようなCGアニメーションキャラクターには、もはやさしたる驚きもないが、CGであることさえも意識しなかった実景アクションが、実は全部CGだったら驚くよなという内容の話と具体的シーンについて。

 帰る途中、日本らしいものを食べたくなり、日暮里駅で降りて吉野家に入る。それからJR池袋駅で西武池袋線に乗り換えるが、途中でパルコのポスターに群がる高校生を発見。どうやら水着モデルの森下千里の乳首の形状が分かるか否かで激論を交わしているが、よりによって通りすがりのオレに同意を求めてきた。そういうことに決定を委ねられる特殊なオーラを発散していたのかしらんが、そんなことより今の時間におまえらは何をしているのかと説教めいたことを言い放ちつつ
オレもこれは明らかに乳首だと思う
と見解を表明。昨日までの自分の立ち位置を考えると、ものすごい疑問が襲ってくるが。

 帰宅後、メールやらファックス、留守電ひととおり留守中のあれこれをフォロー。UIPの高田さんに帰国報告と日記掲載の許可をもらい、しばし寝る。それから3時間ほどで起き、テリーに当方不在の間の仕事やプロ野球の展開を訊く。みやげに向こうで買ったキットカットを与えると喜ぶ。ああ、不憫な男ぞ……。





2003年6月5日(木)
倫敦渡航記【3】
〜アニマティクスと散財とインソムニア〜




 タイトなスケジュールに疲れがきたか、チェックインぎりぎりまで寝てロビーへ集合。午前9時にバスで移動し、『サンダーバード』の視覚効果を担当するエフェクト・ファシリティ、フレームストアCFCへ。

 ここで視覚効果スーパーバイザーのグレイグ・リンによるVFXのプレゼンがあるが、アニマティクスの披露に留まり、完成ショットの公開はなし。これは守秘というより、製作進行上、まだ見せられるものがないというアレだろう。ただ、2号の発射シーンで両サイドのヤシの木が倒れる場面や、1号による救出シーンはコンテレベルでも充分感動したが。

 その足でロンドン・ヒースロー空港へと向かい、1時40分の帰国フライトを待つ。その間、手持ちのポンドを使い切ろうと思い、免税品ストアのHMVで『007ダイ・アナザー・デイ』他2本のDVDを買う。主立った買い物はこれだけで、後は心持ち他者へのお土産という案配。いろんな疑問もあるが、観光旅行ではないので……いや半ば観光か。

 現地時間午後1時40分に離陸。飛行機の中では横になって目をつぶっても寝ることができず、仕方がないので半睡半醒のボケボケ状態で機内モニター上映『戦場のピアニスト』の残酷シーンをチョイスで見て、『おじゃる丸』に出てくる薄井さんみたいな主人公のアニメ“ Wild Thornberrys Movie ”を観賞。絵は『ラグラッツ』テイストで好き嫌い別れるだろうが、これが意外と面白かった。




2003年6月4日(水)
倫敦渡航記【2】
〜映画者の聖地・パインウッドへ〜




 朝6時半に起きて身の回りの整理。8時半にロビーに集合し、パインウッド・スタジオに向かう。


 007シリーズを筆頭に数々の名作を生んだ、英国映画界が誇る撮影所。ここで現在『サンダーバード』(2004年公開)の撮影がおこなわれており、本日はそのセット・ビジット(撮影現場見学ならびにスタッフ・キャストインタビュー)なのだ。
 ただスタジオ内は基本的に撮影はNG。厳しい守秘主義が貫かれている。だから国際救助隊のメカニック群がどのようにリニューアルされたのか、その詳細をここで完全に明かすワケにはいかない。ビジュアル解禁はシビアな戦略があってのことだろうが、取材する側からすればかなりの枷になったようだ。だが大きくデザインは改変されておらず、カラーリングはオリジナルを踏襲。つまり誰が見ても1号は1号、2号は2号のルックを保っていることをポロリと。ただモノによってはショベル部分がロボットアームになっていたりとか、そういう細かい変更点はあるが。

 プロダクション・ルームでは映画に使用されているラージスケール・モデルやプロップ類、コスチュームやデザイン&ストーリーボードを見せてもらう。同時に衣装デザイン担当のマリット・アレンやプロダクション・デザイン担当のジョン・ベアードにインタビュー。
 さらに映写室へと映り、サンダーバード2号が水直着陸する約30秒のフッテージを観賞。樋口オレ様ちゃんの「フィックス合成だと川北特撮うんぬん」発言に笑う。


移動中に遭遇した、007ステージ。このとき中では
『トゥームレイダー2』の撮影が行われていたそうな。


 その後昼食をとり、トレイシー兄弟を演じるブラディ・コーベット他イケメン軍団、ペネロープ役のソフィア・マイルズ、監督のジョナサン・フレイクスとトレーシー役のビル・パクストンがインタビューに応じるが、この会見でオレがパクストンに、
「これだけのビッグバジェットでの主役、初めてでは?」
 などと凡ミスをかましてしまい、
「ノー、『ツイスター』があるよ」
 と、ビルの機嫌を損ねてしまう。
 あちゃー、傍役印象が強い俳優、赤ボタン押しちゃったよと後悔していると、去り際に監督のジョナサン・フレイクスが「気にすんな」とポンとオレの肩を叩く。ライカー副長、すげぇいいヤツじゃん。

 その後、パインウッドを後にし、ホテルに戻ってラウンジで飲んでいた仲間で、昨日行ったチャイニーズ・ストリートの“GOLDEN DRAGON”で夕食。


チャイニーズ街では前日事件(詳細は不明)があったらしく、
一区画ポリスラインで仕切られ、警官が物々しく警邏していた。

 その前にちょこっとタワーレコードに寄り、『ボーリング・フォー・コロンバイン』『トリロジー・オブ・ザ・デッド』(ロメロのゾンビ三部作セット)DVDを購入。UKくんだりまできて、なんでオレは取り憑かれたようにガシガシDVDを買ってるんだ?





2003年6月3日(火)
倫敦渡航記【1】
〜場所がイギリスなら、オレのマンガもまた格別〜




 JR日暮里から京成電鉄経由で、朝の9時半に成田空港へ。
 空港ロビーに行き、銀行でポンドに外貨交換。そのまま待ち合わせ指定場所の2番ゲートに。そこで然るべき人選ながら、複雑な経緯で今回の取材に同行する樋口真嗣特技監督に挨拶。ロビーでトマトジュースをゴチになりながら、出発まで現在進行中の仕事の話や『スパイ・ゾルゲ』の素晴らしさを話し込む。

 フライトの後はひたすら時間を持て余し、半睡半醒状態を維持しながら飛ぶこと12時間。英国時間午後3時40分にロンドン・ヒースロー空港に到着。それからホテルにバスで移動しチェックイン。
 ルーム内のTVがインターネットに接続可能だったので、テリーがバカな書き込みをしていないかと『夜の四番打者』の様子伺い。しかし地球の裏側に来て「ビシビシ説教いくよ!」とか「ヤン坊マー坊の帝都物語」を見る違和感と恥ずかしさは相当なもの。

 次の予定までしばしグリーンパークを散歩。街を往来するロンドンバスも、この時期完全に『マトリックス・リローデッド』一色だ。

 7時にUIPインターナショナル・プレス担当を交えて会食後、音楽ライターの山崎智之氏らと共にロンドン・ウエストエンドのチャイニーズストリートに繰り出し、焼鴨汁麺を食す。ロンドンに来ておいて、いちばんおいしかったのは中華麺という笑えない展開。

 この時期、イギリスは夜9時半くらいになってようやく夕暮れ模様。ホテルに帰る途中、トロカデロのHMVで『28日後…』と『8Mile』のDVD(当然PAL)を買ってホテルに戻る。





2003年6月2日(月)
平成ハムサラダくん
(うそ、オレたち肉食)




 渡航チケットと『ワイルドスピード2』の資料を受け取りに新富町のUIPへ。そう、明日は2004年公開の超大作『サンダーバード』の取材でロンドンに行くのだ。

 もろもろの段取りを済ませ、秘宝編集部で仕事用のブツを受け取ったテリーと待ち合わせるが、途中、丸の内東映の前に『バトル・ロワイアル2』のショップが出来ているのに気が付き、しばしひやかす。マーチャンダイジングの方向性が正しいかどうかの疑問はさておき。
 テリーと合流し 有楽町のソフマップで128Mのメモリースティックを買い、向かいの書店に流れて『ジェリー・アンダーソン自伝 サンダーバードを作った男』(洋泉社:刊)を購入。そのままお互い速攻で帰宅し、仕事に戻る。

 ところが、どうスケジュールとにらめっこしても、物理的に間に合わない仕事が出てきていまい、仕方がないので一部原稿をテリーに任せる。こういうときのためにコンビ活動。おおスゲェ、なんか『マンガ道』みたいだなぁと思ったら案の定、
「どっちが満賀道雄でどっちが才野茂なのか?」
 でマジゲンカ。どうすんのオレら。というか、普段オレがおまえの尻ぬぐいばっかりなので、たまには人並みに役にでも立て。
 そういや『マンガ道』で思い出したが、続編の『愛・しりそめし頃に』の満賀って、『アダプテーション』のチャーリー・カウフマンみたいだよな。

 結局、原稿書きは明け方まで及び、そのまま眠ることなく成田空港に向かう。ひたすら眠い。




2003年6月1日(
そりゃ筆耕だもん、こういうことも考えるさ




 雨は止んだが、そのかわりムンとした空気が周りを包む。エアコン作動。今日も原稿執筆と、もろもろの下準備。ゆえに特記すべきことなし。
 夜、それら作業もほどよく煮詰まったので、友人Mに電話。気晴らしのつもりが、言葉狩りと文章表現についての熱い論議へと。

「『いなかっぺ大将』はタイトルからしてなぁ。DVD出るときは改題必至だな」
「『地方出身者大将』になるのか?」
「西一とかマークされそう。“誤った関西人像を植え付ける”とかいってね」
「標準語で吹き替え修正されるかも」
「そりゃ完全に改竄だ」
「差別表現うんぬんより、大左ェ衛門がイヤなキャラだよな。二股かけてるわ、けもの畜生が師匠だわ」

 と、お互い文筆家として辛辣な意見を取り交わす。他にも『冒険ダン吉』の復刊とかについても話すが、あれは単語レベルではなく、多分にセンテンスに差別表現が練り込まれてあるからなぁと意見が一致。だって“おまえらのような蛮公はこうだ!”とか“しょせんは蛮族、やはり知恵が足りませんね”なんて言ってんだもん。
 差別表現といえば、北野武の『座頭市』は、そのへんの問題に対するスタンスをどう置くのだろうか?

 仕事優先でNHKスペシャル『よど号と拉致』(後編)はビデオにチェックして後日に見ることに。あぁ、尻に火がついてきた。





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