2004年3月31日(水) 如月ハニーに会う




 朝、2時間程度の睡眠で神経をごまかしつつ、9時半にウチを出て都内へ。今日は某スタジオにて『キューティーハニー』佐藤江梨子インタビュー。


 現場に着くと既にグラビア撮りは始まっていて、サトエリは例の如月ハニー姿で、カメラの前でポージングしている。
 イエローキャブの制作部方々と挨拶を交わし、しばし撮影現場を見守る。しかし、さすがはグラビアの女神というかトップタレント。細くあるべきところの細さと、誇大主張ぎみに出ているところとの強弱が眼に沁みるぞ、ツーンとな。

 ライティング調整の合間に時間をいただき、とりあえずお仕事。
 柔らかい物腰で挨拶を交わしたサトエリだったが、質問が回り始めると主張するところは主張する、パブリック・イメージまんまの媚びを売らないキャラクター。おまけに結構なサブカルちゃんときた。笑ったのはガイナックス作品をキチンとフォローしていて、あのDAICON版『帰ってきたウルトラマン』までも押さえていることをカムアウト。


 インタビューは無事終了し、引き続き撮影を続行。思いっきりセクシーポーズをキメているサトエリから、

ぶっちゃけ『デビルマン』や『キャシャーン』はどうなんですか?

 と逆にツッこまれ、各作品の現状を解説する。彼女的にはライバル視というより、純粋に観客として出来を楽しみにしているらしい。どうでもいいけどサトエリ、その角度からだと……頼むからしまってくれ


 インタビュー終了後は少し打ち合わせをし、先に失礼して新宿に行く。立川の陸運局に行ってもらっていたテリーに車で拾ってもらい、帰りは吉祥寺に寄って公共料金の支払いをあれこれすませ、小手指まで足を伸ばして夕食。






2004年3月30日(火) 新・死者たちの夜明け




 そりゃ午前も昼も真面目に仕事したさ。でも今日のオレは、何をやっても気持ちが夕方に向いている。


 そう、夕方18時30分より銀座ヤマハホールにて『ドーン・オブ・ザ・デッド』完成披露試写。

 いやもう驚いたよ。『ゾンビ』に泥を塗るだけの“お手盛りリメイク”かと思ったら、嬉しい誤算。アヴァンタイトルからOPクレジットまでの10分間で頭骨がキンキン来た。
 物語はオリジナルを大胆アレンジし、行間詰め詰めのハイピッチで進むが、ロメロが創造してきたリビングデッド・トリロジーの精神にはキッチリ沿い、描写に良い意味で過不足がない。じつに気持ちのいい換骨奪胎。『ゾンビ』に触発された好き者たちの、創造のビン底に溜まった濃い“思い入れ原液”をブチまけられた感じだ。
 それでいて画を構成するプロップやディテール、ハイテンポな編集が2004年の映画であることをキッチリ主張する。自主警告でX指定を回避したオリジナルと違い、人肉を食いちぎるダイレクトなカニバル描写には乏しいが、着弾やスラッシュシーン等はレイテッド−Rの範疇で残酷を極めている。

 ホント語りたいことが山ほどあるが、『ゾンビ』至上主義者の自分が惜しまず太鼓判をポン!…という事実をとりあえず伝えておきたい。


 終了後、三留まゆみさんの傘に入れてもらって移動し、結局試写に間に合わなかったOTCのいどPと合流。銀座ライオンにて小林Dを交え、4人で夕食を取りながら映画報告。でも『ドーン〜』の話より、結局はテリーの説教へと座は落ち着く。







2004年3月29日(月)
読書の春、あるいは現実逃避としての読書




 昨日までの冷え込みがウソのような暖気模様。あまりの心地よさに、仕事もしないで本読みに耽る。

 しかし『ホロコースト全証言』を引き続きで読んでいたところ、「虐殺工場」というチャプターあたり、悲惨陰惨きわまりない描写ザックザクで、文字拾いが苦痛になる。どうも最近、ゲスな覗き趣味が良心に屈すること多し。

 そこで少し気分を変えようと『アタシは生きる!! AV女優22人の人生』(宝島社)を引っ張り出して読む。
 AVタレントのインタビューが、活字上で読み手を煽るサービストーク的なものに併せ、私史の秘部をえぐり出す人間リポートとしての方向性もアリにしたのは、永沢光雄の名著『AV女優』(文春文庫)の功が大きい。本著もその直系種だが、
彼女をその方向へと進ませた“依拠”は何か?
 という心理への接写ではなく、
アダルトビデオを構成する多様な娘たち
 のロングショットに徹していて、それが実にもどかしい。

もう少し個々のセックス観を掘り下げろよ!
 と、チンチン膨らましてナンボの世界にもったいつける輩には、下半身レベルで苦言するオレ。とどのつまりナチのマンハントもAVも興味の根が同じという、浅い読書傾向を露呈したみたいで恥・恥!


 顔から火の出る思いをして心が改まったか、夜はまじめに原稿に取り組む。そろそろ泥の船がボロボロ崩れ初めてきたので。







2004年3月28日(
到来したのは春だけでなく



 午前中まで惰眠を貪り、午後から恵比寿に向かいOTCへ。日曜日だというのに、ここは各ディレクター氏や放送作家諸氏の出入りも激しく、かなり賑やか。

 各氏方々としばし歓談していると、今日お会いする予定のいどPが登場。ブツの受け渡しをする。今回の来訪目的はコレ。オレたちが住む地の交通不便を憂慮した同氏から、新車購入にともない前代の愛車を譲って頂いたのである。ただただ感謝。今まで何台も車を潰してきたが、今度こそは大事に乗ろうと固く決意。

 ただ左ハンドルに慣れるため、帰宅は元オーナーであるいどさんのレクチャーを受けながら家路を走る。途中で夕食を共にし、あれこれと話。現在進行中のプロジェクトや業界の内幕。そして『 CASSHERN 』の話題やらオフレコない交ぜて諸々と。あ、『パンドレッタ』ファンには少し頼もしい話も。


 夜、環八から高速に乗り上げてなんとか無事に帰宅。謹呈いただいた『日本オタク大賞2004』(扶桑社)を読み、0時をまわったところで週チャンのレビュー原稿に着手。キーを叩きながら自分の文章に吹き出してしまった。けどこれ、配給会社のチェックが入りそうだなぁ。






2004年3月27日(土) 思い出のアイツ




 しかしここ数日、冷え込みがきつい。寒いと柔道部時代にこしらえた古傷が痛む。そして部の名物男・N君を思い出す。

 彼は同じ柔道部にいた男で、小柄の割に鍛え上げられた腕力で相手を引き寄せ、その体勢から一気に大腰へと持っていくなかなかの猛者。
 ところがある日の試合中、みぞおちに圧迫を受けて相手に胃液を嘔吐してしまい、その日から得意技が「大腰」から「溶解液を吐く」に変わってしまった。

 そりゃアンタ、頃は中学時代。貼られたレッテルの粘着力と流布力は強烈で、彼は試合のたびに、

N! 一気に吐け!
そいつ溶かして骨にしろ!!

 と、およそ柔道の試合にあるまじき声援を背にする。対戦相手はそんな得体の知れない敵と相まみえるプレッシャーで、たぶん実力の半分も発揮できなかったのではないか。

 ああN君、今も健在かなぁ。積極的に会いたいとは思わないが、このHPを見つけてくれると嬉しい。

 そんなN君が『少林寺』のジェット・リー(当時はリー・リンチェイ)に扮し、あの有名な「ハァーッ、ハッ! ハッ! ハッハ!!」を延々20分くらいキメつづけるマッドビデオが、彼のクラスで文化祭のとき製作された。いや、別にムリして映画ネタに繋げることもないのだが、そういう天然のボンクラであるがゆえに、ネットでの再会はかなり望み薄ということで。


 ムダに夜を明かしたので「話題の医学」を見届けて寝る。今回は「脂肪肝とNASHの診断と治療」、番組名物、“朝っぱらから気持ちの悪い手術シーン”は無かったが、身につまされる内容。






2004年3月26日(金) 後を絶たないんですよ



「チンコ」を検索してウチに引っかかってくるヤツ。まぁ、小学生が辞書で必ず「性器」とか「オナニー」とかを字引する心理は解してるんで、これも宿世の因縁ですわと。


 そういう取るに足らない話をニコニコ呈していると、午後のとある予定が微妙に狂い、併せて観るつもりだった『コールド・マウンテン』の試写を逸す。


 それはそれで別の仕事を少し。カラー原稿の文字稿チェックと次回作品レビューのキャッチ入れ、それから週チャン・杉田姐と来週の取材と以後の原稿の打ち合わせ。かなり話し込んだが、その大半は藤子不二雄作品中、いかに自分が『ウメ星デンカ』が好きかというネタに費やされていた。オレの担当になった不幸を呪うしかない。






2004年3月25日(木) せこいよオレ様



 夕べ、帰宅して『日本凄絶史』と共に購入した『ホロコースト全証言 ナチ虐殺戦の全体像』(原書房:刊)を寝床に持ち込み、読んでは寝て目が覚めたらまた読んでを繰り返していたら、あらアッという間の朝でして。


 ほとんどボヤーン状態で六本木へ向かい、ブエナビスタ試写室にて『ヴェロニカ・ゲリン』を観る。
 90年代にダブリンを襲ったドラッグ汚染。その黒幕をジャーナリズムで駆逐しようとした、勇猛果敢な女性記者の実話ドラマ。まぁたぶん誰もが言うんだろうけど、ケイト・ブランシェットの……と所感をツラツラ記したところ、これはそのままレビュー原稿に使えらぁ的レベルに達したので、コピペで新規保存へとヨッコラショ。悪ぃ、変なところで貧乏性が頭をもたげました。


 終了後、そのままヘラルドに移動して『パッション』も観るぞいと思ったが、後につかえた仕事は気になる+睡眠不足でバッテリーはローを理由に、そのまま直帰。
 帰ったら帰ったで、かなりアクロバティックな電話打ち合わせ。来月頭にあるインタビュー取材をめぐり、パブ担当氏と掲載誌の各編集部とを行ったり来たり。ちょっとここであれこれとタネを巻いておく。

 さらにその前週にある、別のインタビューのレジュメをこしらえる。こちらは質問内容のチェックを要求されているのと、当日はグラビア撮影もあって時間幅が狭く、質問の優先順位を確認するため……という話の流れから、相手がお姉ちゃんということが特定できるかと。まぁ、いつもオッさん&イケメンばかり宿命のようにあてがわれるオレ、たまには役得にありついてもバチは当たらんだろ。






2004年3月24日(水)
「ウワサにきこえた凄いヤツ」の全貌




 朝10時に起きて、テープ起こしの作業と週チャンのカラー原稿に着手。共に15時頃にフィニッシュ。

 それから身支度をして外出。ところが試写の時間を1時間ほど早く勘違い。仕方がないので、五反田駅前のケンタでコールスローサラダ3個とホットコーヒーを胃に流し込みながら、今しがた購入した平田弘史の『日本凄絶史』(青林工藝舎:刊)を読了。


 それからイマジカに向かい、19時30分より第1試写室にて『 CASSHERN 』。
 なんつーか、『バトル・ロワイアルII』を観たときと似たような感触だ。“動くフォトコラージュ”と化し、歪みきったランドスケープと、散りばめられし奇形感覚。そんなビジュアル大サーカスに、

「松竹マークを冠する映画にゃ思えぬ悪趣味ぶり、ちょっと好感が持てるなぁ」

 と開巻から1時間までは思うワケさ。けど物語が“青臭い観念”と“抹香臭い主張”を吐き始めたところで、アクビを連打し気も散漫に。人命を守るために他者を殺めなきゃならないアンチノミーに頭抱えんの、今ごろ『宇宙戦艦ヤマト』かよ?って感じでさ。そんな面倒くせぇ能書きタレてねぇで、アンドロ軍団キルゼムしろよ!

 それはともかく、作りようによっては『バットマン・リターンズ』にだってなれたのに、『新造人間キャシャーン』そのものにさえ成り損ねたのだなぁ。オリジナルに従属しろとは言わんが、も少しエモーショナルであって欲しかったよ。


 ロビーにて宣伝担当氏と少し話を。決定稿にあったが本編にないシーンに触れ、ディレクターズ・カット版DVDの可能性など少々耳にする。けど、そりゃまだ時期尚早なネタだ。






2004年3月23日(火)
ムリして埋めることもないのだけれど




 図書館に行って調べモノをした以外、特記することなし。なくはないが記すほど面白くもなし。肩痛し。それでもこういう仕事をしていながら、痔と花粉症だけは未だ患ったことがないのを神様や母親に感謝しつつ。こう書くと花粉症と職業に因果関係があるようだけど、単に文の並びなので突っ込むな。


 あとは外出したついでにメシか…あ、TSUTAYAに行ってクレイジーケンバンドのベストCD『 Oldies but Goodies 』と、小津安二郎の『お早う』と『浮草』のDVDをレンタルしたのではあるが。
 まぁ映画筆耕者らしいことを書くなら、『お早う』を視聴し、かなりキレイにレストアされているなぁと感嘆。アグファカラーの人工っぽい色合いが見事に再現。あまりにキレイなので最後まで観てしまった。すいません。オレ『東京物語』より、こっちのほうが弱冠好きなんで。

浮草』も画質は素晴らしかったが、美術監督の井上章と撮影監督の喜多崎晃(昭和ガメラコンビ!)による副音声解説に、アグファカラーについての細かな言及はなし。撮影監督は宮川一夫だが、ファインダーを積極的に覗く小津が職域を侵すようなことはしなかったとの証言。小津の大映登板、これがずっと気になってたんだよ。


 夜は一心不乱に牛乳を飲む。そういや、20歳すぎてからのミルク摂取は毒にしかならないと聞いたが、根拠はなくても説得力はある。特記することがないクセに牛乳のことは書くのかって? やっぱ牛乳でしょ。

 火曜日も適当だな。






2004年3月22日(月) あ〜、休みだ休み!




 朝起きて『パッション』の試写に向かおうと思うも…か、体が動かへん。

 極度の寒さと睡眠不足、外は雨…オレの行動力を根こそぎ破壊するネガティブの数々。世間ではそれに支配される輩を“怠け者”というが、オレの中での解釈は“心の病気”となっているので、今日はオフ、週が明けて早々にオフだ!

 決断を下してみれば後は楽なもので、レム睡眠の波間をプカプカと。ときおり仕事場電話の着信を子機が知らせるが、居留守を決め込む。今日のオレはオレに優しいオレなのだ。


 口ではそんなことも言ってはみたものの、そこは労働等価の売文屋。ボヤ〜ンと他人の肉体を引きずるように仕事場へと向かう。レイアウトやら追加試写の案内、それにインタビュー取材の場所と日時連絡を流してくるファックスがヴィーヴィーと唸る唸る。ああ、原稿ラッシュ飛来を告げる羽音のようだ。などとポエミィなことを言ってるがオレ、あと10日後には夏休みの宿題をゴッソリ残した小学生のように泣くのだよ。

 しかもカラー原稿は活版よりも入稿が早い、明後日には締め切りだ。泣く泣く仕事…と思ったら、電話で立て続けに打ち合わせ3件。現実逃避のように長話。
 電話中、そういえばウチのファックスはカラー仕様なのに、今まで一度も使ったことがないなぁと感慨に浸ったり、背中に手をやると肩胛骨のあたりにロングヘアの感触を感じ、抜いたら綺麗な金毛だったり。あまりの美しさについ、

「見たいですか?」

 と電話口の向こうに感動を伝えると、

「あ、見たい。今度焼き団子と一緒に持ってきてください」

 どいつもこいつも適当だな、月曜日は。





2004年3月21日() 不肖ではありますが




 朝、近所のおばちゃんの歌なのか奇声なのか分からないキンキン声と、宅急便到着の玄関ベルで目が覚める。


 届きモノは『薔薇の葬列』で知られる松本俊夫の劇映画を網羅したDVD−BOX(『松本俊夫全劇映画』)。
 収録されている4作品はそれぞれビデオを持っているのだが、『16歳の戦争』がオリジナルのワイドスクリーンサイズなのと、監督のコメンタリーが収録されているということ。そしてオレは教鞭をとっていた監督の教え子だったこともあり、久々に教授のご尊顔を拝するという意味合いも含めての、まぁお布施払いですな。

 さすがにDVD用マスターを各作品ともに起こしたようで、どれも画質は素晴らしく向上している。ただ『ドグラ・マグラ』だけは既存のビデオマスターの流用っぽく、画質もしゃっきりしないし、ビスタサイズなのに未スクイーズである。権利の問題なんだろうが、画竜点睛を欠くというか。

 それに欲を言ったらキリがないが、松本監督の本領は実験映画なんだからさ。特典ディスクでも設けて、幾つかそっちの作品を突っ込んどいてほしかったなぁ。特に『夜のダイヤモンド』を撮ったチェコの映画作家、ヤン・ニェメッツへの追慕を描いたビデオ短編『気配』をさ。傑作だぜアレ。

 ニェメッツはチェコ事件(プラハの春)によって投獄され、国外逃亡したミロス・フォアマンと明暗を分けた悲運の監督。長い獄中生活と不遇の時代を過ごした後、フィリップ・カウフマンの『存在の耐えられない軽さ』で“プラハの春”シーンの撮影に協力し、

松本「それからほどなく、30年ぶりの新作を撮ったんだよね」
尾崎「先生、それ観たんですか?」
松本「うん、観た」
尾崎「…どうでした?」
松本「牢獄の中で死んでくれてりゃと思ったなぁ、ハッハ」


 そんなラディカルな師匠は今、日芸の大学院で教えていたはず。筆耕に転身してから「ちゃんと食えてるか?」とさんざ気を揉ませてたけど、今度挨拶に行ってみるかなぁ。






2004年3月20日() ドリフの子



 だんだん春めいてきて、死ぬにはいい日和になってきたぞい……と思ったら、外は雪。オイオイ今日は何の祝日なんだと。


 昼はエイブルに赴き駐車場契約を交わす。業務拡大の名目で近く自動車を譲り受けるので、そのための納車準備を着々と。
 その後はウエンディーズでテリーと軽く食事。話は主に自動車保険の話と、山崎大紀の風俗マンガ月産枚数について。


 夜、所用あって友人のところへ電話。本題はやがて他愛もないネタに流れ、

「君がひいきにしてる矢田亜希子の、あの優等生演技が面白くない」

 というイチャモン献言へと飛び火。
 あ〜、言わんとしていることはよく分かりますわ。ジョージアのCMで一人背広姿に違和感を覚えるのも、米倉やサトエリと比べてタレントとしての狭いキャパシティにあるんだろうし。
 しからば、以後はどんな役にチャレンジすればいいのかと意見を求めると、

「『牡丹と薔薇』で小沢真珠が演じてる役なんてどう?」

 と。反論する決定的材料を持ち得ないオレは、言われるままをウンと受けとめるしかない非力を呪う。


 そんなバカ話に費やした一日の終わりに、いかりや長介死去という、とてつもなく悲しいニュースが舞い込んできた。

『8時だヨ!全員集合』がジャスト世代なオレは、まごうかたなき「ドリフの子」である。人格形成に受けた恩恵は計り知れない。ガンとの闘病を公表したときは、

「あの頃の威勢のいいダミ声から“張り”が失われていったのは、やはり老齢だけではなかったのだなぁ」

 と思いつつ、それでも仕事を続けられる回復ぶりに、胸をなで下ろした矢先の訃報。


 長さんで忘れられないのは、我々ガチンコ兄弟がロフトプラスワンで日本アカデミー賞中継を肴にトークライブしたときのこと。
 最優秀助演男優賞の発表となったとき、オレやテリーやゲストの唐沢俊一さんとで、

「ここで長さんにイッパツ賞でも与えて、たまには洒落の利いたことでもしてみやがれ!

 と毒づいていたら、プレゼンターから“いかりや長介”の名前が読み上げられ、ロフト場内は拍手喝采!
 日本アカデミー賞に唯一シンパシーを感じた瞬間であり、「ああ、みんなドリフの子なんだなぁ」というのを実感した瞬間だった。冒頭、死ぬには云々なんて綴ったことを激しく後悔。そして合掌。






2004年3月19日(金) なにが貧乏くさいって



 ミスタードーナツの全商品100円セールで、ここぞとばかりにD−ポップとかセットもの選って買うヤツ。誰でしょうねってオレですね。おっ、君もか。気が合うなぁまぁ上がれ。ここにはバカとテリーしか転がってないが。


 気持ちが弛緩しきってダワ〜ンとした一日。いくら日に映画を4本見貯めしても、こういうところでキッチリ帳尻が合ってしまうのね。いや本数なんか誇っちゃダメなんだ。「多芸無芸」がオレの戒めワードですんで。


 今日も私事にあれこれと動く。青色申告会に行って税理士さんと諸々の相談をし、市役所に行って住民票と印鑑証明を交付してもらい、ちょっと血圧でも計ってみる。
 ちなみにオレの血圧値は最大が136mmHgで最小が85mmHg。標準域だかちょっと高い。テリー君は最大値が170を超えていた時期があるが、それはかなりの爆弾を抱えてるんじゃないのか。しかも味濃いめ好きの野菜嫌いのヘビースモーカーという、成人病予備軍として正しい食生活と嗜好で固めてるし。


 夜はそんなテリーと今後の展開についてのかなり深い論議。積極的な意識改革を要求する。幾度となく繰り返している説教だが、こればかりは本人の問題。
 あと不摂生を何とかしろと。とりあえず先輩後輩のよしみで生活の底上げと助力はしてやってるが、臨終の立ち会いと葬式までは面倒みきれん。





2004年3月18日(木) とりあえず言っちゃうと




 先日ポシゃったインタビューの相手というのは、シンガーソングライターの飯島真理
 オレらの世代にとっては『超時空要塞マクロス』のリン・ミンメイだけど、彼女がマクロスに関するネタを長らくNGにしていて(アメリカに移住したってのもあるが)、ここ数年ようやくその話題に関して口を開くようになってきた。んで、そこのことを少し突っ込んで訊いてみたいと思った矢先の、来日中止によるキャンセルである。

 なんでかなぁと思っていたら、ローリングクレイドル氏のニュースリリースHP(2004/3/18付)で知った。御難だったのね。オレは別にそこまで業は深くないが、テリーがファーストマクロスには入れ込んでいたから、ちょっと気の毒。


 とりあえず今日は片付けてしまうべき私事を優先させる。まずは青色申告会に行き、申告の補筆と諸々の手続きを済ませ、家主のところへ行って車庫証明のための駐車場契約サインをもらう。そして貧乏極まりないテリーにメシをおごり、夜は重要書類の作成。


 ということで、一昨日の映画漬けに比べて実に淡泊な一日。『パッション』の完成披露試写があったのだが、メディアボックスからの社内試写案内しか貰ってないんで作品を観るのは来週だし。そういや『男たちの挽歌』DVD−BOXのリリースが5月に延期になったので、仕切り直しでムラウチで予約が取れて嬉しい……そのくらいかなぁ。つまんなくてスマン。





2004年3月17日(水) やはり体は正直だったよ




 昨日の無謀が祟ったか、起きたら仕事に取りかかって週チャンカラーPのラフを上げる……つもりが、目が覚めたのは納品予定である30分前の10時半。あわててラフ構成をまとめるも、クオリティに関わってくるので受け渡しを14時半に変更してもらう。


 そんなワケで14時半前に秋田書店へ。受付で久々にアニキ…もとい伊藤副編集長とハチ合わせたので、偶然持っていたコナミのエイリアンのダブりを差し上げる。
 ちょうどフロントでは担当・杉田姐とムービーアイの宣伝担当氏が話をしており、挨拶の後、打ち合わせに。今後の予定のなか、一度ポシゃった企画が浮上し、晴れて月末にインタビューの運びとなった件がひとつ。ちょい嬉しいかも。


 それから遅めの昼食をとり、お茶の水駅へと移動。映画秘宝編集部へお邪魔し、大内軍曹と原稿の話を少々。後は編集部内の皆さんと雑談を。


 編集部を出て渋谷へと移動し、東芝エンタテインメント試写室にて『スパン』を観る。
ここ近年ミッキー・ロークに陽が当たってるなぁ」を実感する、猫パンチリスペクトのラリ公映画。みんなどうせ『トレインスポッティング』『ラスベガスをやっつけろ!』文脈でくくるんだろうが、それよりセックス&ドラッグの『どですかでん』っていったほうが潔いかも。
 高感度のスーパー16をデジタルスキャンし、Avid編集かけた凝った繋ぎが……と、こういうのは褒め出すとキリがないので、(どの映画に出ても似たような役の)ジョン・レグイザモ渾身のテレフォン自慰や、信長書店みたいなビデオ屋の雇われ店長をロブ・ハルフォードが演じていて、しかもミッキー・ロークにホモ呼ばわりされる自虐ネタなどをトピックとして挙げておく。





2004年3月16日(火)
昔は一日5本もザラだったんだけど



 いくら手詰まり週間だったといえ、まずいよなぁ。映画でメシ食らってる筆耕者が、今月も半ばを過ぎて観た作品が『キューティーハニー』ただ1本という事実。
 うっしゃああ!!と気合いを入れ、昼直前に出掛けて試写へと向かう。


 最初は聖路加に行き、13時よりソニーピクチャーズ試写室にて『スターシップ・トゥルーパーズ2 ヒーロー・オブ・ザ・フェデレーション』。
 ヨーロッパ圏ではDVDスルー、米では来月にケーブル放送される予定のTVM(デジカメ撮影)。監督はなんとフィル・ティペット。もちろん彼が創作のイニシアチブを握ればこういうものが出来るという、希求に則した残酷びっくりパーティ! ヴァーホーヴェンの正編に敵うモノなしとタカくくっていたら、これもまた素晴らしい傑作で驚きの一語。必然性があろうとなかろうと、「まずは血!」という真摯な姿勢がみなぎっててさ。詳細に触れるとネタばれになるクリーチャーが登場するんだけど、これがもうティペットスタジオの至芸というか。ああ、この人に付いてきて本当によかった。


 そのまま京橋に移動。UIP試写室にて『ミッシング』。
 コスタ・ガブラスの同名映画と作品概要がベッタリ重なり、ジャック・レモンやシシー・スペイセクよろしくトミー・リー&ケイトが失踪我が子を捜すサスペンスかと思ったら、誰にも遠慮することのない西部劇でした。あー要するに『捜索者』をやりたかったんスね。黒澤マネてみたりフォードやってみたり、ロン・ハワードもオスカー監督のクセに身形を気にしない人だなぁ。けど、それでもクリント・ハワードを出すお約束を欠かさない兄弟愛や良し!

 本作は宣伝がトライアルだったので、IさんにOTCまでご足労いただいたお礼を言っておく。「合コンみたいで楽しかったと男連中が喜んでました」と言うと大ウケしてたが。


 終了後もUIPの試写室に居座り、18時からの『ランダウン/ロッキング・ザ・アマゾン』を観る。
 ザ・ロック主演の快作アクション。銃を持たないことをポリシーにしている奪還屋という、ロック様の妙技を味わせるためのケツ札を敷いてはいるが(ラストにかかる伏線でもある)、映画そのものはロック様の役がヴァン・ダムに代わってもセガールに代わっても不都合のないストーリー。ただ編集感覚がズバ抜けて優れていて、そこは飽きずに楽しめる。


 終わったら早々に有楽町マリオンへと移動。日劇1にて『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』マスコミ完成披露試写。
 ハハ、もはやクリムゾンでもなけりゃリバーでもなし……じゃなくて、猟奇殺人の趣向を変えてのニーマンス刑事(ジャン・レノ)再登場編。脚本がリュック・ベッソンという時点で見積もりを下げている人がほとんどだろうけど、期待に違わず黒ずくめの修道士(中はたぶんヤマカシ軍団)と刑事がカンフーで戦ったり、伏線が伏線として機能していない「見立て殺人」の非ロジカルさなど、やはりというべき持ち駒の少なさだけは大いに堪能できる(今日に始まったことじゃないが)。
 唯一褒められるのは、クリストファー・リーの醸し出す恐ろしいまでの存在感くらいか(バカな役だけど)。流暢なフランス語も披露、さすが6カ国語を操るインテリ。


 外に出ると既に22時。気が付きゃ一日4本という、ヒマにあかして映画ばかり観ていた学生時代のような無謀を冒していた。けど意外と疲れを覚えず、妙に余力を残しながらの帰還に、
まだこういうムチャも利くのか
 と感心していたら、帰宅途中で肩こりが再発。がぁあああ腕がちぎれるれるように痛ぇよマジで。






2004年3月15日(月) あへぇ、ジヒョン様!




 老人もかくやのとんでもない早朝に起床。
 ネットを見ると、我らが内田亜紗子がMONDO21の新しい映画番組のレギュラーになるという話題が目に入る。口幅ったいことを言うけど、『パンドレッタプラス』でのガチンコ映画千本ノックが今回のオファーに繋がったのなら、ちょっと嬉しくもあり。さぁテリー君、我々も頑張らなきゃね!


 などと気合いを入れた傍から、フィギュア王のS氏より緊急メール。
今日に予定していたインタビュー、先方が結局来日せず、中止になりました
 ガビーン! テリーと質問のレジュメを用意したのに……。まぁそこはソレ、ペーパーインタビューの形を取る方向で行くので、そいつは頂戴しますと付記。ホッ。
 ところで相手は誰だったのかって? キューンキューン、キューンキューン♪


 レジュメを送付の後、ほどなく渋谷へと向かう。夕刻16時よりセルリアンタワーホテルで『4人の食卓』のチョン・ジヒョン囲みインタビュー。
 実は彼女、16日に記者会見が組まれる予定だったが、急遽韓国に帰らねばならず中止。とりあえず媒体を絞ってインタビューだけでもいうドタバタ顛末。けどオレ的には願ったり叶ったりだよ。ジヒョンと間近で、しかも差しで質疑応答の至福に浸れらぁ。
 


オレが至福の時間を過ごしている間、皆さんは会場から眼下に見える
渋谷の群衆にツバでも吐きかけてください、カーっと。




 インタビューは時間が少々押したものの無事に終了。その足で六本木グランドハイアットに移動。19時より今度はこっちで『スパイダーマン2』の15分フッテージ上映

 急遽来日したトビー・マグワイア(なぜかヒゲ面)の挨拶も含めつつ、時間押しつつで待つこと30分。世界初公開という触れ込みで映し出された映像は、ガウン姿でワインを燻らせるサム・ライミ先生!
ケイタイノ デンゲンハ キッテネ
 とか言わされてやがる。バカです、大バカ!
 まぁそれは些細なマクラで、相変わらずキルステンの垂れ乳ノーブラが…いや、そんなことはいいんだ。全編の見せ場を刻んだ最新トレーラーの後、ドクター・オクトパスとスパイダーマンの電車上での戦いをワンシークエンスまるまる披露。ところどころCGアニマティクスを挟んだ未完成状態ながら、『ダークマン』のヘリコプターアクションに近いテイストに思いっきり引き込まれる。なぜそのハイテンションを前作で出し惜しんだ!!


 終わってメシ胃に詰め込んでると、東宝東和宣伝部のN氏とバッタリ。向こうで『ドーン・オブ・ザ・デッド』完成版を観てきたということで質問攻め。ここでは言えない話もするが、とりあえずランニングタイムは約1時間38分だということと、やはりというか、かなり残酷ということだけを……。


 さすがに疲れて今日はタクシーでの帰還。悲しいことに帰路の途中で『風雲児たち 幕末編』の3巻と4巻を買ったら、帰ってみると既に3巻は所有済みという大愚行に気付く。死ねよオレ。





2004年3月14日() 疲れが抜けないぞ




 今日はこれまでの煩雑さに放置しておいた諸々を片付ける。例えば洗剤やゴミ袋といった日用雑貨品を買い求めに行ったり、図書館に行って本を返したり、近くのファミレスでコーヒーなどすすりながら、試写状の整理とPDAに日時の打ち込み作業をしたり。
 ゲッ!『CASSHERN』のランニングタイムって、2時間21分(予定)もあるのかよ!! 台本の厚さから推するにイヤな予感はしていたんだが……しかしビジュアルサーカスも最初の30分で目慣れしてくるだろうし、そうなると演出でグイグイ押していかないと相当にダレるぞ。


 帰宅途中に書店で『《猿の惑星》隠された真実』(扶桑社)を買う。先日見た『猿の惑星 35周年記念アルティメット・エディション』DVDに、本書の著者であるエリック・グリーンの字幕解説が収録されており、それがかなり深くバックステージに言及していたので、気になっての購入。
 早速帰って読むが、疲労が蓄積していたせいで頭の20ページくらいに目を通したところで爆睡してしまう。ああ、疲れの抜けが悪くなってきてるなぁ。





2004年3月13日(土)
事がようやく我が身に影響してきた




 朝は届け物で目が覚める。20世紀フォックスから『デイ・アフター・トゥモロー』のスチールフォトの紙焼き等あれこれ。週明けにはカラー原稿のラフ切りをあげておかないといけないのだ。


 午後は少しは気持ちのいい環境で仕事しようと、部屋の整理。しかし片付けても全く成果が見えてこない。
 そうしているとエルマガ編集部・竹村兄から電話。16日のチョン・ジヒョンの来日記者会見が前倒しで日時変更のうえ、おまけに記者会見が囲みインタビューになるという緊急の連絡。ウゲ、どうしたものか。月曜日は別件のインタビュー取材が入る予定なのに、時間が重なると大いに困る。とりあえず計画の立て直しと、円満解決の糸口を思案。


 別件で中野まで行っていたテリーと、新宿で合流。
 待ち合わせ場所のJT喫煙ルームに行くと、先に来て一服しているテリーの後ろに妙なおっさん三人組がいる。何をしているのかと見たら、今しがた歌舞伎町で買ったであろう大量の裏本を、みんなで楽しそうに回し読みしているのだ。まるで吊った魚を品定めするかのように、その振る舞いの自然で堂々たることよ! テリーが居ようがオレが入ってこようが、まるで気にも留めない。まいった!!

 そのまま2人でディスクユニオンに行き、新古で投げ売りされていたクライテリオンのエンゼンシュテインDVD−BOX(『アレクサンドル・ネフスキー』『イワン雷帝』)を購入。その後はテリーと別れて秋葉原に行き、saleで予約していたブツを取りに行く。

 秋葉原に出てあれこれ食指も動くが、本来の用事のみ済ましてJRに乗り込む。
 そこでふと、西武百貨店地下にある鶏のキンカンと肝のワイン煮を買って帰ろうかと思い、中央線に乗らずに山手線に飛び乗って池袋へ。ところが行ってみたら売り場が無くなっていた。鳥インフルエンザの影響なのだろうかと、少し青い気分になる。


 駅についたら、古本まつりを少し覗く。するとオレが目をつけていた松本清張の『昭和史発掘』がまだ売れずに残っていたので、結局引き取ることに。





2004年3月12日(金) 駆け込み申告




 とりあえず今週は原稿も一段落し、このタイミングを逃すまいと確定申告を済ませてしまう。もちろん、税務署にはオレのような駆け込み集団がワンサと押し掛け、状況まさにJRAの場外馬券売り場の如くなり。けどオレは青色なので、この喧騒に背を向けて青色申告会事務所に。
 とりあえず書類を提出し、帰り途中の駅前書店で『百鬼園俳句帖 内田百間集成18』(ちくま文庫)を買って帰る。

 帰るなり早々、フィギュア王編集部より電話でインタビュー原稿の依頼。次号の某作品特集のため、めったに会えない女性(というか、当該作品との関わりを一時期絶っていた人)に取材のOK取ったらしい。うーん、でもこれはオレより、テリーのほうが当時の熱狂度という点で向いてそうな気が。

 その後、友人M君と電話で1時間ばかりデヴィッド・リンチ論を交わす。彼は中学2年のとき、感動作というキャッチに煽られ『エレファント・マン』を観に行くクラスメイトの多いなか、
この映画……何か変な匂いがする
 と疑問符のつく所感を吐いており、かなり早い段階でリンチの変態性をスッパ抜いていた好漢。だが後に『イレイザーヘッド』が国内公開され、その嗅覚の鋭さが証明されるまでは「やぶにらみだ」と迫害を受けていた……なんて思い出話も含めつつ。
 あと、イアン・マッケランのゲイ趣味を思うと、旅の仲間のうちの誰が彼の“お好み”なのかという話。やはりサムワイズが限りなく怪しいという結論。

 寝る前に生きる』クライテリオン版DVDを視聴。
 クライテリオンの黒澤タイトル初の2枚組で、東宝版DVDの映像特典である「創ると云う事は素晴らしい〜」がなぜか収録され、さらには日本ビクターからDVDリリースされている「黒澤明からのメッセージ・美しい映画を」までもが入っており、ある意味お得なブツ。
 本編画質は日本版に比べるとモノクロの階調が豊かで奥行きがあり、とにかく輪郭がシャープ(特に渡辺の背にある書類の山の、そのディテール再現力を見よ!)。音質も向上し、これまで聞き取りにくかったセリフが無理なく耳に入ってくる。

 結局、『生きる』本編を通しで最後まで観てしまい、「タモリ倶楽部」のチェックを漏らしてしまう。





2004年3月11日(木)
仕事から開放されたといいながら




 脱稿した原稿もろもろの活字稿がファックスで止めどなくヴインヴインやってくるので、それの赤入れを。

 しかも今日は気温が初夏並みに高く、風がやたらに強くて天空がゴォゴォと唸りをあげている。おまけにウチの裏手は砂地の畑になっており、ただでさえ黄砂を含んだ風にこれらが巻き上げあれ、ホコリっぽいのなんの、御難きわまりない。


 昼食を取るため外出。ついでに書店に立ち寄り、昨日買えなかった『続・幻影城 江戸川乱歩全集 第27巻』(光文社文庫)と、テクニカラーの絵師とも称すべき撮影監督ジャック・カーディフの自伝『マジックアワー』(愛育社)を購入。

 いきつけのお好み焼き屋でパラパラと『マジックアワー』を目を通すが、担当作品の詳細に触れているのはリチャード・フライシャーの『ヴァイキング』くらいまでで、『ランボー2/怒りの脱出』や監督作『悪魔の植物人間』にはほとんど言及してないのが悲しい。カーディフといえば、撮影のテクニカルな面について考察の深いBBC制作のドキュメント(『黒水仙』のクライテリオン版DVDに収録)が面白い。機会があればぜひ。


 夜はいろんなところと電話で打ち合わせるが、まとわりつくような眠気を払拭するため、『白い巨塔』を見終わるなり早々に寝てしまう。





2004年3月10日(水) ゲッ、面が割れてる!




 朝起きてフィギュア王の原稿に取りかかるが、公共料金の支払いや買わないといけない物品が多々あり、ヒマを持てあましているテリーをつかまえて所沢へ。

 まずはLOFTでポスターフレームとポートフォリオを求めるも、前者はフィットするサイズがなく断念。その後はいけだ書店にて乱歩と百鬼園先生でも…と思ったら、両方とも発売は明日。

 そうしていると腹の虫が騒ぎだし、テリーが、
「吉野屋にも豚丼が出たんで、それでも食おうよ。ちょうど250円セールだし」
 と提案。ならばと行ったところ、セールは明日。だからといって引き返すのも貧乏くさいので食らう。まぁ、どこのを食しても味は変わり映えしないな。


 それはともかく、丸井の前にある自販機でテリーがタバコを購入していると、
 「テリーさんとドリーさんですよね?
 と、見知らぬ青年から声をかけられる。
 …はぁ、とうとう来るべき日が来てしまった。折しも先日、OTCのいどPから、
 「パンドレッタって何度もリピートしているから、自覚がなくても面が割れてきますよ
 と言われたばかりの今日この事態。たぶんテリーだけならこんなこともなかったろうが、オレはそれこそ特徴の固まり。ああ、これでもう変なところに行ってハメは外せない……。


 暗澹たる気分で古本祭りを物色。松本清張の『昭和史発掘』揃いを買おうか悩むも、手荷物がかさむので断念。もう次に行ったときには消えてるだろう。古本一期一会の鉄則。


 帰宅すると、エルマガジンの竹村君とメイジャーより立て続けで電話連絡。前者は『四人の食卓』のチョン・ジヒョン来日記者会見をフォローしてもらえないかと、後者は『ゴッド・ディーバ』のエンキ・ビラル個別インタビューの依頼。媒体調整するから返事は後日といいつつ、ビラルはフレンチコミック者として食指がびくびく。ジヒョン? お仕事じゃなくても行くつもりでしたが。


 そんなこんなでフィギュア王の原稿も脱稿。これで今週は仕事から開放された。





2004年3月9日(火) なんか最近




 うっとうしいなぁと思うのは、ネットで単語検索すると、そのもの直の回答を得られるより、当該単語に関して触れているblogにぶち当たること。
 それでもさ、これも一期一会と思って其奴の日記を律儀に読むワケよ。そしたらまぁ、クソのような駄文が綴られてる率の高ぇこと! しかもそういうヤツに限って、他人の日記に積極的に絡んでくるしなぁ。

 それと左耳の耳鳴り。意識していないときは全く気にならないのだが、無音の状態で耳に気が行くと、ドーンコーラスみたいな音に気もそぞろ。
 原因は実際のところ分かっていて、どうも鼓膜系統に穴が……みたいな障害があるらしい。例えば運動をして激しい呼吸になると、耳へと微かに空気が流れる違和を実感する。脳からくるものではないので放置しているが、そろそろ観念して耳鼻科に行かねばと。

 そんな満身創痍な状態で、エルマガジンと週チャンの原稿をフィニッシュ。その後は外出し、武蔵野線をボーッと眺めながら頭をクールダウンさせ、流れで買い物。バンダレコードでDVD『猿の惑星 35周年記念アルティメット・エディション』を買う。
 帰ってさっそく盤チェックといくが、映像特典のドキュメンタリーはシリーズDVD−BOXに特典ディスクと同内容なので、まずは本編の画質確認と、音楽を担当したジェリー・ゴールドスミスのコメンタリーを。

今までこういうタイプの曲を書かなかったのは、こういうタイプの作品がなかったからだ

 とジェリー、しごく真っ当だが恐ろしく説得力のある事を言っていたのが印象的。





2004年3月8日(月)
目撃『エイリアンVSプレデター』!




 朝方に「神戸ウォーカー」から依頼された原稿をあげ、そのまま身支度して六本木ヒルズに行く。

 本日の出向目的は映画『デイ・アフター・トゥモロープレゼンテーション&記者会見
 20世紀フォックスの宣伝担当諸氏が口を揃えて、
「ウチは今年これに社運を賭けてるんです!」
 というだけあって、米フォックス本社のエグゼクティブ連中がものものしく来日して、マーティング戦略を滔々と語る。
 その後、製作のマーク・ゴードンと監督のエメ公ローランド・エメリッヒが顔を出し、本編から見せ場となる3シークエンス(計18分)のフッテージを上映。ロサンゼルスのツイスター地獄シーンも素晴らしかったが、マンハッタンに津波がおしよせる場面は、水没マニア的にグングン心の海綿体が充血したぜ。特にビル間の道路に見る見る浸水が及ぶのを俯瞰で捉えたシーンは、『地球防衛軍』のミステリアンの湖水逆落とし、そして『日本沈没』の荒川堤防決壊、そして広報ビデオ『淀川が氾濫する日』のシミュレーション映像に比肩する。

 終わって記者会見場のグランドハイアットに移動する途中、来ていた週チャン編集・杉田姐と合流。
「エメリッヒ監督、ちょっと素敵な人でしたね〜
 と相変わらずのコメントを爆発させる彼女に、同行したテリーが、
ゴジラをダメにしたゲルマンのお上りさんですよ、あいつ
 と、まるでダメ男に惚れた女を諭すかのようにあわてて否定。てーかお前、杉田に惚れてるのか?

 その後は30分押して記者会見に突入。オッさんだけじゃ映像媒体的に華がないだろうとの配慮か、花束贈呈ゲストで鶴田真由が登場。ちょっと嬉しかった。


 とりあえず会見も終わり、後は立食ルームにて空腹を満たす。そこでテリーとあれやこれやを話すが、やはり最大の収穫は『エイリアンVSプレデター』のビジュアルが見られたことだろうか。キャラ・パテ入りのビデオ編集映像だったが、そのインパクトは絶大だった。だって字ヅラだけだとバカ企画以外のナニモノでもないのに、実際にビッグチャップとプレデターが睨み合って対峙するシーン見てごらんよ、その画に涙腺ユルむぜ。


 それから『パンドレッタプラス』のビデオを受け取るために恵比寿はOTCへ立ち寄る。そこで野口君と雑談をし、しばしOTCを離れてお堅い経済番組を担当する小林Dに挨拶。やはり春は別れの季節だなぁ。それに引き替え……。





2004年3月7日(
オレ事ながら、マズい傾向ですよ



 原稿、残るは4誌。うち月曜日に持ち越してはいけない仕事3誌。なのに、なのにだ、パソコンデスクにケツを向けた現実逃避的姿勢で『ゾンビ』の新盤DVDを見てしまう。




(以下、その新盤『ゾンビ』のスペックをつらつら書き続け、相当量の長文になってしまった。当該部分は後日コラムとして掲載する。そうじゃないと前後の文脈から「仕事もしねぇで何だ!」と罵られること必至なので)




 ああ、こうやって『ゾンビ』のこと綴っているところ、懸命に本業を忌避している自分がありありと投影されてるのだが、社会人としてこれじゃマズいと、NHKアーカイブス『東京大空襲』を見る。ガァアアいやだからそうじゃなくて!!





2004年3月6日(土) オツカレサマ




 朝は宅配便の呼び出しで目を覚ます。
 お届け物は『24』セカンドシーズンのビデオ2本。これでようやく手元に全話揃った。だが別に「全て揃えてイッキに視聴」と機を狙ってたワケじゃなく、見るのを先送りにしていたためにドッサリ溜まってしまったという現状。世間には早く見たくて仕方がないユーザーもいるのに、これではバチが当たるというもの。せめて1日1巻ずつでも消化していこうと。ファーストシーズンは丸1日かけリアルタイムで24話見たけど、やはりあれは、一週間のスパンを置いて見てナンボの作りになっているドラマなのだ。


 起きてから、遅延していた秘宝の原稿をようやく仕上げる。
 それから秋葉原のSALEへと向かい、入荷連絡があった『ドーン・オブ・ザ・デッド』の米盤ポスターを受け取りに行く。『パンドレッタ』収録前に間に合ってよかった。

 そう、今日のメインは『衛星中立放送パンドレッタプラス』最終回の収録。映画紹介コーナーはオレ的に心残りがないよう、満を持してのお題『ドーン・オブ・ザ・デッド』。MCビューティーズは、もちろんウッチーこと内田亜紗子。収録前に出来上がったばかりの日本版予告編を皆で見たが、ゴアシーン等かなり見せまくっていて驚く。ケン・フォリーの神父とかもバッチリ映ってたし。

 トークはそれこそもう、配給会社の思惑に反して『ゾンビ』のリメイクであることを徹底強調。というか、今思うとそれしかしゃべってなかったような気がする。


 収録後、オレとテリーからウッチーに花束を贈る。オレたちのコーナーで一番多く絡んだパートナーとして、それとバカなテリーのデート企画に付き合ってくれたことに深いお礼を込めて。

 それから井戸Pや小林D、木全さんやAD野口君らと交えて打ち上げ。そして日付をまたいでの帰宅。淡泊に文章を締めているが、アレコレあって書き出すとキリがないので。とりあえず皆さんお疲れさまでした。





2004年3月5日(金) 芝蘭の化 




 ようやく「フィギュア王」の原稿を脱稿。だが返す刀で別件の原稿を依頼される。ありがたいことだが、遅筆すぎて時給の安い自分に自己嫌悪を覚える。


 そんな状況下、救われるような出来事もあり。
 HPを開いて素性を晒していると、昔の友人がそれに気が付いて連絡でも……という願望がある。実際、大学に勤めていた頃の学生たちが何人かメールをくれたりしたが、自分の旧友がメールをよこしたなんて、未だ皆無が正直なところ。
 ところが先日、こことオレの存在に気付いてくれた、高校時代の親友からメールが届いた。前に日記で書いた、8時間という最長電話の相手である。
 相手は同校の看護科にいた看護婦の卵で、性別を越えての仲良しだった。他人に明かさない家庭の事情さえ相談したこともある。だから16年ぶりのコンタクトに気持ちが追いつかず、めまいが襲って動揺したけど、そんな空白など存在しなかったかのように、彼女はオレの肩痛を母親みたいに気を遣ってくれた。夜中に仕事場で途方に暮れてたオレ、いろんな感情が去来して、ちょっと鼻からぬるい水が出た。めんぼくない。


 昨日買った週刊プレイボーイの袋とじ企画。昔ごひいきだった吉田里深の衝撃グラビアということで、ついつい食指が動いてしまったけど、問題はその中身。いや別にいいんだよ、乳首死守は落ち目アイドルの隠し砦だから。問題なのは「そのくせオメの毛は丸出し」という、守るべきモノの優先順位がオレには分からない。それよりテリー、なぜお前はオレの雑誌の袋とじを開封する権利を持っているのだ?





2004年3月4日(木)
状況に変化なしも、とりあえずガス抜き




 同輩にはミムラ乙葉の区別がつかないとか、安田美沙子安めぐみが同じ顔に見えると吐露する心細い人がボツボツ出始めてきたが、そう考えるとオレは商売がら頑張ってるなぁ。とかいいながらモーニング娘。に4、5人知らないのがいるが。


 相変わらず状況は進展せず、手離れの悪い原稿を抱えて苦しんでいる。悩めば悩むほど空腹に響くので、昨日今日と合わせて初めての外出。深夜に近所のセブンイレブンに行き、食料を雑誌もろもろ買い込む。ついでにイーエスブックスで注文した都筑道夫の『黄色い部屋はいかに改装されたか?』(新装版・晶文社)と受け取って帰宅。久々にこの名著を読みたくなったんで。


 ガソリンを詰めるとやはり眠気が支配し、グテッと仕事場で横臥してTVを見る。テレ東では『ビーバップ・ハイスクール』を放送してるじゃないの。『デビルマン』絡みかしらね? それでも観てしまいましたが。

 途中でチャンネルを変えると、偶然にも『探偵!ナイトスクープ』に遭遇。ネットで評判の高い「ルー大柴が死んだ祖父に激似」のネタを初めて観たが、確かに『フィールド・オブ・ドリームス』を彷彿とさせる感動的な依頼。とはいえ近年の「視聴者の願い叶えます」路線がイマイチ馴染めないので。河内風穴や洲本のパラダイス世代としては違和感など覚えつつ。





2004年3月3日(水)
キケロのジョー vs ウィンスロー・リーチ




 

 ムダに忙しくてすいません。日記サボらしてください。

 その代わりといってはナニですが、朕の仕事場の壁でも。『ファントム・オブ・パラダイス』のポスター(初公開時のもの)の横には2004年度東映カレンダーです。3月は小林稔侍です。
 自分ながら「果たしてどうか?」と思う空間ですが、写ってない右端には初インタビュー仕事のときに撮った矢田亜希子の写真(撮影:三谷ヒロシ氏)が額縁に飾ってあります。これでかろうじてうるおいを保っているというか、そのベストショットを見せたいんだけど…。





2004年3月2日(火) ま、頑張れとしか…




 ゴジラ生誕50周年記念『ゴジラ FINAL WARS 』製作のニュース。 

 これでゴジラシリーズは一時打ち止めということだが、まぁ富山Pはエメ公の『GODZILLA』公開時に「ゴジラはしばらく休眠」と発言しておいて、舌の根も乾かぬウチに『2000ミレニアム』を製作する御仁。あまり真摯には受け止めてない。そんなことよりも、北村龍平監督の名がようやく公表されたことのほうがトピックか。

 オレが東宝さんから聞いて知っていたのは、手塚昌明と『ピンポン』の曽利文彦、そして北村龍平という候補案だった(三池崇史や山崎貴の名は聞かなかったと思う)。
『VSガメラ』の線が消えていたのは、金子修介監督自身から「僕はノータッチ」と告げられて知っていたし、もろもろオフレコが条件だったので触れなかったけど、世間的に北村ゴジラは公然の秘密になっていたよなぁ。

 オレ個人はそんな北村ゴジラに抵抗はないけど。本人が脚本に噛みさえしなけりゃ、剥き身の人間アクションはそれなりのコレオグラフを構成できるだろうし。怪獣映画だろという懸念はあるが。


 原稿が重なっているので、家で仕事。本当は資料探しに国会図書館に行きたいのだが、痛い出費が重なって週末まで金穴状態だ。あそこは意外と原本コピーに費用がかさむのだよ。
 籠もってりゃそれはそれで、OTCから『パンドレッタ』収録の打ち合わせを含め10件くらいの電話連絡を交わす。半分はムダ話だが。





2004年3月1日(月) サトエリスペシャル




 目覚ましを朝9時にセットしておきながら、実際に起きたのは昼の2時。すでに第76回アカデミー賞は全部門の発表を終え、TVはケン・ワタナベの残念会見を流していた。

 しかしトピックはやっぱり『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』のオスカー受賞。ノミニーされた賞を全部かっさらったことより、そして『ベン・ハー』や『タイタニック』と並んで最多受賞数となったことなんかよりも、米アカデミー賞史上初めてSF・ファンタジー系映画が作品賞を制したことが、オレにとってはズンとくる。『時計じかけのオレンジ』や『スター・ウォーズ』『E.T.』と、幾度となく機会を得ながら潰えてきた“希望”だったんだぜ。


 原稿もあれこれ貯まってきたので、家で大人しく仕事しようと思うも、早々にチェックしておかないといけない作品があるので、身支度して都内へ出掛ける。

 ということで、ワーナー試写室にて『キューティーハニー』。
 う〜サトエリスペシャル! 佐藤江梨子が大好きで「サトエリ見てればそれで昇天」みたいな殿方にはまったく何の問題もない。ただ原作に思い入れのある人間に、庵野のいい意味でベタもポップも引っくるめた、悪く言えば学生映画のように過剰な『カレカノ』や『ラブ&ポップ』アイコンがどう映るかは微妙(手塚とおるには少しウルルときたが)。リチャード・レスターと言ったら褒めすぎで、『水の旅人』の大林感覚といえばそこまで悪くないだろ的なビジュアル印象だったが。

 試写を見終わり、帰りにレオ・エンタープライズのSさんと話。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』もレオが宣伝担当だが、米ワーナー本社のパブリシティ締め付け、その想像以上のキツさを聞かされ驚く。口止めされたので言えないが、例えるならラーメン嫌いな上司に「おまえはラーメンが好きだからクビ」と宣告されるくらいの理不尽さらしい、異常だよ。






BACK | | MAIN