2004年8月31日(火) 残暑きびしすぎ 



 昼近くに起床。というか週チャン・杉田アニキに電話で叩き起こされる。仕方なく半睡のまま打ち合わせ。


 それから留守電やメールをチェックすると、携帯にメッセージあり。某配給会社からBS番組出演の依頼。あら奇特な。しかし提示されたテーマで話題を転がすスキルがオレには乏しいと懸念。折り返し電話をし、当方から適任者を何人か推薦して見送り。


 午後は市役所に行き、担当所員と住宅関係の質疑応答をし、資料をもらってくる。


 夜は明日のインタビューのレジュメ作成と原稿に着手。週末にも別件のインタビュー取材があるので、それにも備える。どうでもいいが暑いんだっての!






2004年8月30日(月)
試写期間中にバージョンが変わる珍例




 都内某所にて内覧試写。

 以前に一度映画化されているが、ヒーローのくせに正義行動が恐ろしく姑息で地味。ネタばれになるので詳しくは記せないけど、王国再建のために袋貼りの内職をする『ウメ星デンカ』くらいプロセスが間違ってる。カタルシス皆無。『キャットウーマン』といい『デビルマン』といい、ここんとこのコミックヒーロー映画、どれも低空フライト気味の感アリ。


 それからほどなくソニー試写室に移り(というか居座って)『バイオハザードII アポカリプス』を見る。

 ミラの“あたし大活躍ムービー”なのはご愛敬。話の骨子はまんま『ニューヨーク1997』だが、アクション押しでストーリーに意識を向けさせぬよう出来ているんで、取るに足らない難クセ。ただブレーキを小刻みに踏んでいるような、エンディングのキレの悪さに関してだけは前作を見習うべきかと追及。
 アンデッドの描写はイマイチ垢抜けず、いかに『ドーン・オブ・ザ・デッド』が優れたアプローチだったかを再認識。


 聖路加から銀座へと移動し、UIP試写室にて『ヘルボーイ』。

 既に一度内覧で観ているが、そのときは上映時間122分のアメリカ公開版だった。ところが今回、監督の要請で132分のディレクターズ・カット版(10月にアメリカでDVDがリリース)を国内公開することになり、そちらも観賞と相成った。マスコミ試写の期間中に上映バージョンが変わるという、ちょっと珍しい例。

 長くなったとはいっても、ワンシークエンスまるまる挿入されたというワケではなく、説明不足のシーンを補う程度にシーンが随所随所に追加されている。だが、それらがあるとないとでは最後の伏線に関わる小道具の擦り込み度が違うため、ロングバージョン公開は賢明な判断だと思う。先にコミックヒーロー映画の低調ぶりを嘆いたが、これだけは抜きん出て完成度が高い。やっぱりオタクは強いや。


 似たような傾向の作品ばかりで辟易しながら、中野でテリー落ち合い、夕食をとって家路に就く。台風の影響で途中に雨ザザ降りに遇い、ずぶ濡れになっての帰宅。





2004年8月29日() 最後に勝つのはやはりバカ



 朝(といってもほぼ昼)、起きたら目に異物感。メガネの鼻当てが瞼に食い込み、ちょっと信じられない惨状。


 痛みはないがモノモライにも似たゴリゴリした感触が残り、点眼液で緩和。それから週チャンのレビュー原稿をあげる。ついでに試写状の整理と、PDAへの打ち込み作業。


 テリーと夕食を共にし、めずらしく映画の話。『ゲーム批評』や『アニメ批評』、あるいは『間違いだらけのクルマ選び』みたく、愚作を糾弾できる映画雑誌は出来ないものか。60年代の『映画評論』テイストで、作家と評論家が論戦の果てに、口汚い罵倒大会にまで発展する悪趣味なヤツ……という話で盛り上がる

 しかし、その性質から広告収入を望めぬことや、配給会社と媒体の繋ぎ手でしかない映画ライターが、試写に呼ばれなくなるのを覚悟で参加したがるのかという懸念。さらには
「要は悪口に大義名分を求めてるだけで、そんなに実績したけりゃ自らが足場を崩せよ」
 という、一触即発のスリリングな展開を見たものの、気が付いてみれば“火星にキャバクラ作ろう”とか“バカにも介護保険を”などと、いつもの僕たち。






2004年8月28日(土) 下準備



 原稿のために本棚から資料を取り出してはそれを再読し、要点をまとめたメモをパラディグムに構成。同じ作業を映像資料に移行して繰り返し、それはそれは楽しい作業に没頭する。久しぶりにテクニカルな原稿が書ける喜び。何って? 来月にDVDが出る、某シリーズの真ん中編だよ。


 Don`t let yourself be destroyed as Obi-wan did.

 





2004年8月27日(金) インタビュー記事・考




 週チャンのインタビュー記事をまとめる。来るべき月末→月初めの原稿攻勢に備え、歩詰めで進めていこうという算段だが、まぁそのときはいつも思うこと。


 インタビュー記事作成に苦労するのは、限られた字数でどの質疑応答を残すかということ。特に作品の外堀を埋める話ではなく、作家の内堀を切り崩した話ほどカットが惜しい。しかし媒体に合わせてこれら質問を切り取っていくと、紋切り型でクソ面白くもない記事になる。そのジレンマとの戦いだ。

 でも偉そうなこと言ってるオレも個別ならともかく、囲みインタビューで他の媒体さんが真面目な質問してるのに、巨石を投じて川の流れを止めるようなマネを平気でするからなぁ。
 例えば『四人の食卓』でチョン・ジヒョンを囲んだとき、みんな日韓国交とか作品の社会的背景とか、22歳の娘にやや重めの質問を投げかけているので、

ホラー、好きなの?

 と直球クエスチョン。けどそれで、クールに徹してニコリともしなかったジヒョンの笑顔(ホラー嫌いなので本当は苦笑)を引き出したときには“勝った!”と思ったね。何に対する勝利宣言なのか知らんが。


 それはそうと、やはりカレンダーが機能していない不便さを痛感し、9月を迎えるにあたり、泣く泣く7月の麻生久美子をペロリと剥がす。こんにちは里見浩太朗。
 





2004年8月26日(木)
ゼメキスの、またそういうヤツですわ




 今日は『ポーラー・エクスプレス』監督ロバート・ゼメキスと製作スティーブ・スターキーの来日記者会見に参じるため、朝も早々に都内へ。ところが13時の開始時刻を12時と勘違いし、六本木で大幅に時間を持て余してしまう。


 会見の目玉は現在製作中の最新映像公開で、見せ場となる3つのフッテージを披露。最初に出された映像は現在劇場で流れている予告編と同じものだったが、見ると一目瞭然なほど、ビジュアルの精度が数段にグレードアップしている。これは結構スゴい。もうCGトム・ハンクスを笑えないぞ。
 しかもトムの役、顔が自身の車掌だけかと思ったら、乗り込むガキを含め一人5役を演じているとのこと。新開発技術[パフォーマンス・キャプチャー]の詳しい解説を挙手して求める。


 会見終了後、ワーナー関西支社のS女史と久しぶりに挨拶を交わし、映像クリエイター&VFXジャーナリストの大口孝之氏と話をする。視覚効果のテクニカル原稿もワークテリトリーなオレだが、大口さんは一目置くその道の達人。拙稿のジョーダン・ベルソンと『2001年宇宙の旅』に関し、以前よりオレにコンタクトを取りたがってらしたので、こちらからご挨拶。そして余人の介入できぬ濃い話題へと流れる。


 六本木から銀座に移動しUIP試写室へ。ここで『ヘルボーイ』試写観賞中のフィギュア王編集部の高橋君を待つ。
 終わって互いにロビーで打ち合わせをしていると、会議で上京されてらしたUIP関西支社のHさんと遭遇。ここに来るたびにお会いするので、自分が大阪にいるような感覚に。
『ヘルボーイ』は主演のロン・パールマンとセルマ・ブレアの緊急来日が決定。そのインタビューの枠取りとスケジュール調整が果たしてどうなるものか……と頭突き合わせていると、傍らでHさんがそれを聞くや、わずか3分と経たずに全ての話をまとめてくださった。その見習うべき仕事の素早さに2人とも涙目になる。在阪時代には何度もお力を頂いたが、ここでも助けてもらうとは。


 UIPを後にし、洋泉社・映画秘宝編集部へ。田野辺編集長と、SWマスターこと武田英明氏を交えて編集会議。途中、行くことを激しく止めた某作の試写に出向くために田野辺さんが退席。残ったオレと英明先生であれやこれやを話し込む。

 さて帰ろうと思ったところ、編集部の郡さんよりテリーへの仕事関係の渡しモノを委ねられる。ただ、そのブツがあがるまで後30分かかるとのことで、その間に夕食に出掛けて時間つぶし。郡さんと同編集部の小笠原君に教えてもらった「丸香」に行って讃岐うどんを食す。有名店らしく平日の夜ながら行列で、しかもオレの後ろ一人で玉切れ閉店となる。注文に合わせて生うどんを茹でる本格派なので上がること15分。ギッチリだった店内はオレだけになり孤独でうどんをすする。美味いが寂しい。


 帰宅後、田野辺編集長から電話。受話器の向こう側、雑踏にまじり

「さっき観終わったけどさ、ひでぇなんてもんじゃないぞ! こりゃ裁判だよ裁判!!

 と激昂の声、あーあ、だから言わんこっちゃない。
 





2004年8月25日(水)
誰も知らない 知られちゃいけない
『デビルマン』がどうなのか




 ですからして、今日はついに待望の『デビルマン』スペースFS汐留にて完成披露試写。15時半の回を観賞。

 負け率のとてつもなく高い作品だ。普通に面白い映画を希求する客のまた上に、超えること容易でない原作ファンの巨壁がある。いくら『 CASSHERN 』が映画としてイビツだったとはいえ「オレのキャシャーンをこんなにしやがってウェエエン!」と机をひっくり返すヤツには幸いお目にかかってない。だが『デビルマン』は出来如何によって、牧村家の惨劇が丸の内東映本社で再現されかねない

 まぁそんな分の悪さも“込み”で評価するから、せめて健闘してくれればいいと思ってたよ。

 だが、エンドクレジットが終わって場内が明るくなってるのに、隣にいた開田裕治先生に揺すられるまで、意識はまだ暗闇の中にあった。そしてアンバーぎみにドヨンと白けていく脳内で「ああ、原作との比較論なんて4千光年も彼方の話」と悟るのである。

 監督はカツドウ屋の意地を見せてくれるかと思ったら、『ピンチランナー』の安倍なつみがコケるシーンさえも名演出だと思えるドン底ディレクションの嵐。キャストの揃いも揃った拷問スペシャル三文芝居に、どこに盛り上がりの起点があるか分からない平板な進行。状況を台詞だけで説明するので、カタストロフィを微塵も感じさせない(以下、日本国憲法並みの箇条文ズラズラ)。

 でも少し安心した。これなら丸の内東映の惨劇は避けられる。だって先に書いたように、『デビルマン』の世界観を引っ張ってきて交互検証する以前の問題であり、ひいては「映画」以前の問題だからだ。『デビルマン』でないモノに怒ることは出来ない。ホラよく確認しろよタイトル、『デビルマソ』に見えてきただろう?

 終了後、観たオレらが重い罪の意識に苛まれたので、ビアレストランで反省会。しかも2時間近く通夜のように。


 それから六本木のアスミック・エースに行って、20時より某作品内覧試写

 これはタマげるほど面白かった。でも悪いことに『デビルマソ』を観た後だったので何を観ても素晴らしく思え、作品完成度の度合いが掴みにくくなってイマイチ説得力がない。


 んで、本作の宣伝担当としてファントム・フィルムの叶井俊太郎が絡んでいるので、久々に叶井さんと会って話す。

尾「『スーパーサイズ・ミー』日本の某大手ハンバーガーチェーンから何か言ってきた?」

叶「いや、まだ。たぶんこれからだろうね」

尾「大丈夫だよ。日本にはスーパーサイズがないんだからさ」

叶「でも映画の中で“ハンバーガー食い続けると死ぬ”って言ってんだぜ、ハハハ」

 ……まぁ、今日に始まった会話ではないんだけど。






2004年8月24日(火) 捨て石的一日




 朝に週チャンの原稿を上げ その他は私的なことの調べモノに忙殺された一日。二年内に引っ越しをする予定なので、今からその準備も平行してやっておく。


 夜、書類で確認のことあって、実家の父に電話。件に挟んでオリンピックの話題など。





2004年8月23日(月)
トニー君にしちゃ悪くない…と思うが




 少し遅めの起床。シャワーを浴び身支度をして都内へ。12時半より松竹試写室にて『マイ・ボディガード』を観る。

 これでもかと披露される“がちょ〜んズーム”、そして随所で鳴るリサ・ジェラードの声楽……これ、リドリー・スコットが撮ったのか? 

 それはともかくね、ダコタ・ファニングのキャスティングに「勝ち」を気色ばみながら、彼女が配されたことで原作と違う展開になったのを大きく悔い、さらには「トニー・スコットのスタイル先行なディレクションにカタルシス皆無」とクサす、そういうクィネルの原作ファンには身の置き所がない本作。
 けど、オレはトニー君の作品としては上の部に入ると思う(平均アベレージが低いので何だけど)。役者の演技頼みパートと自らのビジュアルセンスとの抜き差し感覚が今回は絶妙で、その力加減を操作できるようになった証が、2時間半の戦を難なく勝ち抜いたところに出ている。

 ただ、やはり邦題だけは何とかならんか……。


 終わって試写に同席した週チャン・杉田アニキと作品検討、ならびに打ち合わせをし、それから次の試写までスタバのアウトサイドで読書&ときおり携帯で原稿の話。いやホント、今日はこれまでの猛暑がウソのような低気温で、涼しく過ごしやすい。


 18時に松竹試写室に戻り『TUBE』を観る。

 自分を消そうとした政府に復讐を果たすため、地下鉄に爆弾を仕掛けた元工作員と、彼との因縁を抱えた刑事が走行する電車の中で戦いを繰り広げる、まさしく韓国版『スピード』。面白いのかと問われれば「すごい」としか言いようがなく、感動的かと聞かれたら「すごい」としか答えようのないすごい映画。ハリウッドアクションを血肉にして、全てが過剰。もう韓流とか生易しいこといってられへん。


 終了後、『マイ・ボディガード』『TUBE』を連チャンで観た青井邦夫氏と歩きながら談笑。どちらも同じ日に観る映画ではないと結論。






2004年8月22日() 実物主義




 夕べからの延長でひたすら読書にふける。


 途中、夕べビデオに録画しておいたNHKスペシャル「光琳 解き明かされた国宝の謎」を視聴。

 尾形光琳が描いた国宝「紅白梅屏風図」が 金箔ではなく金泥を塗った“擬作”であることを高精細度デジカメやX線による分析で検証していたが、梅木を描くのに金箔だと筆乗りが悪いという結論に至るまで、同じ技法で再現するというムダさ加減に涙する。「生命―40億年はるかな旅」で、カンブリア紀の肉食動物アノマロカリスの全身模型を作ったときのムダぶりも相当に心の海綿体が充血したが、それと同等の感動なり。どうも最近、CGシミュレートで事足ろうとする風潮が苦々しく思えてたもんで。


 夕食時だけ外出。そのさい何を思ったか、フィル・コリンズのベスト版CD『ベスト・オブ・フィル・コリンズ』を買う。

 それこそ超有名曲しか収録されてないソリッドすぎるベストだが、とりわけ「ツー・ハーツ」に過敏反応するのは、やはり『鶴瓶・上岡パペポTV』エイジですのう。ちなみフィルによる「トゥルー・カラーズ」はシンディ・ローパーの原曲よりも素晴らしいと思うのだが、同意を求める場所が違うか。





2004年8月21日(土) おとなしく本読み




 夜中、どうも頻繁に寝返りを繰り返しているなと思ったら、肩痛が再発しやがった。『華氏911』を観に行く予定だったのだが、それを後日にまわし家で未読の本を消化する。

 とりあえず『ダ・ヴィンチ・コード』を読み進めるが、どうにもページをめくる手が鈍い。そういえば漫画家の鳥山明が、

文章に書かれている場景が絵になって頭に浮かばないと、先に進めない

 と言っていたが、オレも全くそれと同じ。美術史のベーシックな教養は、まがりなりにも芸大出なので備えているつもりなのだが、文章→ビジュアルへの変換速度が加齢と歩合わせで下降気味というか。


 仕方がないので気分を変え、一昨日に購入した『凶犯』を読む。こっちはわずか3時間半で読了。

 村で起こったライフル銃による村民惨殺事件。その事件発生を起点に、犯行前と犯行後の十数時間をパラレルに交錯させ、事件の全貌とその背景、そして犯罪に至る主人公の行動心理を浮き彫りにしていく。サスペンス・プロットに添う大きなどんでん返しはないが(アイロニカルなオチは用意されている)、巨悪が善を呑却する、そんな醜い現実に抗った男のイノセントな姿と、構成の巧技が読み手を加速度的に引っ張っていく。なかなかに面白かった。


 それから改めて『ダ・ヴィンチ・コード』に戻る……つもりだったのが、逸れて『ヒッチコック 映画と生涯』へとなだれ込む。そうやってまごまごしていると、ネタばれで泣いたりすんのは目に見えてるのになぁ。





2004年8月20日(金)
喜劇王を前に、久々の緊張を味わう




 東宝本社のトイレで、緊張のあまり胃が空っぽになるまで吐いたVS矢田亜希子から5年。それなりに場数をこなしてきたオレも、さすがに今日の相手には久しぶりに胃がキリキリ。そう、本日はアジア最強のコメディスター、周星馳(チャウ・シンチー)のインタビューである。

 シンチーは『少林サッカー』に続く待望の新作『カンフーハッスル』のプロモーションと、お台場映画王の「チャウ・シンチー“ハッスル”ナイト」にゲスト出演するための来日。
 媒体を二つばかし抱えてたので、1時間弱インタビュー枠を設けていただき、そのおかげでタップリゆっくり話を聞くことができた。逆に『食神』から近作に至るまでの主演女優(カレン・モクやヴィッキー・チャオら)に触れたさい、

その中で君たちは誰が好み?

 と一人一人尋問されるハメにも。お、オレはセシリアっす!

 緊張のうちにインタビューは無事終了。在阪時代にさんざ世話になった、ソニーピクチャーズ関西支社の宣伝S姐と約2年ぶりに再会できた嬉しさも併せ、上々の仕上がり。


 六本木グランドハイアットを後にし、昼食を兼ねての打ち合わせ。週チャン・杉田のあまりに兄さんな発言の数々に、思わず襟を正しながら。


 納涼祭の準備で賑わう麻布十番で杉田アニキと別れ、テリーが洋泉社に返却するブツがあるというので神保町に向かう。というワケで、映画秘宝編集部でオーヤ先生と仕事の話やら雑談に興ずる。それから久しぶりに秋葉原に行き、海洋堂でテリーのレクチャー付きオタク学習。


 その後は山手線で新橋へと移動し、TCC試写室にて『くりいむレモン』を観る。

 18禁アニメの実写リメイク版。「くりいむレモン」シリーズは7年前に『エスカレーション』がビデオシネマとして実写化されたけど、今回のベースは『媚・妹・Baby』。オレ近辺でも高3の時にダビングテープが学級間をかけめぐり、約1年後の卒業式まで持ち主の手に戻ってこなかったというバカ伝説を生んだよ。

 監督は『リアリズムの宿』で我が郷里・鳥取を秘境扱いしてくれた山下敦弘だし、テリーは「オレも“天野お兄ちゃん”とラジオで呼んで欲しかったクチ」と言うだけに、ガチンコ的に観る理由も意欲も満々。
 もともとセックスシーンの付け足しにドラマを加えたオリジナルを、さらにどう水増しするのかと思ったところ、大幅に間延ばしな展開が「オチどころのない悲惨なラブストーリー」に殺伐たる妙味を与えてた。一線を越えたらサルのようにヤリまくる亜美ちゃん(ヌード無し)とヒロシ(全裸多し)など、あれこれディテールに言及したいけど、チャウ・シンチーのインタビュー以上に記述を費やすの、変態っぽくね?






2004年8月19日(木) ネコトラ二題




 午前中は明日のインタビューのためのレジュメを作成。


 昼すぎに家を出て都内へ。銀座はミソカツの店「矢場とん」で、少し遅めのお昼ご飯。ここのカツ食べたさに名古屋に行ったほどで、東京進出はすごく嬉しい。ただ少しばかり銀座価格に設定されていて、しょっちゅう食らうには躊躇するところ。


 15時30分よりヘラルド試写室にて『トゥー・ブラザーズ』を観る。

 離ればなれになったトラ兄弟の物語。ジャン=ジャック・アノーが『小熊物語』のアニマルコントロール経験を駆使し、動物モノに再チャレンジ。デジカメだからフィルム浪費の心配をせず、いくらでもテイクを重ねられるので、トラがまるで演技しているかのような最良の表情が押さえられている。
 だからクレジットの最後には「トラは獰猛なので、映画みたいに容易に近づくな」と、勘違いするバカのために念押しの注意書きが出る。それだけネコ科ほ乳類の好きな人には、もう目尻が下がりっぱなしの作品かと。同席していた水野晴郎先生(もちろんシベ超Tシャツ姿)は、とても幸せそうなお顔でご覧になってました。


 試写室を出て茶店で時間調整をした後、19時より丸の内ルーブルにて『キャットウーマン』完成披露試写。

「今年のワースト1」「ラジー賞ダントツ候補」だのとすさまじい声を耳にしていたので、まぁ多くを望みさえしなけりゃ腹も立つまいと……
 否、否、否、やっぱしウルトラ酷評大会だけのことはある。ストーリーにひねりがなくて中盤タルいわ、ジャン・ピエール・ジュネにおける『エイリアン4』を多少なりとも期待したら、ピトフは残念ながら『ヴィドック』で見せてくれたハッタリの10%程度の意匠で息切れしているわ。お約束の誕生パートから話は次第に『キャッツアイ』に流れていくし、ハル・ベリーはキャットウーマンになるまでだけが萌えだしともうヤケクソ

 話題を変える。冒頭の予告編にチョン・ジヒョンの新作『僕の彼女を紹介します』が流れてて、ワーナー配給だったのに驚き。ビデオ部門にアジア専門レーベルを置いて韓国映画の大量リリースをかけ、さらには劇場作品にも進出するとは耳にしていたけど、これが最初とは。


 帰りは新宿の「やんばる」でポーク玉子定食を食べ、明日が早いので帰宅後はすぐに就寝。







2004年8月18日(水) 徒労に終わる



 オイ誰だよ、盆が明けたら暑さも一段落なんて気休めを言ったのは!


 そんなことはさておき、今日は午後より品川プリンスホテルで開催されている「まんが道 藤子不二雄(A)展」に行くつもりが、新宿駅に到着したところで「展示、昨日で終わってますがな……」と知る。この救いようのない自分のバカさ加減に呆れる。


 仕方がないので紀伊國屋書店新宿店で『ヒッチコック 映画と生涯』(上下巻・早川書房)と『フィルム・スタディーズ辞典』(フィルムアート社)といったところをまとめ買い。しかし映画の本は売れないだけに単価が高い。ちょっとした資料購入と称して1万円軽く飛んでしまった。この現象も人ごとではないんだ。おかげで自著の企画が方々で焦げ付いてるんだから。


 それから中野へ向かい、ブロードウェイに行く。3Fの明屋書店で知人が翻訳出版をプロデュースした『凶犯』(新風舎文庫)を購入。それからテリーと合流し、夕食に焼肉を食べる。


 江古田経由で帰宅。駅向かいの百果園でマンゴージェラートを食べ(これがたいそう美味)、労働したワケでもないのに強烈な疲労感を抱えた一日。






2004年8月17日(火) 時事ネタ




 週チャンのレギュラー原稿に着手、そして昼過ぎに脱稿。少し電話で編集部と打ち合わせをして、取材のMD起こしなどをこなす。それ以外には記すこと微塵もなし。


 アテネ五輪はTVスポーツ・バラエティの空騒ぎっぷりが不快極まりないので、世間の注目種目は結果のみ確認し、試合模様をリアルタイムで観るのは柔道など、かって自分が身を投じていた競技くらい。

 しかし柔道は投げ技一本勝ちが頻繁すぎてイマイチ。そりゃ素人目にはダイナミックで楽しいだろうが、崩した体勢から固め技を決めるプロセスこそが醍醐味ってもん。その“こなし”が神業のように素晴らしかったのが山下泰裕であり、谷亮子である。谷をYAWARAちゃんと呼ぶのは猪熊柔に失礼だが、その恐るべきスピード感と、相手よりも素早く三手先を読む鋭い洞察力に関しては、まさしく日本柔道史上に比類なき怪物だと思う。だから同じ浦沢のマンガからタイトルをニックネームにするなら(以下略)






2004年8月16日(月)
最初で最後(?)のゴジラ撮影現場




 昨日は少し暑さも和らいだのに、今日はそれが無かったかのように酷暑。そんな中、朝も早くから身支度をして成城に向かう。


 今日は東宝映画『ゴジラ FINAL WARS』の撮影取材。現場では開田裕治画伯や「フィギュア王」でお世話になっているカメラマンの加藤氏ら、知人と多く遭遇。
 意外と思われるかもしれないが、東宝撮影所でゴジラ映画の撮影風景に立ち会うのは今回が初めて。子供の頃、それこそ夢にまで見たシチュエーションだ。シリーズも一区切り、しかも現行スタジオでの最後の撮影とあって、ああ間に合ってよかったと切に思う。



数々の東宝特撮の名作を生んだ大プールも、
スタジオ改造計画にともない取り壊しに。
惜別の思いを込めて深々と黙礼しておきました。



 まずは第9ステージでゴジラ、ラドン、ガイガン、アンギラス、モンスターXらの戦闘シーンを見学した後、本館に移動して富山省吾プロデューサー、浅田英一特技監督、ゴジラスーツアクターの喜多川務氏らによる記者会見、富山Pに音楽のことを訊いたが、やはり現時点では具体的な情報を引き出せず。

 休憩をはさんで第9ステージに戻り、11大怪獣総並びのスチール撮影。
 これだけ東宝特撮怪獣が揃うのは壮観ではあるが、造型がそれぞれシェイプアップぎみで「恐怖!キングシーサー男」や「怪奇!ガイガン男」になっているのは珍妙。へドラはマトリョーシカみたいにこじんまりしているし……。
 まぁ個々のリニューアルは、ベーシックなゴジラとモンスターXのようなニューフェイスとの違和をなくすための繋ぎと思えば頷けなくもないが、正直な話、ゲバコンドルと化したラドンの造型だけは、それを笑って許せる寛大な心をオレは持ち合わせていない。


 取材プログラム消化後、東宝関西支社・宣伝T氏の仲介でABCラジオ『アシッド映画館』でおなじみ平野秀朗氏と、産経新聞大阪支社・文化部のT記者に挨拶。平野さんとは在阪時に数え切れぬほど試写でご一緒したが、あらたまって名刺を交わすのは初めて。「いつでも声かけてくれはったらよかったのに」と言われ、かってのサイキックリスナーとしていたく恐縮。

 T記者と少し話をしてから東宝スタジオを去り神保町へ。映画秘宝編集部に向かう。そこで田野辺編集長と今後の原稿あれこれに関して打ち合わせ。編集部のパソコンの壁紙がジェットジャガーになっていた。


 編集部を出て夕食をさっさとすませ、銀座へと移動。19時よりヤマハホールにて『ヴィレッジ』完成披露試写。

 キーカラーは今回はイエロー。いつもどおりランニングタイムは108分を死守。そんな外堀にしか触れられないのは、ストーリーに関して口外するなと誓約書に記名させられたから(笑)。まぁ、これは配給会社のシャレ半分、『サイン』のとき問題になったネタばれへの警告半分なんだろうが。

 トリックに関して言えば[「ミステリーゾーン」リチャード・マチスン原作のエピソード『遠来の客』]みたいな感触。要するにシャマラン得意の「視点のすり替え」というヤツ。今回はどんでん返しの重要性より、役者のアンサンブルと演出の雰囲気に楽しみの重きを置けということだろう。賛否はあるだろうが、毎度ながら物憂げに鳴るジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽は素直にいいと思うね。






2004年8月15日() 著しくパワーダウン




 日曜日、たまには普通に休業。というか返答すべきメールの返事や滞っている諸事があまりにも多く、ひたすら処理に追われる。ああ、正直疲れたよ。そのへんの事情が如実に文章にも現れ、ウォーミングアップであるはずの日記もセンテンスの荒れが見苦しい。


 その日に完全消化したことといえば、宮崎駿の「CUT」インタビュー集『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』(ロッキング・オン)を手に取り、2時間ほどで読了したくらいか。


 宮崎監督といえば、一度だけその尊顔を拝したことがある。拙が大阪在住の頃、『千と千尋の神隠し』DLPデータ配信上映を兼ねた父兄講演会と、記者会見にそれぞれ参加したときだ。

 会見では、質問挙手で指名してもらえぬオレを見かねた監督が、

そこの彼の質問、聞いてあげてよ

 と直々に指名してくれたこと、今でも恩義に感じる次第。


 そんなことより父兄講演会、げき恐ろしきは大阪のオバちゃんよ。彼女たち大多数にとって宮崎駿は「好きな絵を描いて面白おかしく暮らしているオジさん」程度の認識しかないのだろう。質疑は失礼を飛び越し、オレがそんなことを監督の前で言おうものなら、この身どうなることかの冷や汗問答。特に戦慄走ったのは以下のやりとり。

オバ「監督さんの作品は、なんだかどれも終わりが尻切れトンボな感じがするんですけど……」

駿「いや、あの、僕はいつもちゃんと完結させてるつもりなんですけどね(苦笑)」


 ああ、思い出すだに恐怖で身が細る。






2004年8月14日(土) コミケに向かう気力もなく



 朝起きて、オリンピック開会式の模様をTVで観ながら 仕事が一段落した後の散逸した部屋の形付けや、郵便物の仕分けに試写状の整理などに着手。


 午後は開田裕治先生から送られてきた『特撮が来た8』を含む諸々の同人誌謹呈分に目を通したり、ロバート・ゼメキス来日記者会見の案内に同梱された『ポーラー・エクスプレス』の原作絵本『急行「北極号」』(C・V・オールズバーグ あすなろ書房)に目を通す。
『ポーラー・エクスプレス』は原作どおりの柔らかい画ではなく、フォトリアルタッチのフル3DCG。予告編はCGトム・ハンクス登場のところで決まったように劇場で笑いが起きるが、『ファイナル・ファンタジー』の失敗に屈せず、フォトリアル方向も極めようとする点は買いたい。


 夜、フジ「ゴールデンシアター」放映の『スターシップ・トゥルーパーズ』を視聴。
 やはり人間がバグに切断されるシーンや、死屍累々の光景はことごとくカット。ビデオ版は劇中のナビゲーターボイスを武田広が当てており、そのバージョンを放送すると裏番組の『出没!アド街ック天国』にカブるのでは……と思ったが、新アフレコで余計な心配だった。






2004年8月13日(金)
腐っても『ライトスタッフ』の監督だし




 今日はまずイマジカ第2試写室にて、とあるお正月第2弾映画のワークプリント内覧試写。

 いやぁ、監督念願のテーマゆえ噂には聞いていたけど、コメディなのにホント感動で目頭が熱くなったよ。特に同席した映画秘宝の田野辺編集長はブルース・リーボンクラの魂に火がついたようで、沸き上がる興奮を抑えきれずにカンフーポーズを決めまくる。その姿でさらに涙を禁じ得ないオレ、いろんな意味で。


 終了後、週チャン・杉田姐と五反田駅前のコージーコーナーにて打ち合わせ。彼女は今『ヴィレッジ』に『ダ・ヴィンチ・コード』等をオレより先んじて制覇した“ネタばれデンジャー”な女で、いつもどおり小突くと大型爆弾を投げてきそうなので、なるべく機嫌を損ねぬよう接する。


 打ち合わせ後は六本木へと移動。途中に乗り換えで恵比寿に立ち寄り、久々にOTCへ。新しく入社したM女史と挨拶を交わす。


 六本木に到着し、テリーと合流して昼食。彼が「ドンキホーテに凄いインパクトを放つ商品がある」というので行ってみると、クリスタル・ゲイザーの1ガロンペットボトルだった。


 書店で時間調整をして、アスミック・エース試写室へ。フィリップ・カウフマン待望の新作『ツイステッド』試写を観る。

 サンフランシスコが舞台になっているところ、カウフマンのシンパはほくそ笑むだろうね。ただ仕込まれたダブルトリックはこじつけ気味で弱いのと(最後に絡む伏線は巧いが)、ゆきずりの男とファックするような主人公に感情移入が出来ず、観賞後は渋味に似た微妙な感触が残る。
 雇われ仕事とはいえ、それでも随所にカウフマンらしいディレクションはチラホラ。けど、それらは本編のネタばれに繋がるので触れられないのがジレンマ。

 あと本編中に『ライトスタッフ』のポスターが写り込んでいるはずなのだが(エンドクレジットに明示されてた)、不覚ながら判明できず。映画の冒頭、アシュレイ・ジャッドがサミュエル・L・ジャクソンに呼ばれて移った別室の壁にそれらしきものは確認できるのだが……観て気が付いた人はこっそり教えて。






2004年8月12日(木) 久々にトミタでも聴こうかと




 昨日の「寝ずに試写直行」が極めてムリ目の行動だったせいか、今日はそのツケ払いでひたすら睡眠をとる。昼の3時くらいまで死んでいたか。


 夕方は食事のために外出し、書店で『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩全集 第2巻』(光文社文庫)と『百鬼園戦後日記 内田百間集成23』(ちくま文庫)を購入。
 百鬼園先生もなんとか無事に完結までつき合えそうだ。しかしオレ様、全集モノはあと1巻や2巻買えば全巻制覇……というところで買うのをバッタリ止めてしまう、マラソンをゴール手前で棄権する変な癖があるので、気は抜けないが。


 その足で近所のセブンイレブンにも立ち寄り、イーエスブックスで注文した冨田勲の自伝『音の雲』(NHK出版)を受け取り帰宅。先日の『隠し剣 鬼の爪』試写の生演奏で久々にトミタ熱がぶり返したか、未読もたまっている中、先んじてこれを読んでしまう。

 冨田は以前に『シンセサイザーと宇宙』(岩波ブックレット)という簡素な自伝本を出していて、話の中心はシンセサイザーとの関わりだった。今回は生まれてから自分がどう音楽と関わってきたかを広く述懐した内容で、特にサウンド・クラウドのバックステージに大きく項が割かれている。
 もちろん、日本人として初めて個人購入したムーグIIIシンセサイザーが、関税官に楽器と認識されず一ヶ月も入官足止めを食ったエピソードや、塩っ気のあるお菓子を食べた手で作業したら、塩分でプラグがいかれて音色が……のお馴染み話も、拡大化のうえ記されている。


 読み終わったいいタイミングで某編集氏よりTEL。仕事の話を少々して、それからほどなくして寝る。






2004年8月11日(水)
相性の悪い巨匠というのもいまして




  明け方にようやくフィギュア王の原稿を終え、少し仮眠を取って五反田に向かう。


 13時よりイマジカ第2試写室にて『山猫 イタリア語・完全復元版』試写。

 言わずと知れた巨匠ルキノ・ヴィスコンティの代表的エピック。本作は不幸なことにリバイバルもビデオグラムも

褪色いちじるしいイタリア語全長版
画質は良好だが161分の英語短縮版

 という一長一短バージョンが流通していて、前者のテクニカラーならではの色鮮やかさを取り戻すため、イタリアではフィルム復元作業が1991年からおこなわれていた。オレはバート・ランカスターのアクチュアル・ランゲージを重んじ後者しか観ていなかったので、この機にと観賞。

 んで、甦った『山猫』は絵こそ確かに美しいものの、これがもう寝不足に容赦なく眠気を差し向けてくるほどにダルい。やっぱ映画は始まって20分以内に人が死ぬか、殴り飛ばされた男が壁に人型の穴を開けるか、あるいはオッパイが出てこんと持たへん体質になってますわ、オレ様。


 苦行に耐えた後、『アイ、ロボット』の試写に行っていたテリー氏と合流。メシを食って『80デイズ』の完成披露試写に向こうと思ったが、なんかジャッキー・チェンって気温でもなかったので、シネカノン試写室に移動し『お父さんのバックドロップ。』を観る。

 映画は原作を通り越して、見事なまでに鄭義信カラー。キャラは立ってるものの、物語を活き活きと転がすエッセンスがアチコチ足りず、『いかレスラー』に毛の生えたような程度の印象。
 主演の宇梶剛士が上映前に挨拶に来たが、設定された時代のストロングスタイル・レスラーに扮するには、じつに説得力のある体型。でもやっぱり主人公のイメージは、藤原組長かラッシャー木村で揺るがないんだよなぁ。






2004年8月10日(火)
相変わらずいいケンカっぷりですよ




 本日は『姑獲鳥の夏』の製作記者会見に行くはずだったのだが、フィギュア王の映画ページの構成と原稿を未だ仕上げておらず、こちらをまずは最優先。


 正午にはとりあえず、あがったラフと指定画像を渡しにワールドフォトプレスへ向かう。駅までの道程がそれこそ熱で溶けそうになるも、中央線に乗って移動の間に夕立が降り、中野駅についたらカラッと止んで涼しい風が吹いていた。


 編集部に着いて担当の高橋君にもろもろ手渡し、そのまま直帰して原稿に着手……といいたいところ、途中でダイエーの書籍売り場にてスティーブン・キング『ザ・スタンド』(文春文庫)の5巻を購入。


 それからテリーが晩飯を食おうと連絡してきたので、合流してヤツと食事。そこで久々に大ゲンカ。
 原因は『スペース1999』の日本版主題歌と『ゴジラ対メカゴジラ』の挿入歌「ミラヤビの祈り」のとっちがムード歌謡かという、通常の人間関係ではおよそありえない口論がフラッシュポイント。どっちもどっちだよ。






2004年8月9日(月) ていうか、本当に死んだ




 もう日中は動く気力もなく、ただひたすらに横臥し気がついたら夜という、屍みたいな生活。体力は落ちれど目減りのなかった食欲さえガクンとなって、もはや口に入れるものは水分だけ。


 それでも夜にはようやく外出する気力も芽生え、「びっくりドンキー」に入って無理めの夕食。牛が草を食むようにスパゲティナポリタンと豆腐サラダをモサモサ口に持っていき、味わいもへったくれもない。


 帰りにTSUTAYAに立ち寄り『東京人』の最新号を購入。特集は「東京オリンピック1964」。市川崑監督のインタビュー記事(映画『東京オリンピック』撮影秘話)を読むために買ったワケだが、内容は『市川崑の映画たち』(ワイズ出版)と重複するところ多し。というか特集そのものもイマイチで、興味深く読めたのは黒川紀章の「オリンピックと都市計画」についてのインタビューくらいか。

 東京オリンピック絡みで秀逸な特集を組んでいたのは、遡ること6年前の『デザインの現場』98年12月号「1960's 日本のデザインが始まった」かなぁ。
 オリンピック・イヴェントのグランドデザインからピクトグラムまで焦点当てまくり、日本デザイン史において、東京オリンピックがいかに重要起点だったのかを深く掘り下げていた。美術出版社にまだバックナンバーの在庫があるんで、興味がある方は是非に……と半死状態で何薦めてやがる。


 深夜、モゾモゾと仕事場に戻り「フィギュア王」映画記事ページのレイアウトに着手。かなりヤバイ進行。






2004年8月8日(
いや、もうホントに暑さにやられて死にそうなんス



 というか、エアコンのガンスカ利いた部屋で体を芯まで冷やして寝てりゃ、そりゃ気温差で体もガタつくって次第。そんなところですんで、時期いささか早めのオレさま強制盆休み。


 てなところを見計らい、ムラウチで購入した『ジョゼと虎と魚たち』のDVDが届いたりしてさ。
 同タイトルを2セット購入したのだが、ひとつを保存版に、もうひとつをオカズに…などという変態&散財目的ではなく、単に某姐への誕生日プレゼント用に余分を確保しておいただけのこと。


 オレが休んでも、寝てる間に仕事を代わってくれる小人さんはいないので、仕方なく机の前に座る。昼にはエルマガジンの原稿を終えて、夜はフィギュア王のレギュラー原稿を仕上げる。生産効率すこぶる悪い。






2004年8月7日(土)
お前は●×■だから▲■×だぁ〜!




 週末で気も緩んだか、夏バテと併せてのグロッキー状態。


 それでも空腹だけは留まるところを知らず、駅前まで出掛けて昼食なのか夕食なのか説明するのが難しい食事をとる。


 帰りにバンダレコードに立ち寄り、待望の国内版が出た『ヘルハウス』DVDを購入して帰宅。さっそく視聴の納涼ホラー祭り。

 この大傑作ホラーはオレ、輸入盤LD(旧版・新盤2枚)と国内版ビデオ(レンタル落ち)を所有してるが、新しくマスターが作成された形跡は皆無で、画質は上記それぞれバージョンと大差なし。特典も劇場予告編だけで、ならせめてロディ・マクドウォールの声を故・富山敬が担当した【日本語吹替】くらい収録してほしかったと思うが…うーん、今となってはそれがいちばん難しい希求なんだな。

 15年くらい前に関西テレビで深夜に放送された吹替は、肝心のクライマックスが音声ブツ切りで、放送する意義を問い質したくなるシロモノだった。けど、かえってその妙な隠蔽感が気味悪かったのを思い出す。

 リチャード・マシスンの原作(「地獄の家」)は単行本のときに買ったが、最後の100ページほどが袋とじになっており、

ここまで読み進んで、面白いと感じなかった方は袋とじを開けずに当社まで返品ください。代金をお返し致します

 ってな趣向が施されていた。でオレはどうしたかというと、袋とじの箇所まで遅々として読み進められず、ハサミを入れることなく文庫化まで未読を通してしまった次第。意に添わなかったのではなく、自分のキャパシティの問題。あぁ情けな。

 
 夜になって映画秘宝の飛び込みレビュー原稿に着手し、深夜に脱稿。淡泊な締めでワリぃ。






2004年8月6日(金) 朱に交わればなんとやら




 週末から来週まで、ちょっと仕事が立て込みそうなので、観られる分だけ試写をつぶしておく。


 まずは午後1時より映画美学校第1試写室にて『最‘狂’絶叫計画』。

 シリーズ第3弾、監督はデビッド・ズッカー。『フライング・ハイ』や『裸の銃を持つ男』の亜種といっていいシリーズに、よりによって総本山が絡んでくるとは。前2作の監督だったウェイアンズ兄弟が、ZAZを崇拝したあげくの成り行きオファーらしい。「子は親を見て育つ」とは言うが……。

 もちろん内容はズッカー流にアダプトされていて、さすがに往年のパワーは薄味になって空笑いも少なくないが、相変わらずダミーがポンポン空中を飛び、驚くほどベタな地口の応酬は健在。もちろんマザーテレサやプレジデントといった“お偉いさん”は小馬鹿にされまくるし。


 終了後、炎天下の中を頭から湯気を出しながら聖路加まで移動。ソニー・ピクチャーズ試写室にて『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』を観る。

 タイトルどおり、アメリカ国防長官を務めたロバート・ストレンジ・マクナマラによるインタビュー回想録。キューバ危機やベトナム戦争、その裏舞台で一触即発の危機をいかに回避し、そして泥濘から抜けるべく苦心惨憺してきたかを述懐、その教訓と哲学をチャート式に説く。自らの戦争責任を認めない範囲でね。驚きは膨大な未公開フッテージか。
 
 しかし、『華氏911』や本作がドキュメンタリーブームの下地を作りそうで、そう考えると『スーパーサイズ・ミー』はいいときに国内公開だよなぁ。


 帰りに西武新宿駅で、先日5年ぶりに再会したT姐とバッタリ。遇わないときは何年と疎遠なのに、遇うときはこうも頻繁に出会うもんで。呑みに誘われるが、仕事を理由に日延べにしてもらう。少し夏バテぎみか。


 帰宅後、別媒体から同じインタビュー取材を依頼される。とりあえずひとまとめにして、時間枠を拡げていただくよう指示。







2004年8月5日(木) お世話になってまっせ




 早起きするも、ここんとこ外気とエアコン利かせた室内との気温差でバテ気味。仕事もはかどらず。


 午後は銀座で知人と会い、茶店で話をする。まぁ仕事のネタが半分と、時節がらオリンピックの話題を半分って内訳。


 ネタが薄い割に3時間くらい話し込んで別れ、そのまま三省堂書店に行き『東京人』のバックナンバーを3冊と、洋書コーナーにて“ Leonard Maltin's Movie Guide 2005 ”を購入。


 帰宅後、“Movie Guide 2005”にパラパラと目を通す。

 年が改まると共に新版を買い続けて約15年。ネットが普及した今でも、ちょっとした作品検索には重宝する一冊。
 んで、これを買うと、まずは新たに追加された作品の四つ星評価を確認するのが年中行事。でも最近は★★★★パーフェクトなんて、とんとお目にかかれない。例えば『ミスティック・リバー』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』や『スクール・オブ・ロック』『キル・ビル Vol.1』なんてところが最高で★★★1/2、『ドーン・オブ・ザ・デッド』は★★★。逆に最低のBOMBは『ヴァン・ヘルシング』、トホホ……。

 そう、この本の問題点と面白いところは、星取評価の歪なバランスにある。例えば『ヴァン・ヘルシング』がBOMB扱いの傍らで『ゴジラ2000ミレニアム』が★★★だったりするワケで。そういえば『ぴあシネマクラブ』も発刊当初はこの本に倣った星取評価があったのに、なんでやめちゃったんだろ? いろいろ考えられるけどさ。 







2004年8月4日(水) 忍者・忍者・時代劇




 暑さ全く弱まるところを知らず。そんな劣悪状況にめげず、都内に出て試写つぶし。


 まずは東宝試写室にて『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』。

 香取慎吾らしい邪気のないキッズムービーとして、映画にそれほど多くを求めないファミリー層にはうってつけだろう。ただそこに「作品としての完成度」を欲するなら話は別。コンセプトの外堀だけを埋めた映画のまさに典型で、脚本は伏線を消化することにアップアップだし、キャストのムダ打ちぶりもひどい(「キーキャラクターに升毅」という無謀さだけは買えるが)。
 服部隆之の音楽はメロディモチーフが露骨に『ネバーエンディング・ストーリー』だったり『キル・ビル』(というか布袋の『新・仁義なき戦い』のテーマ)だったりと、なんでいつもそういう仕事なんだ?

 コミックを大幅にアレンジしてるが、獅子丸が『CASSHERN』のフレンダー程度に登場するなど、変なところで原作ファンに仁義を切っている。


 だが同じ忍者モノでも、そのまま引き続きで観た『劇場版NARUTO 大活劇! 雪姫忍法帖だってばよ!!』は、なかなかに楽しめた。

 ワガママな映画女優の護衛を任されたナルト一行。「スクリーンの中で勇猛果敢な姫を演じる女優が、じつは故国を悪に牛耳られた本当の姫様で…」というメタ設定がストーリーを幾重にも膨らませる。そして、そこに多少無理な展開が生じようと、圧倒的な描画力が観る者の意識を後じさりさせない。
 まぁ監督が岡村天斎、キャラデザが西尾鉄也にメカデザが荒牧伸志と実に豪華な布陣で、『NARUTO』に馴染みのないオレが観たのも、そのへんアニメの先鋭的部分に反応したワケで。

 基本的に原作&TV版を知らなくても観賞には無問題だが、『イチャイチャパラダイス』に関してだけは知っておいたほうがオチが活きる。


 終わって有楽町の「喜多方ラーメン坂内」で昼食を兼ねた夕食。坂内は在阪中、近所にあったのでよく食べに行ったが、上京してからは初。おそよ2年ぶりなのに、味にまったく疎遠な感じがない。


 その後は東京国際フォーラムで『隠し剣 鬼の爪』完成披露試写。

 別に急かなくとも社内試写で消化すりゃよかったのだが、音楽を担当した冨田勲がスコア組曲を生演奏するとあっては、そりゃオレにとって何よりも優先されるべき事項。

 映画は『トワイライト・サムライ』の轍を踏んだ同工異曲な作というか、平田弘史の『我、平穏也』を彷彿とさせる劇画チックな武士道伝。
 山田洋次らしく、工芸品のように精緻で作りはしっかりしているものの、それだけに映画の大作スケールな立ち位置とのギャップに軽い違和感を覚えないでもない。「司馬遼太郎亡き後の宮崎駿」みたく、山田監督が黒澤明の衣鉢を継いだところに起因する、なんともビミョーな齟齬……カンベちゃんは出てるんだけどね。







2004年8月3日(火)
日がな一日ゴッドファーザー




 今日は朝から、先月完成したばかりのユナイテッド・シネマとしまえんの見学を兼ね『ゴッドファーザー デジタル・リマスター版』を観に行く予定だったのだが、同行する先方のスケジュールが急遽変更となり、行くのはキャンセル。


 それでも、一度火がついた「『ゴッドファーザー』を観る」熱は治まらず、ほとぼりを冷ますためにシリーズ全作をDVDで視聴。といっても本編をただ観るに留まらず、未チェックだったコッポラのコメンタリーを字幕表示させながらの観賞だ。

 このサーガのことはかなり調べ尽くしたつもりだったけど、まだまだ知らないエピソードは多いなぁ。例えば『PARTII』の現在と過去を繋ぐ構成。最初は全部で20パートの小間切れ状態だったけど、観客が分かりにくいという理由で5パートずつになったとか。コッポラは「『ヒート』を除けば唯一、デ・ニーロとパチーノがワンフレームに収まる映画」と、ディゾルブで彼らが重なる部分を自慢していたが。

 公開当時は『グッドフェローズ』に完負けしていた『PARTIII』も、製作から14年も経ると、それなりにクラシックの風格が出てくるのが意外。撮影のゴードン・ウィリスが統一の琥珀色トーンとローライト、3000K以下の低色温度を完全に心がけたから、シリーズ通して違和感がないんだな。これが当初の予定どおりヴィットリオ・ストラーロだったら、どうなってたことだろう。


 ……どうでもいいけどコッポラ、最近作『レインメーカー』から既に7年経ってんだけど、新作はどうなってるんだ? もちろん『スーパーノヴァ』なんか勘定に入れてないからな。






2004年8月2日(月) 物騒な事件に物騒な映画




 夕べから仕事場でベタ寝のていたらく。自堕落になる夏。


 朝、つけっぱなしのTVに半睡状態で目をやると、加古川で7人惨殺の報。ここで「オレってば進むべき道を誤ったのでは?」と思うくらい不謹慎で大傑作なギャグを思いついたのだが、本名さらしてるHP上で、いい大人が公表することじゃないと抑止。ホラさ、いちおう少年誌にも書いてる人なワケで。

 そのギャグをテリーに話したら、

「冒涜心で不快になるだけで、いったい何が面白いのか、オレにはさっぱり理解できない」

 ……アンモラルを誰よりも好む男に全否定。半死の思考はアテにならずということか。


 午後は都内へ。韓国映画『オールド・ボーイ』主演のチェ・ミンシクカン・ヘジョンの来日記者会見(於・渋谷セルリアンホテル)に参じる。カンヌグランプリの威光なのか、原作が狩撫麻礼のコミックだからなのか、あるいは韓流効果なのか、意外と報道陣の数多し。

 昨日観た『オアシス』のソル・ギョングもそうだが、韓国映画はヨン様のような「どこにいるんだこんなヤツ」的美形(いつもソフトフォーカス)とは対照的な、いわゆる「人生をツラに刻んだイイ顔系」の存在感も侮りがたく、そのへんミンシクにも強くオーラを感じる。でも『ブラザーフッド』のバカ将軍までいったり、先に挙げたギョングの力道山役まですっ飛ばすと、そりゃどうかって話だが。


 回転寿司でガソリンを腹にギューギュー詰め込み、有楽町に移動。よみうりホールにて、その『オールド・ボーイ』完成披露試写。

 何者かに15年間監禁された男が、その背後の謎と黒幕を追う復讐劇。映画オリジナルのクライマックスには固く箝口令が敷かれているが、道義上どうかと思うようなサプライズで、終映後、東芝エンタテインメントのI女史と話がしにくかったこと。

 しかし、こういう商売やってて責任のない発言だが、韓流ブームを下支えしてる人たちってちゃんと存在するんだなぁ。この日の試写は一般招待の客も多く、気合いの入ったファン気質を拝したよ。


 帰りに駅の書店に立ち寄ると、『リトル・ニモの野望』(大塚康生・著 徳間書店)を発見して即買い。幻の企画とか製作が頓挫した超大作とか「死んだ子の歳を数える」のが大好きな人なので、チマチマ読んでいた『ダ・ヴィンチ・コード』を放ってこっちを読み始める。






2004年8月1日() まぁ月も変わり、




 仕事場のカレンダーをペロリとめくらねばならないのだが、7月の麻生久美子とお別れするのは忍びない。まぁカレンダーというのは当月の周辺に先月・来月の暦も小さく載っているモノなので、ここは現状維持ということにする。


 なんかそれで全ての悩みが解決したような気になり、都内に出て木戸銭払って映画観賞。
 観たのは『オアシス』&『ジョゼと虎と魚たち』(於・早稲田松竹)。純愛映画くくりといえば耳当たりもいいが、「精神と肉体のバランスがままならない主人公特集」とか「車イスなヒロイン特集」でもあったりする悪趣味ダブルフィーチャー。

 それこそ今日は池脇千鶴のおヌードが目当ての客ばっかりで映画サービスデイなので、場内は息苦しいくらい大盛況。しかし、ちいちゃんの思春期の膨らみ途中みたいな乳、何か目にしてはイケナイものを見てしまった気まずさで場内の空気が濁る。


 ……え、少しくらいは観た感想に触れとかないと、あなたもオッパイ目当ての観賞だと思われますよって? よしなしごと上等。ハイハイ、どうせ麻生久美子とか乳で地球が回ってますよオレは。









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