=ドリー =テリー



2002年10月31日(木) 試写も再開




 朝起きて仕事場に行き、昨晩届いたままのファックスに目を通す。配給会社のザナドゥーさんから『刑務所の中』最終試写の案内が届いており、「まだ(試写)回してるんなら、行かなきゃ」と早々に家を出る。花輪和一の原作が傑作という背押しもあるが、『OUT』で脚本を担当した鄭義信にインタビューした際、
崔さんの新作も(脚本)やってるんで、ぜひ観てくださいよ
 と強く勧められてたので、ほったらかしにはできなかったのだ。

 試写場の松竹に足を運び、ザナドゥーのKさんにご挨拶。オレが「フィギュア王」で連載を始めた頃からの古いおつきあいながら、上京することを伝えてなかったのだ。「あ、名刺の市外局番が違うじゃないですか!」と指摘され恐縮。義理を欠いちゃったよ。
 あと2回で最終という割には、かなり満杯状態。仕方なく最前列に鎮座したが、右隣に本作出演の香川照之がいたので、思わず『利家とまつ』での秀吉の名演を褒め称えたくなる衝動に。と同時に後方座席からオレを呼ぶ声がするので、誰かと思いきや、唐沢俊一師匠がいらしていた。週刊ポストに映画レビューを連載されてる関係上、いつかはハチ会うだろうとは思っていたが。でも唐沢さん、今でもオレのことドリー・蛇臼名義で認識してらっしゃる。それはともかく、山崎努のモノローグといえば伊丹の『お葬式』があるが、あのテイストとスノビズムで淡々と囚人生活が語られ、特段肯定も否定もしていないのに、刑務所に憧憬を覚えずにはおれない啓蒙映画だった。

 その後は少し時間をやり過ごし、夕刻より東宝にて『ゴジラ×メカゴジラ』。試写室にて開田裕治さんより『特撮が来た!』バックナンバーを受け取る。このファンジンに我々ガチンコ兄弟が原稿依頼を受けたのだ。たいへん名誉なことで、これまた恐縮。
 上映時間になってもまだ到着していないVIPがいたのか、富山プロデューサーがAD進行のようなMCで間を持たせ、あげく手塚監督との小漫才を始める。
 で作品だが、プログラムピクチャーとしてのゴジラ映画を突き進めた快作だと思う。人間を傍観者にしない脚本はダレ場がなく飽きさせず、大島ミチルの勇壮なスコアがガンガン高揚感を煽る。特にアヴァンタイトルのケレン味とビジュアルインパクトたるや、それこそ鳥肌が立つほどの興奮を覚えた。『メガギラス』に好意的な人ならまず絶賛は間違いないだろう。だが大胆なコンテニュイティに画がついていってないことに、ささやかな違和感を感じる。特に合成エレメントのゴジラがスコ〜〜ンとすっ飛ぶシーンとか見ると「それ、撮りきりで勝負できなかったのかよ?」ってな気分になる。方々にエヴァのリファレンスが散見するのも気になったが、そんなことはシナリオ読んだときに薄々感じていたので。

 終了後、帰ろうとしたら主演の釈由美子が観に来ていた。う〜ん釈ちゃん、素直にかわいいぞ。でも少し表情が重かったが、自分の演技に不満があったのか、それとも作品の出来にか? 映画秘宝編集部のMクンいわく「釈ちゃん『修羅雪姫』の撮影中も憮然としてましたよ」とのこと。ボケキャラ確立しちゃったから、それ埋め合わせんの大変なんだろうなぁ。
 



2002年10月26日(土) おお、スティーブン!!



 母親の葬儀も無事終わり、いったん東京に戻って仕事を片づける。

 その最初が『マイノリティ・リポート』来日記者会見。頻繁な来日で半ば日本のタレントと化すトム・クルーズはともかく、やはり目玉は16年ぶりの訪日となるスティーブン・スピルバーグだ。
 今まで黒澤の葬儀や『A.I.』プロモーションと、たびたび来日を匂わせておいての肩すかし。「本当は日本に何らシンパシーを感じてないのでは?」という声もあったが、ようやく重い腰をあげさせたのですな。さすがフォックス、さすが古澤ボス!! 厳しい媒体チェックのなか「なんでドリーなのよ」という声も聞こえるが、地道にアウトライン張ってんのよ。

未知との遭遇』以来、長年追い続けていた監督だけに、是が非でも同じ空気を吸わねばと勇んで向かう俺たち。が、会場でクロ姐、戸田なっち、軽部という3巨匠を目の当たりにして気が重くなり、胃がキューキュー悲鳴をあげる。

 こういう前哨もよそにスピ&トム登場!! うわ、ずいぶん頭頂部が寂しくなったなぁと、感激の生スピ遭遇のファースト・インプレッションがそれ。

 フォト攻勢の間もなく質疑応答に移るが、当然ながら事前交渉されている媒体があり、俺のようなペイペイは当てられようはずもない。ならばせめて身のある質問をしてくれりゃ浮かばれもするが、デブ軽部や謎の山形放送アナウンサーの口から出るのは、それを訊いて誰がトクをするのかわからない、思わず殺意を覚えるスペシャル愚問!!

「生きて動くスピを現場で見た」という以外、生産性のカケラもない会見だったけど、それでも長年の思いは果たせたかな……と、そんな感慨に耽っていた当夜、東京国際映画祭のオープニング上映ではスピが大勢のオーディエンスにサインをしたとの報が。チクショ〜! マスコミよりも一般人のほうが近道だったとは因果な。

 こんなことなら母親の葬儀もそこそこ、急いで帰らなきゃよかったよ。 
 



2002年10月22日(火) 悼みて思う



 母が亡くなった。

 5年前に肺ガンを患い、そのときはガン細胞が癒着した右肺を切除してことなきをえたが、食道に少し残っていたのが、もう片方の肺に転移したのだ。悪性のものではなかったので、本人に告知をしたうえでの闘病だったが、9月をすぎたあたりから呼吸困難と衰弱によって寝たきりとなり、後は眠るように逝ってしまった。

「こういう商売をやっていると、親の死に目に会えぬだろう」

 という父の配慮もあって、亡くなる1ヶ月前にその心づもりで一時帰省したが、抗ガン剤投与で面変わりした顔に満面の笑みを浮かべ、不肖の息子の帰還を喜んでくれた。東京に帰る際、力なく手を振って見送る母親が、最後に見た生前の姿となった。

 親不孝を重ねたことと、病後を親父にまかせっきりにした後悔がどっと押し寄せ、通夜の晩は心理的にこたえた。さいわい父方の長男は市下一古い寺の檀家であり、こういう際の段取りを手際よく教示してくれたおかげで、つつがなく葬儀を終えることができたが、肝心の俺がときおりすさまじい孤独感に苛まれ、喪主代理としては頼りない限りだったろう。

 集まった親類の数がやたら多いのも良し悪しで、みんな帰ると家はオレと親父の二人だけとなり、いっそう哀れな空気が淀む。オレもいたたまれないが、いちばん寂しい思いをしているのは親父なのだ。

 生前「あなたは友人に恵まれている。それが何よりの財産」が口癖だった母親。それを思い起こさせるように、葬礼の間、公私を問わずいろんな方から励ましやお悔やみの声をいただいた。この場を借りてお礼を言っておきたい。




2002年10月18日(金) また不具合かよ



 諸事あれこれ気がかりなこともあり、ここんとこゆったりと日記を記す気分にはなれない。けど好悪の感情ともかく、ボンクラ筆耕の日々を巡回してくれている方々に「ちぇっ、アップなしかよ」みたいなガッカリはさせたくないしなぁ。

 この日は週チャン用原稿『ゴジラ×メカゴジラ』のカラーpラフ切りと、テリーと秘宝6p特集をプランを詰める。他の依頼に関しても、前倒しでできる仕事は早々にすませておきたい。だがそんな気概に水を差すが如く、完全に締め切り期日が欠落していた原稿に気づき、電話をくれた編集部に頭を下げる。うわ、調子悪っ!

 しかもネガティブ・ケースに歯止めなし。『ブラックホーク・ダウン』DVDのDTS音声に不具合があったそうで、いやはや交換送付の手間を思うとプチ憤りが沸々。しかしキラーソフトゆえに初回出荷分も多いだろう本ディスク。経済損失を考えると誰が責任をかぶるのか、そこに思いが至ると気ますます萎える。

 夕食は久しぶりに炊事。魯山人風牛鍋…といえば聞こえはいいが、怠慢と偏食が介入した単なる牛煮込みだ。だが内容いかにあれ、2週間も外食が続けば手前の作ったものが恋しくなる。口慰みだが、それなりに旨かったよ。





2002年10月16日(水) 踊るデトロイト


 今日はドリーの仕事の関係で、クリスチャン・スレーター&ヴァル・キルマー主演の犯罪モノハードキャッシュの試写に行くが、その前に腹ごしらえで銀座のカルネステーションで昼食。久々に焼肉食い放題の店に行ったが、以前のように無茶食いが出来なくなったのは最近粗食に耐えてた弊害か? 単に肉質がアレだってのもあるんだけど。

 試写会場の銀座TCC試写室は、ここ最近の小じゃれたミニシアター風の試写室と比べると「いかにも試写室然」とした風景がちょっと嬉しい。ところで先週『2LDK』の試写に行った際、小池栄子の姿を見つけて死ぬほど興奮したけど、今日も有名人来てましたよ。王様デスよ王様!! あの王様みたいな格好してディープ・パープルとかの歌を無理矢理日本語訳して歌ってたあの王様ですよ。何故に王様? 何か配給会社と繋がりあったんか王様? しかも入口の記帳を見たら所属事務所が「オフィス王様」だぞ王様!! 映画以上に王様のインパクトが強すぎて、映画の印象飛んじゃいそうでしたが、何とか最後までちゃんと観ましたよ。今回ドリーがこの作品絡みの仕事に携わる関係で、詳しい感想は避けるけど、まぁ、これだけ豪華なキャストで(『トゥルー・ロマンス』やんけ!)1年近くおクラ入りになってたのもやむなしか。試写終了後、ドリーと配給会社さんとの打ち合わせに同席。

 打ち合わせが終わり、試写室を出たときには既に空は真っ黒。すっかり秋の空になったねぇと感心しつつ、秋葉原へと移動。ここでドリーが『ブラックホーク・ダウン』DVDを購入、ついでに寄った中古ビデオ屋でいまだにDVDの発売予定が立ってない『海底軍艦』のLDも発見して衝動買い。購入後、アキバ名物のおでん自販機前でやけに缶詰臭いおでんを食いながら、東宝特撮談義に花を咲かす。
 その後、今後の仕事の打ち合わせを兼ねて、一度行ってみたかったコスプレ喫茶『カフェ メイリッシュ』でお茶でもしようかと思ったが、事前に場所を確認してなかったので、ただただアキバをウロウロする羽目に。結局上野近辺まで歩き回ったところで、ドリーの仕事の都合で仕方なく引き返す。帰宅後、店のHPで場所を確認したら、こちらが引き返した地点からあと数十メートルの場所にありやんの。ケッ。

 


2002年10月15日(火) オレの優しさを自画自賛



 HDDがクラッシュしてから、ハードそのものが安定しなくなった。「ええい、この際に!」とOSィをインストールしたのが思いっきり副作用となり、まさしく病膏肓(やまいこうこう)に入る、というか。

 そんな問題を抱えつつも、午前中に東宝本社に赴き、少年チャンピオン誌のレビュー『ゴジラ×メカゴジラ』の掲載スチール選び。シークレットフォトの解禁日程などを調整し、できればスクープ的に出したい旨を担当編集さんと詰める。その後一緒に昼食をとり、『キングゲイナー』の話と次の仮面ライダーの話で盛り上がる。玩具会社経由で流れてきたオフレコ情報、これがもし本当なら最高な反面、石ノ森プロの手詰り感は拭えない。

 その後別れて洋泉社へ行き、映画秘宝の次号特集の打ち合わせ。一時間ほどおじゃまして神保町を後にするさい、テリーが、
共栄堂のスマトラカレーを食いに行こう!
 というので食べに行く。皆さんはここで「昼メシ食ったんじゃないの?」と疑問を感じていると思うが、たぶんそれは“ガチンコ兄弟だから”という諦めと共に萎みも早いかと。しかしさすが神保町を代表するカレー店だけあって、その風味は格別なり。ただテリーが大盛りを頼んだのは失策だったか。学生街の食堂で大盛りを頼む時は、それ相当の覚悟を要するべしとあれほど口を酸っぱくして言っておいたのに! まぁ平らげたけどさ、チャンチャン。

 帰宅後、原稿の催促と依頼と私用で留守電がパンパン、文字稿チェックでファックスもガーガーと。それの合間に郵便物をチェックしていたら、先日丸の内警察に届けた携帯の落とし主より御礼の手紙が届いていた。そうか、ちゃんと持ち主の手に戻ったんだ。殺伐とした一日だったけど、少しホッとさせられた感じ。





2002年10月13日(
土に根をおろし、風とともに生きよう……



 私用に記述を費やすことほど読み手へのサービス精神を欠くものはないので、特記することのない日はアップしないのがガチンコ日記の原則。けど、日曜日にバカバカ流れる芸能ニュースを見てると触れずにゃおれない森本レオ。もしクロなら『王立宇宙軍』のシロツグ強姦シーンって、ちゃんと仕込みがあったのだなぁ。

 といいつつ、仕事場の乱雑さに辟易して半ば自己強制的に片づけ。テリーに説教しながらカレー作りの同時進行。少しはきれいになったかも。

 夜は7時よりテレ朝「北野武と色彩の魔術師たち」、スタジオジブリの色彩設計・安田道世さんのパートのみ視聴。内容的にはNHKでオンエアされた『技〜極める』と、保田さんの著述「アニメーションの色職人」に重複するが、『魔女の宅急便』のキキの無彩色セルに白黒の色指定をして、その後見事なモノクローム・セルが眼前に現れたときは感心ひとしお。
 その裏のカートゥーン・ネットワークでは、『パンダコパンダ』『雨ふりサーカス』を放送するという見事なタイミング。「仕上げ・安田道世」の名を確認しつつ、テレ東『男はつらいよ』とザッピングし、日本のザンダー・ケイジこと車寅次郎の、アナーキー極まりない言動に笑わしてもらう。

「色彩の魔術師たち」触発されたか、仕事場に戻って購入してから通しで視聴していなかった『天空の城ラピュタ』DVDを観る。経年劣化を考慮すりゃ充分な高画質じゃないの。識らずしてやみくもに不満を言うユーザーの「付和雷同的な高品質希求」にはウンザリ。シータがムスカの前で「ゴンドアの詩」を引用するダイアログは、ああ、やっぱり涙腺の堤防が決壊して視界ボヤボヤだ。そんなときにテリーがやってきて開口一番、
「東映動画出身は労働争議ばっかりしてたからプチ左翼が多くてダメよ。それに比べて虫プロをみてごらん。富野にりんに出崎、個性的というか、ハッキリ言っておかしなクリエイターばっかじゃん」
 と文脈はよくわからんが、サラリ正論を言って仕事に戻る。

 深夜、寝室で『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を読みつつNHK「ゴジラを音楽にした男」を見る。伊福部昭の米寿記念コンサートを軸に“伊福部節”と呼ばれる独特の節回しを解析するドキュメンタリー。石井眞木ピアノ実演による伊福部和声法の依拠“5度の和音”の考証はなかなか興味深かった。






2002年10月12日(土)
おやじ大リスペクトなだけにね


 世の中が3連休だとかいって浮かれてる最中、こちらはいそいそとお仕事。フリーに休みもクソもないデス、はい。

 今日は遅延になっていた松田龍平インタビュー@ケイエスエス試写室(五反田)。インタビュアーはドリーだが、諸々の都合により担当者との連絡やらカメラマンの手配やらいろいろやらされ、そういう意味では自分にとって身になる仕事だった。でも相手が相手だけに何を質問するかでドリーと頭抱える。しかも事務所側からのリクエストで、やはりというか親父(松田優作)絡みの質問等、先にかなりのNG項目が出てきて、ますますQ事項が限定されるハメに。ドリーいわく、
「掲載媒体は映画秘宝だぜ。優作リスペクトの雑誌に息子引っ張ってきといて、親父のことに触れないのはすげえ不自然。読者も違和感覚えるし俺らもヘタレ扱いだ」
 と強固な姿勢。まぁとりあえず、そんなドリーが知恵絞ってくれたお陰で何とかインタビューは上手く行き、多少なりとも龍平の、親父に対する想いみたいなもんも聞けたのでこれはこれでOKといったところ。多くは語らないが、しっかりとした自分の意見が言える龍平にかなり好印象を抱いたし。

 インタビュー後、龍平の写真撮影の間にマネージャー女史と談笑。ここで意外な事実が発覚。何とこのマネージャー、以前はUWFインターナショナルの広報担当だったとの事。Uインターって個人的にも(悪い意味で)思い出深い団体だっただけに、あれこれ質問したい件は沢山あったんだが、あまりにもシャレにならなさそうな事(主に高田延彦関係)しか思い浮かばなかったので、とりあえず断念。

 インタビュー終了後、ドリーと共に池袋まで移動。引っ越してから全然行ってなかった池袋西口サンシャイン方面を探索。アムラックスでトヨタF1を発見したり(恐らく……っていうか、確実にレプリカ)、前の東京在住時には一度も行けなかった文芸座を確認しに行ったりする。新文芸座は来月までどれも必見の作品が目白押し。とりあえず来週のペキンパー2本立てと月末の東映ポルノ、来月の東宝回顧展は観に行きたいねぇ。特に(東宝の)ゴジトークと喜八の二本立てはね。


 


2002年10月9日(水) 小池様、接近遭遇!




 原稿執筆で夜を明かし、一睡もせぬまま午前の試写へ。シネアミューズで『2LDK』『荒神』の2本。『DUEL』と題したコラボで、堤幸彦と北村龍平が映画対決をするという東京ファンタ上映の企画だ。
 半睡半醒の状態で計2時間半の長丁場を乗り越えられるのかという不安。だが、それは一人のお姉ちゃんが試写室に入ってきた瞬間、一瞬にして掻き消されてしまった。

「こ、小池様…」

 そう、『2LDK』に出演している小池栄子が試写を観に来たのだ。しかも座った位置がよりにもよって我々の目の前!! 仕事柄、キャストスタッフ同席の試写は慣れっこのハズだが、これはさすがに心中おだやかじゃない。特に小池栄子原理主義者のテリーは、事態が自分の中で整理できないのか、およそ目が人間といえぬ何物かに変貌している。 
 というワケで恐るべき緊張の中、完全に眠気どこへやらで作品も観賞終了。しかし小池様、過密スケジュールにも関わらず相手方の『荒神』もキッチリ観て帰ったのにはちょっと好感が持てたね。映画は真っ向勝負というより、実はそれぞれが互いの作品を補完しあって1本なのだという戦略的思惟が背後に感じられたが。

 試写の興奮覚めやらぬまま神保町へ行き、『映画秘宝』編集部にて打ち合わせ。ラフ打ちから納品まで全部我々絡みの大特集を依頼され、その場で次号の『マイノリティ・リポート』特集のキャプション補筆をこなす。小池様遭遇を編集主幹の田野辺さんに話すと、
「僕も『ドラえもん』を観に行ったとき、前列席に藤本&我孫子両御大が座ったときは死ぬかと思った
 とシャレにならないエピソードを披露される。そういや俺の友人も、地元の因幡万葉歴史館の開館式であの伊福部昭が後列席に座ったときは、普段かいたことのない汗が吹き出たと述懐してたっけ。
(伊福部先生は因幡の豪族・伊福吉部の末裔なので、その絡みで歴史館の開設にあわせ「因幡万葉の歌五首」を作曲)

 駅につくとさすがに不睡がたたり疲労困憊、タクシーで帰宅。





2002年10月8日(火) HDD 死す



 我がMacの内蔵HDDシステムがイカれてしまい。初期化から再インストール諸々でほぼ一日をつぶしてしまった。

 いろいろデータを失ったのは痛いが、いちばん痛いのは書きかけの原稿もいくつか消えてしまったこと。これがマジでキツぅ。リアルタイムで雨が降ってないと傘を持たない人間、実際に大事なものを失ってみないと、マメなバックアップなど屁とも思わないのだ。「災難は他人に降りかかるもの」という認識を本気で改めよう。いや懲りたよマジで。

 しかし、やはりシステム再構築よりも原稿のほうが先という状況になり、最低限のワード環境とメール送信状況を建て直し、仕事に戻る。ところがそんなときに限って『WXIII 機動警察パトレイバー』DVDが届いたりして、艱難辛苦ここに極まれりの状態。ちくしょう、観てぇ。




2002年10月5日(土)
ガンダムの西川君の方は出番少ないんでよくワカラン


 何が一番ツラいって、何も書くことがない日にこうやって日記付けなきゃいかんっつー事だよなと思う今日この頃。にも関わらず書いてるのは「文章鍛錬だ」っつうドリーの意図とかあるからなんデスけどね。とは言うものの、こちらもただ黙ってやられてるわけにゃいかなくて、お陰で昼飯食いに行く際にドリーとケンケンガクガクの口論から、お定まりのビンタ合戦コース行き。顔面腫らしてひたすら殴り合う俺らの滑稽ぶりに、道行く車のお父さんも大爆笑してやんの。オレたちいいのかこれで!!

 家に戻りゃ戻ったで、今日は一日TV桟敷行き。20年ぶりのカワサキ復活を見届けるべく、NHK衛星でMotoGPの予選を見てたら、漢カワサキ、いきなり転倒してマシンぶっ壊してやがる

 予選終了後、TVのチャンネルをパカパカかえてたら、今日からスタートらしいアニメ番組やってたんで、そのまま流れてみてたんだが、やたらとヒロインらしき女の子の声がヘタくそ過ぎ。いくら養成所上がりの新人でも、もうちっとはマシだろうに…と思いつつ、エンドクレジットでキャストを確認したら…この人でした。そりゃいくら何でもムチャだって。


 


2002年10月4日(金) 
「ホラーづくしな1日」といったら、内覧バレるか。



 仕事部屋で洗濯物をマクラに仮眠をとっていたら朝まで寝てしまい、体が死後硬直のようにカチコチだわね。といってもお亡くなりの経験あるでなし。仕方がないので体をほぐすために『バタリアン』を視聴。この行動原理が自分でもよく分からないのだが、文章の行きがかりじょう仕方なしということで。

 先頃ようやくアメリカでDVDリリースされた『バタリアン』、既に公開より17年経ってるし、知らない人もいるかと。ジョン・ルッソが原案として関わった『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の正式続編で、トビー・フーパー監督、ジョージ・A・ロメロ製作で映画化されるはずが、ローレル・グループの代表リチャード・ルービンスタインがロメロブランドとして認めたがらず、その権利とタイトル使用で裁判寸前まで揉めた経緯がある。それはダン・オバノンのコメンタリーにも詳しいが、時期同じくしてロメロが『死霊のえじき』を製作していた関係上、類似を避けたというのも要因。ブラックコメディとして独立した魅力を放つゾンビムービーだし、結構好きなんだけどね。

 夜は都内で某試写。なんか変に完結してハッピーエンドにでもなるかと思ったら、めちゃめちゃオリジナルに忠実やないの(しかも原作に)。アメリカではどう考えても不自然な●●をうまく設定修正で乗り越えてやがるし。それにしたところで、ウ〜ン……。

 しかしつまんねぇ日記だな、今日のは。




2002年10月3日(木)
日照りが続くと性別も関係ないのかオレは



 今日は銀座の東映試写室で金子修介の新作『恋に唄えば♪』(東映配給)の試写。

 プレスに目を通すと、製作に『血を吸う宇宙』『呪怨』のOZの名前があるんで、ついつい尋常ならざるものを期待してしまうオレ様ちゃんだったりするんだが……考えすぎでしたねハイ。『どっちにするの。』とか『香港パラダイス』当時の、ヌルい頃の金子を彷彿とさせる作品でした。
 いや、ミュージカルってのは(曲とかダンスに関しては)悪かないんだけど、こういう作品の主役を張る女優ってのは、それなりに歌唱力やダンス能力が問われるし、何よりも出ただけでパッと華やいだ雰囲気が必要なはずなんだが、それをやるには主役の優香が力不足すぎ。基本的に優香のブス可愛さって嫌いじゃないんだけど、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』じゃないんだから、さすがにこういう場にはもうちょっと花のある女優さんでお願いしたいところ。あとギャグもなんとなく竹中直人頼みなところが多く、それ以外は空回りしっぱなしな点も気になるなぁ。せっかく『トリック』に続いて“俺らの好きな”90年代前半あたりの竹中テイスト全開(劇中登場するクイズ番組なんかその最たるもの。こっちの方がスゲェ〜〜〜!!)なだけに、このバランスの悪さが非常にもったいねぇですよ、ハイ。

 試写が終わって東映を出ようとしたとき、『龍騎』の後番となる『仮面ライダー』の出演者オーディションをやっており、そのせいか入り口付近にはイケメン兄ちゃんがウロウロ。それを見るなりドリーが、

「お前もオーディション受けて来いや。もしかしたら次のライダーの主役張れるかもよ? イケメン指向に警鐘を鳴らす意味でも」

 なんて言い出す始末。あんたねぇ、香港のアイドルグループじゃないんだから、そんな事はたとえ東映が許しても、全国のお子様たち(っていうかそのお母様方)が許さねぇよ!

 その後所用のため、秋葉原経由で新宿へと移動。紀伊國屋周辺をブラブラしてると、シースルーのコスチュームに、いかにも柔らかくて小振りながらも形のいいな乳を胸元から覗かせてるセクシーお姉ちゃんが、何か割引券みたいなものを配ってる。そこでフラフラと寄ってみたところ、
 
「は〜い、ニューハーフパブ営業中で〜す!!」

って思いっきりオカマ声で大声張り上げる始末。よく見りゃ一緒にチケット配ってるのはどっからどう見てもその筋のおネェさんなんだけど、綺麗な方は体型も顔も(声以外は)全くの女性にしか見えず、辺りが暗かったとはいえ、ニューハーフ当てには絶対の自信があった自分にとってはちとショック。いや、ああいうのばっかだったら、確実に転びそうだな。

 



2002年10月2日(水)
お前ら(=北の方々)のやっていることは全部お見通しだ!!


 15年も前の年賀状なんて出されてハズカシー!!―とか思う以前に、当時より確実に画力が低下してる事実を痛感する今日この頃。

 それにしても北朝鮮が公表した拉致事件被害者の死亡理由。被害者の家族には申し訳ないと思いつつも、突っ込みどころ満載!! 
 なんだよ、「洪水で墓が流され行方不明」って? しかも流され率ほぼ10割だし。そんなに北朝鮮って年中冠水状態ですか? いっそダムなんかぶち壊して、水流れっぱなしにしといた方がベネチアっぽくて観光収入激増だ!! ついでに平壌スタジアムにも水流して、マスゲームで『水着の女王』とかやってくれ。
 あと死亡理由を聞いて、

ガス中毒死→ガス室送り
溺死→水責め拷問
交通事故死→『カランバ』のプロモーションでG・カブキがやったアレ

 って脳内変換したチミ、怒らないから先生の前に出なさい!!
 

 朝からずっと仕事の関係で『トリック』のビデオばっかり見てたら妙にテンションが上がっちゃったんで、クールダウンのためドリーに「何かビデオ貸してくれ」って頼んだら、よりによって持ってきたのが『血を吸う宇宙』!!
 お陰でテンションますます上がりっぱなしですわ。今じゃ阿部ちゃんの事を“心のアニキ”と慕う毎日ですが、こんなオレ間違ってる? あと中村愛美って今何やってるんだ? 仕事がないからってパンツ売って小遣い稼ぎしちゃダメだぞ。

 そんなワケで中村パンツをお持ちの方、未開封品に限り高価買取いたします。(ウソ。いや4割ホント)


 


2002年10月1日(火) 
本日より、ゴミは市の指定収集袋(
有料)で出してください。







 直撃必至の台風21号をやり過ごす意もあり、さらにはガス給湯器の修理で業者が来ることもあって、家で終日仕事。インタビューのまとめや原稿の詰め、あるいはチェック項目の構成など。
 夕刻、関東圏内に入った台風はさすが戦後最大級の煽りどおり、叩き付けるような暴風と豪雨のアンサンブル。
 しかし、こんなときにこそ無性に腹が減るもんだから、仕事中のテリーに、
「おまえ、ホワイトロリータ買ってこい」
 
とパシリを強要。テリー、強行突破でスーパーに行くが、1分もしないうちに涙と雨で顔をグシャグシャにして、
「い、行けるワケないだろこの人殺し!!」
 
と怒りの帰還。そのわずかの間、オレは彼が死んだ時の言い訳を考えていた次第。ちなみに上の点取り占いは、15年前にテリーがオレによこした年賀状。ハハ、まるで今を予見しているようぢゃないの。

 しかし台風、戦後最大級だけにそのスピードも驚異的に早く、夜10時には雨もピッタリ止み、雲間から星さえまばたく。篭城から解放された我々はメシを求めて外出。寄ったTSUTAYAビデオコーナーで女子高生とおぼしきお姉ちゃん2人組(台風のさなか、どこに行ってたんだ?)が、我が市のゴミ有料化に伴う市指定ゴミ袋の高額ぶりを批難していた。
 そうなのだ。エコロジーに目覚めたガチンコ兄弟最大の関心事。40リットル10枚入りが720円(税抜)という暴利にはオレ様もガッチリ物申したい。しかしそんなオレの憤慨など知る由もなく、テリーは週刊誌を読みふけり「芸能界、腐食の性モラル」みたいな記事に深くあいづちを打っている。

 なんだろう、このジェイ&サイレント・ボブみたいな関係はよ。


 






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