=ドリー =テリー


2002年11月30日(土) 完オフ2



 読み古した資料にならない小説などを処分しに、新所沢の古本屋さん(断じて新古書店ではない)に出かける。せっかくなので友人M君を誘い、あてのないブラブラ散歩をしようということに。
 新所沢駅に降り立ち、昼食をとりにパルコに移動。入り口付近でパッと目に入る特設ステージ。おお、王様のライブイベントではないか。王様は先日『ハードキャッシュ』の試写で遭遇したのだが、あのときはスッピンだったのでいまいち感慨に乏しかった。だが今回、休憩時間だったのか開始前だったのか、王様があの恥ずかしい格好でステージの傍らにボケーッと座っているぞ。しかし誰も我関せずで、王様すっかり背景の一部と化している。心なしか王様、ちょっとさびしそうだ
 
 王様遭遇のシアワセ余韻を咀嚼しながら先を行くと、数人の小学生たちが『ハリー・ポッターと秘密の部屋』について激論を交わしている、片手に持っているパンフレットを見ると、今しがた観てきてホット状態。でもロン・ウィーズリーがどうとかこうとか、ロンで何をそんなに語ることがあるんだお前ら? しかしワーナー、相変わらずパンフがでかいよ。こうしていたいけな子供達はまんまと広告塔にされるのでありました。

 査定まで時間が空いたので、M君のナビで川越まで行くことに。「実家が城下町で、京都に長く住んでいたチミには珍しい光景ではないだろうが」とM君に言われつつ、蔵造りの古い町並みを歩く。道行く途中でライトサーベルのような黒筒を持つ人とやたらすれ違うので、気になって菓子屋横町に。売ってた売ってた、ひとつ350円の巨大麩菓子が。みんなこれを持っていたのだと関心しつつも、間近で見たらあらぬ物を想起させ、購入意欲が萎える。口が裂けてもウンコとは言えんが。

 その後は中心街を離れ、江戸城の客殿を移した喜多院や東照宮を回り、クレアモール商店街を徘徊。途中にあった斉藤風呂桶店で本格的なフロ桶を見つけ、思わず衝動買いしそうになるが、手入れが大変なのを諭され断念。その後、店じまいで全品半額セールをしている古本屋で『講座・日本映画』(岩波書店)の揃いを8千円で入手。本を売った金が本に化けるという因果なループを締めに帰途につく。ふぅ。




2002年11月29日(金) 完オフ



 こういう商売をやるまで「物書きが締め切りを守れないのは、自己管理できずに遊び呆けているからだ」と思ってたけど、すいません。自分がその身に置かれてみて、そこにはいろいろ物理的な要因が絡んでくるのだなぁと痛感しておりんすよ。

 そんな感じで、ここんとこブレインデッドな状態が続き、原稿のための思考能力が完全に止まってしまった。ひとつ気持ちを入れ替えようと、午後から少し東村山を探索する。
 東村山といえば志村けんの「東村山音頭」で不動のネームバリューを得たが、ガキの頃の自分はシムラが生んだ架空の地とばかり思っていた(さすがに1丁目とか2丁目とかの区分けはないが)。だから気分的には、なんだかホビット庄とかにいる感覚。いや別にファンタジックという意味ではなくて……ヤボか説明?
 
頃はお昼、おなかもすいたので、前から行ってみたかった小島屋へ行き、肉汁うどんと団子を食する。素直に美味いなぁ。うどんは関西と関東の食文化の違いがもっとも端的に現れた食べ物だけど、実家(鳥取県)の味傾向がどちらかというと関東寄りだったこともあって、黒々とした出し汁に妙な郷愁感がある。むしろ10年以上関西にいながら、あのさっぱりした昆布だしに違和感を感じていたりして。

 帰りに書店で「ワイルド7」愛蔵版1巻「CUT」最新号を買う。コカコーラを濃厚牛乳でわったワケのわからないスペシャルドリンクを飲みながら「CUT」を読むが、スピルバーグのインタビューにむかっ腹が立つ。『プライベート・ライアン』で銀残し(ENR、ブリーチ・バイパス)は使っていないと言ってるが、それならヤヌス・カミンスキーがENR処理を施したという発言はどう説明するんだ? スピってシネマスコープに関する発言といい、統一性を欠いてムラありすぎ。だから自作のDVDにコメンタリーとか収録しないのか?




2002年11月27日(水) オレ、穴を掘る



 喪中ハガキを用意しようと駅近くに買い物に行くが、立ち寄ったAVショップが20パーセント引きセールをやっていたので、これ幸いと『バンド・オブ・ブラザースDVD−BOX1』『大脱走 製作40周年記念―特別編―』DVDを購入して帰ってくる。

 早速観ようと思ったものの、たまった仕事が気がかりで集中しきれず。とりあえず試写から帰ってきてからだと割り切り、再び外出。銀座に出て松竹試写室にて『トランスポーター』

「ベッソンブランドにうまいものなし」は鉄則なので何の期待もなく観たが、相変わらず思いつきだけで推敲したかも怪しいベッソンの脚本が平板で、上映時間93分なのに思いっきりダレる。でもアクション・グラフに唸るところも多々あり、『TAXi』シリーズや『WASABI』に比べりゃ僅差でマシかな。スー・チーは相変わらずエロエロお姉さんフェロモンをビシビシ発散してたし。

 ケンタッキーでクリスピーパックを買って帰宅。それをパクつきながら『大脱走』を観る。初めてワイド版LDがリリースされたとき、ビジュアル情報がTVフレームの35パーセントくらいしかない細いスコープ画面に驚いたが、今回は左右を少しカットしての収録。だが画質は驚くほどいい。特典として収録されているドキュメンタリー「真実のヒルツ大尉」が面白い。

 そういや買ったときは全然意識してなかったんだけど、よくよく思えばジェームズ・コバーン追悼購入になっちゃったなぁ>『大脱走』




2002年11月25日(月)
だから『ラッシュアワー』野郎にしなきゃよかったんだ



 母親の法事で週末は実家に帰省。本当なら火曜日まで滞在するつもりだったが、仕事が諸々残っているので繰り上げで帰京。
 飛行機の時間まで父親と行きつけの茶店でしゃべる。他愛もない野球談義。「中村紀洋の是非より一年間フルに戦えるチームにすることが優先」がオヤジの弁。目から鱗、目先の勝利優先で長期展望なんて考えてないのが阪神ファンだと思ってたのに。

 夕刻に羽田に到着して、京急から山手線に移動で有楽町まで。日比谷スカラ座で来年2/1公開の『レッド・ドラゴン』試写。

 塗り絵のような映画、といったらいいのだろうか。テッド・タリーの脚本は驚くほど原作に忠実だが、原作では象徴的な端役のハンニバル・レクターをむりやり衣を被せ肉厚にしたことで、アンサンブルが不協和音を奏でてしまった。ダラハイドは幼少時の桎梏エピソードをバッサリやってしまったせいで、ノーマン・ベイツのリップ・オフ程度のキャラに成り下がるし。そのせいかダニー・エルフマンのスコアは『サイコ』寄りだ。
 いちばん最悪なのはブレット・ラトナーの演出力の欠如。『羊たちの沈黙』でジョナサン・デミが試みたリバース・ショットをバカのひとつ覚えみたいに模倣し、また敢えてそれを避け、ハンニバルのスノビズムを持ち前の映像美に置換したリドリー・スコットの意匠をも、その上澄みをすくい取るだけに留めている。せっかくダンテ・スピノッティを撮影監督に配したのに、これじゃ「マイケル・マンの『刑事グラハム』に仁義切っときました」程度にしか思われないじゃん。官能的なトラを触るシーンや殺人現場のシーンなど、『刑事グラハム』を超えるようなイメージがひとつもないし。

 そういや『レッド・ドラゴン』、クロフォードとグラハムが海岸でしゃべってるシーンは取り直しかと思うくらい『刑事グラハム』とソックリで笑った。




2002年11月23日() ダメ人間生活



 しかしいかんね。ドリーが帰省すると途端に生活が自堕落になっちゃって。まぁ、いつもの事ですが。

 というワケで、いつもの如く昼過ぎまで自宅でゴロゴロした後、所用で近所にある漫画古書店「パオ」へ。
 この店、売り買い両方で色々と重宝するのでよく利用するのだが、とにかく(こちらの趣味を察知してか)ここのオヤジが人つかまえてよくしゃべること!! この日もやはりオヤジにつかまり、いろいろと古書店に関する四方山話。

 一番興味深かったのは、某ブックオフ等に代表される大型新古書店に関する件。
「あの手の店に関する最大の問題は、買い取り手側に若いバイトを配し、マニュアルによって本の基本価値ではなく、あくまで程度基準で買い取りを決め、お宝本でも容赦なく斬って捨てて行くことによって、必要としてる人の元へと巡ってこないことだ」
 と力説していた。とにかくこのオヤジ、商売っ気に薄く、自分のとこで扱わないジャンルの本を持ち込んだ客にはちゃんと専門店を調べ、
「こっちの方が高く買い取ってくれるよ」
 と教えてくれたり、最近の万引問題についても、
「そういう感じの客は大概味をしめて何度も同じ本を持ってくるんで、キチンと名前と住所を控え、次に来た時に同じ本を出したら説教して追い返す」
 などなど。品揃えはまぁまぁだが(さすがに漫画一本では苦しいのか、ゲームやDVDも置いてるが)、オヤジが親身になって相談に乗ってくれるので、東村山近辺で古本を売りたい人や、捜し物がある人は一度相談してみてはいかがだろうか? ちなみにHPも開設していて、場所はコチラ
 
 帰宅後はまた家でゴロゴロ。ケーブルTVのAXNで『サウスパーク』の第1シーズン一挙放送を見ながら横になっていたらそのまま寝てしまったんだが、その時モー娘。の小川と新垣がバイトしてる吉野屋で文句言いながら牛丼食う夢を見る。よりによってなぜ小川&新垣?




2002年11月20日(水) スコセッシ!!



 今日は『ギャング・オブ・ニューヨーク』のプロモーションで来日したレオ様&スコセッシ監督の記者会見を取材するため、いつもより早めの起床。
 そそくさと準備して会見場の新宿パークハイアットホテルへと向かうが、これが(西武新宿駅からだと)ムチャクチャ遠いのよ!! 「どうせ新都心あたりだろ」とタカをくくってた我々にはヒジョーにキツい距離。おまけに会場に到着した頃には立錐の余地もない満員ぶり(詰めかけた記者は約600人。けどスペースは先日のトム&スピルバーグ会見の半分程度)で、改めて衰えを知らぬレオ様人気をまざまざと見せつけられた気がする。これがスコセッシ単独だったら、たぶん半分も埋まらなかったんじゃないの?

 予定よりも若干遅れて(レオが前日夜遊びが過ぎて遅刻)記者会見開始。レオはどうでもいいのだが、やっぱり目の前に生のマーティン・スコセッシがいて、その生声を聴けるというのは夢のような気分だ。俺でさえそうなのだから、スコセッシを現人神として崇め奉るドリーには言葉にならない感慨があるのだろう。しかし先日のスピルバーグといい、半年前までは絶対に考えられなかった夢の邂逅が次々と実現すると、やはり上京して正解だったなとつくづく思うね。いろいろ問題も多いけど、こういうのがあるとこの仕事についてよかったと痛感するよ。
 司会がクロ姐で、スコセッシ側の通訳が戸田なっちという最悪条件を除けば、記者会見そのものはトムスピ会見のときみたく“とんでもない方々”の“とんでもない質問”も出ず、つつがなく終了(『ギャング〜』を撮るにあたり参考にした日本映画があると聞いたが? の質問にスコセッシが『乱』の名を挙げたのは当然か)。ドリーから会場に現れた著名人についてのレクチャーを受けつつ(油井昌由樹やスクリプターの野上照代ら黒澤組に、小峯隆生とかいたらしい)ホテルを後にする。


 その後、午後3時半からの『猟奇的な彼女』渋谷・アミューズ試写室)の試写に向かうが、かなりの時間が空いているので、渋谷まで山手線沿いにブラブラ歩くことに。
 途中、代々木のデザイン系専門学校が林立するあたりを、ドリーの芸大思い出話(安藤忠雄を巡る建築科とランドスケープ科の見解相違など)なんぞ交えつつ散策するが、なかなかいい具合のマンションやアパートがあり、住めるんだったらこう言うところに住んでみたいと思う。各方面へのアクセスも良さげだし。あとは家賃だな。

 原宿を抜けて代々木体育館沿いに歩き、NHK方面に向かう。このへんには唐沢俊一氏の自宅マンションがあり、「もしかしたら近くで打ち合わせとかやってるかもね」なんてドリーと話していたら、いきなりその唐沢氏本人と鉢合わせ!! まさにシンクロニシティーである。とりあえずこれから打ち合わせだという唐沢氏と軽く挨拶を交わし、こちらはアミューズへ。途中、近くのカラオケボックスで一休みし、ちょうどいい時間に到着。

『猟奇的な彼女』は、タイトルのイメージからは裏腹に、結構爽やかな恋愛コメディ。なるほど韓国でヒットしたのもうなづける小気味よい展開で(それでも若干の中だるみはあるが)、2時間強の上映時間を特に退屈させることなく一気に見せてくれる。ヒロインのチョン・ジヒョンは割と俺好みの可愛いコちゃんだが、劇中の設定がバカアクション映画のシナリオばっかり書きまくり(当然、映画会社に持ち込んでも没ばっかり食らってる)、主人公にムチャばっかり要求するJackass野郎。秘宝系か? 

 試写終了後、帰宅してTVをつけたら『ウッチャきナンチャき』に唐沢氏が!! これもシンクロニシティーか?



2002年11月19日(火)
水粒となって消えたニューヨーク・クロニクル




 早急に原稿をあげねばならない関係上、朝から試写に行く。
 まずはUIP試写室で『ボーン・アイデンティティ』。ラドラムのスパイ小説を『go』のダグ・リーマンが映画化したもので、早朝の半睡半醒を吹っ飛ばす面白さだった。曇天のパリ風景と不安定なカメラワークで『フレンチ・コネクション』チックな画調を提供しながら、カッティング・スタイルは恐ろしく今風。カリで相手を秒殺するアクションは、セガール映画並みに観ていて痛みが実感できる。

 その足で東宝に駆けつけて『13階段』の試写。なんか未消化だなぁ。登場人物の因果関係が平たく狭くで説得力がないし、それをタイプキャストで補おうとっする浅ましさだけが残る。森下直の脚本は『誘拐』のときにも感じたが、紙に書いたスクリプト段階では読む者を引きつけても、盛り上げ場の時間的配置が悪く、映画として完成したときに肝心のクライマックスが蛇足に感じられてくる。田中麗奈は出番少なく顔見せ程度だし。しかし山崎努と崔洋一が出ていると、いやでも『刑務所の中』を思い出すよ。でもこっちは死刑囚の冤罪というブルートーンだが、あっちは「刑務所っていいところだなぁ」というほのぼの路線だからなぁ。

 映画が終わったところで神保町に向かい、『映画秘宝』編集部で打ち合わせのテリーと合流。そして夜は渋谷パンテオン。遂にというか、さんざ待たされた『ギャング・オブ・ニューヨーク』
 70年代に『タクシードライバー』、80年代に『レイジング・ブル』。そして90年代に『グッドフェローズ』という節目節目の傑作をモノするスコセッシの、本来なら2000年代の傑作となるべき作品だったハズ。が、オレはこれを支持できない。あまりにも大ざっぱなNYクロニクル。リライトに次ぐリライトでテーマが剥離しているし、何に焦点が絞られているのか分からない前半部のチンタラ展開が、観ていて思いっきり眠気を誘う。クライマックスの喧噪モンタージュにスコセッシらしさの片鱗は伺えたが、こんなに魅力のないものに何年間も待たされたのか

 開始遅れや映写トラブルが重なり、終わってメシ食って帰宅したのは深夜の1時。恐ろしいまでの徒労感を引きずり帰途につく。




2002年11月17日(
おちんこもんだりもしたけど、わたしは元気です。




 今日はT君帰阪の日。帰る前に乃木神社アンナミラーズへ行きたいという、変態制服マニアならではのリクエスト。
 アンミラはローリング・ストーンズ初来日の年、東京ドームコンサートを見に行ったとき、当時早大生だったM君が連れて行ってくれたっけ。あのコスチュームとチェリーパイの美味さに驚嘆したのも今は昔、その洗礼を今度は後輩に受け継がせるという因果。いや、こういう先輩だからこそ後輩の希求もかくあるのか。
 
 新宿のねぎしでメシを食い、福家書店の前を通ると、おなじみアイドルの握手&写真集サイン会に遭遇。聞けば沢尻エリカとかいうグラビア系アイドルの女の子らしいが、世間一般よりはアイドルに詳しい我々も「……誰?」というリアクション。どんなに若作りしてても、こういうところの情報に疎くなるのがオッサン証明か。警備がいつになく厳重になってる印象を受けたが、主催者も折りしのタレント握手会ストーカー対策で相当ナーバスになっているんだろうなぁ。

 赤坂に移動して乃木神社を拝見。乃木大将というと『二百三高地』の仲代達矢のイメージが自分の中でフィックスしてるが、実物はどちらかというとデビッド・モースだよなぁ。
 乃木邸に資料館とひととおり観た後、歩いて渋谷に移動。代々木国立競技場を囲む人だかりに閉口しつつ(その日はMISIAのコンサートだった)、渋谷スペイン通りに向かうが、アンナミラーズは跡形もなく消えていた。聞けば昨年の夏に撤退したらしい。こんなことなら赤坂店に行けばよかったと後悔するが、後の祭り。

 結局、奥さんの帰れコールを受け、T君タイムアウト。渋谷で別れる。その後はM君と渋谷でお茶して帰還。途中、今日で閉店というまんだらけ新宿店に立ち寄るが、そこに置いてあった『魔女の宅急便』CDを見て、M君曰くの言葉こそ、この日記のタイトル。

 



2002年11月16日(土) 狂鬼人間




 ようやく原稿も一段落ちつき、今日はT君を連れて久々の外出。この日記ではおなじみ朋友のM君をナビゲートにお願いし、いざ靖国神社へ。
 と、出かける直前に宅急便が届く。東宝映像事業部から『七人の侍』DVDの修正版が送られてきたのだ。当該箇所を確認するつもりが、菊千代の「おぬしは当年とって十三歳」のところまで観てしまう。名作恐るべし。しかし『七人の侍』も観る年齢ごとに感情移入するキャラが変わるのう。初めて観たときはやっぱ久蔵(宮口精二)だったけど、今は七郎次(加東大介)がしみじみ良いキャラだと感じる次第。T君は今も昔も与平(左ト全)だそうだが。

 待ち合わせ時間を少し遅れてM君と合流し、まずは高田馬場に降りて昼食。油麺の老舗ぶぶかで“キムチマヨネーズ油めん”という胸の悪くなるシロモノを食らい(おいしかったが)、半蔵門線で九段下駅まで行く。そして九段坂を上ると、目に入るはおなじみ大鳥居!!

 靖国神社には過去に一度だけ行ったことがあるが、遊就館に入るのは初めて。しかし、ここは重度のミリタリーマニアや東洋哲学の博士様、そして終戦の玉音放送をソラで復唱できる昭和史オタクの我々にとっては格好の遊び場だ。遺族に渡される合祀祭の手引書は古書市場に出回るのかとか、不謹慎なことばっかり言い合って顰蹙を買う。宝塚の手塚治虫記念館にいったときも、ガラスケースの向こうにある『新寶島』を目にし、半ば真剣に強奪計画を思案していた我々ですからして(ウソウソ)。

 その後、九段会館(旧軍人会館)でコーヒーを飲み、それから月島まで足を延ばして“もんじゃ”を食らいに行く。あいにく時間がなくてレバカツの店に行けなかったのと、過去行ったときより思いっきり商店街が様変わりしていて面食らう。
 
 帰宅後、昨夜のケンカのわだかまりから行動を共にしなかったテリーに対し、1時間ほど説教。さすがにショゲたなと思った数分後、突然上半身裸になって木刀を持ち、奇声を発しながらオレの部屋に乱入。
「このモヤモヤした憤りを形にしてみたら、ごらんの通り狂鬼人間しかなかったんだよ」
 とテリー、わけのわからない弁明。いや凄いよ、人が真剣になって説いたあげくの答えが大村千吉ですからね。タダ者じゃないと思っていたけど、まさか本当の狂鬼人間だったとは。

 



2002年11月15日(金) 
それに比べりゃ何と矮小なオレちゃん!!




 徹夜で残った仕事を片づけるつもりが、昨夜ウチにやってきたT君とともに『ソプラノズ』を観てしまい、明けにガーガー眠ってしまった。ということで、遊就館は明日にして、神保町で古本を漁りたいというT君の望みを尊重し、テリーを付き添わせてオレはウチで仕事をする。

 しかし仕事が煮詰まりに煮詰まり、一字も書き出す事が出来ない。ええい、仕方がないので気分直しにと、買ったままで放っておいたDVDソフト諸々をザッと視聴する。ラインナップは『E.T.20周年記念特別版』『ザ・バンド/ラストワルツ』、そして『ブライアン・デ・パルマDVDコレクションBOX』
『ラストワルツ』は東京国際映画祭の再上映に行きそびれたので買ったのだが、本編は既に幾度となく観ているので、スコセッシの副音声を優先して聞く。相変わらずのしゃべり魔ぶりが今のオレにはうっとうしいだけで、すぐにチェンジ。そんな愛しのスコセッシは『ギャング・オブ・ニューヨーク』の来日記者会見で日本にやってくる。けどディカプリオに質問が集中すんだろうなぁ。しかも即死必至の超ド級愚問がよ。もう今から憂鬱だ。

 『デ・パルマBOX』は『フューリー』以外はどのタイトルも輸入盤で視聴済み。だから画質が劣っているのは承知済み。『ファントム・オブ・パラダイス』はLDのほうが上下情報が多いのも確認済み。とりあえず『ミッドナイト・クロス』だけを流し観て、エディターに連続写真をコマ撮りしたフィルムとサウンドテープをシンクロさせ、デルマの位置がピッタリ合うシーンを確認して悦に入る。しかしデ・パルマ、新作『ファム・ファタール』は公開のメドが立ったのか?

『E.T.』は特別編に全く愛着を感じないので、アメリカ版同様オリジナルも収録してリリースすべきだったとつくづく思う。それでも特典に収録されていた、生演奏プレミアの会場にちゃんとカルロ・ランバルディデニス・ミューレンといったオリジナル版スタッフのメンツが呼ばれたのには少し泣いた。あの当時で最高の仕事をしたスタッフに対して多少なりとも敬意を払っているじゃないか。ルーカスは『スター・ウォーズ』は俺のモノという意識が強いから、こういう配慮は絶対に臨めないね(詳細は日本版「シネフェックス」ILM特集号のインタビューを参照してくれ)
 にしても、やっぱり銃をトランシーバーに修正したのは愚かだ。絶体絶命の中でエリオットたちが飛ぶから感動が生まれるんであって、銃はあくまで象徴記号でしかない。その前にディー・ウォレスが「銃を向けないで!!」って言ってるし、無配慮だという感じは抱かせないはずだろうに。

 そうこうしているうちに2人が帰還。案の定、帰りに夕食のチョイスで意見が割れ、大喧嘩したらしい。すごいよなぁ。大の男が鍋の具材にモヤシを入れるか入れないかで掴み合いだもん。それに比べりゃ『E.T.』の修正くらいで怒るオレなんて、人生なめてるよな。


 



2002年11月14日(木)
後輩の来訪、そして京都賞の思い出




 長く更新が滞ってしまったが、母親の葬儀で幾つか原稿を日延べにしてしまったうえ、さらに年末進行という恐るべき大波が押し寄せてきた。んなワケで日記に着手する暇がありませんでしたの、スマン

 そんなパーフェクト・ストームも目の中心に入り、少しおだやかになった頃、大阪より高校時代の後輩T君が上京。同時にテリーの同級生でもあるが、この二人、日頃より不仲を公言していて折り合いが悪いことこのうえない。筋金入りのミリタリーマニア&歴史オタクで、公務員をやらせておくには惜しい博覧強記の男だが、聞けば「新しくなった靖国神社の遊就館を見たい」とのこと。新婚なのに奥さんを放って3日も家に泊まるなんざ、夫婦生活に暗雲立ちこめたのではといらぬ心配もよぎる。

 そんなT君を迎えに駅に出て、皆で揃って大戸屋で夕食。その後あちこち近辺を案内してウチに到着。ウチでアルコールを煽りながら談笑し、酒の肴に葬式のとき持ち帰ったビデオを彼に見せる。
 ビデオの中身は、8年前にNHK−BSで放送された「第10回京都賞授賞式」京都賞とは科学や芸術の分野で著しく貢献した人物に贈られる国際賞で、この回は精神科学・表現芸術部門で映画監督・黒澤明が受賞を果たした。その受賞の模様と記念ワークショップを収録した番組なのだ。
 なぜこれを見せたかというと、実はオレとTくん、この黒澤のワークショップに聴講者として参加し、あげく二人ともバッチリ映っていたからなのだ。これぞまさにお宝発見!という次第である。

「あのとき黒澤監督、虫の居所が悪かったのかオーディエンス相手に怒鳴り散らしてたなぁ」
「国立京都国際会館を見ると、イヤでもキングジョーを思い出す」
 
 などなど、思い出話に花が咲く。後にも先にもナマの黒澤を見たのはこれっきりだったけど、邂逅の現場がこうやってバッチリ残っているのは嬉しい。しかし7年前のオレ、思いっきり怪しいなぁ。
 
 その後T君、勢いで「ソプラノズ 哀愁のマフィア」の録画ビデオを観賞。「わかるなぁ、ドンの気持ち」とガンドルフィーニに同情を感じつつ、明け方までシリーズ通しで鑑賞する。やっぱり奥さんと何かあったのかキミは!?

 



2002年11月6日(水) おでん




 葬儀で日延べにしていた仕事が重なり、毎日が何らかの締め切りがあるという追い込み状態。プチ売れっ子展開に恍惚とするが、単価が知れてるので「貧乏ヒマなし」を地で行ってるだけ。おかげで楽しみにしていた『ぼくんち』の試写も見送ることに。ナマ観ちゃんを拝謁したかっただけに悶々とする。殿下のチケットもまだ入手してねえしよ。精神的にも時間的にも、はたまた金銭的にもゆとりのないオレちゃん。

 朝から早々に宅配便が到着。何かと思えば『不眠症 [オリジナル版]bインソムニアb』(1月3日、HRSフナイよりビデオリリース)のサンプルテープが送られてきた。オレ的には何が面白いのか皆目わからなかった『インソムニア』のオリジナル版だ。確かクライテリオンDVD初のスクイーズタイトルがこれで、アマゾンでオーダーしようと思ったものの、同レーベルでアウト・オブ・プリントとなった『存在の耐えられない軽さ』を優先購入した覚えがある。まさに渡りに船。
 ところが、テリー宛に送付された『ブラックビートル』(1月10日ビデオリリース)サンプルのほうに気持ちが移ってしまう。おなじみアルバトロスの市場下支えZ級モンスター映画だが、なんとミッキー・ロークが出演しているのだ。この坂を転がるような落ちぶれぶりに矢も楯もたまらず、テリーが出かけている間にこっそりと鑑賞。
 いやぁ、すごいよこの作品。爆破シーンは『ラスト・アクション・ヒーロー』等からのフッテージを流用しまくってて、安普請このうえない。そしてミッキー・ロークは本筋に関わりのない、出ても出なくても物語上なんの影響もない役だし。おのずと想像できたことなのに、実際に2時間ムダに費やしてしまう自分の愚かさが恨めしい。

 その後、テリーと駅で合流して夕食。テリーいわく、

「このクソ寒い最中、それでも太もも露わなミニを履いて自らのアイデンティティを崩さぬ彼女たちにこそ、国は税金を使うべきではないだろうか」

 と、まじめな顔して「ミニスカ女子高生奨励金制度」を声高に叫びはじめる。ああ、貧乏が脳に至ったか、はたまた『ブラックビートル』の毒が回ったのか……。

 帰りにファミマに立ち寄りおでんを買うが、店員のお姉ちゃんと妙なやりとりをする。

オレ「すぐ食べちゃうからだし汁はいらないよ」
店員「内側の線まで注がないといけないんですよ」
オレ「それは至上命令なの?」
店員「(笑いながら)実はそうなんです」
オレ「客が泣いて拒んでも?」
店員「ハイ」

 といって、だし汁を注ぐ手を止めようとしない。これってどこの店舗もそうなのだろうか。捨てるにしのびなし、さりとて飲み干すには濃し多し。

 しかしATOK14って「キューブリック」とか「マスターベーション」だけじゃなく「ファミマ」なんて自動変換できるのね。ちなみにスコセッシは「須子摂氏」になっちゃう。2ちゃんねるかよ。

 



2002年11月2日(土) 単館の灯は消えゆく 




 すさまじい寒気で目が醒める。昨夜は帰りが遅く、おまけに過去体験したことのない濃霧に包まれての帰宅。ポエミィというか薄気味悪いというか、ま、これだけ気温差が生じりゃフォッグも出るわな、と。

 昨日購入した『突入せよ!あさま山荘事件』DVDをザックリと視聴。『WXIII 機動警察パトレイバー』のときもそうだったけど、警察タームは耳馴染みがないせいか、劇場では噛み砕きの悪いままやり過ごしちゃうケースが多い。日本語字幕が収録されているディスクは、そのあたり補完がきくもんね。邦画DVDとしては特典もリキ入っていて、特に撮影監督の坂本善尚によるバリカム解説は、『映画撮影』誌に載っても違和感ないくらいエンドユーザー向け。

 DVDといえば『七人の侍』に不具合があったそうで。東宝はウェブにお客様交換センター窓口を設け、購入者はそこに登録しておくと、修正版ソフトと返送用封筒を送ってくれるとのこと。デジタルならばおよそ考えうる今回のミステイクだが、画質も悪くないし作りもご苦労ちゃんな出来だっただけに、別に責める気にもならない。

 原稿に着手していたら、ふと突発的に関西の映画事情が気になり、ネットをあちこち渡り歩く。
 そうか、扇町ミュージアムスクエア京都朝日シネマも閉館するのか。シネマアルゴ梅田で『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』を観た後、わずか10分のタイムラグを全力疾走で移動し、ミュージアムスクエアの『土俗の乱声』に駆けつけたのが懐かしい。大阪の映画好きならこの距離感を分かってくれると思うけど、人間、オタクに魂を売れば空だって飛べるのだ。

 朝日シネマは徹夜明けで疲労困憊のなか、ベアールの“おヌード”見たさに『美しき諍い女』を観に行き、4時間の上映時間ほとんどを熟睡に費やした思い出が印象深い。あそこは冬場はフカフカ座席と効き過ぎの暖房で、たっぷり睡眠をとっていても眠気を誘う劇場だったのだ。
 そういや、京都の映画館で最後に観たのは何だったっけ。確か『緯度0大作戦』をみなみ会館のレイトで観たのが最後だったと思うが。ガイドを見て「あと上映まで2時間しかない!」と言うが早いか、テリーと車すっ飛ばして大阪→京都の暴走移動。他にも高速ブッちぎりで名古屋キノシタホールまで行き『獣人雪男』を観たりと、ムダな情熱を燃やしていたあの頃。

 ……とまぁ、こういうことを考えるのは、原稿が煮詰まったげくの現実逃避なのは言うまでもないけど。にしても、みなみ会館は大丈夫なのか?

 



2002年11月1日(金) オレは手塚ゴジラを断固支持!!



 今日は朝からお仕事。映画秘宝から依頼を受けた、某企画のラフ切りを午前中に黙々とやる。ラフがほぼ完成を見たので、打ち合わせのため午後イチで編集部に電話をかけるが誰もいない。そりゃそうだ、前夜ファンタのオールナイトで編集部総出だもん。オレ、開催日を間違えてたよ
 とはいうもののスケジュールが詰まってるので、先んじて外出したドリーと合流し編集部へ。死屍累々と化した編集部で企画の写真選び&雑談。前日のオールナイトはかなり盛況だった模様。こんな事なら俺だけでも行けばよかった、トホホ。

 夕方からは編集部の人や、夜8時半から某所で行われる極秘試写まで時間が余りまくってるというドリーと共に、試写のため日比谷の東宝へ。もちろん、この時期にやる試写といえば『ゴジラ×メカゴジラ』(手塚昌明監督)に決まってる! 当然ながら、試写室の最前列は秘宝軍団が完全占拠。あんたら最高だよ!!(昨日は開田夫妻が陣取っていたらしいが)

 映画の感想に関しては前日(10/31)のドリー日記に譲るが、個人的にはゴジラの脅威に対する説得力を高めるため、頭でっかちな“映画”としての道を選んだ金子ゴジラより(当然『ミレニアム』以前の平成ゴジラは論外)プログラムピクチャーとして楽しめる“怪獣モノ”作りを心がけた手塚ゴジラを個人的には支持する。
 そりゃ高杉亘の演技が無駄に濃すぎるとか、妙にガキがしゃしゃり出てくるところとか(いい加減、子供向け=子供を出すというところから離れろよ)、相変わらずイヤ〜な部分が無いワケではない。でも「怪獣同志の闘い」を変な言い訳なくストレートに見せる手塚ゴジラこそ、本来のゴジラ映画(1954年の第1作を除き)の姿じゃないのと思うんだが、そこんとこいかがでしょう?

 しかし、ドリーの代打で手塚監督及び特技監督の菊地氏にインタビューした際、両氏が「お薦めのシーン」と強調したアヴァンタイトル=台風吹き荒れる館山でのゴジラ対自衛隊の戦闘パートは、ゴジラ映画史上屈指の名シーンでしたな。○○○○(今回出演の隠れゲスト)が、ふと見上げた横を通るメーサー車の美しいこと! タイトル前に登場するゴジラの猛々しいこと!! これだけで充分1800円払って見に行く価値は充分で、そのうえ出崎&モー娘満載のハム太郎までついてきて何の不満があるの皆さん!! とりあえず公開されたらジャラ銭持って劇場行け。しかし『ミレニアム』以前を思うと、なんだかゴジラシリーズもいい感じで補修されているよなぁ。


 深夜2時、外のすさまじい濃霧の中、内覧試写を終えたドリーが帰還。「いや面白かったなぁ」などという予想外の声が返ってくる。前作をあれだけ腐したのに、この心変わりは何事と思いきや、曰く、
「原作の前半部を30分くらいに収め、残りランニングタイムをたっぷり後半の盛り上げ場にあてている。原作を意訳できないなら、時間配分で勝負つけてやろうという算段が見事にハマった」
とのこと。後は延々と○ー○○オ○ーの可愛さを褒めちぎりながら就寝。

 








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