=ドリー =テリー


2003年1月31日(金)
『ピーターパン2』とか『リロ&スティッチ』を
ディズニー・クラシックと認めちゃうの、
『ワンピース』を東映長編動画として語る敗北感に近し



 朝、洗面所でカミソリをあてていると、左アゴ辺りが白くメッシュがかった“白髪ヒゲ”になっているのに気付く。頭は剃り上げスキンヘッドなので分からないが、実はオレ、30代にしてかなり白髪に侵蝕されているのだ。特にもみあげのところなんか、一時のリック・ベイカー状態だったぞ。うーん、白髪ヒゲは悪くないが、この歳ではまだ早いなぁ。

 感情冷え切ったままで試写に向かう。まずはブエナビスタ試写室にて『リロ&スティッチ』。
 ディスニーアニメ初のダーティ・キャラがウリらしいが、やっぱりディズニー、超えられない壁がある。スティッチがファッキン・デッドとか吠えるワケじゃなく、人を殺すワケじゃなく、アンチクライマックスで終わるワケでなし。しかしプレスリーにゃ冒される宇宙生物。『ワイルド・アット・ハート』のニコラス・ケイジに言わせりゃ「お前はエルビスの魂を持っている」ってとこか。なら『ラブ・ミー・テンダー』歌わなきゃな。そんなことより、アラン・シルヴェストリのスコアが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』臭っ!

 その足で松竹に移動して『テープ』の試写。ワンステージ、リアルタイムで橋本忍チックに進行していくドラマを、ソニーのDSR-PD100 Palカムコーダーで撮ってFinal Cut Proでノンリニア編集したデジタルシネマ。
 カメラの機動限定やフィルムの制約から解放されるのをいいことに、『ラブ&ポップ』みたいにモーション過多になるんじゃねぇだろうなと思ったら、その通りだったよ。あの空間だけで語りの強弱をつけようと思えば仕方がないが、もっと俳優の力を信じろよ。イーサン・ホークにそれを望むのは酷か

 帰宅してから半睡半醒で原稿書いていると、テリーから「『さんまのまんま』見てみ!」と業務連絡。
 何事かと思ってチェンネルを合わせると、おお、ゲストが矢田亜希子だ。しかもその後の『チョナン・カン』にも矢田ちゃん出演しとるやんけ。ああ、冷え切った感情に少し日が射した。安さ爆発だなぁオレ。でも、いつも他人の足を引っ張るテリー君、今日は大活躍じゃないか! 顔さえ見れば説教か殴られるかで日常アップアップな本人も、
オレ、生まれて初めて人の役に立ったよ

…って、お前はザンダー・ケイジか!!




2003年1月30日(木)
ごめんなさい、やっちゃいました」



 記者会見の起こしやら原稿のキャッチやら、小仕事をこなしつつサンプルテープを観る。ただ昨日の話じゃないが、感情が冷え切っていて、今、何を観ても何を聞いても精神の波が平衡、心も動かない。もとよりここ10年、涙を流して泣くなんてのは皆無だが、それでも感情の起伏が激しいほうだったハズ。やはり歳を取ったんだろうなぁ。

 感性が剥き出しになっている年頃といえば、大阪ニューOS(現・OS劇場C.A.P)で『シザーハンズ』を観たときを思い出す。オレの後ろに座ってた女子高生5人組が、クライマックスで一斉に泣きだしてさ。すすり泣きとか、そういう穏便なものじゃないよ。みんな声を張り上げて「エッエッ」としゃくり上げ。感情に任せるがまま泣いてる子達に「うるせぇぞコラ!!」とも言えず、ウィノナの金髪に違和感を覚えながらやりすごしたけど。

 ノニーといえば『Mr.ディーズ』の懺悔広告が笑ったが。知らない? 手っ取り早いところだと「TOKYO BROS.」の3月号(矢田亜希子が表紙のやつ)とかコンビニで確認してもらうといいんだけど。これの紹介レビューを書いたとき、ウィノナには腫れ物にさわるような思いだったのに、配給会社自らこういう自虐的戦略を採るなんて……。

 冷え切った感情につまようじを刺されるような、そんな塩梅ではあったのだけどね。




2003年1月29日(水) ああ、絶不調…



 朝6時に目が覚めるが、起きあがれない。中途半端に体をよじった体勢に、恐ろしく冷え込む晩が加わると、柔道で痛めた腰がミシミシ鳴く。これがひどいときは動くのもおっくうだ。23日付の日記で「腰痛でドクターストップがかかっているにも関わらず『氷の微笑』を観に行った」という恥ずかしい過去を晒したが、あれはこれの前兆だったのか。
 精神のオブセッションが肉体を支配する…という、もっともらしい言い訳を理由に、体を動かさない程度に仕事を片付ける。それ以外に特記することもない。

 あ、『マトリックス・リローテッド&レヴォリューション』のスーパーボウル版トレーラーを観た。すごいとは思うが、大きな感慨もなく。いかんな、感情さえ冷えきっている。まぁそういうクソ面白くない日もあるということで。




2003年1月28日(火) ラム日本に来たっちゃ



 しかしキャラメルコーン、20%増量したのはいいけど、明らかにピーナッツの混入割率が減っているのはどういうことなんだ? 東ハトも長年キャラメルコーンを製造してきたなら、同製品のバリューポイントがどこにあるかぐらい分かるだろう。遺伝子組み換えコーンを使用してないことを声高に叫ぶ前に、ピーナッツを50%くらい増量しろ。それがキャラメルコーンと呼べるかどうかの疑問は行動をおこしてから議論すればよろしい。

 午後イチ、新宿パークタワーに赴き『007ダイ アナザー デイ』ハル・ベリーロザムンド・パイクのダブル・ボンドガールに、リー・タマホリ監督らの来日記者会見に行く。
 もちろん、これだけのキャパでクロ姐仕切りなら、質疑応答に挙手してもムダ骨。しかもタマホリ監督、国情を熟慮してかノース・コリア絡みの発言にはかなり慎重。昨夜寝ないで考えたような優等生発言で面白くねぇや。どうでもいいけど山形放送、毎回毎回『ガキの使い』のアフリカ中央テレビのように現れ、来日記者会見で愚問を垂れ流す真意は何?

 その後は中野に移動し、ワールドフォトプレスへ。『フィギュア王』編集部に顔を出し、額田編集長と打ち合わせ。新連載の方向性と希望を進言される。「映画“ガチンコ”兄弟が、お笑いに逃げちゃダメだ」的なね。

 その後、中野からバスで江古田に移動し、江古田の駅前商店街を闊歩。そこのスーパーで買ったキャラメルコーンが、20%増量したのはいいけれど……。




2003年1月27日(月) バトル・オブ・ラ・マンチャ



 しとど降る雨の中を渋谷へと出かけ、シネカノン試写室にて『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を観る。
 テリー・ギリアムの最新作になるはずだった『The Man Who Killed Don Quixote』のプリ・プロから撮影、そして頓挫までを追ったメイキングドキュメンタリーだ。というか、ドン・キホーテなんていかにもギリアム向きで、映画が存在しなくても観た気になるっての。ただ『未来世紀ブラジル』のファイナル・カットを巡るシド・シャインバーグとの確執や、トーマス・シューリーの詐欺による金銭トラブルと格闘した『バロン』のあれこれを思うと、どこかギリアム、最初から弱気で勝負を放棄していた感じがする。というかこのオッさん、『バロン』の亡霊に疑心暗鬼になってんだもん
 ただ唯一「残念だなぁ」を実感したのは、もしこれが完成していたら、ギリアム監督初のシネマスコープ作品になっていたこと。 ギリアム的にもそれをかなり意識した絵作りをしていて、口惜しさに拍車がかかる。

 観賞前と観賞後、2つしかない男性用トイレで、なぜか今野雄二先生と連れション状態になってしまう。水曜イレブン世代としては複雑な心境。

 シネカノンを出て、そのまま渋谷のHMVに移動。昨日買ったYMOの旧譜メモリアル・リリースに併せ、サウンドプログラマーだった松武秀樹のムーグIIIが展示中とのことで、とりあえず見に行く。
 ムーグIIIとは、ロバート・ムーグ博士が開発したパッチ式アナログ・シンセサイザー。冨田勲が塩せんべいを食べた手でスイッチャーを触ったら、音色が変わってしまったという伝説のシステムだ。変な説明。けどブツを見たらモノ自体の感動より、ロジック・システムのステッカーが貼ってあったことに涙。
 帰ってからレンタル延滞しっぱなしだったダリオ・アルジェントの新作『スリープレス』を視聴。一人称ステディ・カムにゴブリンのスコアだけで人を泣かせるかアンタは!

 見終わる直前にチャンピオンの原稿締め切りが今日中だったのを思い出し、フルピッチであげてしまう。あわただしい一日だったはずが、なんか文章にすると荒い網目のようだなぁ。




2003年1月26日(
本当はジュピター教団に入って大暴れしたかったんだよ



 原稿作成のために積もり積もったテープを消化せねばならなかったが、あまり気が乗らず。街へ出て親友のM君と会う。

 彼に付き添わせ、CDショップでメモリアル再リリースされたYMOのCD『BGM』を買う。忘れもしない中学1年の誕生日、母親から自転車と一緒にプレゼントされたのが、この中期YMOの傑作アルバムだ。クラフトワークの『放射能』やヴァンゲリスの『霊感の館』あたりの、重めで暗いシンセサウンドが好きな中坊には“ご馳走”のような名盤。もとよりYMOと『スター・ウォーズ』は思春期のダブルショックだけど、これの衝撃はひとしお大きかった。『solid state survivor』がかなり時代の劣化が入ってきたのに比べ、音的に古びた印象も全くない。

 M君とそんなYMO話に花が咲く。彼とは10年前、東京ドームでの再生コンサートに行った仲。当時早稲田の大学院生だったMに連れられ、新宿サブナードの看板チェンジのバイトでチケット代を稼いだなぁ。京都から上京したその足で、何の疑問も違和感もなく労働に加わるシチュエーションがメチャクチャおかしかったが、拘束2時間で1万円の取っ払いはメチャクチャおいしかった。ああ、バブル絶頂期の甘き思い出。

 CDショップで『さよならジュピター』DVDリリース告知のチラシをゲッチ。おおっ 映像特典で特報が収録されているではないか!!
『ジュピター』の特報は、実際に完成した本編との落差という意味でも、あそこまで毛穴という毛穴から血が噴出するシロモノはなかった。木星やミネルバの合成前ショットに小松左京のモノクロチールをクロスカットさせ、バックには高らかに流れるシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」。恥ずかしい話、この特報観るためだけに劇場へ行きましたよオレちゃんは。というワケで歴史は繰り返す。この特報のためだけに、このDVD買うんだろうと。本編は要所要所つまみ観かな。発砲スチロールのサメをボッコボコにする三浦友和のアクションシーンとか。

 その後Mとはジョナサンで5時間近く粘り、以下の内容を徹底的に話し込む。

 親友から突然「僕は●●星から来た宇宙人」という衝撃の事実を告げられ、しかもこれから故郷の星に帰るという唐突な展開。そこで最後のお別れに七色に輝く石をもらうが、親友いわく「これを電気釜に入れてお米を炊くと、ご飯がおいしくなる」とのこと。惑星間を航行できる高度な科学力を持ちながら、友情の証にくれるのはそんな生活ベッタリなもの。

 …しゃべってるときは大爆笑だったのに、文章にすると全然面白くないのはオレのエクスプレッションが貧困なせい? あるいはもっと根本的な問題?





2003年1月25日(土) はぁ。



 日記も義務感とエンタメ精神が支配すると、書いてて苦痛。何が船越栄一郎だ
 でも物事を赤裸々に書くにも限度がある。不特定多数を相手には公言できないこともあるんスよ。例えば、
「テリー、さっき晩ご飯を食べたのにまた食い物を要求。しかも階下の住民にウンコ爆弾を投下」
とか、
「ドリー、匿名で養護施設に100万円を寄付。微力だが、少しでもお役に立てれば嬉しい」とかね。

 ぼつぼつと部屋の片づけをしていたら、バグマガジンの編集長・六畳川さんこと藤本氏から電話連絡。別件で保谷に来ているから、ご挨拶できないかとのこと。寄稿をお願いされている身でもあり、こんな僻地に赴いてくれたからにはと快く承諾。
 さっそく落ち合わせ場所に行くと、スタッフの女性2人を連れだって待ってらした。オフレコな話題もあるので書き控えるが、諸々の話をして大阪土産をもらう。ありがとうございました。

 その後、テリーと晩飯を食い、少し仕事の話。余談の際、籠もり仕事はどうにも不健康なので、旅行でもしたいと言い出す。オレに言わせりゃ、男なんかと一緒に遠出をすることが不健康そのものという気もするが。
 結局さんざ悩んだあげく、そう遠くない将来に「富永一朗マンガ館」へ行くことに決定。ただ、手塚治虫記念館のように宝塚だけにあるワケじゃなく、全国十カ所くらいに点在しているのがネック。それを全部巡礼するかどうかの課題を残しつつ家に帰り、匿名で養護施設に100万円を寄付。微力だが、少しでもお役に立てれば嬉しい。




2003年1月24日(金) 船越栄一郎の日



 今日は朝からTVで船越栄一郎ばっかり見るなぁ。
 というのも、明日の土曜ワイドステーションでオンエアされる『火災調査官・紅蓮次郎』。これが栄一郎の2時間サスペンス初主演作ということで、テレ朝は総力をあげて栄一郎をバックアップしているのだ。もちろん『徹子の部屋』にも登場よ!
 徹子との血の通わないトークで感心したのが、巷で囁かれる2時間サスペンスへの疑問、

なんで最後に犯人が、岸壁で全てを洗いざらい告白するのか?

に対する栄一郎の答えだ。

「やっぱりアレですね。岸壁に立って自然の雄大さを前にすると、自分の矮小さが情けなく思えてくるんでしょうねぇ

 いやもう含蓄溢れまくってるよ。オレもマーク・ボランみたく30歳になるまでに死ぬ予定だったけど、こういう発言聞くと、人生少しはムダに生きてみるもんだと思うね。

 しかしね、船越栄一郎のこと語ってもブッシュのバカ政策に変化が訪れるワケじゃないんで、自分の生活に思いを巡らせる。でも番組占拠やるならMステーションを飛び越し、『愛のエプロン』で杉田かおるの“料理という名の毒”を食らわんと、栄一郎。


 今日は各編集部との次号打ち合わせがほとんど。チャンピオンは映画コーナーよりも、担当Mさんの『ななか6/17』絡みの進行のほうが別事ながら心配。秘宝からは新作レビューとビデオレビューの追加の文字指定。困ったな、ウチで集中してビデオ観れないタイプなので、サンプルテープが溜まりまくっている。
 
 とりあえずレンタルビデオ店で貸りっぱなしにしていた『現代やくざ 人斬り与太』と、塩田明彦監督の『害虫』DVDをつぶし観する。前者はおよそ10年ぶりの観賞。『害虫』は最初に観たとき、宮崎あおい蒼井優の区別がついてないという「致命的なミス」を冒しながらの観賞だったので、ケツの座りが悪かったの。まぁ再度観ても印象は変わらなかったけど。
 これらを見終わると『千と千尋の神隠し』TV初放送のイントロダクションにぶち当たる。ああ、なんか『スター・ウォーズ』初放映時を思い出すよ。この空騒ぎで確実に視聴者を減らしたなと思ったら、案の定テリーが、

「観てた?『千と千尋』のイントロ番組。あれだけでもう本編を観る気が失せたよ

とおむずかり。まぁ、あいつは昔、宮崎駿が蛇蝎のごとく卑下していた“セーラー服が機関銃ぶっ放す能無しアニメ”が大好きヲタ郎だったから、それでなくとも「駿、Death!!」の悪感情を抱いているっての。ちょっと尊敬しちゃうね。





2003年1月23日(木) ジョン君、十年一日のごとき。



「よおし、今日は国会図書館で資料を漁って、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』の試写に行くのだ!」
 と、元気よく表扉を開けて外へ出ようとすると……




 吐いた気合いをそのまま飲み込み、靴を脱いで後ずさり。入浴して着替えて出支度をしたそのままの格好で仕事部屋に戻る。どうだいこの挫折の早さ、社会人として。

 はぁーあ、勝負を回避する根性なしになったよオレも。昔は腰痛でドクターストップかかってても、這って初日の劇場に向かったもんだ。ちなみにその這って観に行った映画は『氷の微笑』。
「命と引き替えにこんな映画観てる、オレのダンディズム」と、それを気高い行為に思っていた時期もあったさ。こんな話を先日、L誌の編集Sちゃんにしたところ、

「私もドリーさんと同じ事をしたかも。だってバーホーベンの映画ですよ」
「いや、あの頃のバーホーベンは、まだ見極めが難しかったんだよ」

 そう、あんときゃオランダ時代の変態性をひた隠す「『ロボコップ』で彗星のごとく現れた異能作家」の残り香があったのだ。『トータル・リコール』あたりで微妙に感づいてはいたが、それが完全に“まやかし”だと気づくのには、早くとも『ショーガール』の登場を待たなければならない。

 根性なしは根性なしらしく、家でおとなしく『ゴースト・オブ・マーズ』なんか観る。すごいな、話は確かに『要塞警察』だし、絵ヅラが『エスケープ・フロム・LA』まんま。嚆矢回帰すぎて呆れるほどカーペンターだ。コメンタリーも併せて見たが、
「オープニングの列車は模型だとバレないようにしたけど、どう見たって模型だよ
 と監督、完全に開き直っている。果たしてカーペンターに次回作があるのだろうか…。





2003年1月22日(水) ああ、ジヒョンさま!!



 明け方になってウトウト。気がついたらご機嫌ななめは真っ直ぐにな時間。ガッ! 容赦なく寝坊じゃねぇかチキショー!!!

 …結局『ボーン・アイデンティティ』ジミー大西の来日記者会見に間に合わず。その旨を編集氏に伝えると、
「UIPさんからデータもらうんで、心配いらないですよ」
 とのこと。もう死んで詫びます…。

 とまぁ一瞬猛省して、とりあえず気を取り直し渋谷へと移動。『猟奇的な彼女』チョン・ジヒョンの来日記者会見(於:セルリアンホテル)に出席。この時期、特に紹介する媒体もないのにノコノコ出向くなんざ、まじめに仕事しろよオレって感じですね。

 会見場で別件の原稿書いていると、そんなこんなでジヒョン登場。うわ、激カワっす!! 東京は極寒まっただ中なのに、水色の気合い入ったノースリーブがすげぇ寒そう。
“どうじょヨロシク”と日本語で挨拶した後、すぐに質疑応答に入るが、映画の影響で韓国の恋愛事情が変わったかとか、ああいうエキセントリックな役に抵抗はなかったかとか、プレス資料見りゃ分かることばかり訊くので、つい質問の虫が騒ぎ出す。

日本映画はご覧になりますか? お気に入りの作品があれば教えてください

 と、偉そうに言った割にはデートレベルでお姉ちゃんに訊くような問いをしたところ、

好きな日本映画はいっぱいあります。最近観たものだと、北野武監督の作品『菊次郎の夏』『HANA−BI』がお気に入りです。北野監督は俳優としても好き

 とのお答え。“たけしは『みんな〜やってるか!』が名作ですよ”と言おうと思ったけど、美少女に哀れみの目で見られるのは耐え難く、グッとこらえる。ちなみに映画の冒頭では泥酔してゲロ吐いてるけど、本人はお酒が全然飲めないそうな。

 しかしジヒョン、無駄にデカい。公称172Bあるらしいが、ヒール履いてないのに花束贈呈ゲストで呼ばれた柔道の吉田秀彦とほとんど背丈が変わんねぇの。そのスタイルとファニー・フェイスの非バランス、妙にエッチっぽいし。



 記者会見終了後、そのまま遅めの昼食をとり、ルノアールでミルク飲みながら仕事。その足で渋谷クロスタワーに移動し『ベッカムに恋して』の披露試写。
 受付でアルバトロスの宣伝Tさんから「尾崎さんですね、ご挨拶させてください」と名刺を受ける。僕らのニューセレクト系の洋ピンポルノとZ級モンスタームービーの巣窟だったアルバトロスが、なんか確実に違う会社になりつつあるぞ。 
 収まりが悪いので、同社の良心・叶井大将に挨拶。顔はさわやかな営業スマイルだが、
「え、今日は『えびボクサー』じゃないのに来たの?」
 をあからさまに目で訴えかけている。あんたもまじめに仕事しろよ。

 んで映画は、ベッカムに入れ込むあまり、現実と妄想の区別がつなかくなるアメリ女の話かと思ってたら、『アタック・ナンバーハーフ』と『リトル・ダンサー』を掛け合わせた真っ当なスポーツ青春映画。これタイトルが悪いよ。

 場所がクロスタワーということなので、帰り際に「すみや」に立ち寄って『ランボー2/怒りの脱出』のサントラを買う。リチャード・クレンナ追悼だ。
 家につくが早いか、さっそくそれを聴く。人生でいちばん頭の悪い時期に観た映画だもん。思い入れが深すぎて、ジェリー・ゴールドスミスのスコア耳にするだけで頬を熱い涙がつたうよ。フランク・スタローンが高らかに唄う“Peace In Our Life”は何度人生の局面で心に響いたか。カラオケにあったら絶対唄うんだけど、もちろんありません




2003年1月21日(火)
世の中には、命をかけて闘うに値するものがある




 今日は午後イチより、都内で某作品の内覧試写。
 ああ、設定にムリがありすぎて話がぜんぜん面白くねぇや。なによりオレの眼の黒いうちは、ワイヤーに吊られた彼のアクションなんか認めないって。そんな怒りもフジテレビの佐々木恭子アナをナマで拝見したことで、やんわりと静められる。とさりげなくササキョン信者をカムアウト。小倉のイエスウーマンだとか、厚化粧でテカっているとか心ない発言ばっかクローズアップされているけど、ご本人は色白で小柄なかわいらしいお姉さまでやんしたよ。

 その後、軽く昼食をとってヘラルド試写室に移動。『六月の蛇』(5月公開)を観る。
 恐らく監督的には、いつもの60%程度の慣らし球を投げたつもりだろうが、かなりビシっと手応え重めの返球。控えめに言って現時点でツカシンの最高傑作ではないかと。手垢にまみれたテーマだとは思うけど、『鉄男』の作品世界が性的アレゴリーに満ちていることを思えば、その隠喩が直喩になったと思えばけっこう。いつもは押しつけがましい塚本意匠も、そのワンポイントな出し惜しみっぷりが逆に作家性を強く顕示する。キャスティングも見事だよ。特にりん子(黒沢あすか)のモラルの表皮がチロチロと捲れゆくサマは、久々に映画観て下半身に血が集中したなぁ。画調といい劇中のスチール具合といい、マヤ・デレンの『午後の網目』を連想させるけど、そう感じたのはオレだけ?

 でも、そんなツカシン名画も今日のオレにとっては前座でしかない。そう、1年間のお待ちかね、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(於:丸の内ピカデリー1)の完成披露試写があるのだ。『六月の蛇』まではお仕事モードだったのに、銀座の服部時計台が夕刻5時を告げると同時に中坊スイッチがカチンと作動してしまう。来たぞきたぞ来たぞ、この感覚!! 高校んとき『ジェダイの復讐』を観る直前の空気が、これと同じだったんだ。

 んで、夜の11時。至福と懸念とハイテンションをまぜこぜにした精神状態のまま、有楽町線に乗り込んで帰路に就く。
 その間、いろんな事を考えたよ。世の中には、5千円や1万円が適正価格じゃないかと思う映画もあるんだなぁとか、フロドたちがシェロブに襲われる原作エピソード手前で映画を締め、それが『王の帰還』へのツケにならなきゃいいがとか。あるいはP・ジャクソンに生涯ついてまわるだろう“『指輪物語』の監督”という栄誉と縛りとか。ああ、やっぱり『スター・ウォーズ』はCG技術の発展を待たずに終わっておくべきシリーズだったんだ…とかね。

 家に帰って『旅の仲間』をDVDで再確認。半日試写に費やしながら全く疲労感がないのは、『二つの塔』の動的快楽にアテられたんだろうなぁ。






2003年1月20日(月)
リチャード・クレンナも逝っちゃった




 うぉおおおおおお!
 トラウトマン大佐が死んじゃったよ!!


 ある意味、深作の死以上に胸を掻き乱すリチャード・クレンナの訃報。オレさまの魂のバイブル『ランボー』シリーズをズンと影で支えた、ランボーの父親的存在。
 最後に元気な姿を見たのは何の映画だったっけ……『サブリナ』か? うーん、あんな作品、オレにとっちゃ出てないも同然。となると『リヴァイアサン』か。うぇ、アマンダ・ペイズお姉さまの白ブラしか覚えとらん。

 ……最近なんかタルんでないかオレ? いや、完全にタルんでるぞ。大佐、きっと天国でオレのこと嘆いてるんだろうなぁ。「貴様は初心を忘れて、分不相応な単館系のお芸術映画とか見栄で観に行ったりして、自分の心にウソをついておる」とか言ってんだよ、たぶん。
 大佐、オレもう「春は『カリガリ博士』の季節だなぁ」とか言ってる学生じゃないんです。しかも好むと好まざるとに関わらず映画は貴賎なく観ないといけないんです。『星に願いを。』なんて、そりゃ昔だったらタイトルを聞いただけで吹き出してましたよ。でも結子が出てるんです。

 まぁ故人を偲ぶのはそのくらいにして、チャンピオンの原稿をまとめ、久々にテリーと飯を食いにでかける。もちろんメインディッシュは説教。
 そこでテリーに「お姉さん願望」があるという話を聞き出す。兄・弟・妹とくまなく兄弟のいるテリーだが、そこにはゆいいつ姉という要素が欠落していて、とにかくお姉さんキャラに憧れるらしい。ああ、あいつの熟女好きにはこういう伏線があったのだなぁと感心しながら「具体的にどんな感じのお姉さんがいいんだ?」と聞くと、「上戸彩」などと困った答えが返ってきた。いろんな事をツッコみたい衝動に駆られはしたが、だるいし面倒くさいし。しかも店のおばちゃんに、
「表に巨人の靴が置いてあると思ったら、兄ちゃんたちのか。犬が住みついてたで
 なんて大ボケをかまされ、ほとんど技アリ先取されてたこともありまして。

 家に帰ってメールをチェックしたら、「昔尾崎さんが大学で働いていた頃お世話になった学生」と称する子(だいたい察しはつく)からファンメールを貰う。「チャンピオン見たら他の誰でもない尾崎さんが載ってて笑いました。そういえば商業映画好きでしたもんね」って、差別発言かオイ?






2003年1月19日() ソドムの市捕物控



 熱はだいぶん下がったし、食欲もあるし体も普通に動かせるが、咳のキレだけが思いっきり悪い。横になると、ふとした拍子にマシンガンのような速射状態となる。しかし情けないのは、咳き込みすぎで筋肉痛を患ったことだろう。不摂生と同時に運動不足も懸念すべきだってばよ。
 
 夜は『ソドムの市』のサンプルを視聴。今回エスピーオーからリリースされるバージョンはMGM/UAの英版マスターだから、画質は悪くない(さりとていいワケでもないが)。以前にWHVからリリースされていたバージョンは、英語吹き替えなうえに画質もボヤボヤで、しかも後半になると大ボカシ祭りが始まるという難儀なヤツだったので、それに比べれば今回はかなり良心的な『ソドムの市』といえる。とりあえず「ヘア無修正」を謳い文句にしているが、あくまでヘア無修正であって、これみよがしに現れる少年捕虜たちの○ン△とか、そういうのにはささやかなモザが施されてますんで。
 しかし公開当時はセンセーショナルだった本作も、アダルトビデオ文化の洗礼によってソドミーな描写に免疫が出来たためか、衝撃性の辛みは稀釈され文学っ気だけが残ってしまっている。
 オレがこの映画を最初に観たのは、ものすごく画質の悪い海賊版ビデオ。渋谷のパラドックスで入手したやつで、確か3万円したなぁ。それからしばらくしてクライテリオンからLDがリリースされ、しばらくは重宝したんだけど、重宝しすぎてDVDを買いそびれたのが失敗のもと。クライテリオンDVDタイトルでは真っ先に廃盤となり、イーベイオークションでだいたい300ドル平均の落札値がつくレアアイテムになってしまった。
 
 ところでエスピーオーはパゾリーニ作品の後、ホドロフスキー作品集をリリースするらしい。そういう穴ばかり狙ってんな。




2003年1月18日(土)
『暴れん坊将軍』って、終わってたの?




 朝からテリーと朝食を兼ねながら、昨日の話を含めた打ち合わせ。仕事から話は大きく移り、なぜか『暴れん坊将軍』映画化の妄言へ。なんで東映は『龍騎』で儲けた金をこれに使わないのかという疑問から、劇場に流れる速報の絵コンテまで切り始めるほど盛り上がったのに、テリーが「吉宗役は窪塚洋介」とかヌカしやがった時点でオレの握り拳がヤツの頭頂部にめりこみ、話はそこで終了。あいつの言ったことは「ジョージの代わりにジェフ・リンを加えてビートルズ再結成」に等しい暴言だ。
 いやそれよりも我々、番組が去年に終了していることをこれっぽっちも知らず「レギュラーと平行して映画のスケジュールが大変だなぁ」などといらぬ心配までしてしまう。

 午後よりビクターの人がDVDの出張修理にやってくる。昨年の引っ越し間際に大阪で買ったものだが、保証書が見つからず困っていると、機種と経年劣化を判断して「保証修理ですから大丈夫ですよ」と気を回してくれる。ただ来るなり持ち帰りを告げられ、その場でちょちょいと直してもらえなかったのは悲しい。R1とRフリーのデッキが3台並んでるんだから、一台くらいなんだみたいな顔でビクターさんはお帰りに。

 後は体力の回復をひたすら待って、ベッドに臥せってトイレに行っての繰り返し。ちょこっと『ブレイド2』のDVDと、深夜に放送していた『アーバン・カウボーイ』を見つつ早めに就寝。




2003年1月17日(金) 久々に竹内結子だ!(言葉どおり)




 いつの間にやら週末という状況で「何を風邪だのインフルエンザだの情けないことを言ってるかオレは!」の気概でガーッと試写へ行く。

 まずは東宝試写室で『星に願いを。』。『黄泉がえり』でオレ様センシビリティをガクガクさせた竹内結子が主演ということで、そうじゃなきゃ自分の人生に何の接点もない一本
 しかもオレの一番嫌いな作劇条件「バカにも分かりやすい過剰な伏線」「バカに含んで教えるような回想」をスキなく生かした作り。しかも物語の整合性を保つためなら、キャラクターの性格設定が破綻していようがおかまいなし。そういうシワ寄せがどこにくるかというと、もちろん当然ドラマの根幹にだ。「別の誰かになることで、初めて自分の想いが告げられる」という進行上の枷が、あろうことか「障害者であるかぎり、他者への想いは伝わらない」という反語さえ強く主張する。
 それよりなにより、惚れた女に努力も犠牲も払わないヤツに、健常者も障害者もねえんだよ。人は限界まで人事を尽くし切るから、奇跡に感動が生まれるんだ。安易にファンタジックな設定を貼って、そこでコマ動かしてんじゃねぇぞ、冗談ヌかせ!
 …と激高してみたところで、出来た映画がモコモコ変わるワケでなし。この場で文句言うのはアンフェアな気もするが。でも他人に尽くしながら悲壮感もなく、自らのパーソナリティを顕示できるキャラって、たぶん竹内結子なんだろうなって気はする。

 場所をちょこっと移動して、今度は松竹試写室にて『the EYE【アイ】』。『レイン』のパン兄弟の新作だが、角膜移植をした少女の目に、この世ならざる“何か”が映る…とまぁ、そりゃあんた完全に話が大林宣彦の『瞳の中の訪問者』ですぜ。まぁオリバー・ストーンの『ザ・ハンド』あるいはエリック・レッドの『ボディ・パーツ』みたく、移植パーツが元の持ち主のバグを残しているのはお馴染みネタ。攪拌機や患者用ベッドのコマアップ(『ジェイコブス・ラダー』)など、ビジュアル・リファレンスも明解。ストーリーの構造骨格が『リング』に近いが、でもやっぱり大元は『シックス・センス』ありきなんだろうなぁ。それにしても「世界はきれいなのだから」は胸にしみるダイアログ。

 途中で『レッド・ドラゴン』を観たテリーと合流し、秘宝編集部へ打ち合わせに。だがそこで寒気に見舞われ、話もそこそこに退散。帰宅したらエスピーオーからパゾリーニの『アラビアンナイト』『カンタベリー物語』『ソドムの市』のビデオが届く。けど、病んだ体でこれら作品を観るパワーは今のオレにない。しかも『高校教師』2話目にして撤退。お母様、御遺言を遂行できずにすいません。




2003年1月16日(木) ああ、もろもろ予定が…




 今日は深作欣二監督の告別式に参列する予定が、熱どうしても下がらずに断念。東映さんからも案内を頂いていながら実に口惜しい。自己管理の不徹底さを呪う。気持ちの収めどころが悪いので、喪主の健太氏ならびにご遺族宛に弔文を打電しておく。監督、最後のお別れに行けずにすいません。

 告別式に行けないのに試写に出るワケにもならず、ズルズルに引き延ばしてしまった『ジェイ&サイレントボブ』と『リロ&スティッチ』も日延べ。しかし『ジェイ&サイレントボブ』は今日を逃すと22日が最終で、その日はチョン・ジヒョンとマット・デイモンの来日記者会見に出席せねばならず、泣く泣く東北新社のNさんにサンプルテープでフォローさせてくださいと電話。Nさん、鼻ズルズルなオレの声に鋭く反応し、

「尾崎さんインフルエンザですか。熱が上がったり下がったりでしょ。あたしも5日泣きましたよ」

 と符号ピッタリ。しかも今回のは医者で注射してもらっても、治癒がかなり遅いそうだ。こんなことなら、症状が出た翌日にでも病院に行きゃよかったよ。

 体が甘味を要求しているので、テリーが差し入れてくれたコーラを飲むが、炭酸水を口に含んでいる感触しかない。そんな飲み物と格闘していると、チャンピオン編集部より電話、文字稿チェックと『ビロウ』のキャッチコピーを今日中にくれとの催促。くれったってファックスさえ来てないよと思ったら、電話機の下の方に当該のブツがゴッソリ落ちており、しかも日付は一昨日。こっちの完全な落ち度に「ゆうべ突然、空から赤い光が…」級の支離滅裂な弁明をしてしまう。

 夜、さる知人より突然結婚報告のメール。素直におめでとうのいえるカップルなので、素直におめでとうメッセージを送り返す。ああ、これでまた一人、オレの嫁になる権利を失った不幸な女が増えたか……。

 深夜、上京してから全然ごぶさただった『探偵!ナイトスクープ』を観る。ケンタッキー・フライド・チキンのガラを集め、1羽の鶏骨格を復元しようとする依頼には笑ったが、完成したそれが『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスの家に飾られてても全然違和感のない代物で、ちょっと悪寒も覚える。
 その後、裏で放送していた『伊賀忍法帖』を少し観賞。おお、あれから21年経った今の目から見ても、渡辺典子めちゃくちゃ可愛いやんけ。おい中学時代のオレ! おまえの感性、やっぱ間違ってなかったってば。




2003年1月15日(水) 日記もおっくう




 なんかね、葛根湯とかカコナールとかの感冒シロップって、あの激マズさで逆に体調を崩しそうだよ。熱は悲しいかな平衡状態。歳をとるにしたがって抵抗力が無くなってきているなぁ。味覚と嗅覚が完全にイカれ、食事をとっても「得体の知れぬ固形物をクチに頬張っている」という感じ。医者行きそびれ感、かなり強し。
 
 しかし仕事はすすめないといけないので、ベッドの中でDTP関係書籍を拾い読み、ラフを切る。そのままの状態で『北京ヴァイオリン』(シネカノン配給・3月公開)のサンプルを観る。
 昨年の東京国際映画祭で上映されたチェン・カイコーの新作だけど、ヘザーの巨乳以外に全く観るところなかった気の毒な凡作『キリング・ミー・ソフトリー』をまっさら白紙に戻すかのような良作でやんしたよ。ああ、お前もツイ・ハークと一緒だな。
 アミューズから『猟奇的な彼女』記者会見の案内届く。うひょー、ジヒョン来日かよ。こりゃもう万難を排して行くよ、行きますとも! 

 あんまり食欲がなかったが、それでも薬を服用するために冷蔵庫のストックを漁る。何食っても一緒だとは思ったものの、わざわざご飯を炊いてカニチャーハンを作る荒療治に出る。

 でもその甲斐あったか、少しカニの味がしたな。




2003年1月14日(火) イタリア風邪の猛威




 深作死んだり、ザ・フーのピート・タウンゼントが児童ポルノ画像所持で逮捕→保釈されたりと、心労も重なる今日この頃。昨晩からやたら咳がゲホゲホ出ると思ったら、38度5分という高熱がブリ返してきた。年末のは風邪じゃなくて、単に扁桃腺炎だったのか……ああ、脳が膨張したように頭がズキズキと…。考えられる原因はただひとつ、あいつだ。

 あのなテリーよ、貴様の保持するウィルスはMMー88か?(『復活の日』参照)。
てめえの不摂生の賜みたいな風邪で3年前、オレが40度の高熱を出して肺炎寸前になったのをよもや忘れたワケではあるまい。あれだけ接触を避けてきたのに、一言二言遠巻きに説教をしただけで伝染かよ? そのくせオレの風邪が貴様に移ったことなんか全然ないのな。フリーランスは体が資本なんだから、悪性のもらってくる前に少しは自己管理しとけっての。いや、それってオレ?

 というワケで体調かなり悪し。ヒーターをガンガンに利かして温度を上昇させ、寝室に籠もってサンプルテープを観る。
 とりあえず溜まった中から『散歩する惑星』(春公開)。ビターズ・エンドのK嬢があんまり熱心に薦めるもんだから、つい「観たい」とか言っちゃいました。それでなくともタイトルがウルトラセブン第32話だぜ。くすぐられるモンがあるっての。
 でも作品はシュール芸人によるシュールコント100連発、しかも出てくる連中の行動が最後まで不条理に徹底したあげく、けっきょく帰結に至らないという足場のグラグラ感が体調不良にモロ響く。アナログ感覚の視覚効果がすごいということだが、「え、特撮なんて使ってるの?」という黒子っぷりは確かにすごい、うんすごいよ(それだけ)。





2003年1月13日() 小倉、お前というヤツは…


 というわけで、母親の死でも気丈だったドリーがすっかりしょげかえってるんで、代わって今日はオレ。といっても書くことはコレしかないんだけど。
 
 昨日の深作訃報に関して、各局朝のワイドショーはこの話題で持ちきりだったが、局によってその内容はまちまち。というか差がありすぎ。

 いちばん最悪だったのが(やはりというか何というか)フジの『とくダネ!』。小倉智昭が、
「僕は『仁義なき戦い』とか好きじゃないんですが…」
 とリスペクト度0な暴言を発したと思えば、コメンテーターの諸星裕(桜美林大学副学長)も、
「(深作の)作品は全然見たこと無いんですが、日米合作で『トラ!トラ!トラ!』とか撮ってた方ですよね」
 などとまったく何の感慨すら持ち合わせてない様子。かろうじて同じコメンテーターのピーコが当たりさわりのないことを言って、何とかその場は収めていたが、そんなにどうでもいいと思ってんだったら後の笠井君のコーナーでサラッと流しとけよ!! 
 小倉的には深作よりもモーリス・ギブの訃報の方が大事なようだが、ビージーズのメンバーが一人死ぬよりも日本人には深作の死の方が重要なんだよ!!

 そんな深作リスペクトが感じられない『とくダネ!』に対し、深作愛が過剰なまでに充満してたのがテレ朝『スーパーモーニング』。口火を切るように渡辺宜嗣アナが新宿昭和館に通いまくって深作作品を見倒した思い出をとくとくと語り、鳥越俊太郎氏に至っては『仁義なき戦い 完結編』のラストを例に挙げて、いかに深作が社会的問題をエンターテインメントとして昇華させるのに長けていたかということについて熱弁を振るう。東映実録ヤクザ物のファンって、結構左向きの人たちに多かったりするのもなんとなく頷けるような気がする祝日の朝でした。

 とりあえず小倉、おまえ『タミヤRCカーグランプリ』のナレーションから人生やり直せや。





2003年1月12日(
「反体制の意識なくして、何が映画監督かよ」






『宇宙からのメッセージ』をオンタイムの発火点とし、『復活の日』『魔界転生』『里見八犬伝』等々、意識したときには既にイヴェントムービーの巨匠だった。『仁義の墓場』も『現代やくざ・人斬り与太』も『県警対組織暴力』も後年、新世界界隈の映画館で追いかけたクチだ。

 ナマのお姿を拝見したのは、京都文化博物館の「日本映画講座」のときが最初だった。当時の最近作『いつかギラギラする日』のことで、監督に面と向かって噛みついた。
あの作品では、特定民族や社会的弱者をアウトローに賭け合わせてるが、それはあまりにも安易で表現が差別的だ

 監督は少し苦笑しながら言った。
それは虐げられし者の隠喩として受け止めてほしい。脚本の丸山(昇一)君と討議に討議を重ねてキャラクターを膨らませていったんだ。決して差別を助長する意図はないんだよ

 世間知らずの若造が知ったふうな口を…と思われたことだろう。


 そして2度目の邂逅は『バトルロワイアル』の公開を控えた2000年10月。オレはこの商売を始め、インタビュアーとして監督と再度向かい合う機会を得た。

 挨拶もそこそこ、監督に文博でのことを述懐し、
「あのときは生意気なことを言いました」
 と頭を下げた。けど監督は、
そのキミとこういう場で再会するなんて、人間、不思議な縁があるもんだ
 と豪快に笑い飛ばしてくれた。
 インタビューなんて名目でしかなく、本当はそのことを監督に詫びるのが目的だったのかも知れない。もっとも10年も前になるオーディエンスの戯言を当然覚えているワケがないだろう。でもそれがオレなりの“仁義”だったんだよ。

 上の写真はちょうどインタビューのときにテリーが撮ったもの。メディコムトイでバトロワのシリーズが発売されるとのことで、「フィギュア王」経由でサンプル品を送ってもらい、監督にプレゼントした。「これは秋也だろ? よく特徴をつかんでるなぁ」と大ウケ。その瞬間を捉えた会心の一枚だ。

反体制の意識なくして、何が映画監督かよ

僕が今まで描いてきたヤクザ社会は“コップの中の嵐”にすぎない。けど、ここに描かれている問題は大人全体、ひいては世界全体へと大きく響いてくるんだ。テーマはでかいよ

『バトルロワイアル』のR15問題、そして作品の主題について触れたときに出た発言が、今も印象深い。


 現在、オレの携帯電話の待ち受け画面には、監督とツーショットをご一緒させてもらった画像が貼り付けてある。
 人一倍元気そうに見えてたのに、あのとき既にガンと闘ってたのだ。

 深作欣二、享年72歳。

 その名、市川崑監督と並び、映画を見始めてから間もなく覚えたブランドネーム。青臭いこと言うけど、オレの映画人生が多少なりとも有意義なものだとしたら、それは深作監督、あなたが残してきた作品があったから。







2003年1月11日(土) 若気の至り




 おとついきのう、何かすごい忘れ物をしている感があったが、何のことはない。週刊ヤングサンデーを買わなきゃいけなかったのだ。

 理由は単純、巻頭グラビアが矢田亜希子だから。すべからくは世のイイ女を勝手に私物化する“妄言大将”なオレだけど、それはそういうキャラを全うしたまでのサービストーク。でも彼女はUHA味覚糖「ピピンC」のCMデビュー時からマジでお気に入りだったよ。過去形に意味はないけど。

 職権乱用を承知でインタビューもしたさ。彼女とオレとの仕事上の接点はないかと、さんざ機を待って登場したのが平成12年の『クロスファイア』だった。初主演映画・東宝特撮…条件は揃った。押せ押せの売り込みで編集担当氏を突き動かし、東宝さんから取材オッケーの連絡が来たときには、難波の高島屋百貨店のトイレで歓声をあげたね。彼女には失礼だけど、演技が出来る子は容姿かまわず脇にまわされる芸能界なんで、「たぶん映画主演はこれが最初で最後」と一発勝負に命をかけたもん。

 インタビュー当日は胃の外壁を押さえつけられるような感触がずっと抜けず、トイレに駆け込んではウェ〜ウェ〜吐いたなぁ。柄にもなくド緊張してさ。その直前に金子監督のインタビューでワンクッション置かなかったら、いったい本番でどうなってたか。

 んで、人生を賭けた実物とのご対面は……すいません、完全に記憶が欠落してます。録音したMDを聞き直すとフツーに対応しているんだけど。

 写真集のサイン会に行った知人に言わせると、どうやら「矢田亜希子は“眼”にやられる」らしい。あのウェットアイでこっちをジッと見つめて話すので、それで石にされたんだろうと。はぁ…。
 かすかに残った印象では、本当にコーラ好きだったことと、撮影入るにあたって金子作品をたくさん観たって言うんで、どれがお気に入りかと尋ねると「やっぱり『ガメラ』かな。マニアの人とかに比べると全然詳しくないけど、それでも凄い映画だと思います」と答えたことだろうか。


 でも、あのインタビューでたぶん完全燃焼というか、オレの中で自己完結しちゃったんだろうなぁ。その後は自分から売り込んでのインタビュー取材って深作欣二監督くらいだもん。最近はドラマも追わなくなったし。アメリカンファミリーCMの、誰に対するサービスなのか分からないナース姿にはドキッとするけど。
 でもデビュー当時から定期的に載るヤンサンだけは、こうして習性で買っているという次第。
 
 しかしヤンサンって、発売日から日を置くとコンビニ入手はかなり難しいんだよ。運良く残ってても、思いっきりヨレヨレの愛されたヤツばっかだしね。おまけに買っても肝心のマンガ読まないんだよなぁ。せいぜい『おしゃれ手帳』と『青春くん』くらいか。『おしゃれ手帳』の長尾謙一郎は、ガチンコ兄弟の単行本企画で「挿絵をお願いしたい人」の最有力候補だった。だって笑えるじゃん。オレらどう描かれるのか明白だもん、バカ田バカ助とか。



 あ、今日はね、ヤンサン探して別誌掲載のインタビューまとめてラーメン食って終わり。オレの亜希子愛を存分に垣間見たんだから、それで良しとしとくれよ。





2003年1月10日(金) 『高校教師』視聴は亡き母の遺言




 昼夜が完全逆転してしまい、今は朝の10時に死んで昼の3時に蘇るサイクル。これが日1時間ごとにズレていき、通常の生活リズムに戻るのは12日後くらいだろうか。体内時計、完全に狂っとる。でも腹がへるのは朝昼晩と定時なんだよな。

 本日は映画美学校で『ビロウ』の試写。『ゴーストシップ』の潜水艦版と言ったらミもフタもないが、中途半端に面白い。サウンドのハッタリが随所に散りばめられているのに、ここの音響設備じゃそれを生かし切れない。週明け火曜日のギャガ試写室で観ればよかったと後悔する。しかも後列に小堺一機いるし。

 映画が終わると八重洲ブックセンターに寄り、そこで『Meets Regional』を見つけて感動する。しかも特集が北新地というコテコテの地元様向けなのに。いや東京駅だと出張サラリーマンが多いから、街モノはむしろ強みなのか。というワケで、オザキ『Meets Regional』でもお仕事してますんで、よろしく。

 中央線からお茶の水で下車、ファーストキッチンで差し入れを買い込み、たぶん校了に追われて半死状態であろう洋泉社「映画秘宝」編集部へ。でも今日はなんかおだやかだったな。というワケで編集部の皆さんに買ったはずのハンバーガーをオレが食いながら、ちょうど来ていたギンティ小林君とビデオリリース業界誌をおかずに歓談。

 帰宅は夜12時。文字稿ファックスや留守電を確認し、4日ぶりにテレビをつけ、予約録画しておいた『高校教師』を観る。わざわざビデオチェックして『高校教師』かよコラという疑問もあるだろうが、お袋の遺言なんで。でもね、女子高生文化の新陳代謝があれだけ激しくても、ドラマのスタンスは変わらないのね。野島に多くを期待するオレもオレか。





2003年1月9日(木) カポネ団に入会したいのですが




 例の秘宝千本ノックやら別件原稿やらキャッチやら、まとめて朝の10時に終了。力尽きては机の下で横になり、また書き出すという行為をいったい何日続けたのだろう。ああ神様、もう私は飛べない。

 ところがいざベッドに潜り込むと、神経がキンキンになっていて意識の向こう側に行けやしない。仕事を残しているときは原稿のことが気になって眠れないし、終わったら終わったで校正その他のことが気になる。本作りって出版されるまで達成感ってないんだよな。
 しかも某誌の新連載の件でトラブル。こっちの主張と編集との齟齬が埋め合わせられず、間に入っている担当氏の歯切れが悪い。もう一度上と詰めて話をし、それから連絡をするという約束を交わす。でもフォーマットが決められなきゃ原稿に取りかかることも出来ねぇよ。

 夕方に目が覚め、ビデオをレンタル店に返却に行く。しかし困ったことに、たまたま立ち寄ったレンタル店で突発的に会員になって貸りたので、場所をよく覚えてないのだ。しかも、そんな行きずりの店で貸りたものといえば『不良番長 手八丁口八丁』だったりして。いや人生そういうムダを積み重ねてきてこその今のオレですんで。
 
「確か近くにサンクスがあったよ」という子供みたいな記憶を頼りにレンタル店を探し出し、そのまま市街を徘徊していると実家の親父から電話が入る。『映画秘宝』を読んでいたら、テリーのコメントにあった『特撮が来た!5』が気になったらしい。やめたほうがいいよパパン。親が見たら自殺せずにはおれないことを沢山言ってるんだから。そのうち原稿ファックスするよと伝えておく。たぶん送らないけど。

 キネマ旬報ベスト10の結果を知る。ああ最悪だ。なんだ『ロード・トゥ・パーディション』の1位っつーのはよ。仕事柄、秘宝のベスト10も既に結果を知っているが、今年はそんなに選ぶに窮する作品ばっかりだったか?

 




2003年1月8日(水) 来週も竹内結子だな(だから何が?)




 朦朧とした意識のなかで朝まで原稿を書き、明け方に寝る。
 ほんの少し寝るつもりが、携帯の音で目が覚めたのが11時近く。「こりゃいかん!」と思って続きをやると、アッという間に出かける時間。

 というワケで夕方、東京国際フォーラムに出向き『黄泉がえり』の記者会見。塩田明彦監督とチョナン・カン、そして竹内結子の3人が会見席に座る。塩田監督の発言のみ抜粋してまとめてくれとのことだっだので、監督に質問をぶつけようと思ったが、やはり非個別インタビューでTV媒体が絡むと監督個人への質問はぶつけにくい。しかしここでもオレの結子は愛らしさ爆発だったぞ諸兄! 

あっ、ごめんなさい。緊張しててどんな質問だったか忘れちゃったんで、もう一度お願いできますか? ペコ

 だぜ。既に試写が回っている『星に願いを』はチェックするつもりなかったけど、行く。
 
 会見資料として、柴咲コ…もといカリスマ歌姫RUIのCDを頂いて帰ったが、しかしここだけの話、映画の中に出てくるカリスマアーティストって、どうしてヘボヘボ感が強いのか。『黄泉がえり』は柴咲コウのルックスと妙に高い歌唱力で救われてるが、『新宿鮫』とか最悪だったもんな。せめて『ストリート・オブ・ファイア』のエレン・エイムくらいは底上げしてくれよ。

…あ、なんか言ったオレ? 

 会場を出るとこの後の完成披露を観にきた行列が、ジャニーズ信仰のなんたるかを物語っていた。その足で神保町まで行き、画像データを渡しに秘宝編集部へ。さすがにこの時期、修羅場だ。田野辺編集主幹とかなり真剣な仕事の話をして帰る。

 そして原稿の続き。ゴールがほんの少し見えてきたか。
 




2003年1月7日(火) 今週は竹内結子だな(何が?)




 チャンピオンと秘宝の原稿を書き終えたら(本当は終えてないんだけど)、いつの間にやら朝に。少し仮眠をとり、9時に新橋のワーナー本社へ。来年のラインナップと『マトリックス・リローテッド&レボリューション』の画像データを受け取りに行く。2003年を通り越し、2004年のラインナップにめまいを覚える。もういろんな意味で。

 その足で松竹試写室で『アレックス』の試写。コムストックの宣伝担当さんに「チャンピオンでもよろしくご紹介ください」と、少年誌にムチャを要求される。
 んで作品だけど、『メメント』『ブルー・ベルベット』ならびにキューブリックの足場がなければ、ギャスパー・ノエの文脈範疇な作品。ハンドヘルトのワンマガジン長回しは粗暴性みなぎり相当な破壊力があるし、ワンショットで顔面を叩き割るシーンは「おおっ!」と感動するけど、セックスもバイオレンスも凝った構成も一義的で、発想が幼稚だ。悪くはないが『カルネ』のほうがオレは好き。モニカ・ベルッチって叶姉妹に通じる「明解な性イコン」の匂いがプンプンするので、オヤジ相手にはいいかもしれんが、ちょっとクドいよ。

 夕刻の『黄泉がえり』試写の時間調整のため、そのまま茶店に入って原稿の素書をし、先日買い損ねたものを物色しに秋葉原へ。しかし駅を降りたとたん、目がグルグル回って気分が悪くなる。『アレックス』のときにモカ錠剤で抑えた眠気が一気に襲ってきた。これはこのまま帰ろうと思い中央線に足が伸びるが、ここで観ておかないと明日の記者会見で直前のを観ないといけなくなる。というワケで早々に東宝に行き、席を確保してその場で仮眠。

 幸い眠気はそこで静められ、『黄泉がえり』を無事最後まで観賞。ゴーストものに不可欠な諸作品をリファレンスとして指摘すればキリがないが、寄せ玉式に登場人物を巧く収束し、登場人物のカセをキチンと最後にはずしたことをプラスに考えれば、まぁそれらを見事に換骨奪胎させてるよと思う。柴咲コ…いや、謎の新星アーティストRUIは『リリィ・シュシュ』モロなんだけど、ちょっと儲け役。あと随所で“いかにも”な塩田演出が顔を覗かせる。竹内結子はそれに応えられるキャストチョイスで、思いっきり感情移入したなぁ。
 しかし、死者再生ってどうしてもネガティブ・イメージが優先するな。やっぱり日頃からアタマ拳銃で撃ったり、生者の肉を食らう“黄泉がえり”ばっかり観てるからだよね。
 ところで試写室にオヤジ&2人の女子高生グループがいたんだが、あれはいったい何の媒体だったのだろう? 

 帰ったら帰ったで留守電とメールの返答に追われ、この日記をアップして仕事の残りに着手。たぶん徹夜。この波、なかなか超えられないぞ。
 




2003年1月6日(月) 『冷血』



 この日記を読んで「ああ、尾崎はこんな最下層で責任のないダメ生活をしているんだ。それに比べればなんてオレ(アタシ)は幸せなんだろう」と感慨を抱く諸氏。ごめんなさい。今日は皆さんの優越感をくすぐることが出来ません。体は動いているが、頭は仮死状態です。完徹するとまず声にくるので、電話するとたぶん『ゴッドファーザー』のドン・ビトが出てくると思います。クビから下は他人の体をくっつけたような違和感を覚えるし。

 なんか代打で連続試合出場記録をつなぐプロ野球選手みたいですが、そういう日もあるということで。

 なんて思っていたら、撮影監督コンラッド・L・ホールの訃報が入ってきた。『冷血』の窓ガラスに流れる雨影がロバート・ブレイクの顔に映り、まるで彼が泣いているように見える、あの名ショットを生んだカメラマンだ。オレの大好きな撮影監督だったけど、『ロード・トゥ・パーディション』まで現役で頑張ってたから、自分のなかでそれほど神格化されてはいなかった。最後の作品がノワールものという括りで、なんだか遺作の印象が『ビリー・バスゲイト』のネストール・アルメンドロスにダブる。合掌。




2003年1月5日() アッという間の年末年始だったな



 仕事が完璧に煮詰まる。というか、集中力がとぎれてボンヤリした感覚がついてまわる。生活のリズムも完全に狂ってるしなぁ。こういうときは場所を変え、サ店かファミレスにでもこもったほうが能率がいいんだけど、山のような資料と首っ引きだから、家で進行させないとラチがあかない。

 どこかに仕事を持ち込むときは、たいていジョナサンを根城にしている。あそこのダブルチーズケーキが好物なもんで。あとウエイトレスの制服がちょっと扇情的なので、夕方のバイトの女子高生や女子大生が入店するときはちょっといい感じの光景になるってとこか。しかしオレがお邪魔するのはたいがい午前中か昼間のおやつ時間。となるとパートのオバちゃんがほとんど。う〜ん、そういう趣味はないんだが。

 でも気をつけないと、たまに子連れのヤンママが合同集会をやってて、ガキうるせぇわママさんたち会話に遠慮がないわで仕事にならないこともまま。大阪は泉大津に住んでいたとき、駅近くにカンヅメ用のサ店があったけど、ここも昼間は奥さまの集会所になってたっけ。大の男が昼間に駆けつけてはシコシコ作業してたんで、アルバイトのお姉さんが一度仕事を訊いてきたが、それ以降、来店すると「チャンピオン見てますよ、『赤影』観に行きますね」なんてニッコリ微笑みながらオーダーを取ってくれたなぁ。いや、でも『赤影』は……。
 オレが引っ越す2ヶ月くらいに前に店を辞めたが、今でもチャンピオン、どこかで見ていてくれてるだろうか?

 なぜかそんなことを回想しつつ、大河ドラマ『武蔵』を見る。モリコーネの音楽は期待した割に平凡なものだったなぁ。ドラマも1年間つき合うには少ししんどい内容だし。

 というわけで、今日はたぶん徹夜。明け方までにメドをつけてしまおう。




2003年1月4日(金)
いいのか?『キタキツネ物語』が代表作で



 蔵原惟繕監督の訃報。
 さしずめ日活の石原裕次郎とのコラボが代表的仕事ってところだろうが、あいにくと世代じゃない。やはり『南極物語』あたりか『必殺』のTV仕事がオレ的ジャストフィットになるだろうね。1986年の監督作『』は我が郷里・鳥取県米子市でのロケを敢行した小品だが、東倉吉町の加茂川べりに鎮座する咲い地蔵(わらいじぞう)など「オレが米子を舞台に映画を撮るなら、ここを切り取る」と思ったところをちゃんとおさえていて、ちょっと感心と嫉妬が相半ば。もっとも郷里の星・岡本喜八監督に「米子には絵になる風景がないから、ちょっと地元では撮れないなぁ」と言われるだけあって、実際そこくらいなのよ、風情のある場所って。

 いやはや、仕事づくめで特記することがない。さりとて日記連続更新をとぎらせたくないし。仕方がないので、大阪から東京に移住してちょうど半年、関西文化に浴した人間が、こっちに移住するとどのような欠落感を味わうのかを記しておく。
 まず、あれほど毎日のようにTVで見かけた、かつみさゆりの姿をまったく見なくなってしまう。ローカルタレントの宿命といってしまえばそれまでだが、このバッタリと存在を抹消される感触はディック的というか、かなりSFチックだ。
 そして、街にはあれだけあふれていた、たこ焼き屋の類がほとんど見られない。それに該当する露店が、こっちでは焼き鳥屋さんなのだ。だって女子高生とかフツーに立ち食いしてんだぜ。東村山だけかもしれんが。

 でも、これらは別に存在しないからといって、寂しいとか哀しいとか、そういう慨嘆あるでなし。本当に「ああ、なんか心にポッカリ大穴が開いちゃったよ」と思うのは、「京橋はええとこだっせ」のおなじみ京橋グランシャトーのCMがないこと。さいわい録画したビデオテープにあのCMが残っているので、人生、耐えかねる局面と差し向かうときに気持ちを入れ替える意を込めて観るのだ!
 なんかそんな話をしていたら急にグランシャトーのCMが見たくなったので、ちょっと押し入れのテープボックスを探してみる。でも、オレ様コレクションってレーベルと中身がかみ合ってない場合があるからなぁ。アンゲロプロスの『ユリシーズの瞳』を観ようと思って再生したら『新・俺がハマーだ!』が延々入っていたりとか。別に何の疑問もなく観ちゃうけど。

 ……あ、見つかったよ『東京流れ者』。





2003年1月3日(金)
明日はどこやら風に訊け 可愛いあの娘の胸に訊け



 昼に起床、あらら雪がうっすら積もってやんの。
 いくら仕事で雪隠詰めとはいえ、やはり健常者が家にこもっているのはよろしくないと、今日は駅前まで外出をする。西武百貨店のWAVEで『バンド・オブ・ブラザース』のボックス2を買おうと思ったけど、ここでは見つからず。関西にいたときは実感しなかったが、関東にいると商品入手の不確実性って結構シビアだな。欲しいモノはやっぱ予約が必須。仕方がないので、結局中野武蔵野ホールのレイトに行き損ねた『東京流れ者』のDVDを買う。押し入れを探せばビデオが出てくると思うんだけど、日活の清順シリーズはメチャクチャ画質がいいと聞いてたしね。

 雪が本格的に降ってきたので、雑煮の材料を買って帰る。ネットに入ってあちこち徘徊。おっ、アップルのトレーラーサイトで遂に『キル・ビル』登場。ソッコーで見たけど、いやぁ笑っちまったよ。トラックスーツのユマ・サーマンに姐さんスタイルのルーシー“やっちまいな”リュー。鉄球をブン回すコギャル姿の栗山千明だよ。いやぁタラ公、いい意味でも悪い意味でもハズさないなぁ。……で、いったいどんな話なんだ?

 仕事に入る前に『東京流れ者』DVDを視聴。R2のプレーヤーは死んでるが、コードフリーのもうひとつのデッキが生きている。おお、確かに画質いいや。鈴木清順は清順カラーが認知されてしまってからの開き直り作品より、こうして定められたお題目の中で無茶をしていた頃のほうが、一枚絵のパッション度が違う。『ピストルオペラ』なんて気恥ずかしくて。しかしこれ観るとやっぱたけしの『Dolls』は三橋達也より渡哲也じゃなきゃと切に思うね。なんのための松原智恵子やら。

『二つの塔』の試写も近づいてきたので、『指輪物語』を今一度原作を読み直す。でもオレ、『旅の仲間』と『二つの塔』は評論社の豪華愛蔵版(アラン・リーのカラー挿絵が入っているヤツ)を買っているのに、『王の帰還』だけは文庫本という、うすらみっともない所有の仕方なのだ。改めて買うとしたらわざわざ取り寄せになるし、一度は読んでいるんだから、同じ値段で違う本を購入した方が人生有意義だとも思うし。

 ごめんね、オチなくて。




2003年1月2日(木)
賞味期限2日も過ぎてるけど、
雪降ってるから大丈夫だよね、ね、ねぇ。


「最近、なんでテリーさんは日記を書かないんですか?」

 さる知人のメールに、このような疑問が付記されていた。まぁ劇的な日常に乏しいのと、針小棒大にモノを言う性格じゃない男に「公開雑記」は苦痛なんだろうね。もっとも最近は仕事の話くらいしか会話も交わしていない。話したのはキケロのジョーのことと、去年の紅白の話くらいかなぁ。審査員席に座っていた米倉涼子が終盤、アクビをかみ殺しながら明らかに「退屈なんだよ、ボケ」みたいな態度だったんで、ガチンコ兄弟的に株が上がったなぁって話。

ちなみにテリー君の最近のお言葉は、
バカに奨学金が出る世界なら、今頃オレはビル・ゲイツ
なんで仲間由紀恵はオレの彼女じゃないんだろう?
だそうです。

 ところで、みんなはどんな初夢を見たのかな? オレは『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』の試写に行ったら、なぜか門前払いを食ってしまい、男のくせにワカメちゃん号泣(お尻を持ち上げて突っ伏して泣く)をするという、メチャクチャみっともない夢で目が覚めた。ちなみに生涯でいちばん強烈な初夢は、自動車教習所の待合室でドラえもんとのび太とジャイアンと共に“新年の抱負”を語り合うという小学校時代の夢。なんで自動車教習所というステージだったのか、未だに謎だ。
 リアルな夢表現の映画といえば、ブライアン・デ・パルマの『悪魔のシスター』。夢の中の非整合というか、ホラ、例えばA君にB君とCさんという知り合いがいたとして、B君とCさんは一度も接触のない他人同士なのに、A君の夢の中では一緒にいたりする。あの妙な感覚を見事に再現しているのだ。

 こんなムダをとりとめなく綴るのは、仕事が煮詰まっている証拠。しょうがないから買ったまま放ってある『バンド・オブ・ブラザース』DVDを観ようとしたところ……プレーヤーが不調。ディスクを読み込まない。ああ、幸い保証期間だからいいものの、すべてのやる気が削がれてしまい、もう寝る。





2003年1月1日(
『キャプテンウルトラ』の時代まであと……漠然としすぎ。


 というわけで、2003年だ。

 う〜ん、さりげなく未来を主張しているぞ。『2001年宇宙の旅』を2年も超過してしまったし。なにより2003年は、鉄腕アトム誕生の年でもある。

 新年を迎えるたびにフィクションの時代設定が気になるのは、オーウェルの『1984年』のときが最初だった。さらには続いて『ニューヨーク1997』に『2001年宇宙の旅』。さしずめ次のイベントは『2010年』ってことになるだろうか。そういえばあの映画、劇中にAppleIIなんぞ登場してるが、ソ連崩壊でストーリー自体が成り立たなくなって「帳消し」にされた感があるなぁ。
 そして2019年=『ブレードランナー』、2026年=フリッツ・ラング版『メトロポリス』と、時代がリンクしていくたびに現実の至らなさに涙するのだ。
 そうだ、オレの愛する『キャプテンウルトラ』は? と思ったが、あれは21世紀後半としか設定づけてないので、いつ小林稔侍が宇宙を翔るのか判然としない。ところでキケロのジョーの“キケロ”って何だよ。ローマの哲学者にキケロってのがいるけど、たぶんそういう高尚な意味じゃないだろう、東映だし。まぁ、ロクな答えが返ってこないのを承知でテリーに聞いたら、
「あれはね、奇形とケロイド(火傷)を合わせた造語なんだ、東映だし」
 …あいつ、たぶんオレより早く死ぬな。外圧的理由で。

 ガチンコ兄弟の父・岡田斗司夫氏のお母様の訃報を知る。他にも年末年始は何人か喪中ハガキをいただいた。亡くなったときはそうでもなかったが、最近どうもボディブローぎみにお袋の死が効いてきている。特に満足に親孝行すら出来なかった自分を、そんなオレを母は恨みながら死んでいったのではないかというオブセッションに苛まれる。あーあ、新年早々ダークブルーだ。これも正月元旦から部屋にこもって仕事なんかしているからだろうね、ケッ。

 お正月特番で唯一楽しみにしていた『ベストヒットUSAリターンズ』をじっくりと見たいが、あいにくと仕事がつまっているのでビデオ録画に留めておく。







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