=ドリー =テリー


2003年3月31日(月)
ニコールと同い年。誇るべきか恥じ入るべきか…


 前日は夜を徹しての作業だったせいか、起きたのはお昼。あわてて文字稿チェックや細事をすませ、銀座へ。松竹試写室で『めぐりあう時間たち』を観る。
 "THE HOURS"が、韻も含みも味も素っ気もない邦題になってしまったが、3人の女性とそれぞれのセットアップを錯時構成で描いた秀作。各ステージの恋愛がストイシズムであったりジェンダーを越境したものだったりと、それぞれが独立した主張を放ちながらも、緊密に干渉し共鳴するドラマのアンサンブルがすごい。エド・ハリスのHIVキャリアとジェフ・ダニエルズのゲイ旦那は容姿を作り込みすぎてギャグでしかないが、その一歩手前で踏みとどまったニコールの存在感は確かに賞に値する。役柄的には『犬神家の一族』の犬神左兵衛というか『機動警察パトレイバー THE MOVIE』の帆場暎一というか、物語を見えざる糸で操るキーキャラクターなのだが、それを充分演技から漂わせる。『デイズ・オブ・サンダー』の頃はトムの威光を笠に着た“お飾り女”だとバカにしてたけど、すごい女優になったと思う。
 フィリップ・グラスのスコアが『MISHIMA』『コヤニスカッティ』の落ち穂拾い。けどクライマックスからエンドロールにかけてのたたみかける旋律には、はからずも興奮してしまいました。

 しかしアスミック・エース、なぜプレスがどの作品も劇場用プログラム並に完成度が高いのか。「これをそのまま映画館で売るんだろう」と邪推したくなるが、劇場パンフはパンフでちゃんと別物を準備しているし。

 帰りに新宿で友人と食事をとり、『愛蔵版ワイルド7』第7巻と『ワイド版 風雲児たち』12巻を購入して帰宅。





2003年3月30日(
え、女? パチンコ? なんだ仕事の話かよ


 週末の疲れからか、昼までグッスリ。
 午後2時くらいにモソモソ起き出すと、かねてから「そろそろやらねば」と思っていた著述物のファイリング作業に取りかかる。
 こういう商売をしていると、他の筆耕諸氏は自分の書いたモノをどのように保存してるのかが気になる。オレは最初、掲載誌をパソコンにスキャンし、それをデータベース化しようと考えていたけど、掲載誌そのものを処分できない貧乏性なので、仕方なく自分のページだけ保存することで妥協した。
 本をまるまる残す考えが最後まで抗ったが、週刊少年チャンピオンは如何ともしがたい。あの類いの週刊誌は毎回購入している人ならわかると思うが、とにかくかさばる、そして場所を取る。こっちに引っ越してくるときにまるまる3年分を一括ファイリングしたが、その労苦たるや、引っ越し作業よりも難儀だったよ。

 しかしいかんな、ここ1年の自分の仕事を振り返ると、オールマイティな傾向が見受けられる。先日打ち合わせで鶴岡法斎氏と、
広い守備範囲を持つ映画評論家ほど信用できないモノはない
 と思いっきり意を重ねたばかりなのに。森羅万象すべてのことに精通しているような顔をしつつ、ミソクソ同文脈で語る輩を批判しながら、そりゃオレかいなというオチ。
 というワケで、オレにあまりノーラ・エフロン系の映画とかネタふらないでください>各編集氏。





2003年3月29日(土) うん、我ながらよく当たる



 1/28付の日記で触れた、キャラメルコーンのピーナッツ減量。
 今にして思えば、あれは東鳩が倒産する寸前の“最後の叫び”だったのではないのだろうか? そのサインを読みとってやれなかったオレ、いや別に気付いたからといって何もしてやれんが、己れのキャラメルコーン愛の真偽を改めて問われ、現在苦悩の日々を送る。

 テリーのやる気を喚起させるため、久々にガチンコ兄弟で企画ミーティング。そこで「このキャラ、見ないで描けるかな?」という話が出る。実際『伝説巨神イデオン』の主人公ユウキ・コスモを二人で描いてみると……


テリー画

ドリー画

 うーん、達成感に乏しくて、感心も出来なきゃ笑いも出来ない。やっぱりこういうのは絵心がまったくなく、ネタに走らずとも笑いの神が降臨する人間じゃないと面白くないやな。

 夜、今日が締め切りの『Meets Regional』の原稿を進めつつ、先日入手したパゾリーニの『ソドムの市』フランス版DVDを視聴。
 先頃SPOから国内版がリリースされ、オレも映画秘宝でレビューを書いたが、このリミテッド版はビデオグラムで視聴可能な『ソドムの市』の中で最も画質に優れている。アスペクト比は国内版と同じく1:1、66だが、フレームが広く、国内版はかなり画像情報を損ねていることに気付かされる。
『ソドム』の白黒メイキングフィルムを中心に構成されたメイキング・ドキュメンタリーや、あの映画に深い影響を受けたフランス監督の証言集ビデオなど、映像特典もなかなか。前者は『ソドム』のビハインドなんて初めて見たし、後者はその顔ぶれが『ガーゴイル』のクレール・ドニに『アレックス』のギャスパー・ノエ、『ポルノグラフ』のベルトラン・ボネロに『ロマンスX』のカトリーヌ・ブレイヤという、インフルエンスもムリない作家ばかりで笑える。
 
 その後で日本映画撮影監督協会の機関誌『映画撮影』のバックナンバーを紐解き『おろしや国酔夢譚』の撮影レポートを読むが、ついウトウトしまい、そのままベッドに倒れ込む。






2003年3月28日(金)
オレたちには、まだフリードキンがいる!!




 諸々の事情で昨日から半睡状態のまま、気がつけば午前10時過ぎ。慌ててシャワーをサッと浴びて外出。今日はドリーと共に銀座のヘラルド試写室で、ウィリアム・フリードキン監督の最新作『ハンテッド』の試写。

 主演がトミー・リー&ベニチオ・デル・トロのオスカー受賞コンビ(っていうかオヤジブ男コンビ)ながら、いまどきフリードキンで、しかも同時間帯にマイク・リーの新作『人生は、時々晴れ』の試写があるため、そちらの方にマスコミが流れて混まないだろうとタカをくくってたら……これが試写室大入り満員状態で、我々は試写室奥の調整デスクに追いやられるハメに。ただヘラルドの場合、客席にかなりの段差があるため、奥の方でも全く問題なく観られるし、こういう時にこのポジションは特等席だ。
 当然試写なので周りは業界人だらけなんだが、ドリーの横に座った女性、タイトの超ミニに肩丸出しという季節はずれなセクシールックで、いったいどこの媒体だよ!! とツッコミの一つも入れたくなることしきり。なんかの羞恥プレーの最中か?

 肝心の映画だが、フランケンハイマーの『RONIN』でむせび泣いた“男気アクション崇拝者”は必見だぞ!! ワイヤーワーク頼みの今風アクションは皆無だが(オープニングの戦場シーンはいかにも『ライアン』だけど)、追跡者役のトミー・リーが犯人のデル・トロをひたすら追う『フレンチ・コネクション』展開は、まさしくフリードキン以外のナニモノでもない。劇中に何度も登場する格闘シーンも、骨がきしみ肉斬りの激痛が伝わるナイフ&徒手格闘術だ。実際、KALIの動きがベースになっているらしいが。

 なによりも主演の二人が素晴らしい。好々爺のように見え、どこか蛇のようなしつこさが漂うトミー・リーに、いかにも「精神を病んだ殺戮マシーン」といった陰鬱を醸し出すデル・トロ。地味ながら味の濃い二人の快演が、作品を一層引き立てる。だからして女子供がキャーキャー言って楽しむ映画ではないが、個人的には本作を見てニヤリと出来る奴と(男女問わず)仲良くなりたくなるような、滋味に溢れた作品ではありました。
 こういうのってロードショー公開もいいけど、出来れば二番館とか名画座で、『RONIN』と2本立てで上映されてたら、2〜3回は通いたくなるよなぁ。フランケンハイマーは鬼籍に入ったが、フリードキンが現役である限り70年代スピリットは死なず!!

 試写後、ドリーとP2の宣伝担当さんがデル・トロの来日インタビューの件で打ち合わせ、それが終わって遅めの昼食をとる。
 選んだのは、平山監督インタビューの際に発見したカレー屋ニューキャッスル。ここは盛りによって京浜東北線の駅名でメニュー表示してる事で有名(大盛り=大森、普通=品川、小盛り=浜松町、特盛り=蒲田等々)だが、ガチンコ兄弟的には蒲田でも少々物足りない感あり。これならせめて横浜くらいはメニューに入れて欲しいぞ。お味の方は割とオレ様の理想に近いだけに、これはちと残念。


 食事を済ましたあと、山手線で恵比寿まで移動して製作会社OTCへ。先日収録した『パンドレッタプラス』が好評だったのか、またもやガチンコ兄弟でお呼びがかかる事になり、次回企画についてプロデューサー、ディレクター、構成作家、企画に加わってる鶴岡法斎氏と打ち合わせ……のはずだったのが、鶴岡氏が来た途端にカメラが回り出し、オレ様がみんなの前で土下座するハメに!! 何故そうなったのかは来月放送(予定。編集の都合でカットの可能性アリ)の同番組にて。

 打ち合わせの方だが、最初こそ企画に関してまともな論議が交わされていたのに、いつの間にか話題がオレ様のダメ人間ぶりに触れ、気がつけば周囲の集中砲火を浴びる。さすがにドリーに説教されても上の空なオレ様も、針のむしろ状態で糾弾を浴び、ただただ土下座しまくり!! けど、そのおかげでいろいろと教わる事も多かったし、これをバネにしてご恩に報いるべく頑張っていこうかと……って、オレに果たしてそんな精神的余裕があるのか?

 しかし、オレ様以上に悲惨だったのが構成作家のY嬢。ことあるごとに鶴岡氏やスタッフに「セクハラ」の一言では収まりきらないような性的虐待の数々を受ける。その姿には同情を通り越して芸人魂すら感じるが、なんせ実家がおいしいコーヒーがウリの喫茶店から「どおくまん」の単行本ばっかり集まった漫画喫茶に鞍替えしたり、髪フェチの男から逃げるために鶴岡氏らにそそのかされて丸坊主になったりと、やはりこういうところでやってるだけあって、どっか変。

 なんやかんやでいろんな方面に脱線しまくった打ち合わせだが、4時間以上の激論の末、大体の方針が固まり、今回の件とは別にドリー主導の新企画も持ち上がるなど、かなり面白い話にまとまる。
 帰り際、スタッフから「日記、期待してますよ」と声をかけられる。そんな事言われると、またオレ、プレッシャーかかってヘタレになっちゃうじゃん!!





2003年3月27日(木) インベンション・オブ・吉幾三






 人間は生涯のうち、どれだけ吉幾三のことを思ったり考えたりするのだろう。

 オレはたぶん控えめに言っても、この地球上でいちばん吉幾三に脳内が侵蝕されてる男だと思う。
 というのもここ2ヶ月、無思考のときアタマの中は『Dream』がガンガン鳴り響いている。『おろしや国酔夢譚』が一週間という長期観賞になったのも、この歌が元凶なのだ。よく分からないって? 新日本ハウスのCMを見たことがないのか。あれに流れる吉幾三の歌が『Dream』だ。別に良い曲とか、心に残る歌詞だとかそういうワケじゃない。なんだか知らんが、四六時中この歌が脳内を揺さぶる。もはや犯罪だよ幾三。

 ここは毒食らわば皿まで、件の歌のCDを買ってきた。今日発売の『デュエリスト/決闘者』DVDをソデにしてまで。さぁモト取るために聴き込むぞぉ、バカになるまで。

 幾三の歌唱税に寄与した恍惚感を春風にさらし、SPEにて試写『ダブル・ビジョン』。「気が付けば、あなたの隣にデビッドが」でお馴染み、ハリウッドの隙間埋め俳優デビッド・モース主演の猟奇スリラー。いや厳密に言うと主役はレオン・カーファイなんだけど。
 中盤までは先の見えない展開に引き込まれ、ビル内での大虐殺にちょっと興奮したまではよかったが、日和って投げたようなラストにションボリ。というかモース、おまえは本当に映画に必要だったのか? でもあんたも頑張らなきゃ。ハリウッドステイタスどっこいなクリス・クーパーなんか、あんな「金を貸したら最後」チックな顔しててオスカーかっさらっていったんだぜ。

 肩こりさらに悪化。直してくれよ幾三、CD買ったんだから。





2003年3月26日(水) ついに……。



『おろしや国酔夢譚』見終わる。以上。 

 その後、何事もなかったかのように仕事場に戻り、チャンピオンと秘宝のインタビュー記事をまとめてアップ。終えた途端に眠気が差し、イスの上で仮眠。ジャスト1時間寝たかと思うと、突然起き出してあちこちに仕事絡みの電話攻勢。そんなこんなで時間はいつの間にやら夕刻。
 夕食を食べながら『ロード・トゥ・パーディション』のDVDを再観賞。DVD関係の掲示板では、未公開映像が本編の画よりキレイという意見がアップされているが、そりゃ未公開映像はブリーチ・バイパスかけてない、ダイレクトカラーのビジュアルだからだろう。ビギナーに専門知識の強要はせんが、根拠のない主観と無知で「画質悪い」のレッテルを貼られるメーカーの身にもなれ。と、画質の悪いDVD愛好会の名誉会長は自家製チキンライスをほおばりながら怒りをぶつけるのであった、誰にとはなく。

 そのままTVでNHK「クローズアップ現代」視聴。『千と千尋の神隠し』のオスカー受賞について触れていたが 問題は論説者。浜野保樹ともあろう男が、まったくトンチンカンなことを言う。
「ミヤザキは日本の安普請なリミテッドアニメに反目し、フルアニメーションを標榜した仕事をしている」だって?、
 アホぬかせ、リミテッドアニメの表現法を極限にまで追及したのが、日本アニメーションの誇りとアイデンティティだろうが。ミヤザキであればことさら、セル枚数の制約が表現のダイナミズムを育んだことを指摘しないのは、落ち度としては致命的だぞ。ジブリ美術館評議委員長の肩書きは何ぞや。おっさんの目は足の小指の付け根にでもついとんのか。

 そんなオレの憤りをいさめるように、テリーが情報提供。タランティーノの新作『キル・ビル』に、『人狼』『イノセンス GHOST IN THE SHELL』のProduction I.Gが参加しているそうな。実写なのに、ますます正体の見えない映画になってきたな。





2003年3月25日(火) 本日の『おろしや国酔夢譚』



 大黒屋光太夫が帰国を皇帝エカテリーナに嘆願しに、サンクトペテルブルクに向かうところまでようやくこぎつけた。果たして光太夫は日本に帰れるのか? ビデオ返却期間までに

 俳優陣の訃報相次ぐ。天本英世の次は古尾谷雅人。後追いか?
 我々には知り及ばぬ悩みもあったろうが、病苦で長命叶わなかった母親の姿を目の当たりにしているので、自ら命を断つ行為はいかにあれ、オレ的にゃ同情できない。
 故人を偲んで一本を挙げるなら『ヒポクラテスたち』。後年、監督の大森一樹本人に、
京都観光で最初に見回ったのは金閣寺でも東寺でも二条城でもなく、府立医科大でした
 とゲロって失笑を買ったほど惚れた作品なので、その主役を張った古尾谷も然り。

 今日も原稿に向かいつつ、インタビュー記事やレギュラーページの電話打ち合わせやら、月末の恒例で仕事は混乱を極める。しかも、すさまじい肩こりがさらにオレを悩ます。
 ムラウチから届いた『ロード・トゥ・パーディション』DVDを少し視聴して寝る。あー肩痛ぇ。




2003年3月24日(月) オスカー雑感



 目使気使に厭戦の空気がただよっていた今年のオスカーショウ。アカデミーのスタンスをマイケル・ムーアに代弁させた感があるが、クリス・クーパーの助演男優賞受賞は素直に嬉しい。それとコンラッド・L・ホールの撮影賞受賞。鬼籍に入った名キャメラマンへの手向け花、粋な計らいだよな。
『千と千尋の神隠し』は正直、長編アニメーション賞自体が急ごしらえ感アリアリなんで、日本映画の快挙という感慨にはイマイチ乏しい。監督賞のポランスキー、とりあえずスコセッシの同情受賞という唾棄すべき事態を避けられたという点で技ありか。
『シカゴ』は劣化がない完成度だけにクラシック臭もムンムンしてて、順当といえばあまりに順当。近年においてミュージカルに与えるなら『ムーラン・ルージュ』の革新性こそ高評価を叫ぶべきだったとは思うんだが。「オカマバーのハーフタイムショー」とか言わないでさぁ。言ってんのオレか。
 
 原稿とインタビュー記事のまとめでほぼ一日中、仕事場に雪隠詰め。肩こりがひどい。
 深夜に小休止で『おろしや国酔夢譚』のつづきを観賞。光太夫がキリル・ラックスマンに会うシーンで寝室の散乱ぶりが気になり、片付けを始める。

 ……この調子でオレはいつになったら、女帝エカテリーナが光太夫に接見するシーンにたどりつけるのだろうか。




2003年3月23日() いや、私は手袋を投げよう

 


 ラジー賞の話もあるが、天本英世の死に触れずにはおれまい。日本特撮俳優界の巨星、遂に堕つ……。
  岸田森、平田昭彦と早逝するたび「その生気を吸って長生きしている」とまで言われた怪優の訃報。オレら世代にとっては、どんなに本人が否定しようと“死神博士”がイコールなのだ。あやかしのダンディズム、そこにドクター・フーや溝呂木博士の完成型があったワケで。

 別に見るとはなしにTVをつけると、教育テレビで『ミュージック・オブ・ハート』。うーんNHKでウェス・クレイブン。四方田先生の人間大学『映画はついに100歳になった』で『ゾンビ』が流れた以来の違和感だよな。困った、いや別に困りゃしないんだけどさ。


 寝る前に『おろしや国酔夢譚』のつづきを観る。イルクーツクへ向かう途中、ソリから落ちた西田ビンコーを光太夫が助けるシーンで意識を失う。




2003年3月22日(土) 『OUT』の監督に訊く

 


 仕事場でうたた寝した状態から目が覚める。その体勢で『おろしや国酔夢譚』のつづきを見るが、光太夫の船が完成したところで二度寝の誘惑に負ける。

 本日は土曜日ながら仕事。午後から東映本社にて『魔界転生平山秀幸監督インタビュー
 隠れ平山フォロワーながら『OUT』でのインタビューを逃したオレは、今回の機を逃すものかと先手でラブコールを送り、ようやく実現と相成った次第。でも期待しないでね。プチルーカスと化したヅカちゃんや、サンダンス絡みでボスの話は大人の判断で避けたんで。まぁ成果は「少年チャンピオン」他で見ていただくとして、余った時間を『OUT』で確認したかった質問にあてる。

映画に関わる者として、自作のアタマに20世紀フォックスのファンファーレがつくの、アレどういう気分です?

 これを脚本の鄭義信に質問したときは「なんか嬉しかったけど、変な感じ」だったが、監督曰く、

やっぱりそれ警戒したんだよ。普通、映画会社のマークってファイナルカット完了のときにつけるんだけど、たぶん妙な意識を持つの分かってたから、最初からつけておいて慣らしておいたの(笑)

 予防線貼ったのか…。ところで平山監督、モノクロームに恐ろしいまでの“撮りたい願望”があるそうで、『魔界転生』もモノクロとはいかないまでも、プリントに銀残し処理を施していることを聞く。

 終了後、秘宝編集部へ立ち寄り、田野辺さんと『魔界転生』関連の雑談。
「平山さん過小評価だよなぁ。いつまでも『マリアの胃袋』じゃねぇんだってば
 と、互いの平山感にクロスするところあり、妙に納得してウチに帰る。


 帰って『おろしや国酔夢譚』のつづきを見るが、光太夫たちがソリでイルクーツクに行く途中で寝る。





2003年3月21日(金)
『恐怖奇形人間』のリメイクだって、
窪塚が提言すれば可能かもしれない。

 

 世間的には3連休ということだが、このへんの感覚に乏しいオレは今日がもう土曜日という意識パンパンで、「笑っていいとも」を見るなり目眩をおこしてしまう。

 そのままベッドに倒れ込み、山田風太郎『魔界転生』を読了。久々に読み直したが、ところどころで記憶が甦り、下巻はスイスイとページが進んだ。
 さらに返す刀で映画版『魔界転生』の撮影台本を読み切る。今回の平山版には、深作版に出てこなかった荒木又右衛門が登場するが、森宗意軒はまたまた出てこない。知らない人のために説明しておくと、『魔界転生』=天草四郎という悪役の印象が強いが、原作では天草四郎は魔界衆の一構成員でしかなく、森宗意軒が宮本武蔵や宝蔵院胤舜を甦らせる親玉なのだ。
 まぁ、今回の『魔界転生』リメイクは窪塚洋介の意向が大きく、窪塚が天草四郎をやりたいというのが企画の発露だけに、深作版同様に四郎が親玉設定なのは致し方ないだろう。とはいえ深作版との共通点はこれと、柳生但馬守と十兵衛の「父親殺し」のクローズアップくらいで、やはり原作から派生した「別物」という印象が強い。
 ちなみにラストあたり、原作にも深作版にもない強烈な展開が待っているが、これをどう見せるかで平山演出の力量が問われるだろう。

 夜、『大黒屋光太夫』を読んでいる絡みでビデオレンタルしてきた『おろしや国酔夢譚』を見るが、光太夫が船を造ろうと決意するあたりで気絶。




2003年3月20日(木) さよならジュピター

 


 これまでのタイトルのオチとして、本日リリースされた上記DVDタイトルを買うつもりだったんだよ。けど、手にとってキャッシャーに持っていったのは黒澤明の『隠し砦の三悪人』。製作関係者の皆さんすいません、思い出より実を取ってしまいました。人生、自分が考えてるようにうまくいかないなぁ。

 今日は秘宝編集部で打ち合わせのため、お茶の水へ。駅で「アメリカ、イラクへ空爆開始」の号外新聞をくばっていたが、編集部に赴いたら赴いたで、TVを引っ張ってきて進展確認の模様。

 夕方はその足で銀座ヤマハホールに向かい、『エデンより彼方に』試写。
 ジュリアン・ムーアがオスカーノミニーに名を連ねるトッド・ヘインズ監督最新作。舞台となる時代と当時の映画フォーマットとの一致を試みていて、衣装や車中のリア・プロに至るまで一貫したハリウッド50`sのルックを持つ作品。でもオーソドックスすぎて体感速度もかなりトロい
 そもそもこの作品の問題点は、それがどこまで“狙い”なのかということ。エルマー・バーンスタインのベタな盛り上げスコアも、空々しいほどのタイプキャストも、ホモ旦那のお相手がチンポに手を沿えて誘惑するのも偶然か計算か。ダグラス・サークへのオマージュという文脈からだと全て合点がいくが。

 帰って細事を片付けネット散策し、明日以降の予定のための準備をして寝る。





2003年3月19日(水) さよなら、我が愛機

 


 恒例だけど、宅急便に起こされる。
 届いたのは洋泉社『映画秘宝』の最新号。今月号のツボは「月刊サイレント・ボブ新聞」に載ってるギンティ小林画伯の四コマだ。執筆の場にいて、いったい何を描いてんのかと思ったら、モーフィングとしてネタになってるオレ。

 米国のイラクに対する最後通告。攻撃までの時間経過がもたらす不安と高揚感は、不謹慎だが台風直撃を待つかのよう。自国安寧を優先し、ブレインデッドなブッシュに目をつぶる日本政府には少し同情ぎみなオレ。むしろ世界平和の大義名分ふりかざし、一義的に米支援を批判する輩の“非主体性”こそが問題。そういうのに限って2年前は「純ちゃーん」とか叫びつつ小泉ポスター貼ってたりするんだよな。

 午後は昨日の続きで資料整理。後は特記することなし。テリーからまたまたTV絡みの仕事依頼があったと聞く。まだ企画段階らしいけど。

 夜、わが愛用のDVDプレーヤー[SDー3000]が、ソフト視聴中にプツンと消えたかと思うと、そのまま作動しなくなる。いちばん最初に購入し、リージョンフリーに改造して今日まで酷使してきたが、遂にその役割を終えたか……と感慨に耽っている場合ではない。プレイヤーの中にはDVDソフトが残ったままになっているのだ。しかも、よりによってそのDVDが『リトルショップ・オブ・ホラーズ』の北米版ファーストプレスのバージョン! 巨大オードリーIIが街を襲うシーンが収録されている幻プレス盤ときた。別れを告げつつも修理に出さねばならない間の悪さ、ヒー!!





2003年3月18日(火) さよなら、オレの夢

 


 今日は午前中にチャンピオンの『魔界転生』のラフ切りとキャッチ捻り出し。それが終わって仕事部屋の片付けをして、『キリクと魔女』の試写に出かけるはずが、資料整理にことのほか時間を食われてしまい、試写は日延べ。
 
 しかし、この資料整理がクセモノだった。はるか過去のものまで紐解いていると、思いっきり懐かしいものが山と出てくる。それを手にしては思い出にふけり、赤面し……。時間が夢のように過ぎていく。
 そんな現実逃避のような蔵出し作業で見つけた、とても恥ずかしいブツがある。高校時代に描いていたマンガの設定資料だ。

 ぶっちゃけた話、オレは高校卒業したらマンガ家になろうと思ってて、受験もそっちのけで描いていた時期があった。けど高校2年のときに大友克洋の『童夢』に引導を渡され、オレのマンガ道はそこで終わった……と、人にはそう言って聞かせているのだが、この設定資料を改めて見ると、もともとマンガ家としての資質に欠けていたのがハッキリと分かる。
 まぁ見て欲しい、以下はオレの学園マンガの設定資料、その主人公とヒロインだ。

 くどいようだが、傍キャラとヒロインではない。主人公ヒロインなのよ。しかもギャグに非ず、努力・友情・そして勝利のシリアスものですのよ。ああ、今のオレが当時のオレに、
おまえ、とっくに終わってるよと直々に引導を渡したいくらいだ。

 その後、青春の尾を断ち切れず、稀にマンガの神様が降臨してきては描くのが『ドリー萬画館』のいろいろ問題を孕んだ作品群だ。久しぶりにキチンとしたマンガを描こうかという衝動にときおり駆られるけど、もうオレの絵柄って80年代の遺物でしかないしなぁ。このへんは「NHK特集」でオンエアされた『我が青春のトキワ荘』の森安なおや的感慨。いや、そもそも「木炭デッサンは鼻毛が早く伸びるからイヤだ」という理由で、鉛筆デッサンが課せられる関西系芸大を攻めた根性なしですんで、挫折も言うまでもなく早かろうて。
 
 片付けがとんだ自己批判の引き金となり、もう今日は寝る。






2003年3月17日(月) さよなら、ブラッケイジ

 


 クライテリオン・コレクションで『わらの犬』がDVD化されるという話を聞き、それを確認しようとオフィシャルサイトを覗くと、そこで悲しいことにスタン・ブラッケイジの訃報を知る。3月9日、カナダ・バンクーバーにて息を引き取ったそう。死因は癌。享年70歳。
 米アンダーグラウンドシネマ最大の巨人が亡くなったというのに、こういう偶然の引き合わせで訃報を知るのは忸怩たる思い。追悼というワケではないが、手元にある『アブストラクト・シネマ』(監督:キース・グリフィス)と、昨年国内公開されたハンドペインティング作品集『 LOVE SONGS 』のビデオをしばし観賞、そして合掌。

 夕刻にテリーとミーティング。ガチンコ兄弟、秘密の1年計画についての話し合いをするが、コイツにキチンと目的意識を持ってもらうために軽く説教。テリー君、いま話題の詐欺「アダルトサイト支払催告ハガキ」が自分宛に届いて自慢モードに入ってたけど、オレがさんざん危機感を煽ると、次第にダメオーラをモワモワ発散し始める。というか、おまえの幸福ってその程度か

 話し合いから、そのまま夕食になだれ込み帰宅。「魔界の誕生〜映画『魔界転生』の世界」を視聴。来月に東映チャンネルでオンエアされる『魔界転生』のメイキング。そのノンクレジット&ラフショット版のビデオを東映さんが貸してくれたのだが、これが面白い。東映特撮研究所がなかなかいい仕事をしております。
 しかし東映京都、懐かしいなぁ。『赤影』の取材で行ったけど、別の撮影でスタジオ入りしていた山本竜二に遭遇したのが最大の収穫だったなぁ。とどのつまりテリーと目線がいっしょなオレだけど、とりあえずブラッケイジにはお別れを言わせてよ、ね?





2003年3月16日(
さよなら、扇町ミュージアムスクエア

 


 我が青春の地、大阪では今日、扇町ミュージアムスクエアが閉館となる。
 ……もう時効だとオレ断定で白状しますが、レイトで『ケロッグ博士』を観に行ったとき、帰りにコケかけて床板を踏み抜いたの、あれワシです。

 そんなことよりズルズルズルズル、鼻水が止まりませんよ。
 幼少の頃に自転車との接触事故で鼻を打撲して以来、ちょっと寒かったり温かい食べ物を摂取すると、鼻水が瀧のように出る。たぶん事故との因果関係はないと思うが、原因の持って行きようがないんで。
 あんまりところかまわずなので、女の子とメシでも食うときは、必ずこれを事前に断っていたもんだ。「まぁ、大の男が鼻水。クスッ」の嘲笑を緩和しようと思ってのこと。後で恥をかくより、先に告白しておくというスタンスをとってきたオレ。
 同様のケースで、お姉ちゃんとコトをいたすときに、
リビドーが活性化するとクシャミが頻繁に出る
 と言うのも事前告知しておくのだが、これは吹聴するのは逆効果。クシャミが出るたびに変なこと考えてると思われるようになったからだ。

人間は、堅物が変態面チラつかせたときのイメージダウンより、最初から変態だと思われておいて、後で真面目な面を見せて好感度アップのほうがラク
 という高校時代の恩師の教えを頑なに守ってきたオレですが、変態性に終始して真面目な面をおろそかにしているので、もう人生取り返しがつきません。特にテリーさんとか。
 
 今日は一日中ウチで片づけやら書類整理やら。少し外出し、昨日の日記で書いた『大黒屋光太夫』を買いに書店に行くが、ブツ見あたらず。仕方がないので復刻版で出ていた我孫子の…もとい、藤子不二雄A先生の『劇画・毛沢東伝』を買う。全然ベクトルが違うけど。
 それにしても、藤子A先生の絵柄が『妖怪人間ベム』の作画っぽくて、ちょっとゾッキモノな感じがプンプンするのが、このマンガのポイントといえばポイント。

 帰って資料消化の合間に『劇画・毛沢東伝』を読んでいると、なんだか突然、実家にある「林そば店」の月見天ぷらソバが無性に食べたくなる。墨のように真っ黒なツユに、刻みイカの天ぷらと揉みノリのアンサンブル。ああ、もう考えただけでいてもたってもというか!!
 夜中に何百キロと離れた実家に、ソバが食べたいという理由だけで帰れる経済力と機動力が欲しい。というか、それらが欲しい動機として「ミュージアムスクエアのさよならイベントに駆けつけたいからさ」くらいのことを言っときゃいいものを。オレも床まで破壊しといて世渡りベタっつーか。







2003年3月15日(土) 邦画久々の長時間作品

 


 やれやれ、原稿の波が去ったら、次のための資料つぶしが待っていた。けど今日は何もやる気が起きず、現在刊行分(11巻)までをまとめ買いした『ワイド版 風雲児たち』をイッキ読み。これで先頃単行本化された吉村昭の『大黒屋光太夫』の上下巻を読むハズみがつく。
 階下に郵便を取りに行くと、届きモノの中に『スパイ・ゾルゲ』の試写状が。気になる上映時間を確認すると、ゲッ!3時間2分。青山真治の『ユリイカ』は単館だと区別して、ロードショー公開の邦画でここまで長いのは『大日本帝国』以来になるのかしら。いや、なんとなくパッと思いついた比較対象だけど。長い邦画といえば、『あずみ』も2時間20分あるらしい。
 
 夜、『サラマンダー』に感化されたのか、久々にLDで『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』を視聴。正編をプロローグ的位置付けにする続編アプローチの走りでもあるが、エピソード1、2と重ねていくにしたがい、その神話性がどんどん崩壊していくSWを思うと、本作の価値はやっぱ大きい。『サラマンダー』での引用って、かなりの皮肉入ってるんだよなぁ。





2003年3月14日(金)
世の中はシビアに動いているというのに…



 皆さん、今週の「週刊少年チャンピオン」見てくれましたか? 遂にアマノも夢にまで見た週チャンでびゅーデスよ!……という語り口で始めようと思ったけど、まぁ見てよ、本誌に載ったこのイラスト!!


 ドリーは「おまえ以外の何者でもない」とか言うけど、そりゃテメェはあんなにナイスガイに描いてもらってんだからいいよな。これならまだHP企画用にさなだ先生に描いてもらった、

 の方がよっぽど可愛いじゃねぇか!! 俺、なんか悪いことしたか?

 それはともなく、今日は久々にドリーと二人共に試写に行く。途中、中野でヤボ用を済ましたあと、ブロードウェイ近くに「はなまるうどん」が開店してるのを発見、ちょうど二人とも小腹がすいてることもあり、軽く一杯いただいていく。
 しかしはなまるって、セルフサービスとかで目新しさを感じるけど、うどん一杯一杯の値段は本場と違い、そこらへんの立ち食いそば屋と大して変わらないんだよな。そう考えると濃いめの味好みな(いや、讃岐うどんも嫌いじゃないんだけどね)俺としては、サイドメニューを頼まないはなまるって余り意味がないような気がする今日この頃。残るアドバンテージは天カスとカツオブシか?

 うどんで腹も膨れ、そのまま都内の某試写会場へ。
 殆どマスコミにすら情報を流してない(本当に)内々の試写らしく、試写会場内には俺らの他はキャスト及びスタッフばかりという状態。後ろを見れば主演の○○、前を見たらスタッフの○○という感じで、この前のパンドレッタ収録とは違う意味で目のやり場に困る状況。数少ないマスコミ関係者として俺の横に座ってたのが塩田時敏。こんな近くでシオタ氏を見るのは10数年前の東京ファンタ以来の事。あんまり変わってねぇ。そういえば前日、渋谷で『6月の蛇』の最終試写を観に行った際、横に快楽亭ブラック師匠が座ってたな。上映前にずいぶん熱心と歌舞伎関係(らしい)書物を読み耽ってて、やっぱりこの人はこういうのが好きなんだと実感した次第。
 で、肝心の映画の方ですが…いや、これが良くも悪くも80年代の『宇宙船』とか『VーZONE』とかで小特集組まれてたようなインディーズ・ムービーを想起する出来で、全体的に漂う青臭さが、見ているこちらまで気恥ずかしくなるような作品でした。いや、俺こういうの嫌いじゃないんだけどね。

 その後、新宿でドリーの怪しい買い物に付き合い、西武新宿線で帰宅。TVでやってた『天空の城ラピュタ』を見ていると、さすがにここ数日いろいろあって徹夜が続いた事もあり、そのまま寝入って気が付いたら午前2時。TVのチャンネルをチャカチャカ変えてると『虎ノ門』をやってて、蛭子能収が『寄生獣』について語ってる最中。蛭子先生いわく、

「この作品、ちょっとヒューマニズムに走りすぎですねぇ〜。僕、ヒューマニズムなんか信じてませんから。なんせ昔は親兄弟が死んでもヘラヘラ笑ってましたし

 いや、そりゃあんただけだよ!!





2003年3月13日(木)
「お前の航海の先には何が見える?」
「未来さ」

 


 朝8時に起床。午前中にチャンピオンの原稿を整えファックス送信、併せてデザインさんにメール。

 さすがに10日以上も試写に出ないと引出しがカラになるので、午後からそそくさと麹町方面へ。
 3時半より東宝東和試写室にて『サラマンダー』。『ドラゴンスレイヤー』+『マッドマックス2』という外観からも分かるとおり、80年代SF・ファンタジーへのリスペクトに満ち満ちた快作。『エイリアン2』とか観て「こんなん作りてぇ」と思った世代、その十数年後の“実り”なんだと思う。ワシも「うわ、この世界観オレのやんけ」と焦ったのなんの。剣と魔法じゃない、銃と戦車とドラゴンと。ああ、もう完全に怪獣映画感覚だ。

 それとこの作品、VFXに関して言わせてもらうとマッチムーブが見事だ。マッチムーブってのは、実景を撮影したキャメラモーションとCGオブジェクトとの動きをピッタリ合わせる技術を言うんだけど、砂利道をガタガタ走る車の窓越しに見るドラゴンなど、実に見事なソレが施されている。 マコナヘーのビルドアップされた肉体もムダに凄いが

 試写後、半蔵門駅で携帯の留守電を聞き、東映の孤嶋さんより『魔界転生』平山監督インタビュー日取りの連絡。その足で五反田へ。

 夜7時よりイマジカ第一試写室にて『トレジャー・プラネット』。オレの記憶に間違いがなければ、ディズニー・クラシックシリーズ初の宇宙SF作品。『タイタンA.E.』とどっこいどっこいの印象だが、培ってきたアートワークの土壌が違う。キャラの作り込みに感嘆するよ。どれくらいかというと、一番魅力が薄いのは主人公ってくらい。ゴンスケ(みたいなの)も出てくるし。
 スティーブンソンの『宝島』を基本に、ディテール描写がミヤザキサンの『天空の城ラピュタ』っぽい。エマ・トンプソンが声をあてたアメリア船長が妙にエロっちい。半サイボーグの悪役ボーンズは声がパトリック“プリズナーNo,6”マクグーハンだ!!
 しかし冒頭に出てくる宇宙人の一匹が、あきらかに『モンスターズ・インク』のマイクの彼女だったりするんだけど、そういうスピンオフってありかよ? 
 
 帰りの電車で、両腕をつり革の輪に突っ込み、まるで拷問を受ける囚人のようにブランとした体勢の泥酔実年リーマンが目の前に。席を譲ってやろうとしたら、
「あっ、ありがとうございます先生!」といいながらその体勢のまま動こうともしない。しかも「先生は見るからに怪しい風体ですが、これから夜のお勤めですか?」などと話しかけてくる。ああ、他人の視線が痛い……。





2003年3月12日(水) 劇画・Uボート

 


 オレの自慢は、男なのに痴漢にあったことがある
 
 変化のない日常にピリッとスパイスの効いた発言をかましつつ、朝9時半に起床。もうこれ以上は遅らせられないと、午前中にかけて『フィギュア王』の原稿をあげてしまう。
 映画ガチンコ兄弟名義の原稿は、オレとテリーの会話をピックアップしてオレが文章構成をするのだが、よく、
どっちがボケでとっちがツッコミなんですか?
 と訊かれることがある。端的に言うとどっちもボケ。テリーがボケでオレがさらにボケ倒し「それは会話なのか?」という境地まで達することもしばしば。まぁ、バカ&バカのコンビですし。というかテリー、基本的に人の話聞かないの。オレと話していても、どっか違う方向を見ながら、
「オレはね、Hiroに森高の『GET SMILE』をカヴァーして欲しいんだよ。そう思わないか腕山さん」
 ……誰だよ? ウデヤマさんって。おまけにTVの「警視庁24時間もの」とか欠かさず見るしさ。

 昼は書類整理と少し資料を探しに書店へ行き、夜はチャンピオンのカラー原稿に着手。明日は試写に出るので、朝までには上がっていないといけない。
 と、ある程度目鼻もついたので寝室へ。
 ベッドに横になり『風雲児たち』を読みかけるが、原稿絡みで『魔界転生』を再読。深作版が公開されたときに読んだけど、
「なんだ、原作じゃ細川ガラシャ出てこないのかよ」
と憤った覚えだけが鮮明。中学生だったのによ。
 そういえば『Uボート』が公開されたとき、大阪(東京)スポーツに『劇画・Uボート』ってのが連載されて愛読してたんだけど、乗組員がお姉ちゃんとセックスばっかりやってる場面しか出てこず、
えらくイヤらしい映画だなぁ
と、すっかりエロ映画としてインプットされてしまった。その後じっさいに観に行ったら、男の汚いケツしか裸らしい裸はありませんでした。あの劇画、ペーターゼン監督が観たらいったいどう思うのだろう。なぁ腕山さん。






2003年3月11日(火) 劇場用コピーガード

 


 一昨日(9日)の日記で書いたが、テリーが「劇場映画再撮防止ガードシステム」の話を持ち出したので、情報ソースを探していたら発見。これのことだ。
 TV画面をビデオで再撮すると、走査フィールドの干渉で画面にノイズが出る。あれを応用したものらしい。つまりフィルム映写ではなく、DLPフォーマットでの対応策ということだ。
「フィルム映写でどうやってそれを? コマ数変えるの? スクリーンに特殊なコーティングを施すの?」
 と、あれこれ気になっていたんだけど、そういうことかよ。まぁアメリカだとDLPのシェアが拡大しつつあるから、予防措置としては至極真っ当。だって被害甚大だもん。ここだけの話、オレも海賊版で劇場公開より先んじて観ちゃったの幾つかあるしさ。むろん奨励すべきことではないが、仕事で急を要する観賞を強いられたとき、悪魔に魂を売ってしまったの。

 そういえば、レンタルのアダルトビデオソフトだけは未だにコピーガードが入っていないの、あれは業界の慣習だと聞いたが。著作権意識の薄い業界だからというワケじゃなく、かなり前に導入したメーカーがあって、それがユーザーには不評だったとか。そりゃそうだろうって気がしますわ。

 そんな話をしているうちに、チャンピオンの『ネメシス』のデザインが上がってきて、タイトな締め切りにキューキューいってると、次の『魔界転生』のラフ切りに、取り残した『フィギュア王』の原稿があったり、かなりヤバ目。しかも太田出版の三池崇史本の編集氏から受け取ったビデオを新宿まで返しに行かなきゃいけないのに、動けず。秘宝編集部に『デュエリスト』も返さなきゃいけないのに。ウェブの更新もしないとなぁ。

 部屋は乱雑状態で仕事意欲は削がれるし、そんなオレの明日はどっちだ!!(たぶん新宿方面)。




2003年3月10日(月) いまいち活気なし

 


 もう3月も中旬に差し掛かろうというのに、まだまだ寒い。
 原稿の波もだいぶん穏やかになってきたが、今度は提出書類や用意しておくべきもの等、遅延にしていた日常のツケが揺り返しでやってくる。これはオレ自身の責任ではあるが。しかし、映画ライターに特化しないオレのつまらない日常を読んでも仕方がないだろう。

 ということで、チャンピオンの『ドリームキャッチャー』の原稿を早急にあげないといけないが、いまいちポイントがハッキリせず、脳から手先への伝達が鈍い。一足先にアメリカで観てきた渡辺麻紀さんによると、血まみれゲロゲロなSFアクションになっているらしい。そりゃ驚きだ。だってローレンス・カスダンって「残酷で悪趣味」を理由に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に関わろうとしなかったんだぜ。どういう風の吹き回しやら。

 そうしているうちに『デアデビル』マイケル・クラーク・ダンカン来日中止のお知らせがファックスで届く。ついにイラク情勢の余波が……というか関係あるのかよ。

 試写もここ一週間ご無沙汰だ。仕事上関わりのある作品だけを優先させたいが、作品をフォローしておくことで仕事に結びつく逆も然り。難しい商売だよなぁ。




2003年3月9日() 一週間、あっという間だな

 


 オレのようなフリーランスは一週間の通常感覚に乏しいが、編集部からの原稿催促がないのが、土日が土日であることを主張している。

 やはり疲れが蓄積しているのか、昼過ぎまでグッスリ。空腹を埋めるために外で書店で『風雲児たち』6・7巻購入。そしてファミマで食玩「レイ・ハリーハウゼン フィギュアコレクション」も買う。今回は『水爆と深海の怪獣』のタコが出た。そういえばピクサーのCGアニメ『モンスターズ・インク』の劇中に出てくる和食店の名が「ハリーハウゼン」。板前タコの足が6本というところに愛を感じたなぁ。
 
 さらに資料で貸りたビデオを返却するらめにツタヤへ行き、手ぶらで帰るのもナニだったので、BONNY PINKの新譜CD『Presents』をレンタル。
 しかし、最近のCDはその殆どがコピー・コントロール仕様になってしまったが、その話題でテリーと話をしていたら、彼から「海賊版防止といえば、劇場映画も再撮防止用のガードシステムが採用される」という話を聞く。それは上映システムに施されるものなのか、フィルムそのものに特殊な処理がなされるのか疑問。というか、そういうことを今さら耳にするなんて、オレの職業意識が問われる。ちょっと調べとこ。

 明けて月曜には出しておかないといけない原稿もあり、とりあえず仕事。赤裸々に綴っているように見えて脚色も多いこの日記、どこまで真剣に仕事なのかは知らんぞ。




2003年3月8日(土)
オレのいちばん長い日(文も長いぞ)



 遂にこの日がやって来ました。そう、ガチンコ兄弟(として)初のTV出演、『衛星中立放送パンドレッタプラス』の収録日デスヨ!!

 緊張してガチガチの状態のままスタジオ入り。かなり予定時刻ギリギリで、俺らが遅刻したかと思いきや、楽屋にはいるとまだ誰もいない状態。しばらくして共演のてらさわホーク氏、製作会社OTCのスタッフらが続々と楽屋入りしてくる。なんだ、俺らが一番乗りだったのね。
 やや遅れて秘宝編集部の大矢氏も到着。先日取材に行ったちょっとすごいスジ関係の話題や、大矢氏の営業話等の世間話を少々。「何でこんな事まで?」と思うような仕事に手を出しまくる大矢氏の話を聞いてると、
「あんた、一体どこへ行こうとしてるんだよ?」
 と突っ込みたくなる衝動に何度も襲われるが、そこをグッと我慢して聞いてると、隣の楽屋に人影が。おたっきぃ佐々木だよオイ!!
 どうやら同じ番組の別コーナーに出演のために呼ばれたようだが、その他続々と現れるメンツがまた豪華。おた佐々の他は漫画家のとり・みき先生に、同業の大センパイ三留まゆみ女史と、なんやかんやで自分が小中学校の頃から見続けてきた面々だけに黙って見過ごす訳にはいかず、こちらのスタジオ入り前のわずかな時間を使ってご挨拶。とても(良くも悪くも)お歳を感じさせない三留さんの可愛らしさもさることながら(きっと悪魔と契約してるにちがいない。ファントム・フリークだしね)、なによりも感動したのがとり氏。

こちらが名刺を差し出し挨拶すると、
「(秘宝ベストテンで)『パトレイバー』に投票してくれてありがとうございます
 の一言が。俺らの事を知ってるんか、とり先生!!
 いやはや、思えば小学生の頃より『バラの進さま』からゆうきまさみとの一連の合作シリーズまでの漫画作品。そして各エッセイや『吹替映画大辞典』に至るまで、多少時間差はあったり見逃してる作品もボロボロ出てくるけど、ほぼリアルタイムで代表作の殆どを読み、確実に影響を受けてる数少ない漫画家の一人に名前を覚えてもらっていたという事実だけでもう俺、生きてて良かったと実感。これで思い残す事は……いっぱいあるけどね


 愛読していた少年チャンピオンから仕事をいただく身になった折りもおり、その当時の看板作家にこのような形で声をかけていただくなんて、小学生の頃には絶対想像出来なかった事だよな。こういう事をドリーに言うと、またこいつ、
これもみんな俺様のおかげだな。俺がいなけりゃ、いまごろお前は冷たい土の下か、鉄格子の向こう側だ
 と、いつもの話が始まるのがアレだが。

 こうしてとり&三留両氏と挨拶を交わし(おた佐々はサッサと消えちまったお陰で挨拶出来なかったが)、急いでスタジオ入り。収録スタジオの扉をあけた瞬間、そこは乙女の花園というか何というか、メイン出演のザ・ビューティーズ(以下TB)がスタジオ内に溢れんばかりに女の色香をまき散らしてる状態!!
 最近すっかりその手の耐性が失われつつある俺には毒以外の何物でもなく、お陰でますます緊張感が高まって、足がガタガタ震えてロクに立ってもいられない。まぁ、その震えも地獄女史姿で妙にテンション高い中野貴雄監督の姿を見て、ちょっと収まったけどね。


 今回我々が参加するのは、往年のNHK『連想ゲーム』を完コピするコーナー。もちろんパンドレッタだけに、ヒーロー物や映画ネタなどの問題がメインで、俺とドリーはそれぞれ中野チーム、大矢チームに別れて戦うという設定。どうやら事前の説明によると、我々の役目は『フィーリングカップル5対5』における5番目(つまりボケ役)らしい。
 与えられた役目は全うすべく頑張ったんだが……いや、俺らがボケる以前に、TBの皆様が次々と想像以上の天然ボケ回答を連発しまくってくれるもんだから、俺等全く出番ナシ!! とりあえずこれ以上は番組内容に触れてしまうので、詳細及び勝敗は実際に番組を見るように。放映は約一ヶ月後との事です。

 それにしても、CS番組に集団で出てるから……とタカをくくっていたが、実際にTBの面々を生で見ると、さすがにちゃんとした芸能事務所に所属してるお姉ちゃんたちだけあって、そこらへんの女の子と比べても明らかに容姿は上。そんな彼女らがミニスカワンピでそんなに広くないスタジオをうろつき回るもんだから、目のやり場に困るっつーの!! ゲームの時なんか、対戦相手と向かい合って座る形になるんだが、意識しようがしまいが、自然に視線の中にスカートと太股の間の“魔の三角地帯”が見えそうになる事態が連発。仕方なく視線を変えても、別の娘のが飛び込んでくるわ、他の娘はストッキングの位置直しをしてて、その姿がまたヤケになまめかしかったりと、ある意味“生殺し”な状態が延々と続くのには心身共に消耗しますわ。
 で、そんなときにドリーが何してるかというと、自分のチームメイトの娘たちに「ド〜リポンッ。」とか勝手にあだ名付けられて、鼻の下伸ばしてやんの。

 約2時間の収録時間を終え、スタッフやTB、このあとも収録が続く大矢&てらさわ氏に挨拶して我々は楽屋へ戻り、帰り支度をしていたのだが、そこにやって来た番組プロデューサーの井戸氏としばし歓談。井戸氏は関西出身という事で、話題は自然とそちらの方面が中心になるが、以前は関西の演劇やミュージックシーンに関わっていたというだけあり、我々以上に濃い関西ローカル知識がポンポン飛び出してくる。さすがこういう業界に以前から身を置いてるだけあって、情報の一つ一つがマニアックで聞いてるこちらのタメになるような話ばかり。更に話題は今後の事に触れ、いろいろこの番組とかに関わる機会が得られた。まぁ、せっかく出来た縁ですから、今後ともよろしくお願いします。って誰に言ってるんだ?>俺

 スタジオを出たのが午後5時頃。それまで食事らしい食事をとってなかった事もあり、神保町まで移動してカレーの「まんてん」で遅い昼食をとる。ここに来るのは初めてというドリーに食感を聞いたところ、
「俺の作るカレーと全く一緒じゃねえか!!」
 との回答。確かにドリーが作るのって、ここのヤツに味も中身も近いんだよな。といってもドリーの場合、市販のルーに味を足し前する典型的な“お母んカレー”だが。
 食事が終わり、しばし神保町をブラブラ。アレ系な書店で、以前から一冊欲しかったアレ系な漫画単行本を一冊購入。最近お気に入りな作家の一人だが、余りにその内容が内容で、親兄弟知人仕事関係者にばれたら確実に縁を切られそうなのでここでは細かい内容は書けません。あしからず。

 その後、近くで手土産を買い、校了前で修羅場の「映画秘宝」編集部に顔を出す。
 案の定、編集部員はほぼ全員出揃って編集作業中。TV収録を終えた大矢氏もあとから飛び込んできて慌ただしく編集作業に突入するなど、かなり混乱した様子。ちょうど数日前に入稿した自分の原稿を修正したとの事で、編集部の松崎氏に修正原稿を見せてもらうが……なんかもう、俺って死んだ方がいいような気がしてきたな。お陰でしばらくの間、自己嫌悪状態が続く。

 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、秘宝編集部を出たあとはドリーの勝手な希望で秋葉原へ。所用を済ませ、さてどうするかという段階になった時、
じゃんがららあめんで晩飯を食おう
 と、恐れていたドリーお得意の理不尽な提案が。あんた、さっき飯食ったばっかやん!!
 しかたなく、じゃんがらはドリー単独で行ってもらう事にして、俺は一人でブラブラ。そういえば以前、コスプレ喫茶「メイリッシュ」に行こうとして行けなかった(2002年10月16日の日記参照)件もあり、あの後ちゃんと場所を確認していたので行ってみる事にする。
 んで、今度はちゃんと店のあるビルの一階まで行けたのだが……二階の店内に連なる階段に、香ばしい匂いを放つ(って俺もだけど)入店待ちの行列が延々と続いているのを見て戦意喪失。仕方なく立ち食いそばでも食おうと秋葉原を更にブラブラしていたら、もう一件コスプレ喫茶を発見!!こちらは並ばずに入れそうだったので、迷わず入店。これが正解で、ちょうどこの店(「キュアメイドカフェ」)では土日限定でゲーム『Piaキャロットへようこそ』とのタイアップ企画をやっていたようで、通常のメイドさんに加え、同名ゲームのコスプレ姿のウェイトレスもいるというある意味“当たり”な状態。メニューの料金も比較的良心的(その分、量が…)なだけあって、ここで軽く食事&休憩をとる事にする。
 しばらくして、じゃんがらで食事を終えたドリーから電話があり、ここの事を話すと“お姉ちゃん好き”の食指が動いたらしく、今すぐ向かうとの事。ここで合流し、しばしお茶などしながらコスプレ店員を愛でていると、さすがに昨日4時間程度しか寝てなくて、昼間のあれやこれやで疲れたこともあり、だんだん瞼が重くなる。仕方なく店を出て、帰宅の徒につくが、お陰で帰りの電車では爆睡、ドリーがいなけりゃ今頃秩父あたりまで行ってるところだったとさ、チャンチャン。





2003年3月7日(金) ああ、疲れが…

 


 朝から原稿絡み。くどいようだが売れっ子なのではない。持ち媒体の締め切りがこの時期に集中するのだ。しかもそこにイレギュラーが食い込むと目も当てられない。
 
 ところが昼過ぎくらいに手がピタッと止まってしまい、一週間の疲れがジワジワ体内を回る悪感触を覚える。少し体を動かすのと、外の空気を吸うために外出。
 道すがら、近くの入ったことのないラーメン屋さんで昼食。でも日中はヒマなのか、おばちゃんオレの注文を聞いてからガスに火を付け野菜を刻み始めた。しかも出来上がるまでに20分くらいかかるしで、選択を誤ったなぁと後悔が襲ってくる。ところが、出来たラーメンがそれなりに美味い。処置に困って店を後にし、家に戻って仕事の続き。

 夜は仕事の合間合間に『第26回・日本アカデミー賞授賞式』を見る。昔ロフトプラスワンで放送中継を見ながらトークライブをやったが、これも復活させないとなぁ、日テレがこの調子で盛り上がらない放送を続けているうちだぞ。

 とかなんとか言いながら、疲労感に負けて寝る。つまらない日記ですまぬ。




2003年3月6日(木) 麗しのアルテイシア

 


 井上瑶・死去。ファーストガンダム世代の喪失感は大きいよ。そういえばバンダイのトーキングハロ、たまにセイラさんの声で叱ってくれると聞いたが。

 それはそうと、仕事が進まねぇや。
 えーと、つまり原稿を書くためにビデオを観なければならないんだが、これがバカでも天才でも、金持ちでも貧乏でも平等に時間を食う。ダイアログのないところはサーチしたくなる衝動に駆られるが、それで「観た」とすることにプライドが拒絶反応を起こす。
 煮詰まったあげく、公共支払いと申告絡みで市役所に行き、その帰りにイトーヨーカドーでホワイトデーのお返し種々買い漁る。こんなオレでも幾つか頂いたのだよ。
 途中のツタヤでマンガ2題。『風雲児たち』5巻と『飛葉−もうひとつのワイルド7−』1巻を購入し、家に帰って仕事に戻る。
 強度の眠気に襲われ、風呂に入るが湯舟で熟睡。エルマガ編集・スナミ姐より携帯で叩き起こされる。『ボイス』インタビューページ構成済みとチェックOKの連絡。けどなぜか話は、
「スピルバーグはパラマウントとの契約が2本残っているから、イヤだろうなんだろうとインディを作らなきゃならない縛りがある
 というインディ・ジョーンズの話題から、最近の小学生雑誌事情に飛んで長々とトーク。いや、ホント今どきの小学生は怖いよ。

 その直後にウチを出て新橋へ。『星に願いを。』完成披露試写会場のイイノホールに向かい、監督の富樫森、主演の竹内結子・吉沢悠の舞台挨拶を取材。しかし、なんで記者会見がなかったのだろう。やはりアレ、映画がセシリア・チャンの『星願』のパク…もとい翻案だということに突っ込んでもらいたくないのだろうか。それはさておきご同輩、我らが結子は今日もお美しくあられたぞよ、と誰に呼びかけるでもなく報告。

 舞台挨拶が終わるとそそくさと退散。帰りに秋葉原に立ち寄り、It`sで『英雄/ヒーロー』のDVDを購入。日本は3月公開が夏に延期になったりしている間に、本国ではもうDVDがリリースされちまったではないか。
 買って速攻、総武線に乗り込み帰途に就く。実はこの日記、帰りの電車の中でシグマリオンを使いシコシコ打ち込んだモノ。いい時間の節約になった。











2003年3月5日(水) アシモフ博士、こいつ…

 

 うーん、あれやこれやに煩雑されて、昼なんだか夜なんだか分からぬ毎日を現在送っている。体が二つ欲しい。いや、客観的に自分を見るのはゴメンなので、召使いが欲しい。なんだ、召使いならわざわざ頼まなくても身近にいるじゃないの。というワケでテリー君に日記を頼むと、こいつ断りやがった。お前、ロボット三原則を知らないのか?

■第1条
「ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」

■第2条
ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が第1条に反する場合は、この限りではない」

■第3条
「ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない」

 ということで、ロボットに自我が芽生えると、執る手段は自己犠牲か叛乱なので、テリー君は近くロケット爆弾抱えて大気圏外に飛び、星の仲間になるか、あるいはサイバーダイン・システムで量産されてジョン・コナー殺しに行くか。ケッ、役に立たないヤツ!




2003年3月4日(火) 『ボイス』監督に訊く

 

 今日は4時に起床、微妙に何かが狂ってる。

 ひとつを上梓しても次の原稿が控えている椀子ソバ状態のなか、『ボイス』の監督アン・ビョンギのインタビュー取材で帝国ホテルに。しかも別媒体でまたがって11時と2時とで2度インタビュー。うへぇ。
 ビョンギ監督、生粋のホラーマニアというから完全アキバ系を念頭に描いていたが、心持ち椎名桔平入ったスマートさんで、ちょっと拍子抜け。ソウル藝大(日本で言えば東京藝大クラスの名門)を出ているんで、そのスノッブさが外観に出ているというか、どちらかというとアートちゃん臭バリバリに強し。
 最初のインタビューであらかた聞き尽くしたので、2度目は開き直って「他の媒体はどんなことよく訊きます?」と先制攻撃。「子役と影響を受けたホラー映画のこと」というんで、映画を観た者なら誰も感じるであろう核心を突く。

監督って、女子高生がお好きなんですか?

 そりゃ誰も訊かないわってんで、皆さん爆笑。まぁ答えは来月売りの『映画秘宝』でね。

 インタビュー終了後、完了した旨を依頼元のエルマガジン編集部に伝え、メインフォトを抑えた映画秘宝編集部に橋渡しをしてあげる。その後直行で家に戻るが、途中でDVDショップに寄り『天国と地獄』DVDを購入。
『生きる』や『羅生門』など、黒澤の錯時構成モノって基本的に好きなんだけど、とりわけ本作は群を抜いてお気に入り。ただ、4chステレオ音源の劣化がLD→DVDのわずかの間で著しく及んでいるみたいで、マスタリングのタイミングと技術向上、そして商業性との兼ね合いの難しさを痛感する。




2003年3月3日(月) 崩壊予告

 

 朝3時に起床。

 ていうか深夜じゃん、それ。

マッスルヒート』のタイアップ記事で動き回っているテリーより電話。映画秘宝の「2002年・ベストガイ」コーナーで唯一ケイン・コスギに一票を投じた、アジア映画系ライターの知野二郎氏に、
「ケインはこれからどう展開していけばいいのか?」
というコメントを受け取りに行くらしい。知野さん的にも迷惑な依頼だが、件の会話でオレもバカな聞き間違い犯しちゃった。

テリー「ちのじろう(知野二郎)さんにコメント取るんだよ」
ドリー「ちのしお(千野志麻)にコメント!! そんないい仕事、なんでお前に振られるんだよ!」
テリー「いやあのね、チノパンじゃなくて」
ドリー「場所どこ? お台場? オレも今行くから!!」

 あやうくゆりかもめに飛び乗り、帰ってこれなくなるところだったよ。

 そんなワケで、これから一週間は地獄の沙汰なので、いったいどういう経由で、どういう文脈で発せられたか分からない文章の羅列になるかと思います。混乱どうかご勘弁を。




2003年3月2日(
「行くよ、機龍」「お行きなさい」…どっちやねん釈ちゃん。



 朝4時に起床。

 …やばいな、生活時間のズレが逆行を始めてるぞ。この調子だと、一週間後には夕方の5時に寝て夜の11時には起きる生活に……。いや、そういう「夕方寝て夜起きる」を高校時代にやってた時期があったんだけど、なんだか6時限目くらいには元気がなくなって、部に顔を出す体力もなかったなぁ。そのかわり、朝にたんまり余裕があるから遅刻をしないという利点がある。睡眠サイクルの狂いに乗じて徹夜なんてのもザラだったけどね。今思えば、その行動に何の意義があったのだろうか

 起き抜けの仕事は効率いいので、送られてきた文字稿チェックやカラー原稿のラフ切りをし、クロネコヤマトを呼んでタイムサービス便を出す。電話したら配達員がわずか5分でやってきたので驚く。ウチに宅急便で届け物があったらしい。タイミングいいなぁと思ってブツを見たら『マッスルヒート』のサンプルビデオ。うへぇ!
 
 午後はビデオレンタル店に行き、資料で幾つか三池崇史作品を貸りる。『多重人格探偵サイコ』や『天国から来た男たち』他、未見で必要なものは殆ど揃ったが、『BLEUS HARP』だけがどこ探しても見つからない。
 こういうときに関西に在住していたときの利便性を痛感するね。京都に住んでいたときは近くに「ステーション」や「ワールドビデオ高野」など、マニアックかつ豊富なストックを誇るビデオ屋さんがあったし、大阪は泉南に住んでいたときも“府内イチの在庫数”を謳い文句にしている「タブチ」が国道沿いに立ち並んでいたし。けど後者は巨大なスペースの半分以上をアダルトが占めてて、焼肉屋の異常な多さに照らし合わせて「この辺って分かりやすい街だなぁ」と来阪した友人に感嘆されたっけ。めっそうなこと言うない。

 後は買い物をして帰宅。途中の駅の書店でコミック『ワイド版・風雲児たち』3巻ならびに4巻と、『ワイルド7愛蔵版』6巻を購入。『ワイルド7』はようやくオレの好きな「地獄の神話」篇が登場。仕事を放り出してむさぼり読む。だが、まだ夜の8時だというのに睡魔が……ああ…。





2003年3月1日(土) メトロポリス




 最近は週末にどっと疲れが生じる。ほとんど勤め人みたいだな。しかも一日じゅう降り続ける雨が病み上がりにこたえる。頭もドンヨリ重いしなぁ。

 朝は早めに起きて仕事をして、昼はベッドに体を休めて資料をつぶす。それから買ったまま放置していた北米盤DVD“METROPOLIS RESTORED AUTHORIZED EDITION”を観賞。

 フリッツ・ラングの古典SF『メトロポリス』(`27)をデジタルレストアした最新復元版。経年劣化で生じたフィルム傷を取り除き、初公開時のオリジナルスコアをフルオーケストラで再演したバージョンだ。ちゃんと1/16コマ再生してるから、動きのチャカチャカ感もないし。なにより驚くべき画質。未公開フッテージの山。けどヨシワラハウスのくだりとか、やはり発見できなかったのね。

 ただ、いくらオリジナルに近いとは言われても、やっぱり違和感を感じる。なぜならオレ、完全なるジョルジオ・モロダー版(`84)世代だから。冒頭のシフト交代のバックには BLOOD FROM A STONE が自然と頭の中で流れるし、エターナル・ガーデンでフレダーが人間マリアに出会うシーンは HERE'S MY HEART だよ。公開当時はかなり酷評されたけど、そんなもんでもお気に入りはお気に入りなんだよ。

 やはり風邪で動いた無理が祟ったか、夜9時には就寝。






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