★No.16 『トイ・ストーリー2』とDLP★

 物心ついたときから映画はカラーでドルビーステレオだった自分にとって、上映に関するテクノロジー改革の現場に立ち会うことへの憧れは人一倍強い。リアルタイムにテアトル東京で『これがシネラマだ!』を観た奴に嫉妬はするし。

 しかし、そういう場に立ち会おうとする自意識の弱さも問題で、例えばDTS(デジタル・シアター・システム)。この音響方式で初めて国内で上映されたのは『ジュラシック・パーク』だったけど、オザキは混むの嫌さと終電に間に合わなくなるのを懸念して、都心のDTS対応館に行かず、近所のドルビーさえままなってないような映画館で観賞をすませてしまったのだ。これでは、ラーメン道を極めようとする者がインスタントでその志を賄うようなもので、仮にも映画解体屋を名乗る人間にあるまじき腰の引け具合ではないか!!

 とまぁ、そんな過去の反省もあり、先日かのDLPシネマ上映を早々に体験しようと、東京は有楽町マリオンの日劇プラザで『トイ・ストーリー2』を観てきたワケでありんす。
 DLPとは持田香織がボーカルを務めるグループ…じゃなくて[デジタル・ライト・プロセッシング]の略。要するに、映画はフィルムを投影するけど、これは光半導体を用いて映画のデジタル・データをスクリーンに照射するシロモノ。おまけに上映される『トイ・ストーリー2』は3DCGアニメーションで、撮影フィルム無用の映画。つまり、本作品のDLP上映は、製作から上映の行程でまったくフィルムを使わないという革命的な上映方式なのだ。

 確かにDLPシネマは驚くべき画質のクオリティだ。フィルムに見られがちなダストノイズや傷もなく、ロール切換の合図信号もない。映る被写体の質感や色調も鮮やかでエッジもシャープだ。でも、それはあくまでCG画像だからであり、果たして実写でも同じような感慨が生じるのだろうか? 現在、ルーカスフィルムとパナビジョン社が共同開発でフィルムのいらないデジタルカメラを製作し、2002年公開予定の『スター・ウォーズ/エピソード2』の完全デジタル実写上映を予定しているが、その映像がまるで市販のデジカメで撮ったようなビデオライクなものであれば、それは果たして「映画」といえるのだろうか? フィルムの質感こそが映画を映画たらしめているという認識もあるワケで、DLPに両手をあげて称賛という段階には、未だ至らないのが正直な気持ちである。

 そんな事を『トイ・ストーリー2』を観ながら考えているのはオレだけで、周りの子供たちはそんな思案と関係なく映画に没頭している。まぁ彼らにとっちゃ、重要なのは器じゃなく、あくまで内容なんだよね。



(初出誌:ワールドフォトプレス「フィギュア王」2001年1月号)






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