
以前、黒澤明監督サウンドトラック完全盤CDのネット通販の話題を取り上げたさい、制作代表の岩瀬さんが「サントラファンは今やネットに潜在する」と、ネット通販に踏み切った理由を語っていらした。それを裏付けるように、黒澤サントラのオーダーは極めて好調のようだ。
サントラファンがネットに潜在する最大の理由は、かっては雑誌の通販ページや輸入版代行ストアでないと入手できなかったプライベート盤やプロモーション盤が、ネットで容易に個人購入できるようになったからである。それを意識してか、サントラレーベルもネットサイトでの通販を前提とした数量限定サントラCDをリリースするようになってきた。おかげで、権利関係や採算面でストア販売が見送られるような、マニアックな商品のリリースも可能になったワケだ。
最近では有名なサントラレーベル〈ヴァレース〉から、あの『ダイ・ハード』のオリジナル・サウンドトラック・スコアが3000枚限定でリリースされた。
『ダイ・ハード』のサントラは7年前にプロモ盤が一部流通し、オークションなどで200ドル近い高値で取引きされたりと、マニア垂涎のレアアイテムだった。その後フォックスレーベルより「『プレデター』とのカップリングで出る」というアナウンスも流れたものの発売には至らず、まさにサントラファン積年の思いが叶ってのリリースである。これも先に述べたように、サイト通販を前提としたことでリリースの小回りが効いたのだろう。
いっぽう、作曲家とそのエージェントが営業活動用にプレスするプロモーション盤CDも健在だ。最近の白眉はオリバー・ストーン監督のNFL映画『エニイ・ギブン・サンデー』のスコア版プロモ。本編はヒップホップ&メタルの嵐だったため、たぶんほとんどの人がスコアなんて記憶の片鱗もないと思うが、あの知る人ぞ知るワールドミュージックの大家、リチャード・ホロビッツがスコアを担当している。
また『シルバラード』で知られる作曲家、ブルース・ブロートンの名スコア『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』の2枚組プロモ版CDが、先月リリースされた。これはこれはプレス500枚という極少品だったため、プレス元のイントラーダからリリース情報がネットにアップされるが早いかアッという間に売り切れてしまい、その存在すら知らないファンもいたほど。
こうしたスコアのレベルとして完成度の高いものがプロモや限定プレスであれ市場に出るのは嬉しい限りだが、逆に普通に売ってたら見向きもしないサントラを、希少価値という名目だけで買い占める輩も多いワケで。本当に必要とする人に行き渡らないジレンマを考えると、このへんフィギュアにも相通ずる厭世を感じずにはおれないのだが。
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▲公開からじつに15年目にして初リリースとなった『ダイ・ハード』サントラCD。未使用スコア含む76分は聴きごたえあり。 |
▲『エニイ・ギブン・サンデー』スコア版プロモCD。モリコーネに喜多郎といい、意外と音楽センスのよさがうかがえるオリバー君。 |
▲『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』プロモ。今や入手はかなり難しいので、運よく見つけたら迷わずゲットしてほしい。 |
(初出誌:ワールドフォトプレス「フィギュア王」2002年5月号)
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