2000年夏休み映画スペシャル!!

今月のひん曲がりは夏休み恒例・映画ガチンコ兄弟の映画放談だ! ごぞんじ映画解体屋と、自称・映画の神様の好き勝手な放言にしばしのお付き合いをどうぞ。






テリー・天野(以下:テリー)
「なんだチキショ〜自販機!“2000円札は使えません”って、闘う前から負けを認めてどうするんだぁああ!ドカ〜〜ン!!
ドリー・尾崎(以下:ドリー)「ああ、またよくわからん怒りと鉄球を振り回しながら登場…」
テリー「なんと無学な男、これは[カポエラ]と言って、裸の男と男がこの鉄球をキャッチボールするインドネシアの国技デスよ」
ドリー「無学はどっちだよ、しかも床に大穴。しかし、こうして自称“映画の神様”がいらっしゃったということは……」
テリー「例の映画特集だ、さ、しろ」
ドリー「しろっておまえ、夏の映画『M:I−2』しか観てないじゃないの」
テリー「映画の神様だもん。ラーメン屋のオヤジが毎日3食ラーメン食うか?
ドリー「そういう理屈になるのか?」
テリー「いやあ、『M:I−2』は完成披露試写んときの舞台挨拶中継がもう最悪でさ。こはたあつこ、絞め殺してやろうかと思ったよ
ドリー「神様はえらくオーディナリーな怒りをぶちまけますね」
テリー「戸田奈津子も同罪だ!てめえ、トム・クルーズは一字一句漏らさず訳してるクセに、ジョン・ウー監督んときはベラベラしゃべってんのをかいつまんで“合コンがマイブーム”とか“納豆にはネギ”とか、なんだその扱いはよ!!」
ドリー「言うかぁ?アジアの巨匠が“戦隊ものはバイオマンが一番だ”とかさ」
テリー「んなことより早く映画の紹介しろよ。なんのためにナッチの話をフったと思ってんだ! そんなんだから生涯前座なんだ」
ドリー「え、もしかして俺たち芸人……いや、まずは邦画の『ホワイトアウト』あたりから押さえとこか」
テリー「主演は誰だ?」
ドリー「織田裕二だよ」
テリー「そいつ、カポエラはするのか?」
ドリー「すんじゃんねぇの。マキシ・プリーストと歌唄うような男だから」
テリー「よし、★★★★★
ドリー「って待てよ僕たち」
テリー「原作はモロあちこちが『ダイ・ハード』シリーズなワケじゃん。映画だとどうなんっスか、そのあたり」
ドリー「んなもん、ますます『ダイ・ハード』感が高くなっただけ。だいたいタイトルの『ホワイトアウト』って、雪で視界がゼロの閉塞状態のことだろ。見晴しのいい観光映画になってるのはいかがなものかと」
テリー「画面真っ白で、銃声音と悲鳴だけが聞こえるってのもいいな。デレク・ジャーマンの『ブルー』みたいで」
ドリー「おまえね、壮大な実験映画じゃないんだから」
テリー「そういや『タイタニック』んときも同じような進言があったな。沈没の夜は真っ暗だったんだから、画面ブラックアウトで阿鼻叫喚の声だけ聞こえるっての。視覚効果の予算が浮いたろうにキャメロン」
ドリー「そういや視覚効果は頑張ってたぞ『ホワイトアウト』」
テリー「あんたね、そういうときは“その阿鼻叫喚の地獄絵を観に来てるんちゃうんかい!”と突っ込んだほうがええんよ」
ドリー「だからオレら芸人じゃねえって」
テリー「松嶋菜々子、相変わらずデカイのか」
ドリー「雪景色のトリックでほとんど分からないよ」
テリー「……どういう?」
ドリー「まあ、オレ的には★★★ね『ホワイトアウト』」
テリー「いや、だからどういうトリックなのよ」






ドリー「さあ次! 次は20世紀フォックスの大作アニメーション『タイタンA.E.』。前回『アナスタシア』からガラリと変わって、今度は宇宙SFなのだ、ワハハハハ!」
テリー「ちょっと待ってよ。教えてくれよ雪のトリック!!」
ドリー「ハッハッハ、そうやって生涯悩んで死に至れ」
テリー「気になるぅうう!」
ドリー「神様なら自分で考えろ」
テリー「……んで、どうなのよ『タイタンA.E.』は」
ドリー「いやそれがね、メカデザインにロン・コップが関わってんのよ。監督はドン・ブルースだし、いったいいつの時代のアニメーションかって空気に満ちているよな」
テリー「『アナスタシア』んときは作画力の無さに相当冷めたけど、今回少しは進歩してるのかよ?」
ドリー「多少はね。でも人物の動きとか、締切りギリギリで原稿あげたような漫画家のペン入れみたいに最悪よ」
テリー「ビル・プルマンって、べしゃり聞いてると悪人トーンの濁声だけど、どうせ悪いヤツのアフレコなんだろ」
ドリー「あんたもそういう映画の本質に関わるようなことをポロポロ言わないの。変なところだけ神様能力が働くんだから」
テリー「ふええ、だってよ、あまりにアメリカの劇場アニメの声優ってタイプキャストだから」
ドリー「確かにそうだよな。ネイサン・レインとか『スチュアート・リトル』と同じような声の獣畜生だし、キャラ的にも一緒だ」
テリー「なんか持ち回り激しくねえか。メル・ギブスンとかミミ・ドライヴァーとか」
ドリー「ミミなんて『ターザン』やって『プリンセス・モノノケ』に『サウスパーク』だ」
テリー「ミミの場合、顔出しよりそっちのほうがいろいろ都合がいいのかも
ドリー「そもそも、いつ頃からアニメに有名俳優を起用するシステムになったんだ?」
テリー「『アラジン』のロビン・ウィリアムスあたり?」
ドリー「いや『トランスフォーマー・ザ・ムービー』を忘れるな。レナード・ニモイにロバート・スタック、オーソン・ウェルズにエリック・アイドルという強烈なボイス・キャストだぞ」
テリー「節操ねえよ、それ……あああああ!!」
ドリー「なんだなんだ?」
テリー「雪山のトリックって、遠近が効かないからってことなのか!! だから菜々子は70メートルの身長が2メートルくらいにしか見えないんだ!ドカーン」
ドリー「だからって鉄球を振り回すなよ。そういう問題じゃなくてよ、オレが言いたいのは……」
テリー身長50cmの織田裕二が普通に菜々子と絡んでいるってことか?」
ドリー「そうだ」
テリー「というワケで、『タイタンA.E.』はマッド・デイモンに似せたあまり、主人公キャラの刈り上げ頭が気になって仕方がなくなるので★★★
ドリー「なんだ、観てんじゃねえかよ」




テリー「さあ、次の作品を紹介しなさい」
ドリー『TAXi2』(日本ヘラルド映画配給:8月12日公開)があるぞ」
テリー「ダニエルの相手が忍者野郎だって話だろ?おまけにテロが乗ってる車は三菱ランサー・エボリューション。ランエボ軍団ってああた、『頭文字D』じゃないんだから」
ドリー「だってベッソンにとって、日本は大切なパトロンですからね」
テリー「大事なパトロンが忍者かよ。国辱ありありな描写に神経を逆撫でされてどうする」
ドリー「そんときは70メートルの松嶋菜々子をフランス領事館に送り込むんだよ。ミサイルフル装備でさ、オレ操縦するわ」
テリー「そういえば、広末涼子がベッソン映画のヒロインにオファーされてるって話があったな。あれって『TAXi2』のことだったのだろうか」
ドリー「そうなら、パンツ見せながら忍者を撃退する女エージェントの役くらいしか相当する役が見当たらないのだが……」    
テリー「惜しいな広末、いろんな意味で
ドリー「フランス映画って必然性もないのに女優脱がしたりパンツ見せたりするからな」
テリー「ウヒヒ」
ドリー「ウウフ」
テリー「観たいねえ、ヒロスエの『ニキータ』」
ドリー「オレ広末が出てればなんでもいいや。『イレイザー・ヘッド』の夜通し泣いてる奇形児役とか、『ひばりの花笠若衆』のリメイクでも」

以下・“おれの方がこんなに広末涼子を愛している”合戦から、くだらないアイドル談義が延々2時間続くので割愛。

テリー「というワケで、70メートル菜々子の繰り出すキックはジャイアント馬場の十六文キック10万人に相当するという結論が出ました」
ドリー「フィギュア化されて『フィギュア王』に載るといいね」
テリー「トイショーだけで400個限定販売」
ドリー「第2弾はカポエラをする織田裕二
テリー「ハハハ」
ドリー「フフフ」
テリー「………」
ドリー「夏休み映画特集なんだよ、キミ」
テリー「そんな気がしてました。危ないからその鉄球は下ろしてね」
ドリー『シャンハイ・ヌーン』はどうでっしゃろ。ジャッキーのハリウッド進出第2弾ですけど」
テリー「ジャッキー版『レッド・サン』だろ」
ドリー面白い『EAST MEETS WEST』とも言う。今回もあのNG集がちゃんとあるんだよな。ていうか、それを契約上優先させてんのか?」
テリー「西田敏行が“映画の中で必ず裸踊りをします”っていうの必ず契約項目に入れてるのと同じだな」
ドリー「それ確認してこいよ、所属事務所に行ってさ」
テリー「もし真実だったらと思うとスゲぇ怖いから、確認に行けないんだ」
ドリー「いや正直、オレも怖いわ」
テリー「でもジャッキーのハリウッド行きって、あちらの優秀なアクション・コーディネーターに、自分とこのアクション・ラボのチカラがあれば延命が効くと思っての措置なんだろうね」
ドリー「このまま香港に残ってても、後は死ぬくらいの過激なアクション要求されるだけだろうからね」
テリー「でもジョン・ウーと一緒で、どこで撮ろうと香港時代のムチャなクオリティを望んでしまうからなぁ」
ドリー「でも、香港時代に使ったネタをハリウッドで使い回すことが出来るぞ、ジョン・ウーだって『フェイス/オフ』や『M:I−2』に『男たちの挽歌』や『ハードボイルド』のネタをちょこちょこ引用しちょるじゃないか」
テリー「このコーナーみたいだな」
ドリー「へ?」
テリー「だって、俺たちがしゃべってるこの話だって、オレらの過去のネタの引用じぇねえか」
ドリー「………『シャンハイ・ヌーン』は★★★1/2です。それでは皆さまご機嫌よう」
テリー「なあ、ネタの持ち込みじゃないのか、グワ!!(鉄球で潰れる音)」






(初出誌:ワールドフォトプレス「フィギュア王」2000年8月号)






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