| 板橋区立中台中学校「福祉とボランティア」 総合的な学習の時間への取り組み 〜生きる力を育むための学びとは?〜 ぼのぼの歩み創刊号 特集 |
2002年4月、「総合的な学習の時間」ついにスタートしました。この「総合的な学習の時間」を導入するにあたって、当時文部省は次のように提言しました。
『これから変化の激しい時代に生きる子どもたちには、「生きる力」が求められる。その「生きる力」とは、誰かの指示に従って生きるのではなく、自ら周りの人々と新たに起こってくる問題を解決していける力であり、自発的に、問題を発見し課題を解決できる資質や能力であり、あおれを学び続けられる力といえよう。』
当会の設立趣旨にある、地域において市民一人ひとりが主役の社会を築くためには、現代社会が抱える課題を私達市民が自らの課題として捉え、積極的に取り組まなければならない・・・という想いに重なるものでもあります。
次代を担う子ども達の学びを豊かなものにしようという中学校、家庭そして地域の連携によって「総合的な学習の時間」は試行錯誤の真っ最中ともいえます。
前期は大人(教員と当会)の計画した内容を子ども達が体験し、後期は子ども達が自ら課題を設定し、実行するという実践でした。
| ■中台中学校と当会の出会い ・ 平成10年当会の前進である板橋区ともに生きる福祉連絡会が協力して実施していた「中学生ボランティア講習会」に参加した区立中台中学校の生徒が、生徒会の先生に内容を報告し、その後文化祭にて生徒主導で「車椅子・白杖体験」を実行するのでサポートしてほしいとの依頼をうけて関わったという経緯があります。 これが縁で「総合的な学習の時間」の「福祉とボランティア」グループのサポートをすることになりました。 |
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■なぜ「福祉とボランティア」か? ・ 実践に至るまで、まずは担当の先生とスタッフの打合せを何度か行いました。先生は、「福祉とボランティア」をテーマにおいた理由を2つ挙げています。 一つ目は、「生徒が障害のある方や老人などと出会うことで、無関心、場合によっては差別対象という意識からともに生きる存在へと認識を変えられるか」というテーマに挑んでみたいということ。 二つ目は、今の生徒が老人や障害者と出会うことが切実に必要だと思ったこと。生徒が「バカだよ」の代わりに「シンショー」という言葉を投げつけあうことを日常的に行う姿を見て、生徒にとって障害者が「異界の存在」である厳しい現実を感じてのこと。また、先生自身がそれまで生徒とともに追求してきたモンゴル人との出会いによって偏見を拭い去り、等身大のモンゴルそして日本の姿が見えてきたことによって「障害者や老人との出会い」に挑戦する度胸がついたということも大きな理由に挙げていらっしゃいます。 |
■はじめの一歩 ・ 最初の授業は、車椅子を使用して生活している堀井さん、脳性マヒで言語障害のある大湯さん、目の不自由な橋本さんの話から始まりました。 35名の子ども達がしっかりと3人の話に耳を傾け、「足が不自由なのに老人ホームでボランティアをしているなんてすごい」「目が見えないことを不幸だと感じたことがないということがすごい」など率直に驚きを隠せないといった感想が寄せられました。 その後、車椅子と白杖の体験学習。白杖体験では普段何気なく歩いている廊下や階段が長く長く感じられ不安そうな声が響き渡っていました。ガイドの難しさも実感していたようでした。 車椅子の体験では「少しの時間なので楽しいと思いましたが、実際に毎日乗っていたらすごく苦労すると思った。」という言葉に表れているように、子ども達が体験から様々な想像を膨らませていたことがわかりました。 |
■夏の体験から ・ 7月に入ってから、個人宅2日間、施設に3日間の体験を一人一人が選べるようにするためのガイダンスを行いました。 実際に肢体不自由の方の個人宅にお伺いして、部屋の工夫に驚いたり、外出する中で交通機関の課題に気づいたり、様々な感想を抱く体験となったようです。文化祭では、体験を通して「気づいたこと」「うれしかったこと」「さらにやりたいこと」などをカードに書きこみ、項目ごとにまとめ展示しました。また、生徒を中心とした車椅子と白杖の体験コーナーを設け、行いました。 |
■体験を経験に ・ 後期は、それまでの体験をもとに、自分の興味関心から課題(テーマ)を設定し、調べ学習をはじめ、冬休みや3学期の授業を使い体験をしました。 生徒たちが設定したテーマを大きく分けると次のようになりました。 ・東上線バリアフリープロジェクト (車椅子に乗って、東上線と三田線を乗り比べてみる) ・上板橋バリアフリープロジェクト(身近な上板の町をバリアフリーにしよう) ・保育園に行こう(保育のことを知ろう、疑問を解決しよう) ・老人ホームプロジェクト(老人についての疑問を解決しよう) ・障害のある人と接する、障害について調べる そして、1年間のまとめとして各自が新聞を作り、振り返りをしました。そうすることで、自分が何に気付き、さらに何が課題なのか(新たな気付き・課題)を知る機会になりました。 |
■面白くなければ学校じゃない!! ・ 平成14年3月21日に、“地域PTAづくりを考える”「総合学習」サポートフォーラムが行われました。総合的な学習の時間を考えるうえで、学校と地域が対話をし続けることの大切さを実感させるフォーラムでした。 全体アドバイザーの善元幸夫先生がおっしゃられた言葉が非常に興味深かったので、紹介します。 「総合的な学習の時間の魅力は、伝統を背にしていないことと、教科書がないということ。今現在起きていることから学べることの面白さがある。逆にいえば、現在まで教科中心が続いたことに疑問さえ抱く。必要なのは問題解決の力であり、何が問題かを見つける力であろう・・・。」 学校嫌いにとどまらず、世の中を諦めてしまっているような子どもの現状を目の当たりにし、学校とは?授業とは?と自らに問う。 子ども中心ということは、放任とも違う。子どもと一緒につくることを大切にしなければならない。 「面白くなければ学校ではない!」というその強い語気に含まれた想いが、現場の危機感として伝わってきました。 |
| ■子どもの学びを支える ・ 私たちは、たくさんの情報に囲まれて生きています。溢れるほどの情報から正しい情報を見抜く力も求められています。その為にも学びが必要なのです。つまり、学びに終りはないということです。 「総合的な学習の時間」を通して、子どもの学びを支える地域の役割・教師の役割を模索する機会を得ました。さらに私たちも互いに学びあっていけるような場が必要です。 そこで、総合的な学習の時間のための『地域教育サポートネット』を立ち上げました。昨年度は中台中学校にとどまらず、区内公立小・中学校6校の総合的な学習の時間をサポートしました。今年度も引き続き多くの学校からの、要望がきています。当会と一緒に総合的な学習の時間を支える仲間(個人・団体)も募集していますので、お問合せください。また。今後の動きについても再び特集を組み、紹介したいと思います。 |
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