11月8日9日文部科学省始め日本学校保健会、香川県教育委員会及び学校保健会、高松市教育委員会、日本スポーツ振興センター主催の第57回全国学校保健研究大会が見事な青空の下、香川県高松市に於いて学校保健関係者2000名が参加して、盛大に開催されました。今大会の主題は「生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力をはぐくむ健康教育の推進〜自ら健やかな心と体をはぐくむ子供の育成〜」で、健康教育に関する諸課題について研究協議し学校保健の充実発展に役立てるものです。
2日間にわたる大会の要旨を簡単にご報告いたします。
主催団体関係者のご挨拶、知事・市長の祝辞に続いて表彰式が行われ、学校保健及び学校安全の功労に対し、個人146名と38学校2団体に文部科学大臣表彰状が授与されました。学校薬剤師は24名が受賞しました。
各先生方のご活躍に敬意を表します。
その後「現代のいじめとその解決方法〜今大人のすべきこと」の演題で東京都児童相談センター・心理司・山脇由貴子氏の講演をお聴きしました。
氏は年間100家族以上の相談や治療を受け持つ傍ら、今話題の「教室の悪魔」の著者として知られています。現場を知り尽くした人しか判りえない現代の教室内の実態が赤裸々に語られました。教室の悪魔という題が本当にふさわしい現実であるという話に、寒気を覚えたのは、私一人ではなかったと思います。いじめは親や先生に判らないように巧妙に行われ、被害者も更にいじめられないようにそれを隠し通し、親に気づかれた時は、加害者に謝るような現状である。正常な精神状態ではない。メールやインターネットなど匿名で行うことが始まってから、急速に状況は悪化している。被害者を守るべきである。
常に正面から向かい合い、生で接し自ら、心の通う対応をしている演者の努力に感心しました。
同日引き続いて、午後4時から日本学校薬剤師会主催の全国学校薬剤師大会が、四国の玄関口高松港を見下ろす全日空ホテルクレメント高松において開催されました。杉下会長は「児童生徒を取り巻く健康の諸問題が指摘されており、今後ますます学校薬剤師の活動は重要になり、日本学校薬剤師会としても会員の資質向上に努めていきたい。」と、挨拶されました。
日本薬剤師会会長代理の児玉副会長は来賓として祝辞を述べられ、「今後ますます学校薬剤師は重要になり、薬学生の研修でも学校薬剤師の分野は欠かせないものであり、日本学校薬剤師会と連携していきたい。」と話されました。
続いて全国から推薦、選考された10名の学校薬剤師が映えある日本学校薬剤師会表彰と共に河合製薬より河合賞、および可児・永山賞を受賞されました。長年の学校薬剤師としての活動はもちろん、学校薬剤師組織への貢献に感謝するとともに心よりお祝い申し上げます。また、同時に日頃の学校薬剤師活動にご指導とご協力を頂いている教育委員会、養護教諭始め学校保健関係者9名に日本学校薬剤師会より感謝状が贈呈されました。
つづいて文部科学大臣表彰者には日本薬剤師会および日本学校薬剤師会からも記念品が贈呈され、喜びを新たにしておられました。
その後特別講演「心豊かに生きる」と題して学校法人ノートルダム清心学園理事長渡辺和子先生から1時間たっぷりお話を伺い、思わず先生の魅力に引き込まれてしまいました。先生は素晴らしい学歴、経歴をお持ちですが、37歳で大学の学長に就任され大変ご苦労なされたとのこと。やはり苦労は悪いことではなく、人を大きく成長させるものだと思いました。簡単に要旨をご紹介します。
「忙しい」「忘れる」という字は心を亡くすと書くが忙しさにかまけて心を亡くしてはいけない。心を忘れてはいけない。今、丁寧さを忘れ、ぞんざいな生活、ぞんざいな付き合い方になっている。人間の劣化が始まっている。自分が残された時間を丁寧に生きることが求められる。時間の使い方は命の使い方に?がる。常に心を豊かに心をこめて行動すると有効な時間となる。鋭智という力が大切。それは変えられないことを受け入れる心の静けさと変えられることを勇気をもって変える力であり、何が変えられて何が変えられないかを見分ける力である。苦境の時あなたが変われば状況は変わっていく。貴方がしてほしいと思っていることをしてあげること。幸せは自分が決めること。なになにのお陰という考えをすること。人間には一人一人使命があり、置かれた処で咲く使命がある。神様がお植えになった処で咲きなさい。一人一人が周囲を明るくすることが大事。私はたった一つの命、オンリーワンであることを認識する。木を切りながら、切ることにかまけないで、斧を大切にすること。最後に、薬剤師の皆様は患者さんに「お大事に」とおっしゃいますが、「心が籠っていなければだめですよ。」と、くぎを刺されました。先生の静かな語りには強さと優しさと大きな愛があり、自分の生きざまを考えさせられたことでした。
その後、高松らしい「兜」という吟詠が地元のご婦人たちにより詠じられ、ひと時、数百年前に遡った気持ちでした。
翌日は10の課題別研究協議会が開催され、それぞれ担当の部会に参加し研修しました。
私は第10課題「安全で豊かな社会と健康を守り育てるための喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育の進め方」に参加。コーディネーター埼玉県教育委員会謝村主幹の進行で、小、中、高校の全校を挙げた薬物乱用防止教育の高度な取り組みが発表され、神戸大学川端教授の講義、会場の活発な意見交換もあって、有意義な半日となりました。
「薬物乱用は他人事ではなく、自分の身近にあることを理解させ、ライフスキルのなかでもセルフエスティームを確立させることが重要。学校だけではだめで、いかに家庭・地域に広めていくかが大切。」と川端教授の言葉です。
鹿児島県南さつま市立益山小学校小湊恵美子養護教諭の発表は総合的な学習の時間を使い、1年から6年まで一貫した健康教育を実践し、実験や検査を駆使して子供たちに判り易く授業しており、たばこの液でカイワレを育てる実験は興味がありました。また学校薬剤師や警察、保健所、家庭との連携をとることにより、保護者や子どもの関心を高めることが出来たということでした。
徳島県鳴門市第2中学校宮田かつ子養護教諭は学校薬剤師や警察と綿密に連携をとりながら、薬乱防止教室を開催。その後感想文の記入や「健康行動調査」をして実施前後の意識の変化を把握して今後の対策を検討した。
これを生かして、継続して活動していきたいと発表されました。
香川県立琴平高等学校三井千尋教諭は教職員の校内研修をして教師全体の共通理解を得た上で、やはり警察、学校薬剤師、学校医の協力のもと薬乱防止教室を実施。水谷先生やダルクの話を生徒のみでなく保護者ともども聞くことにより、家庭でも話し合う必要を理解してもらえた。特別活動や学校保健委員会などでも多角的な取り組みを行い、効果が上がったという。
模範的な取り組みであり、地域の学校に広めて頂きたいという指導助言者のご意見でした。
現在なお、薬物乱用者が後をたたず、青少年に対する早期教育が一番効果的であると言われます。今後も各学校、関係者のたゆまぬ努力が求められます。
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