学校薬剤師の職務は、薬剤師職能の一つである薬事衛生の理念に基づいて実施されているもので、学校保健活動における学校環境衛生の分野を担当する事で、児童・生徒の健康的な学習環境の維持改善に寄与するだけでなく、社会人としても健康な生活を送る事ができるように、健康教育を通して広く環境衛生に携わってきたところである。
最近はさらに薬剤師としての専門性が評価され、薬物乱用防止教育・アンチド−ピング活動、あるは、くすりの正しい使い方教育や、薬学生実務実習への協力など、ますますその活動が多方面に渡っているのが現状である。学校薬剤師を取り巻く環境は年々変化し、特に教育現場との関りにあっては、学校薬剤師は情報環境そのもであるといえる。
このような背景のもとで開催された今年度のブロック会議は、執行部あるいは、各ブロックで開催された資料を基に報告と協議がなされたところである。
報告事項
1)
平成18・19年度役員の紹介と役割分担について
総務・会計・学術、各委員会担当者の紹介。委員については七つの委員会の概略
について説明された。
2)
平成18年度学薬に関る全国大会・講習会の日程について。
3)
ラジオNIKKEI薬学の時間「学薬アワ−」放送予定について
協議事項
各学校薬剤師会で実施された事業報告、事業計画を中心に意見交換がなされたあと、日本学校薬剤師会の法人化について執行部より説明があり質疑応答があった。
法人化については、このブロック会議で賛否を問うものではなく、法人化に対する執行部としての考えを伝え、各ブロックの意見を充分に汲み上げ、集約して理事会・委員会などで検討し、十分な手続きを経た上で臨時総会を開催するなどして、承認を得たいという考えが述べられた。
この法人化については今日まで執行部として全く伏せていたのではなく、昨年の日本学校薬剤師全国会長会で取り上げ検討されているし、今年開催された総会においても、平成17年度事業報告のなかで、職能検討委員会の報告として法人化について協議を行ったことが報告されている。
文部科学省から日本学校薬剤師会にVOC検査に関連して業務委託も申し入れがあったが、任意団体即ち人格のない団体であるがゆえに対応できずに、かろうじて日本学校保健会の構成員である学校薬剤師会として対応したことは記憶に新しいところである。このような悲哀は二度と味わいたくないものである。
これからは義務教育のなかで「くすりの正しい使いかた」を指導するなど業務委託が増えてくることが考えられる。しかし法人化がなされず、現状の任意団体のままであれば、かってVOC検査に関連した業務委託に対応できなかった時と同じ事を繰り返さざるを得ないのである。文部科学省が日本学校薬剤師会の法人化を強く望むのは、対所高所からみて、児童・生徒の健康寄与することが大きいからに他ならないのである。この法人化は日本学校薬剤師会を法人化するものであって、各都道府県の学校薬剤師会は、現状のまま活動を続けることが出来るのである。この法人化に関る問題は、あくまでも日本学校薬剤師会の問題であることを理解していただきたいのである。
法人化を推進するについて、日本薬剤師会との関係を心配する意見もあったが、このことについては、次の文章が明確な答えを与えてくれるものである。
日本学校薬剤師会事務処理の移管について
標記の件につきましては、すでに昨年から日本学校薬剤師会に口頭で度々お願いしているところでありますが、今般、貴会杉下会長より文書の提出を求められましたので、本書をもって連絡いたします。
日本学校薬剤師会の会務に関る諸業務は、かねてより日本薬剤師会(以下「日薬」という)が代行して参りました。今回この代行を取りやめ、総ての業務を貴会に移管することにいたしました。
移管の事由は、独立した団体である貴会の会務を代行することが、日薬の事業として適当でない事に加え、日薬業務の事務処理等の過飽和状態の適正化と財政状態の改善を意図したためであります。
この文章は平成16年7月21日に杉下順一郎日本学校薬剤師会会長に中西敏夫(社)日本薬剤師会会長が発出した公文書である。
この文章のなかで、日本学校薬剤師会のことが明確に独立した団体である貴会と表現されているのである。日本学校薬剤師会はこの考え方を受けて事務局を設置するとともに、会に人格を与えることでその立場を明確にしようとしているものである。
日本薬剤師会に対する協力については、お互いの人格を尊重しあって事にあたっていくので、今日までと全く変わることはないのである。
法人化を推進する理由に委託事業の例を述べたが、他に次のような利点が考えられるので、この事を紹介して報告を終わる事にする。
1.
外部資金が受け入れやすくなる(周年記念募金等)
現行の税制において、個人及び企業からの寄付が所得控除の対象となる為には様々な要件が付されている。その一つに当該寄付を受け入れる団体が指定寄付金(災害救援募金等)を除き、法人格を有する事である。(いわゆる「特定公益増進法人」である。能力無き社団に対する寄付も所得控除の対象となる場合もあるが、極めて厳しい条件となるようである。)
2.
国・地方公共団体からも補助金等の交付の対象になる。
法人となると、教育、医療、技術開発などのプロジェクトの対象になる(少なくとも補助金や委託事業を受けるためには法人格を有していることが必要である。)
3.
契約関係・届出手続きが容易になる。
権利能力のない団体と第三者が契約を締結する場合、その第三者は、団体の構成員全員と同じ内容の契約を結ばなければならず、契約関係が複雑になる。(実際には、信頼関係で契約を結んでいる。)また、法律上は登記簿における名義人になれず、官公署への届出手続きに支障をきたすことがある。
4.
学校薬剤師会の発展の為の法人化である。
日本学校薬剤師会の活動が公益に寄与するものとして社会的に評価を受け、ひいては団体の目的である学校薬剤師の地位の確立と今後の発展に資するための法人化である。(官公署等は学校薬剤師の職務・地位等に関しては、日本学校薬剤師会を受け皿にして相談する事になり、目的達成の大きな力になる。) |