平成1
年度全国学校保健調査結果ラジオ放送用原稿
 

日本学校薬剤師会学校保健調査実行委員会
 

 

これから、平成17年度に実施した全国学校保健調査の集計結果についてご報告いたします。

17年度の調査は、5年前の平成12年度に行った教室等の空気、騒音の検査を再び取り上げて、環境衛生の取り組みの変化を比較分析いたしました。

ここでは、教室等の空気の調査結果について質問順に考察していきます。

まず、教室等の空気の定期検査について11の質問をしました。

定期検査を何回行ったか質問したところ、2回以上行ったのは14.5%で、1回行ったが54.4%でした。平成12年度の調査と比較すると、基準どおり2回以上行った学校は4.5ポイント増加しました。さらに、1回行ったとあわせると16.2ポイント増加しました。

学校種別での傾向は平成12年度の調査と同じような傾向でしたが、実施率の増加傾向はいずれの学校種別でもみられました。

県別では、宮城県のほかに、東京都、愛知県、滋賀県、大阪府、香川県が90%以上の実施率で、その他の県においてもすべての県で増加していました。

次に、定期検査の実施項目について質問したところ、温熱及び空気清浄度の項において、必須項目である温度、相対湿度及び二酸化炭素の実施率は、それぞれ84.6%、50.6%、81.1%でありました。また、人工的環境で行う6項目の実施率は、一番低いものが実効輻射温度の8.2%、一番多いのは一酸化炭素の27.0%でした。必須項目の中で、相対湿度の実施率が低い結果でしたが、温度とあわせて相対湿度についても計ってください。

 二酸化炭素の濃度について質問したところ、すべて基準値以内が52.3%、基準値を超えるものが33.6%でした。二酸化炭素の検査をした学校でみるとすべて基準値以内が約60%となり、前回の結果と比較すると7.9ポイント低くなっていました。

その定期検査の結果に基づく指導助言と事後措置について質問したところ、何らかの問題があった20.1%のうち約65%は学校薬剤師の指導助言に従って事後措置を講じていました。学校種別では、前回の結果と同様に、幼稚園、小学校、中学校、全日制高校の順に適合率が低くなり、全日制高校では基準値以内は33.6%でした。小、中、高と児童生徒の体格が大きくなるにつれ、1時間の授業でも窓を閉め切っていると基準の二酸化炭素濃度を超える割合が多くなります。授業中は、換気ルールに従い常に窓を開けておくとともに、特に、休み時間は窓とドアを開けてしっかり換気をする必要があります。

 空気の定期検査には、温度や二酸化炭素などを測定するのに加え換気回数を求めることになっていますが、この換気回数について行ったか質問したところ、行ったところは、全体で40.7%と低い実施率でした。換気回数を求めた結果、基準値以上の換気回数であったところは、実施した学校のうち約60%でした。学校種別では、二酸化炭素の結果と同様に幼稚園、小学校、中学校、全日制高校の順に適合率が低くなる傾向を示しました。

教室の空気の状況を把握するのに二酸化炭素の測定をし、基準を超えている場合はその措置として換気が有効となります。さらに、その状態を授業時間中持続しなければなりません。その効果を確認するために換気回数を求めることは重要な意味を持つので、必ず実施してください。

平成14年2月5日付けで学校環境衛生基準が一部改訂され、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドなどが定期検査の項目に加えられたが、3年経過したのにホルムアルデヒドの実施率が68.5%で、まだ一度も測定していないところが31.5%ありました。

平成16年度に実施したホルムアルデヒドの測定結果について質問したところ、測定した学校のうち72.0%が基準値以内で、さらに、基準値の2分の1以内であるのは約70%でした。ホルムアルデヒドを測定した学校のうち、基準値を超えていたのは全国平均では22.5%でしたが、県別でみると、30%以上基準値を超えていたのは11県ありました。

学校環境衛生基準では、基準値の2分の1以内の場合は翌年度の測定は省略できることになっていますが、教室の補修等を行った場合は、測定するなど確認をすることが必要です。まだ、測定していないところも早速実施して実態を把握してください。

 平成16年2月10日付けの学校環境衛生基準の改訂で、アレルギーの原因となるダニ又はダニアレルゲンの測定が加わりました。平成16年度に早速、ダニ又はダニアレルゲンの測定を行った学校は16.0%と低い実施率でしたが、測定を行った結果は、約80%が基準値以内でした。基準値への不適合率は、学校種別では特に差はみられませんでしたが、県別では、実施した半分で基準値を超えているところも数県ありました。アレルギーの原因物質の一つは、ダニの死骸及び糞等ですので、基準値を超えている場合は、まず掃除することが重要です。ダニ又はダニアレルゲンの測定はアレルギー性疾患の指標となるので、必ず実施してください。

また、平成16年2月10日付けの学校環境衛生基準の改訂では、二酸化窒素の測定も加わりました。平成16年度に二酸化窒素の測定を行った学校は21.2%でした。

暖房器具が石油、石炭、ガス等を利用するもので燃焼ガスが室内へ放出される方式では、二酸化炭素のみならず、二酸化窒素も放出されます。燃焼方式別での実施率では、いずれの方式においても測定はされていましたが、燃焼ガスが室内へ放出される方式で25.1%と一番多く実施されていました。

今後は燃焼ガスが室内へ放出される方式はもちろんのこと、それ以外の方式においても、二酸化窒素が検出されることがあるので、もっと二酸化窒素の測定を行ってください。

 次に、日常点検について5つの質問をしました。

教室の空気について日常点検を行っている学校は55.5%で、前回より6.6ポイント増えていますが、そのうち記録をしている学校は7.1%と前回と同様に大変少ない結果でした。

県別では、日常点検の実施率が70%以上ある県が5県ありましたが、そのうち、岐阜県では記録をしている率も高く、約半数が実施していました。

点検した結果を記録することによって、事後措置のために役立つ資料として利用できるので必ず記録をしてください。

日常点検の項目は、温度・臭気・換気・その他を点検しているという学校が一番多く56.1%、温度・換気を点検しているのが次に多く19.6%でした。臭気は換気の状況を把握するのによい指標となるのであわせて行うとよいです。

この日常点検の実施者について質問したところ、ほとんどが学級担任で、養護教諭がそれに続いています。学級担任は一番変化に気づきやすいので、日常点検の実施者として適しています。

また、教室の換気をする場合、主な方法について質問したところ、常に欄間、窓、戸を少し開け、休み時間に窓、戸等を開けるという理想的な方法が一番多く43.5%でした。次いで、休み時間に窓、戸等を開けるという方法で37.1%でした。

換気方法と二酸化炭素の測定結果の比較では、休み時間のみ窓、戸等を開けるという方法で基準値を超えている率が一番多くありましたので、授業中も必ず欄間、窓、戸を少し開けてください。

 冬季における教室の換気は、小学校では教師が行う割合が多く、中学校、全日制高校では生徒が行う割合が多いという結果でした。前回と比較すると、いずれの学校種別においても児童・生徒が行う割合がそれぞれ減少したことにより、全体で10.1ポイント減少しました。授業中は教師が窓開けを指導することが望ましいが、休み時間は、児童・生徒も積極的に関わってください。

まとめ

以上、平成17年度に実施した結果をまとめますと、次のことがいえます。

教室等の空気に関する検査は、建築構造の気密化・断熱化に伴い、児童生徒がより快適にすごせるように温熱環境と空気清浄度に重点が置かれてきました。しかし、近年では、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドやアレルギー性疾患を引き起こすダニアレルゲン等の問題が生じてきており、学校環境衛生基準においてもそれらに対する測定が規定されました。

今回調査した結果では、5年前の調査結果と比較し、二酸化炭素の基準適合率が減少していました。また、ホルムアルデヒドについても基準値以上のところが一部ありました。教室の空気を清浄に保つためには換気を行うことが有効ですが、教室の換気状況を把握する換気回数の検査は低い実施率でしたので、必ず換気回数の検査も行い換気方法が適切かどうかチェックしていただきたい。

ホルムアルデヒドについては、定期検査の項目に加えられて3年経過しましたが、一度も測定をしていないところがまだあります。また、平成16年2月より基準に加えられたダニ又はダニアレルゲン及び二酸化窒素については、低い実施率でしたので、実施していないところは必ず実施してください。

なお、本調査は、マークシート方式を採用して2回目でしたが、前回と同様、基礎データの記入漏れや記入不備等による集計不能がわずかにありました。せっかく行っていただいた貴重なデータも基礎データの記入不備により集計に反映されなくなってしまいますので、次回からは注意してください。

終わりに本調査を実施するにあたり、ご指導とご協力を賜りました文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課、各都道府県市町村等の教育委員会に深く感謝いたします。