at Gallery Kitamura


*舟越桂さんが期待の作家を選んで応援するという贅沢な企画展にて*

 

 

 

 

藤波 洋平 展

2001年6月12日〜7月8日

 「君は絵を描いている時、何を考えているの?」、私は聞いてみた。受話器にゆっくりとした声が返ってくるのに間があった。そしてこんな言葉が途切れがちに並んだ。「形をちゃんとさせたいんです…。そして色は…見えたように…。」それだけ言うのに20秒ほどかかった。

 きっと頑固者だ。言えることだけをゆっくり選んで大事そうに語りかける。それは彼の絵の描き方と同じだ。何よりも彼が感じたモデルの存在感、それに近づけるため食い下がる頑固さがあってこそ、他の誰にも描き得ない藤波洋平の絵が生まれてくる。それは彼の絵に確かなオリジナリティーとアイデンティティーを与え、彼だけの切り拓いた世界を見せ始めるのだと思う。

 どんなに使い古されたテーマや技法ででも、自分の中に何を見て、そしてそれにどこまで 迫っていけるかで新しいもの、新しい世界は生まれ得ると思う。それらは無限に用意されているのだと信じている。藤波君の絵を見る時、私はいつも、その証明を見る思いがする。

                    2001年    舟越 桂

 

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