at Gallery
Kitamura
| ここでは舟越さんが彼の後に続く若き作家たちに送った言葉を紹介したいと思います。舟越さんが推薦する作家たちのプロフィルの一端を窺い知ることができるだけでなく、舟越さん自身の日本のアートに対する熱い思いが伝わってきます。 |
|
|
町田久美展 2002年7月16日〜8月11日
|
時代の絵画を見つめることからでなく、自分の中を覗き、見つめることから生まれてきたのが町田久美さんの絵なんだと気付くのに少し時間がかかった。「1ヶ所もはみ出たり、かすれたりしないように1本の線を墨で埋めていく」という話を彼女から聞いたのがきっかけだった。向こうみずな勢いで自由に引いた線の生々しい強さを望むのではなく、あたかも決められた線を、写経するようにていねいに思いを込めて、体験しなおしていく作業、それが町田さんの絵の片方の車輪なのだと思う。作業の中に思いを込めること、そしてその思いをむやみに露出することを避ける。そんな表現方法もあるのだ。 彼女は能の話や、最近行ったベルリンの街の新しいエネルギーの中に、置き忘れられたような古く暗い建物について話してくれた。明るさや自由さよりも、少し不自由な制約や足かせ的なものがある方が自分の表現方法としてしっくりくるらしい。もしかしたらクラシックの音楽家のように音符をたどりながらも実は自分だけの音や組み合わせをつくり上げようとしているのかもしれない。 誰でも知っているキャラクターを使い、あるいは出会わせ独特な世界をつくり上げていく、それがもうひとつの車輪。しかしその世界にはほんの少し不安が漂っている。その不安と祈るように描いた線を味わった時、もどかしさや、切ないような思いが、私たちの前に立ち現れてはいないだろうか。 |
Copyright © 2002 Gallery Kitamura, All rights reserved