at Gallery Kitamura


*舟越桂さんが期待の作家を選んで応援するという贅沢な企画展にて*

 

 

 

 

荒井伸佳展

2003年7月07日〜8月02日

何をしたいのだろうと思った。  
私には無い感覚だと思う。そして美術の世界ではあまり見たことのない感覚の作品を、そんなものを荒井君は見せてくれる。  
彼の作品が気になりだしたのはいつごろのことだったろう。あの形はどこから発想したのだろう? 何故あの材質を選んだのだろう?  

工業製品のような肌合いのもの、しかもそれは彫刻によくある重量感や堅牢さといったものも感じさせない。ならば他に彼の狙いはあるはずだ。その時だったと思う、私の中に荒井伸佳という作家への興味が湧いてきたのは。

エドワード・ホッパーの絵を初めて好きになった時も、ある疑問の言葉がきっかけだった。「何故、ここでやめられるのだろう?」その言葉が転回点だった。たぶん凄い人なのだ。そして大好きな絵のひとつになった。  
荒井君の出してくる作品は、私の発想や感覚とは別の地平からきているように思う。それなのに「何かが完成している」ということは感じる。個々の作品に完結感がある。もう手は加えられない、という気がする。それは作品として成立しているということなのだろう。彼がいなければ、私はこの扉を開けられなかっただろう。そしてあの感覚を味わうことはできなかっただろう。だから、やっぱり荒井君もわたしに美術を教えてくれたひとりなのだと思っている。

                2003年    舟越 桂   

 

 

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