到達度評価(完全習得学習)

1.概論

  到達度評価という考え方が日本において、本格的に取り組まれ始めたのは1976年京都においてであった。その後、この下伊那でも神波先生によって、その理論による実践の試みが始められ、木下陸奥先生の指導によって、近年大きな成果を上げてきている。また、筑波大学の中山先生、信州大学の東原先生が作られたCAI(コンピュータ学習支援システム)も、到達度評価の考えを元にしている。しかしそのおおもととなっている考え方というものは、アメリカの教育学者B・S・ブルームによって提唱された考え方(完全習得学習)である。この到達度評価において重要になってくるのが、到達度評価そのものは子どもの資質を評価する道具ではないということである。相対評価や絶対評価というものは固定化されたカリキュラムにおいて、学習結果として、その子どもの優劣を判断するために使われてきた。しかし、そのことで子どもたちに学力をつけさせることが出来ないという現実にぶつかり、子どもそのものを評価をするのではなく、子どもを通して授業やカリキュラムを評価するものとして到達度評価というものが考えられたのである。到達度評価の大きな目標としてあげられるのが「すべての子どもたちに確かな学力をつける」ということである。そのために、カリキュラムに子どもたちをあわせるのではなく、子どもたちにカリキュラムをあわせるという考え方を導いていったのである。そのため、そのカリキュラムを経た学習結果というものは、等しく「優(十分な到達)」になるはずなのである。到達度評価による視点で作り出されるカリキュラムは次のような段階を経ていくことになる。
第1段階子どもたちの成長段階にあわせ、単元を設定する。
その中で、最終的な評価、到達目標を設定する。
第2段階単元に入る前に子どもたちの現状の診断する。
単元で必要な知識、技能、意欲が十分に備わっているか見とる。
十分に備わっていないときには、復習を行ったり、補習を行ったりする。
第3段階子どもたちの実状にあわせ、細かな評価段階を設定し、到達目標を明らかにする。
実際には1時間1時間の評価段階や到達目標となる。
第4段階第3段階で決めた目標を達成するために教材や教具、時間を含めた教育方法を考える。
第5段階子どものつまづきを予想し、解決に導く手だてを考え、実際に授業を行う。
第6段階第3段階に設定した到達目標に達したか、評価を行う。
この際に、十分な到達が得られなければ、違う教育方法などでフィードバックしたり、
少数であれば、補習を行ったりする。
 ※ 第3段階から第6段階を単元終了段階まで繰り返し行う。
第7段階最終的な評価を行う。
この際に十分な到達が得られなければ、その問題点を明らかにして、宿題などを含む補習を行う。
大切なのは、この単元にかける時間すらも可変的にとらえるということである。