誰もが日々の暮らしに忙しく、私たちの暮らしの場がいつのまにか変化し、みどりが失せ、人に寄生して生きている生物を除いて、身近に、多様に存在していた「多くの生き物たちがいなくなっていること」に気づいていない。
 いま、この荒々しいまちの影響を受けて、群れ、支えあって暮らしてきた私たち自身の心がすさんで、まちはふくれっ面の人々でみちている。
 かって、ともに暮らしてきた多くの生き物たちが逃げ去ってしまった環境に、動物である私たち自身が、本当に意味をもって豊たかに生き、暮らすことができるだろうか。
 そこで、この人と環境の相互作用に注目して、動物である人が、意味をもって豊に生き、暮らすことのできる環境を身近に復活させる試みを考え、このテーマを、 

においたところである。
 「蝦蟇山舎づくり」とは、水辺などに棲息する蝦蟇(ヒキガエル)が、世代を超えて私たちとともに暮らせる環境を、水源が存在しない丹沢南麓の尾根の畑地に創造する試みであり、「多くの生き物とともに暮らせる生物的環境構造」を、この小さな宅地につくりだそうとするモデルを指している。
 ここでは、右の写真にみるとおり、
  
○ 樹木、草本類などの密植と池の設置
  ○ 落ち葉や樹木の剪定くずなどの積極的な放置
  ○ 厨芥類などのコンポスト化とそれの長期保管
  ○ 小鳥の巣箱の設置やヒキガエルのふ化と幼生の放逐

などを1989年から実施している。
 その結果、およそ18年経過後からこの小さな宅地で繁殖をくり返した生き物を紹介すると、
  ほ乳類  モグラが少なくとも1家族
  鳥類    シジュウカラが1家族
         (28mmの巣穴に入る痩せ雀との
巣の争奪戦中)
  は虫類及び両生類
        ヒキガエル約10〜20個体
        アマガエル、10〜15個体
  昆虫類  カマキリ(冬季発見の卵で10〜15個)
        コオロギ類
          (スズムシ、カンタンを含む6種
類)
        
ツマグロヒョウモン(本年はじめて繁殖行動を
        確認)などの蝶類

        
ミヤマアカネなどのトンボ類
など、もともとの畑地にはいなかった約100種類をこえる生き物が棲息するようになってきている。
 こうして、身近な生き物とともに暮らせる家づくりの中から、小さな庭でも「自然出生」がイメージできる場が造成でき、訪れる人々に少しでも精神的豊かさを与えることのできる環境づくりが、いまわずかづつではあるが成功しつつあると考えている。

(平成20年3月1日改訂)

設置場所の全景(丹沢山麓の尾根) 

蝦蟇山舎の全景

樹木の密植と落ち葉などを放置した庭

蝦蟇合戦をまつヒキガエル(雄)
               (平成16年春)

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蝦蟇山舎づくり      の意味