性略 〜後宮での秘め事〜

…あなたは私の物…もう誰にも渡さない…
性略
〜後宮での秘め事〜

Mutation


操作性
ADVを基本にして、軽くSLG的な要素を加えた感じのゲーム。
その分ゲーム性が高いというかプレイヤーの考える事は多めです。
クリアまでの時間はゲーム内期間をフルにやりきって3〜4時間と言った所。

操作性の面では古いゲームのせいか不備が目立ちます。
バックログの参照機能がないのはノベル型ADVではないので目をつぶるとしても
スキップ機能がエンターキーなのが少々痛い。
高速で文字を送ることができますが、選択肢を勝手に決定して先に進んでしまうので
そこには注意が必要になります。


音楽
舞台が古代中国っぽい感じの世界なので
音楽もそれに合わせて中国っぽいイメージです。
テクノ入っているような曲も結構ありますけど。

それほど本格的なものではなく気軽に聴ける出来栄え。
どことなくバカっぽい音楽が多かった覚えも。
この中では「才色兼備」「烈火の如く」が好きですね。


システム
主人公の皇太子として、90日間の間に六人の后候補の一人と愛を育んで妃に迎える、
というのが最も基本的な流れ。

ここに関しては后候補たちの部屋を訪れると
好感度が上がっていくというよくある部分なんですが
『性略』では一人の后候補にかまけていると、
その候補に対応する特定の候補によって暗殺されてしまいます。

そのためプレイヤーは、ヒントを与えてくれる占い師や
太子の手足となる密偵を駆使してそれを防がなくてはなりません。
これが『性略』最大のポイントと言いましょうか、一番面白い部分ですね。


難度はそれなりに高め。
もちろん複雑な工程を経なくては暗殺を防げないわけではありませんが
自分も一人にかまけていると殺されるということは知った上で初プレイしたにもかかわらず
二人も殺された挙げ句、時間切れのゲームオーバーという悲惨な結末を迎えました(苦笑)
とはいえ、一人殺されてから俄然面白くなったのは確かです。

もうひとつ特徴的なのは、暗殺を防ぐことによって、
殺されそうになった被害者側のヒロインではなく
殺そうとした加害者側のヒロインに
通常ED、殺人ED、反省ED、後悔EDといったEDの分岐が発生することでしょうか。
暗殺が成功した場合に加害者ヒロインとEDを迎える殺人EDなんかは明確なバッドEDですし
EDが暗殺の相関関係やタイミング、ゲームコンセプト等のヒントになっています。


あと、太子の仕事として内政と軍事のパラメーターがあり、これはマックス100で徐々に下がっていき
60を切る前後になると強制で数日を使うことになるペナルティがあるというもの。
自分はこういう数字いじりは嫌いではないのですが、制約以外に特に意味のある数値ではなかったので
サブキャラの出現条件に関わるなど、何かしらの形でゲームに反映してほしかったと思います。


設定・シナリオ
大陸は戦乱の時代を迎えていた…

諸侯たちは天下を統一し、唯一の絶対者・支配者になろうと目論んでいる。
下剋上・裏切りは当たり前、勝者のみが正しいと考えられていた。

「仁」国の君主は病に倒れ、その長男が後を継ぐことになった。
長男が君主の座につくには、子孫繁栄を約束するための掟、
必ず結婚していなければならない。

その后候補は五人、いや、隣国の姫を合わせて六人いる。
后候補たちは、全員自分が選ばれると信じている。

もしあなたが、他の候補を選んだりすると……


一人のヒロインばかりを追いかけていると、他の后候補に暗殺されてしまうという
エッジが効いたシチュエーションを誇る、謀略のキナ臭ささが印象的です。
性略は政略であり、後宮の秘め事はある意味文字通り後宮での謀略を指すという特異なゲーム。
中国後宮の人豚とか皇太子廃絶とかああいうノリです。

狙われたヒロインを助け出すゲームというよりは、
暴走するヒロインを必死に手綱を引いたり鞭を入れたりして
いかになだめていくかを楽しむゲームと言った印象ですね。


作品を通してライターさんがエロゲー向きではないか、慣れていないという感じがします。
自分の知識を作品に載せたがるタイプで、実際歴史絡みの知識は豊富で実力もありそうですが
それらがエロゲーとして受けやすい要素との間でうまく発揮できていないような印象を受けました。


独創性
特徴な要素が結構多いゲームで、まず文体があげられます。
小説に近いというか、比喩と暗喩と隠語を多用したものです。
卑語絶叫系とはちょうど真逆の立ち位置で
面くらう人も多いのではないでしょうか、自分も最初はビックリしました。
ただ個人的にはこういうのは嫌いではありません。


文体に伴ってか、世界観もかなり独特と言えるでしょう。
ヒロインの服装など、なんちゃって古代中国世界観なのは間違いないのですが、
なんちゃって中国はなんちゃって中国なりにディテールが凝っていまして
エロシーンがあるサブキャラの中に宦官がいたりします。
(正確にはカストラートですが)

まぁ何言っているのか、よくわからないかもしれませんが
なんちゃってなりに意外とリアリティみたいのはあるという事です。
エロゲーでウケやすそうな要素をいれるよりも、
世界観のそれっぽさを優先しているフシもありますしね。

もっとも主人公のデフォルト名が、ありがとうorごめんなさいの謝意だったり、
スケベな老大臣の名前が衛呂位、配下の女将軍が豪毛という名前だったりと、
狙っているのか素でやってるのかそれともなげやりなのかよくわからない一面も。


最後になりますが、このゲームはキャラデザインが素晴らしいですね。
そのものも凄く良いのですが、非常に肉感的でくらくらするように艶めかしいという。
それが小説的な文体にとても合っています。一目でファンになりました。


全般
個人的に着眼点は面白いと思うのですが、
様々な所で詰めというか練りこみが甘めなのが残念。

例えば「性略 〜後宮での秘め事〜」というストレートなタイトル名や
「恥らいの中の色気」というパケ裏の煽り文を見ると、
パケ裏にはヒロイン達の殺し合いという要素も同時に示唆されているとはいえ、
太子が寝技で后候補をどうこうするゲームだと
思われても仕方がない部分もあるかと思います。

まあ、ちゃんと殺しあうと書いてある以上、
メーカーの責任というよりプレイヤーの読解力の問題ですけど。

ゲーム中のフラグ管理にしても結構いい加減。
ルートによっては「今回その話はまだ聞いてねーよ」みたいな事が結構ありました。
また、サブヒロインの出現条件のキツさも異常です。

内政・軍事の数値維持にしても、単なる縛り以外何物でもないので、
その辺りがもっとゲームに反映されていれば、また違ったと思います。

そういった詰めをきっちり仕上げていれば、
化けたゲームであるのではないでしょうか。
全体的に惜しい所が多いゲームですね。


ただこのゲーム。
仮に化けていたとしてもメーカーの遺作になる運命は変わっていなかった気がします。
時代もの(しかも中華系)は根本的に売れないケースが圧倒的ですし
その上ヒロイン同士の殺し合いというエキセントリックな要素を持つとなると…。

ここまで色々とブツクサ文句をつけていますが
個人的にエッジが効きすぎているところに惹かれて購入したのは事実なんで
完成度とか抜きにして「これはこれでOK」と思っています。

これはギャグでやっているのか? という要素や宦官とか
ビックリするくらいあっさり殺されるヒロインなど
素で目が点になるシーンとかも多くて
その意味でも何かと印象的なゲームでしたね。


得点
対応OS Win95/98
発売(開発) Mutation
発売日 2000年6月23日
価格 8800円(税別)
備考 メディア:CD−ROM 2倍速 1枚
(4倍速以上推奨、CD−DA対応ドライブ)
CPU:P-133MHz以上
(166MHz以上推奨)
メモリ:32MB以上
(64MB以上推奨)
HDD:250MB以上推奨
ディスプレイ:640×480HightColor/24bit Trucolor以上
サウンド:CD−DA
インターフェース:マウス(マウスカーソルの操作が可能な機器)
ジャンル:アドベンチャーゲーム
種別:18禁

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