客(A)と客(B)との会話-NO.5(天皇?)
ある酒場での定年退職らしい80歳代の男性と30歳代のサラリーマン風の
男性の会話(某日から約1週間後)
(A) やぁー しばらく…お元気ですか?ここの所寒いですね。高齢のわたしには
ひときわこたえます。
(B) 今年は大変寒さが厳しいようですね。豪雪の被害が沢山出ているようで…
(A) ところで 最近“皇室典範”の改正が盛んにニュースになっていますね。
わたしなんか庶民には よく分からない議論なんですが…皇室や天皇の
跡継ぎが何故そんなに問題なのでしょうかね。
(B) わたしにも もうひとつピンときませんね。
(A) このニュースから近頃わたしは天皇や皇室が 私達にとってはどんな意味
があるんだろうなと考えるんですよ。こんな事を言うと “お前なにを言って
るんだ“と叱られそうですが…あなた そんなこと考えたことはありませんか?
(B) そう言われれば 改めて考えたことありませんね。自明のことだと思っているん
でしょうかね。
(A) そう…そうなんですよ。わたしのような戦前・戦中派の人間は特に 天皇は
神(現人神)だと教えられ 天皇の為に命を捧げるんだと戦争に駆り出され
たんですから 天皇の意味なんて 考えるだけでも恐れ多い そんな奴は
非国民だったんですよ。
(B) そうですよね。
(A) でも 今は考えたって非国民ではないでしょう。
国の憲法に“天皇は日本国民統合の象徴”だと書いてあるそうですが
国民統合の象徴とは一体どういう事なのかと考えるんですよ。こんな事を
言うと笑われるかも知れませんが…あなた その意味がお分かりになりますか?
(B) さあー
(A) 例えば 家長たる父親は家族統合の象徴だとか 社長は社員・従業員統合の
象徴だとか言ったら笑われますよね。そんな比喩は天皇には当てはまらないと
言われれば それまでです。
わたしは大学の先生ではありませんから 科学的・理論的な説明なんて出来る
わけはありませんが…こんな風に考え出すと益々分からなくなるんですよ。
(B) そうですね。象徴とはつまりシンボルですよね。旗でも 何かの建造物或いは
富士山でも いいわけですよね。
(A) そこなんですよ。何故天皇なのか?…戦中のわたしなんかは 国民は
天皇の赤子(セキシ)だと教えられ…つまり日本の国民は皆天皇の子供
だったんですよ。いわば天皇一家みたいなものですよ。
しかも 当時は天皇は神格化されていましたから 国民は神の子だったん
ですよ。そういう状態の中では 天皇は象徴だと言われれば なんとなく分かる
ような気がするんですよね。
(B) へぇー そんなものだったんですか。
(A) でも…敗戦後天皇は“人間宣言”をされましたよね。つまり天皇は神ではなく
国民と同じ人間なんだと…それで益々分からなくなったんですよ。
(B) わたし 今気がついたんですが 宗教団体というのがありますね。その教祖という
のは信者統合のシンボルみたいですよね。つまり教祖はまぎれもなく
人間なんですが 信者の教祖を見る目は 教祖を通して神(仏)を見ているわけ
ですよね。だから信者は教祖の言葉を神の言葉として聞くわけですよね 天皇が
国民統合の象徴だというのは 形としてはそれに似ていませんか?
(A) そう言えばそうですね。
天皇(皇室)といえども 歴史的には所謂中央集権の封建制と言われる
社会システムの中で 競争或いは戦争によって統治者の地位を得て
その地位の安泰のために 日本古来の神道に寄って自らを神格化するという
道を歩んだのではないでしょ うか。
幕府もまたそれを利用して 建前は勅命によって 将軍職として統治者の
地位を得たものでしょう。
ちなみに 天皇という呼称は中国からきた神格を表す名称だそうです。
それで話はチョット飛躍しますが 天皇は戦後せっかく神格化という足かせをはずして
人間ということになったわけですから 一度今の状態から退いて(退位と言いますか)
我々と同じように 姓は何というのか分かりませんが 一家を構えて その上で改めて
国政の中で職というか地位というか それこそ憲法の中で明確に定めて…ただし
象徴などという曖昧なものではなく 現在天皇の公務と言われているものを仕事とする
“職名”にすればと思うんです。
勿論序列的には最高・・お手当も最高・・処遇は今のままでもいいかも・・そしてこの
職だけは世襲制を認める事にする。
そうしたからといって国民の天皇に対する尊敬が変わるとは思いませんよ。
(B) 大胆なご意見ですね。右翼系の人からは そんなことは不遜極まりないと言って
なぐられそうですね。
でも そうなれば制度的にはなんと言うのでしょうね。
(A) わたしは学者ではありませんから 何というのか分かりませんが 所謂天皇制
ではないでしょうね。やはり“民主制”でしょうか。
そこで 世襲についても 誰が継ぐかは それは天皇一家の問題であって
他から干渉すべき問題ではないと思いますよ。従って“皇室典範”なんて
必要ないんですよ。ただし世襲制となると何らかの法は必要でしょうが・・
これは暴論でしょうかね。勿論こんな事が受け入れられる筈はないんですが
これも一つの方向のように思うんですがね。歴史の総括という意味も込めてね。
ああ・・すっかりしゃべり過ぎました。またうちのばあさんに皮肉を言われますので
このへんで退散します。・・では・・ごゆっくり・・
(B) わたしもそろそろ退散します。有り難うございました。
今日も勉強になりました。