《ふたつの初めてのライヴハウスで演奏して》
 10月15日に大阪のジャズライヴハウスの老舗、「ロイヤル・ホース」に澄 淳子さんと、そして12月1日には横浜の「モーション・ブルー」に私のカルテットで、それぞれ初めて出演させて頂いた。どちらも頻繁に演奏させて頂きたいと思う素晴らしいライヴハウスであった。
 「ロイヤル・ホース」は大阪で私がジャズを知ったころから既にでーんと老舗であった。学生バンドで「バーボンハウス」に出させてもらっていた頃は、はるか遠い存在に感じていたのでとても嬉しかった。反面、そんな長い間老舗として君臨しているライヴハウスに感じる恐怖もあった。しかし凝り固まったカラーの様なものはなく、リラックスした中にもきちっと誇りが感じられてほっとした。saxの塩谷博之さんの紹介で大阪で活躍する、三原さん(bass)と岡野さん(drums)に初顔合わせでお願いしたののだけど、関西人特有のほわほわのミュージシャンで(関西人といっても“えげつない系”と“ほわほわ系”に二分される)私はいきなり和むことが出来、楽しかった。ピアノは古いけれど長年のメンテナンスがよっかったのだろう、全体がじんわりと鳴っている感じが鍵盤に伝わって来て、好ましかった。また人生の半分以上という長い付き合いの友人たちが来てくれた(皆その学生バンドで一緒にやった面々だ。)とても楽しんでくれて、よいライヴになった。
 また横浜「モーション・ブルー」は、赤レンガ倉庫がリニューアルされる時に、ライヴハウスが出来ると知ってうれしく思ったけれどもブルーノート系列と聞き、ほとんど外国のミュージシャン専用になるのだろうと思っていたら、国内のミュージシャンも時折演奏していて、今回私も出られることになった。さすがメジャー系ライヴハウスで素晴らしく色んな事が行き届いていて大変気持ちよく演奏した。まずピアノはヤマハのCF3というとても長いコンサートグランドで、調律士の方が調律を終えて待機し私の注文に応えて下さった。もっともペダルを少し調整してもらっただけで、ピアノ全体が豊かに響き倍音が豊富で、ダイナミックレンジが広く、とても良く整調されたピアノだった(せっかく弦が同様に長いのにそば鳴りしかしないものも多い)。鍵盤の手ごたえもしっかりしていて強靭で、しかも反応も良く、何の心配もなく好きに弾くことが出来た。音作りの段階ではスタッフが数名で段取りよく動いてくれた。少し癖のある音場で、池長氏の用意したドラムが相性が悪く、ハウスの楽器に入れ替えるという作業なども速やかに進みお見事であった。モニターなどの設備も申し分なく、他にも、控室や食事など完璧で、音楽のことに集中出来、しかもリラックス出来る配慮がなされていた。世界でもそう多くないのではないかなあ。(スイスのライヴハウスには結構多かったけど、ヨーロッパではピカ一ということだし。) 
 両ライヴハウスともに共通して最も気持ち良かったのは、ミュージシャンに対するrespectが感じられたこと。これはきちっと音楽を聴かせるライヴハウスの誇りの裏返しに他ならないと思う。もちろんミュージシャンはいつも演奏させてもらえることに感謝し、出来る限りのいい演奏をすべての人のために、しようとしているので、立場が50+50なのだ。そして、両ライヴハウスは海外の有名どころも迎えているが、別け隔てをしていないと感じられた。とても自然で、フェアーだった。これらは店の空気に反映されるし、聴く人もそれによって変わる。演奏する側は当然心持ちが全然違ってくるし、一緒に演奏しているメンバーの音や気持ちやエネルギーを次に生まれる音の糧にするように皮膚で店全体の空気やエネルギーを感じているので、大きく影響される。心を開いた、聴き手、店のオーナーやスタッフ、そしてミュージシャンという三角形は良いライヴに欠かせない。  また近いうちにまた、「ロイヤル・ホース」、「モーション・ブルー」両ライヴハウスに出演させて頂きたいと思う。

高田ひろ子
2003.12.14

このページでは、高田ひろ子からのメッセージを不定期(目標月1回)に掲載しています。

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