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2005年5月4日から5月16日、久々にヨーロッパに行って来た。 5年振り。その間、行きたい気持ちをなだめていたが、バンツと演奏できるし、息子の恵琉馬は来年から小学校だし、今年行かずしていつ行ける!とばかりに、思い切って親子で行って来た。 スイス人ベーシストの友人バンツ(Baenz Oester)は、去年秋に、田舎に引っ越していて、(とはいっても、前住んでいた所は首都ベルンから車で15分くらい、引っ越した所はそこからさらに20分くらい奥に入ったに過ぎない)古く大きな農家で部屋もあるし、5歳の恵琉馬にはとても良いところだから、おいでと言ってくれていた。 久しぶりのバンツとの再会は、最早10年の付き合いなので、古い友人に会えた安心感と言えるものがある。恵琉馬もそれを感じるのか、いきなり手をつないで一緒に歩き始めていた。(バンツもOpen Mind の人だし、人懐っこいのは、恵琉馬の持って生まれた才能だし。) Bernの市街をかすめて、前の家の横をバンツの車は通りすぎた。初めてスイスに行ったとき、Bernのホテルから土井君はじめ録音の関係者一同で、バンツの家でのリハーサルのために通った道だ。初めての土地を訪れた時のどきどきする感じと、信じられないほどの景色の美しさとバンツの高い音楽性に心底陶酔し(これは今も同じ)高揚していたのを思い出す。その後、何度も訪れ、歩いたりしてなじみのある通りとなった訳で、さらに、懐かしい。 そこから、線路沿いに走り、短いローカル線の終点あたりから、本格的に、登り始める。一層、民家はぽつぽつとまばらになり、風景は牧草地の変化ある丘の重なりのみになっていく。草を食む牛や羊達、タンポポなどが一面に咲く野原、まさしくハイジの世界だ。「ここがこの村の中心」と彼が言う所は、バス停の一角。そこに何でも売っている小さいお店がある。街の老人達の社交場にもなっているとバンツは言う。日に一度、パンやミルクを買いに来て、話し込んで行くらしい。 そこからさらに車で5分くらいだろうか、わき道に少し入り、ついに到着。古い大きな農家が20メートルくらいの間隔を置いて3軒、その真ん中が彼のうちだ。一軒は、20頭ぐらいの白黒の毛の長い羊を飼っているが、いわゆる兼業農家。息子は車で30分のベルンに働きに行っている。もう一軒は既に農業はやっていない。バンツの家の約1/3は干草用の倉庫と冬の牛達の居場所(もちろん今は使っていない)。他の2/3に人間の住居がある。1階には彼の仕事部屋兼寝室、グランドピアノとドラムセットの置いてある音楽室、暖炉のある居間と、ダイニング。2階の大きな2部屋は私達のために用意してくれていた。大きなバスタブのある浴室もあった。すべての部屋の窓からは、写真のような風景・・・。丘の中腹にあるので向かいの丘の牛達や、遊ぶ馬の親子が窓枠に見え隠れする。(スイスはうっそうとした深い森はそう多くないが、木々の美しさは風景の決め手になっている。いろんな種類の木々があるのだ。ひとつの木々の塊の中に、薄い黄緑から、深い緑まで色んな色、形、たたずまいが混在している。緑のグラデーションなんて、それだけでも美しいじゃない?) 感心するのは、古い農家といっても中はとても使いやすい事。冬が長く厳しいので暖房は良く考えられている。薪ストーブが家の中心にあって壁に埋まっている。壁全体を暖めるのだ。そして煙突から外に出る前に暖かい空気は各部屋のダクトを通る。先の居間にある暖炉(といっても、大きな石のベンチのようなもの)の中も通り、それ自体を暖めるというわけだ。朝、一度薪を焚けば、壁や暖炉は夜までほんのり温かい(このときの外気温は昼12〜3度、夜6~7度くらい)。都市ガスは来ていないので台所には4口の電気コンロ、蛇口をひねれば夜間電力利用の電気温水器から温かいお湯が出る。シンプルでいて、とても近代的、それに合理的だ。(ただし、巻き割りは必須の原始的力仕事。これが又朝の体操代わりで体には良いんだって。)これらは持ち主が人に貸すため特別に設えたわけではなく、当たり前なのである。 スイスの平均収入は世界一だそうだ。その代わり物価も高い(しかし世界一は東京!)。しかし、今回、家の設備や、窓枠、床などの基本的に必要なものに、けちっていないことに気がついた。又、家の外装にもお金とセンスが十分に活かされている。だから、とにかく快適であり、しかも街全体として美しい。それらは価値ある消費と思う。ほんとに豊かだなあと思う。そうやって自分の住まいを大事にし、周りとの調和を重んじ、街の美しさを誇りにしている。・・・日本はどうだ?家や店を建てるとき周りとのバランスを考える人はいるのだろうか?店の看板は目立てばよい、自分のうちがきれいであれば他はどうでもよく道端にぽいとごみを捨てる・・・あまりに幼稚だ。・・・・いかん、又怒りのコラムになりそう。 ところで、恵琉馬はといえば、初めて訪れたとは思えない落ち着いた態度で、すぐにとけ込み、とても楽しんでいた。横浜では一緒に遊べとせがんだり、テレビを見たがったりするのだが、一切言わず、のびのびとゆったりとしている。バンツんちの猫(ロンピという名:犬につける代表的な名前だそうだ。「ぽち」のようなもの)と友達になったからかもしれない。ロンピもゆったりとそこの生活を楽しんでいる。バンツ曰く、越してからロンピは2キロ肥ったそうだ。猫には珍しく、恵琉馬をうるさがりもせず、ずーっと恵琉馬の後について遊んでいる。恵琉馬は絶えずロンピに日本語で話しかけていた。「ロンピはスイスの猫だけど日本語がわかる」のだそうだ。 それでは続きはまた。近々。 |
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高田ひろ子 2005.05.13 |