《オーストラリアの事:第3弾 まだある、素敵な事》
 良いなあと思ったことは他にもある。

 Andyと歩いていると5分に1人くらい、Hi Andy!と声をかけてくる。小さい町だからとAndyは言うけれど・・・。もちろんAndyの人徳ということもある。しかしそれだけではなく、なんだか人と人の関係が日本より1歩半ほど近い気がする。Andyは声をかけられて、Hi、元気?じゃね、とだけ言って別れるような事はほとんど無い。何かしら、社交辞令以上の会話をする。5分、時には10分。街では、スーパーのレジ係の人や、店の店員さんはみんな、How are you doing?なりちょっとした一言二言ではあるが、客に声をかけ、客はそれにきちんと応える。いちいち面倒じゃないのかしらと思うのだけど、どちらにもそんな様子は見えない。日本は“袖擦れ合うも多少の縁”どころか擦れ合うと舌打が聞こえたり、下手したら殴られるほど、他人との関係がギクシャク、ギスギスし、いらいらしている。店員さんは、ロボットと化していて、客に「こんにちは」と言うけれど、返事は全然期待していない。会話ではないのだ。なんと不自然、なんと淋しい事よ!怖いのは、ほとんどの人が変だと思っていないことだ。人間関係がもう少し密でなめらかだと、日本がいろんな面で良くなるのは確実だ。近年特に目立つ子供たちの犯罪や、子供・動物への虐待・・・。人間関係を密で円滑にするためには、まず他人を尊重し、ちょっとしたコミュニケーションを面倒がったり、恥ずかしがったりしないで、きちんととる。それだけでどれだけ違うだろう。話さなければ解らない事も往々にしてあるもの。忙し過ぎるのよね、みんな。5分10分の立ち話さえ、許さない社会がそこにある。

 ところで、滞在中、ラッキーな事にPat Metheny Trioのコンサートに行く事が出来た。外国で、日本でも聴いたアーティストのコンサートに行くのは初めてだ。すぐそばのレストランでマイクさん達と待ち合わせ。入り口のバーでCoopersを飲んでいると、ガラスで仕切られたすぐ後ろのレストランのテーブルでは、Pat−Trioのメンバー、Christian McBrideとAntonio Sanchezが食事をしている。8時開演の20分前なのに! しかしいつの間にか居なくなっていて、我々は5分前頃、そろそろ参りましょうと腰を上げる。開演時間なのに開場では皆うろうろ、がやがやしている。その雰囲気は、期待し興奮しているけど、とても寛いでいる感じ。自分の席に到着する前に友人に会い、あちこちで盛り上がっている。パーティー会場のように皆、上機嫌で、わさわさしている。開演時刻を20分ほど過ぎてだろうか、皆、申し合わせたようにふっと落ち着き、そのエネルギーをステージに集結する。大歓声の中、Pat登場!皆、しんと一気に静まり、ステージとホール全体は最高に良い張り詰めた空間となる。聴衆は音楽に集中し、大いに楽しみ、その熱い喜びを素直に表す。聴き方がとてもじょうずだ。Patも実にうれしそう。すごい集中力でまずはたっぷりSolo。その後、2人を迎えて、2時間弱、休憩無しでのすごいコンサートだった。
 驚くのは、3分の1ほどが60〜70代のご夫婦や、友達連れ!私の横の女性は、それくらいのお年で、なんと一人で来ていた!Andyに聞くと、「Patは演奏し始めて30年とかたつから、30〜40代からずっと聴いていれば・・」と言う。確かに。「いい年をして」と日本ではよく言うけれど、その後に続く言葉が間違えているのじゃない?「いい年をして大人の音楽も楽しめないとは、情けない!」が正しいのでは?


高田ひろ子
2006.04.11

このページでは、高田ひろ子からのメッセージを不定期(目標月1回)に掲載しています。

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