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今回のヨーロッパ訪問で初めてオランダ、アムステルダムに滞在した。B nzの友人でシンガーのSilviaの部屋に彼の計らいで泊めてもらう事が出来た。B nzのグループのCDで彼女の声は聞いていたし素晴らしいシンガーだということも知っていたが、面識はない。なのに彼女は快く部屋を提供してくれた。それぞれの友人関係の美しい“信頼”というところか。有り難いことだった。というのもアムステルダムはとても旅行者が多く、その日の宿を探してくれる頼みの綱のインフォメイションは長蛇の列。きっとホテルにたどり着いたころにはへとへとに疲れていたことだろう。彼女のへやは築数十年の古いアパートの3階。4階建てでエレベーターなどなく木の階段は恐ろしく急だ。アパートの玄関のドアは外からは鍵なしでは入れない。いってみればオートロック、でももちろん電気仕掛けなどではない。それぞれの部屋の呼び出しベルが玄関の外にあり、それを押して来訪を知らせるとその部屋の住人が、玄関から部屋の入り口までひいてあるロープをひっぱって玄関の掛け金を外すという完璧アナログ。下まで降りて行かないでもすむ原始的な仕掛け。でも4口のガスレンジにオーブン、給湯、お風呂などはヨーロッパらしく整っていて、内装も十分にメンテナンスしてある。古さ故の“味”さえ感じるものの薄汚れた印象など全くない。長く使うつもりで建てる、すぐに壊してしまわないで手入れして大事に使うというのはとても好ましい。彼女は実にシンプルに暮らしていた。中身も外身に似合っている。作り付けの棚や物入れ以外に収納家具はほとんどない。便利そうだけど、なくてもよい電気機器も見当たらない。冷蔵庫はほんの小さいクーラーボックス。いったい私んちの3ドアの冷蔵庫には何が入っていたっけと思う。リビング兼音楽室にグランドピアノとステレオ、そしてあちこちにキャンドルや小さい植物の鉢。合理的で質素で、気持ちの悪い贅沢品はなく、楽しみは同時にある。
B nzの住むスイスでも不思議なことに気がついた。3時頃から夕方にかけて、隣人の友達がなんとはなしに話にやって来たりする。大工さんのような姿の人、牧場経営者など。1時間程したら帰って行く。ちゃんと働いているのかしらと心配になって来る。でもかれらは言う。本来、1日3時間ほど働いて後の時間はぼーっとするのも含めて“楽しむ”のが自然なのだと。実際には3時間とはいかないんだろうけど、何とも余裕のある風情なのだ。賃金、社会保障、物価の安さなど日本より遥かに勝っているけれども、それだけではなくそれぞれの価値感でシンプルに暮らし、時間やお金をある意味で贅沢に使っている。日本ではわかっていてもそうはなかなかいかないのよね。遊びにくいようにできているもの。うーん。クッと働いてフーっと遊んで、無駄なくシンプルに生きるのは、意外と難しいね。
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