< 金 稜 辺 >

 

a 「山渓カラー名鑑 蘭 ラン」
  唐澤耕司監修  山と渓谷社
(1996) p.149 から 要約引用

c 「カラー版 ホーム園芸 日本の野生ラン 自然の姿を楽しむ」
  小田倉正圀著  主婦と生活社(1979) p.130 から要約引用

d 「ガーデンシリーズ 東洋ラン 栽培の楽しみ」
  ガーデンライフ編  誠文堂新光社(1976) p.25
  黒崎陽人執筆 「絵本 東洋ランの手ほどき」 から要約引用

e 「ガーデンシリーズ 東洋ラン 栽培の楽しみ」
  ガーデンライフ編  誠文堂新光社(1976) p.134
  大栄浩執筆 「その他の東洋ラン」 から要約引用

f 「カラーブックス372 東洋らん」
  沖田好弘著  保育社(1976) p.66 から要約引用

 

<学名>  Cymbidium  floribundum ( = pumilum )

<和名>  キンリョウヘン

<和名の由来>
  初期の観賞品に黄爪斑があったので、金稜辺(キンリョウヘン)
  と呼ばれる。
  初期のものが葉の縁に黄色の覆輪がはいっていたところからこの
  名があります。

<見どころ>
  
古く文明年間には日本に輸入されており、外来のランでは最も古
  い歴史をもつ。東洋ラン界では花より葉芸が観賞の対象となってい
  る。

  柄物に多数の名品がある。
  わが国に渡来したランのうちではもっとも古い歴史があり、文明
  年間にはすでに貴重な植物として培養されていたようです。明治年
  間に一大流行を見ながら、その後あまりめだたぬ存在となっていま
  したが、昨今は性質も丈夫で作りやすいうえに手に入れやすい価格
  になったためか、愛好者もふえているようです。
  わが国に渡来したのは江戸時代の初めごろです。縞斑物など変異
  種があらわれはじめたのは、わが国にはいってきてからで、江戸末
  期から明治にかけて数多くの品種ができて愛好者も多くなり、明治
  末期には爆発的にたいへんな人気を呼ぶようになり、新品種も続々
  とあらわれ、今日の金稜辺蘭の基盤をきづきました。

<分布>
  中国、台湾の暖地に分布する。
  中国大陸南部に分布する樹上着生、または地生種。
  中国南部〜東南アジアにかけて自生。
  中国および東南アジア原産のラン。
  中国南部地方原産。

<自生状態>
  
日当たりのよい斜面やマツ林に地生し、まれに着生する。

<草姿>
  球茎は小さく、線形の革質葉を5〜6枚つける。
  葉は長さ四〇センチ、幅三センチ程度、つやがあり、肉厚で強
  靱。

  葉は光沢のよい厚地。

<花>
  花茎は球茎の基部より側方に伸び、長さ約20cm、径約3cmの花を密
  に多数つける。萼片と花弁は赤褐色でまれに淡黄色〜淡緑色。唇弁
  は白色に赤紫色の斑点がはいる。強健。小型シンビジウムの育種親
  として利用。開花期は春。

  六月ごろ、やや悪臭のある暗紫色〜淡黄色の花を四〇花くらい咲
  かせる。つぼみの状態がぶどうの房に似ているので葡萄蘭(ブドウ
  ラン)とも呼ばれる。

  一茎多花性で花弁は帯紅紫色、舌は丸く、白地に紅点を置く。比
  較的短い花茎に、二〇〜三〇花を密着させて咲く。花期は五月から
  六月ごろで、香りはない。
  紫紅色から淡黄色等の小輪花を一茎に十数輪、五月から六月にか
  けて穂状につけます。香りはなく、ランの花としてはあまりほめた
  ものではないのですが、愛らしい花です。

植え方>
  
培養土はラン用の土ならなんでもよく、ミズゴケ作りでもよいの
  ですが、そのときは鉢底に三分の一ぐらい、鉢の破片などを入れ、
  水はけをよくしてやります。

<置き場所>
  直射光線にも強いランですから、七〜八月の盛夏の間だけ午後の
  日を避けるようにすれば、その他の期間は遮光の必要もない。
  強い日光を好むので、他の蘭のように遮光の調節などわずらわし
  い手間がかからず、たいへん世話が楽です。

管理>
  東洋ランの仲間ではもっとも丈夫で作りやすいランですから、初
  心者に適しています。灌水も他のランにくらべて少なくし、冬は凍
  らない程度に保護するくらいで作れます。
   肥料は他のランより好むほうなので、油かすの練り肥を、三月ご
  ろより九月ごろまでの間に二回ぐらい、鉢の縁に置くようにし、う
  すい液肥も発育中、二〜三回与えるようにします。
  金稜辺のよさはなんといっても丈夫でつくりやすいという点でし
  ょう。寒さに強く、根さえ凍らさなければ少々の寒さにも耐えます
  し、したがって立派な温室とか加温設備なども不要です。日常の管
  理も、乾燥に強く、というよりむしろ根が乾きを好むといった方が
  適切で、灌水の回数も少なくてよく、たいへん世話が楽です。

<変わりもの>
  
キンリョウヘン本来の使命は花で はなく、葉の芸を観賞すること
  にあり、現在ではその品種も百を数え、葉芸の変化の美しさは興味
  深いものがあります。

f  観賞価値といった点においても、他の東洋蘭に決して負けないす
  ばらしい素質の持ち主で、葉形、葉柄とも変化に富み、とくに葉柄
  の変化は多種多様で美しく魅力的です。
   金稜辺蘭の銘鑑には約一二〇種が掲載されていますが、現存する
  のは約一〇〇種です。それらを葉にはいる縞斑柄の系統によって大
  きく分けると、次のような系統および代表種があります。
・中透け(中斑)系…
月章<げっしょう>   白玉<しらたま>
             神代<じんだい>   
玉輝<ぎょっき>
・爪・覆輪系…千代田錦<ちよだにしき>   芙蓉錦<ふようにしき>
          
東亜錦<とうあにしき>

・縞・爪縞系…常磐錦<ときわにしき>    八島<やしま>
          
神楽の舞<かぐらのまい>
・転覆輪系…
日章<にっしょう>   泰山雪<たいざんせつ>
      曲玉<まがたま>   七福寿<しちふくじゅ>

・紺覆輪系…
時鳥<ほととぎす>   竜城<りゅうじょう>
      青輝<せいき>   金世界<きんせかい>

・図虎系…
雪中の松<せっちゅうのまつ>   文明<ぶんめい>
     日月の虎<じつげつのとら>   羽衣<はごろも>