Jagged Alliance2 : Unfinished Businessレビュー

作品データ
Jagged Alliance2 : Unfinished Bussiness
ジャンルTactics + Strategy + RPG
開発元Sir-Tech Canada Inc.
Designed ByIan Currie, Shaun Lyng, Linda Currie, Dave French, Chris Camfield
公式サイトwww.jaggedalliance2.com/unfinishedbusiness/index.html
機種Windows 95以降
目次

初めに

この文章は、これまでに blogで公開していた、JA2:UBに関する文章を再編集したものをベースにしています。幾らか追記して、一応は完結したレビューとして読めるようにはしていますが、取り敢えずは「暫定版」という事で。

概要

Jagged Allianceシリーズは、Wizardryで死ぬほど有名なカナダの Sir-Tech社による戦術ゲームです。JA2UBは、そのシリーズ第二弾の追加シナリオ、と言えば良いんでしょうか。システムは殆んどそのままですが、本編にあった戦略要素はバッサリと切られており、純粋な戦術ゲームに近いものとして遊べるようになっています。また、本編で鍛えた傭兵をそのまま利用する事も可能です。

戦術部分のルールは本編とまるっきり同じです...が、ここではまだ本編を紹介していないので、簡単に書いておきます。JAシリーズはターンベースのルールを採用しています。各傭兵には行動ポイント(AP)があり、この APがゼロになるまでは、様々な行動を自由に組み合わせて行わせる事が出来ます。また、このゲームには「Interrupt」という概念があり、傭兵の能力が高ければ、相手の行動中に割込みを掛けて、こちらが行動する事も出来ます(APが残っていれば)。戦闘は銃撃が中心で、戦術としては「いかにして命中率が高い状況を作るか?」という部分を主に考える事になります。当然ながら、同時に「相手からの攻撃をどう避けるか?」という事も考えなければなりませんが。

JAシリーズは、細かい部分までしっかりと作り込まれている事も大きな特徴です。例えば、全てのオブジェクトは実際に立体的にそこに存在するかのように、銃弾の弾道を遮ったりしますし、爆発物も単に敵に大ダメージを与えるだけでなく、近くの爆発物に誘爆したり、建物の壁を破壊する事もあります。このように、プレイヤーが取った行動に対する反応は非常に多彩で、それがそのまま自由度の高さにも繋っており、非常に濃密な戦術戦を楽しむ事が出来ます。

また、JAシリーズは、戦闘経験を積み重ねる事で傭兵の能力値が徐々に成長するようにもなっています。とは言っても、一般的な RPGと違って、傭兵を非常に能力が低い状態からひたすら鍛えていくという感じではなく、初めからある程度以上の能力を持った傭兵でないと、怖くてとても実戦では使えません。

現在入手可能なのは、JA2本編とセットになった「Jagged Alliance Gold」というパッケージです。値段はお得ですが、説明書が pdfのみなのが難点ではあります。ちゃんと印刷された説明書が付いている物を購入するのは、現在では厳しいです。ebayあたりで粘るしかないでしょう。

2004年 6月 17日に blogに書いた文章

Jagged Alliance2シリーズってのは、これまで「戦術ゲーム」だと紹介してきましたが、実は、同時に立派なRPGでもあるんですよ。それも、そこらのコンピュータRPGより、ずっと本物のRPGっぽいのです。直接戦闘に関わる事だけでなく、会話や扉の鍵外しといった要素があって、なおかつそれらに自由度がある、ってだけでも充分にRPGっぽいと言えるんですが、何よりそれっぽいのが、非戦闘時と戦闘の最中で、キャラクターが取れる行動に違いが無い点です。そう、このゲームでは、(やや大雑把な言い方ですが)非戦闘時と戦闘時の区別がないんです。

勿論、「非戦闘時と戦闘時の区別がない」点こそが本物のRPGっぽいのだ、と言いたいわけではありません。システム側でプレイヤーの選択肢を制限せずに、全ての判断をプレイヤーに委ねているというデザインの方向性こそが、本物のRPGっぽいなと感じた一番の理由なのです。と言いますかつまり、自分にとってRPGで一番重要なのはその部分なのだ、という事でもあるのですが。

そういうわけで、Jagged AllianceにおいてはRPG要素と戦術ゲームの要素が巧みに癒着していて、かなり独特のゲーム世界が構築されているのです。両者の融合がどうこうと言うより、戦場の様子をリアルに再現したらこうなった、という印象を受けます。だからこう、自称「シミュレーションRPG」とかいう一連のゲームとは、全く別の次元で作られたゲームなのですよ。

でも、Jagged Allianceが本当に凄いのは、ここから先だったりするのです。このゲームでは、現実世界の戦場における殆んどの要素が、しっかりとシミュレートされています。これは、具体例を挙げた方が分かり易いでしょう。このゲームの戦場は、画面上では俯瞰視点からの2Dグラフィックとして表示されていますが、内部ではきちんとした3次元のデータとして扱われています。この3次元データでは、窓の枠やベッドなどの高さ、木の幹の太さなど、細かい部分までがしっかりと反映されており、かなり精密な空間が構築されていると言って良いでしょう。そして、誰かが銃を撃った際には、実際にこの空間の中で弾丸を飛ばして、結果をシミュレートしているのです。この事が意味するところは、特に説明する必要も無いでしょう。

他にも、命中率は傭兵の能力、銃器の性能、距離などから、かなり緻密な計算が行われています。現実世界の全てがシミュレートされているわけじゃないんですが、それでもかなりの要素が緻密かつリアルにシミュレートされていると言えます。しかし、「リアルで複雑(大変)だから面白い」と言いたいわけではありません。と言いますか、実はこのゲーム、まあ慣れるまでは大変でしょうが、プレイヤーの負担がそんなに大きくならないよう作られているのです。

例えば、このゲームではいちいち地形のデータを調べて、それが行動に及ぼす影響を考える必要がありません。そういうのは、見た目だけで十分に判断出来ます(と、簡単に書いていますが、これって実は相当に凄い事なのですよ)。また、キャラクターや武器のパラメータも、リアリティやある程度以上の複雑さを失わないよう、上手く簡略化されています。

他にも書くべき事は山のようにありますが、きりが無いのでこれくらいにして、結論を。Jagged Alliance2というゲームは、何よりもまず、ゲームとしての完成度の高さが尋常ではありません。システムの凄さは言うまでもなく、数値バランスや演出面でも手抜かりが無い。そして、マニアックなゲームではあるのですが、きちんと遊び易さについても考慮されています。「Squadベースの戦術ゲームの最高傑作」と評されているのは至極当然の事だと、素直にそう思います。思うと言うか、思い知らされたって感じですがね。

RPG風要素(成長要素)についての補足

不運にも「RPG要素について書いてるのに、キャラクターの成長に関する記述がちっとも無いYo!」と思っちゃった残念な人が居るかもしれないので補足しておきます。そもそも、成長(育成)要素というのは RPGの本質とは直接的には関係がなく、RPGをより面白くするための要素にしか過ぎません。だから、成長要素があるというだけで「RPG」を名乗るのは、殆んど詐欺です。てか、素直に「戦術ゲーム」で良いじゃん、と思っちゃうんですが。

JAシリーズの場合、傭兵が成長する事よりも、傭兵にきちんと個性がある、という事の方が(RPG要素という面では)よっぽど大事です。それも、「イベント時のメッセージが違う」とかでなく、戦闘中の様々な行為とか、そういう細かい部分までしっかりと個性が出てるんですよ。だからこそ、JAシリーズに RPGの匂いを感じているのです。

その一方、ホンマモンの RPGマニアからは、「プレイヤーは傭兵を指令する立場なのだから、JAは厳密には RPGとは言えない」という意見も聞こえてくるかもしれません。それは、何と言いますか。まあ正論ですね。でも、それぞれの傭兵の個性を理解した上で、彼らにどういう行動を取らせるのかを考えている時の感覚は、やっぱり RPGで遊んでいる時の感覚に似てるんですよね。まあつまり、そういう事です。

難易度について

残念ながら、JA2:UBの難易度は、JA2本編と比較してもかなり高くなってしまっています。どうも、本編から成長させた傭兵を転送して遊ぶ事が前提となっているようで、完全に新規の状態から始めると、相当に苦戦します。一応、傭兵を転送すると、その強さに応じて敵の強さや数を調整する、と書いてはあるのですが...。

その他もろもろ

JA2:UBにおいて戦略要素がカットされた事は、あちこちでは叩かれていたりするのですが、個人的には、これ自体は悪い事だとは思いません。「戦闘がすんげぇ面白い RPG」っぽく遊べて、これはこれで楽しいです。ただ....やはり、ボリュームが足りな過ぎますかね。

その代わりと言いますか、JA2:UBでは公式に MODがサポートされていて、自分でシナリオを作ったり、ネット上で公開されているシナリオで遊んだりする事が出来ます。でも、これも完全には上手く機能していない、ような....。


戻る
Valid XHTML 1.1!