Bane of the Cosmic Forge:SFC版での変更点
ここでは、オリジナル版である IBM-PC版とスーパーファミコンに移植されたバージョンの違いを紹介しています。何故わざわざこんな文章を書いたのかと言うと、直接的にはSFC版だけを遊んで BCFを判断して欲しくないからです。まあつまり、SFC版には問題あり、って事です。
単にゲームバランスが再調整されているとかなら、別に何も言う気はありません。SFC版は、ルールの細かい部分が変更されちゃってるのが問題なのです。
実際の変更点は、以下の通り。基本的には、ルールに関わる部分のみを挙げています。
- インターフェイスの改善
- PC版のインターフェイスには、ただ単純に「不親切なのでは?」と思える点がありましたが(具体的には、Swagに入れたアイテムの扱いなど)、SFC版ではそういった部分が大幅に改善されています。操作系に関連する「遊び易さ」だけを見れば、SFC版の方が圧倒的に上、という感じですね。
- グラフィックの変更
- ダンジョンのグラフィックが、エリア毎に個別のものが用意されているのは、個人的には素直に嬉しい点。問題はモンスターのグラフィックですね。
デザインは、まあ SFC版の方が一般受けはするのでしょうが、全体的に迫力や威圧感が減ってしまっていて、少なくとも個人的にはイマイチ。まあ、デザインは好みの問題だと割り切るとしても、敵が種類毎に色分けされてしまったのは、明らかに改悪点と言えるのでは。
PC版では、同系統の敵は見た目での区別が付かないため、敵の名前がハッキリと識別出来ない事にそれなりのリスクが伴います。故に、敵の識別に関わる Mythologyのスキルや Identifyの魔法を習得するかどうかは、戦略や戦術の組み立て方に少なからず影響を与える、重大な選択だったのです。しかし、SFC版は無条件でグラフィックの違いから判別出来てしまうため、こういった要素が、完全にとは言いませんが、機能していません。ちなみに、画面上に表示されるのは先頭の 2グループだけなので、画面上の情報を鵜呑みにしてしまうと痛い目を見る事もあるかも。
- 直接攻撃の命中率が低い
- 序盤で攻撃が当たらないのは PC版も似たようなものなんですが、SFC版は中盤くらいになってキャラクターが成長してきても、相変らず攻撃が当たりません。補助魔法でフォローしてやってどうにか、という感じです。SFC版は魔法の使い方により神経を使うようになったとも言えるのですが、それはそれとして、遊んでいてちょっとストレスが溜まるような気も。
- マジックポイントの回復に関するルールの変更
- PC版では、休息しなくとも徐々にマジックポイントが回復していきましたが、SFC版では休息を取るか泉の水を飲まないと回復しません。その代わり、休息時の回復量が大幅に増えています。
つまり、泉が無いエリアでは、休息しないと絶対にマジックポイントが回復しません。PC版のように「いかにして魔法の使用回数を抑え、休息を取らずに進めるか?」という戦略が使えなくなっています。いくら回復量が増えたと言っても、休息中に敵に襲撃されるリスクがある事には変わりがないので、この戦略が使えないのは痛いです。
更に付け加えるなら、ゲームシステムの緻密さが、この変更のせいで崩れちゃってますね。
- 敵が復活する
- BCFに限らず、海外産CRPGではランダムエンカウントの確率が低めに設定されており、その代わり必ず雑魚敵とのエンカウントが待っている「待ち伏せ」ポイントがあちこちに設定されています。
PC版では、こういった待ち伏せしている敵は一度倒すと冒険中には絶対に復活しなかったのですが、SFC版では別のエリアに移動すると復活するようになりました。この点は、意見が分かれるかもしれませんが、個人的には改悪だと思います。
BCFは、何だかんだ言っても戦闘を重視したゲームには違いないのですが、それでも PC版からは、「CRPGはまず戦闘ありき」という固定概念から脱却しようという製作者の意図がはっきりと感じられます。でも、SFC版はそういう部分がかなりボヤけてしまっているのです。
そういう事とゲームとしての面白さはまた別の問題だ、と言う人も居るでしょう。でも、BCFはコンピュータRPGのあり方に一石を投じようとした、非常に野心的な作品です。その試みが失敗しているのならともかく、一定以上の成果がきちんと出ているのに変更しちゃうのは、大きな問題なんじゃないでしょうか。
- CCの扱いの変化
- CCというのは、そのキャラクターが持てるアイテム類の重量を意味するパラメータです。PC版の BCFでは、最初にキャラクターを作成した時にこの数値が決定され、以降は絶対に変化しなかったのですが、続編の CDSでは冒険中に能力値が上昇するとそれに合わせて変化するようになり、SFC版のBCFはこちらのルールに準じています。
まあ、感覚的には、能力値に応じて変化する方が説得力がありますね。でも、キャラクターの個性、特に種族間の個性の違いが薄れてしまった一面もあり、これはこれでちょっと寂しい気もします。
あ、これに関しては、単に「変化した」ってだけで、別に良くなったり悪くなったりしたわけではないですね。
- 会話が簡略化された
- ハードの仕様上、仕方の無い事ではありますが、SFC版では質問文をプレイヤーが入力する事が出来ず、自動的に会話が展開するようになっています。これ、はっきり言って致命傷です。ここが違うだけで、SFC版は全く違うゲームだと言い切っても良いです。それくらい、会話システムは重要な役割を担っています。
直接的に何が問題なのかと言うと、シナリオの流れが「お使い」然としたものになってしまった点です。SFC版は、情報やアイテムを得るために、彼らから提示される交換条件を満たすためにダンジョン内を奔走する、という印象がかなり強いです。乱暴に言えば、「普通のストーリー重視RPGっぽい」という事です。どこかのサイトで「BCFは普通のCRPGになってしまった」という意見を読んだ事がありますが、SFC版しか遊んでいないと、この人と同じような印象を受けてしまうんじゃないでしょうか。
やっぱり、一番の致命傷なのは会話システムの変更なのですが、それ以外の変更点も地味ながら無視出来ないほどの問題を抱えています。
これは完全な推測ですが、SFC版でこのような変更がなされた理由というのは、より広い層の CRPGファンが楽しめるよう、「普通の CRPG」にプレイ感覚を似せようとした、という事ではないかと思います。あと、恐らくは日本語 PC版で「こんなのはウィザードリィじゃねぇ!」というマニア層の評価が確立されちゃってたから、という事も考えられますが。
理由はどうあれ、やっちゃイカン事をやっちゃったなぁ、という感じです。結果として、SFC版は細かい部分でどうにも中途半端な印象を与えるゲームになってしまいました。オリジナル版は、様々なルールが非常に緻密に影響し合ってバランスが保たれている、デリケートなシステムのゲームだったのです。SFC版は、そういったシステムの緻密さ、凄さが半減しちゃいました。ファミコン版ウルティマほど酷くはありませんが、移植の出来はイマイチって感じですね(一応フォローしておくと、全体的には丁寧な仕事ぶりが伺えて、スタッフへの印象はそう悪いものでは無い...のではあるのですけど)。
何はともあれ、はっきり書いちゃいますが、SFC版 BCFはオリジナル版とはほぼ完全に別物です。SFC版しか知らない人が Sir-Tech社や Bradley氏に文句を言ってはいけません。SFC版は半分くらい和製なのです。
ゲーム自体の不都合ではないため、「おまけ」扱いとしていますが、SFC版の BCFは、説明書の出来もまた大きな問題だと言えます。単刀直入に言いますと、明らかに説明が足りていません。まあ、SFCの説明書の仕様を考えれば仕方無い...とは思うんですが、日本人の多くが SFC版でしか BCFに触れられないのでは? という事を考慮すると、やはり大問題です。
ええとね。ゲーム中に登場するコマンドやパラメータの短い解説が羅列されているだけなんですよ。そういった要素が何をシミュレートしているのかの説明も無ければ、どれくらいの数値だと現実の世界でどれくらいの強さを意味するのかの説明もありません。「そんな説明が必要なのか?」と思われるかもしれませんが、パラメータやコマンドの意味をしっかりと把握していなければ、思うがままに戦略や戦術を組み立てて遊ぶ事など出来ません。遊べなくもないけど、機械的にパラメータを上げていくような、無味乾燥なものになっちゃうんじゃないですかね(と言いつつ、世の中には SFC版しか知らないのにキッチリと味わってる人も居るんですが)。
あと、PC版の説明書って、しっかりと読めば「RPGとはどういうゲームなのか?」という事が徐々に分かるようになっていたんですが、SFC版の説明書には、そんな要素が皆無ですね。これは BCFに限った話じゃないんですけど。コンシューマ機の RPGの説明書を読んでいると、「要は、数字が上がれば成長してるって事でしょ?」という風にしか、成長とかパラメータの事を考えていないんじゃないか、と思えてしまいます。
戻る
