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(2001年4月26日〜5月4日) |
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2001年4月26日から5月4日の9日間、ドイツの介護保険と、デンマークの高齢者福祉、児童福祉、教育について視察してきました。視察参加メンバーが6名(地方自治体議会議員4名、学生、医療生協職員)と少人数だったので、高齢者の住宅を訪問しお茶やお菓子をいただきながら、直接話を伺って疑問点を質問し確認することができ、実に有意義な視察が出来ました。
この報告は、メンバーが共同で作成した報告書「子どもと高齢者が大切にされる国を訪ねて」の中の、私が担当した部分です。報告書ご希望の方はご連絡ください。 ―エルシノア市の児童福祉・教育について− エルシノア市の教育センターにて、広報担当のマリアンネ・ペアソンさんにお話を伺う。ペアソンさんは、5歳と10歳の2人の子供を一人で養育している女性。
<エルシノア市の児童福祉・教育の枠組み>
●政治の枠組み 市議会・・・議員数は25人(5つの政党に所属)で6委員会がある。今年は4年に1度の改選の年。 児童福祉並びに教育委員会・・・7人の議員(3つの政党)で構成。委員会の下に行政がある。 ●児童福祉並びに教育委員会の所管する3本柱 1、 児童保健 2、 学校教育 3、 幼児教育 <予算> 市の予算総額・・・18億9300万クローネ(約340億7千万円/1クローネ18円換算) 児童福祉・教育委員会予算・・・7億3800万クローネ(第2位の配分) ・義務教育・・・3億4800万クローネ ・幼児教育・・・3億1000万クローネ ・児童保健・・・2800万クローネ ・その他・・・5200万クローネ <児童保健について> 子供についての政策は継続性が大切であり、子供の全人格の発達を扱う。 女性が外に出て働くことが当然の社会にあって、子供にフォーカス(焦点)をあてる。 戦前と戦後の社会の大きな違いは、少子化で兄弟の数が減った、核家族、両親だけでなく祖父母も働いていることが多く、子育てに祖父母の支援を得にくくなっていること。 また、子供が施設で過ごす時間が長くなったので、公共の関わりの中で子供の全人格が健やかに育つようにしていかねばならない。以前は子供のしつけは家庭で行われていたが、現在は何でも公共に頼る人もいて、それでいいのか?という疑問の声が出ている。家庭による考え方の違いや世の中の動きをよく把握し、子供をしっかり見ていくことが、今後の大きな課題。 ・歯・・・児童(0歳から)の歯の健康は市の責任で公務員の歯科スタッフがいる。 ・問題家庭のカウンセラー・・・子供に主たる問題がある場合を扱い、親の問題は別の課が扱う。家庭の問題というくくりで一緒にやろうという動きがある。 ●保健婦の役割り・課題 子供の保健と、子育てがしっかりできるよう親へ支援すること。 ・出産前・・・母親が妊娠中から支援する。 ・家庭訪問・・・出産後1週間以内に市から連絡があり、保健婦が家庭訪問をする。最初の子供は1年間に7回。2〜3度目は年会5回くらい。(訪問は親の希望) ・保育・育児相談・・・電話相談を受ける(平日のみ) ・オープンハウスアレンジメント・・・保健婦さんが関わって若いお母さん方へ支援する。同じようなタイプでグループ分けし対応している。お父さんもOK。 ・社会的に問題のある家庭への支援・・・出産前から保健婦が家庭に入り継続的に関わることもある。 ・母親の職場復職支援・・・満1歳位の子供を幼児教育施設に預けるが、どこに預け、どういう教育方針でやっていって欲しいか共に研究し入所先を選ぶ。入所後は保健婦もそこに関わる。 ・学校への支援・・・医師、保健婦は学校には常駐しないが、定期的に巡回をする。児童が卒業するまでの9年間に、保健婦が最低5回は個人面談をして、保健婦の立場から性教育やいじめの問題などにも取り組む。 ●施設入所について エルシノア市内には保育園(0〜3歳)、幼稚園(3〜6歳)、学童保育(6歳以上)の施設が100ある。利用したいときは行政担当に申請する。ウェイティングリストもある。入所の条件の大枠は児童福祉・教育委員会がきめるが、子供をできるだけ早く入所させる必要があると考えられるときは優先的に入所できる。他に保育ママがある。 ●現在の在籍状況 保育ママ・・・297名 保育所のみの施設・・・309名 保育所・幼稚園の統合施設・・・1635名 幼稚園のみの施設・・・1389名 ●保育ママ 個人の家を使って保育が行われる。子供のいる人が、自分で子育てをしたいので他人の子供を預かり一緒に育てるという場合もある。0歳児から5歳まで可能だが中心は3歳くらいまで。3歳くらいからは施設というケースもある。利用希望者は多いが保育ママを確保するのが難しい。現在はできるだけ早く職場復帰をしたいという人が多く保育ママを目指す人が少ない。 保育ママの条件は健康である、犯罪暦がない、子供好きで子供に対する考え方がしっかりしている、家のスペースと外遊びのできる場所〜庭またはそれに代わるものがある、調和のとれた家である等。教員・保母などの資格は要求しない。担当者が家に出向いて人物、家の広さ等確認の上認定する。 ●保育施設 0歳から3歳までの子供を預かる。子供が小さければ小さいほどスタッフが必要。保育所のみのところは小規模である。今後は統合保育施設にするので、保育所のみの施設は作らない。 施設統合の理由は、育児休業が伸びて0歳児の入所が少なくなり、また、1歳から学校入学まで兄弟関を保つこととが大切で、途中で保育所から幼稚園に移ることは弊害がある。そこで統合化を行った。また、出生率の動向を見極めるのは難しく、統合化したほうがスタッフの移動調整がし易い。スタッフの基礎知識は保育所も幼稚園も同じで、市民はどこでも施設を選べる。 ●幼児教育施設 幼稚園は3歳〜6歳の子供が通う。昔は楽しくお遊びするところだったが、現在は幼児教育の場所として捉えている。子供の社会性を養うよう、社会とはどんなものか、どう発言したらよいか、どう行動したらよいか、どう関わったらよいかということ等を、年齢に応じて、しつけを含めた全人教育として行う。子供が親から離れている時間が長いので、1日の生活の中で起こった悲しい、嬉しい、怒りなどの感情にもスタッフがきちんと関わることが必要である。 <学校教育について> ●幼稚園組 6歳の就学前の子供が通う。中味は幼稚園に近いが、学校の枠の中で徐々に学校生活に慣らすのが目的。学校終了後は学童保育に行く。 ●学童保育 学区内に幾つかの学童保育施設があり、いずれも学校に非常に近いところに設けられている。最近は学校に併設されていることが多い。 開設時間は、原則幼稚園組の終わる12時から午後5時までだが、朝7時に1箇所は開いており学校の授業が始まる前の利用も可能で、また午後6時まで開けているところもある。親がいつ迎えに来るか等を管理しており低学年の子供を勝手に帰すことはしない。幼稚園組〜9年生まで約7000名の在籍者のうち2765名が利用している。活動では子供の自主性が重んじられる。内容は宿題や、サッカー、音楽、演劇等様々なアクティビティから選択する。みんなが同じことをやるわけではない。 ●国民学校 幼稚園組から9年生までが所属している。エルシノア市には12校ある。学校規模は小規模校〜600名くらいの大規模校まである。義務教育ではないが、希望すれば10年生もある。10年生だけを集め、全寮制で1年を過ごすというような形を新しいプロジェクトとして設けた。国民学校では原則として、1年生から9年生まで同じ仲間、同じ先生と一緒に過ごすので、10年生は自己選択で新しい友人の幅が広がるということで大成功だった。 ●青少年クラブ 14歳〜18歳の半大人の青少年1280名が参加している。指導員はいるが、参加者がいつ来ていつ帰るか等は指導員の責任ではない。 ●青少年学校(ユーススクール) クラブに近いもの。音楽教室、演劇教室等で専門的に学ぶ。「10年生学級」と青少年学級を近くに設置し交流していこうという動きもある。 ●障害児教育 聾、ダウン、言語障害などプラスαの支援が必要な子供達の教育。障害児のための幼稚園(スペシャルキンダーガーデン)は県と市が協力して設けているが、障害児だけ分離するのは問題があり、幼稚園の中にクラスを設け交流教育をするようになった。一般の施設でこれらの子供を扱うと負担があるので、言語セラピスト等の支援教育者を派遣するようにしている。障害をもった子供ひとり一人の成長を見ていくには、お金がかかる。ここにもっと予算が欲しいが限られた予算の中でどうするかは、最終的には政治的選択になる。毎年、今年はどこに焦点を当てようかを決めているが、今年は特に特別の支援の必要な子供に焦点を当てたい。 <エルシノア市民の特徴> ●移民の割合が高い 異文化がたくさん入ってきており、単一文化の社会ではなくなっている。社会問題であり、チャレンジできる分野でもある。異文化のそれぞれを維持しつつデンマーク社会に溶け込んで貰う。このバランスが大事であり難しい問題でもある。デンマークの市民としてそれなりの教育、デンマーク人としてしっかり行動できる教育等、すべてのシステムにおいて異文化を尊重しつつデンマーク社会への融合を図れるよう努力している。 ●バイリンガルの子供たちへの対応 移民の中には大家族の中で子供を育て、保育園や幼稚園に預けていない人もいる。一気にデンマークの学校に入るのは厳しいので、幼稚園組で対応したいと考え、幼稚園組の子供たちに対してスペシャルクラスを作った。 <質疑応答から> Q:病児保育について 現在、子供が病気になったときの支援システムは無い。子供の病気では1日の休暇は取れるが、他にはない。福祉休暇が導入されたのでそれを使う(福祉休暇は年間3〜10日、公務員は10日。そこで早めに登園させてしまうこともある。それでは大変なので今後何らかの改善が図られるだろう。 Q:計画出産が多いとのことだが若年の出産は 未成年で出産することもあるが社会問題になっているほどではない。避妊や中絶は認められている。若い女性の中絶は増えている。 Q:障害児教育における支援教育者の位置付けは 市にはフルタイムで35名ほどの支援教育者のチームがおり、必要性に応じて派遣する。義務教育部分には入らず別立てになっている。支援教育者になりたいという希望は多い。 Q:施設作りの方針決定は 全く新しいものを作るときは市の方針による。既存の施設を作り変えるときは、子供や保護者代表も参加する理事会で検討する。ここからは政治で決めるという線引きはある。現在学童保育のスペースが足りないので、この夏休み以降学校の施設の一部を学童保育の施設に変更する。 Q:ウェイティングリスト対策は 政府は、全市に対して「親の要望にできる限り対応できるよう努力するように」と指導している。ここ4年くらいの間に2000人の子供を収容できよう施設を拡大した。需要と供給を良く判断しないと作り過ぎてしまうこともあるのでこの判断は大変難しい。申込は誕生日以降、産後2ヶ月以内に行うのが基準。いつから預けたいかはっきり示してもらうことが大切で、1年後の予約も可能。 Q:学校の自由裁量と選択の自由は 学校の自由裁量は10年くらい前から進んでいる。一番早くブロック予算を貰って使い方の割り振りをしている。校長以下の職員採用も学校理事会に任されている。 学校選択は全く自由ということではない。ここの地域はここの学校という原則はあるが、定員に余裕のある限り受け入れは可能。学校間の人気・不人気は多少ある。 地域の中にある幾つかの施設の利用はもう少しゆるやかである。例えば学区内にいくつかある学童保育のうち1箇所は7時に開くし朝食も食べさせてくれる。放課後は12時から5時が原則だが6時まで開いているところもあるので、親の勤務状況で選択する。 Q:学校給食は 原則弁当持参であるが、大きな学校ではカフェテリアがありお昼を買える。現在「児童と食事」が1つのテーマになっており、新しいプロジェクトとして給食システムを導入しようとしている。 Q:休日保育は 市でやらければならない義務は無い。夜間保育も検討したが必要性は少ないということでやらないことになった。休日にどうしても働かせる必要のあるところは、企業で考える。また、夫婦の勤務時間が全く同じ時間という家族は少なく、どちらかが休めるだろう。 Q:受益者負担は 学校教育は無料だが保育園、幼稚園、学童保育、青少年クラブ等は有料である。 |
| ○エルシノア市統合児童施設(幼稚園・保育園一体)訪問 |
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園長 リーネ・クライスンさんに伺う。
●園児について この園は市の児童(幼児)福祉施設で、0〜6歳の子ども110名と、スタッフ25名がいる。 0〜3歳44名=4グループと、3〜6歳児66名=3グループに分かれている。出産休暇後すぐの子ども(6ヶ月)もいる。赤ちゃんは1つのグループで、他のグループは異年齢の集団になっている。 子どもの発達は3歳で大きな変化が起こり、できる事の範囲、内容が大きく広がるので、子ども年齢により0〜3歳の保育園、3〜6歳の幼稚園部分に分かれている。幼児教育を担当するという意味では保育園も幼稚園も同じということで、30年位前に統合された。 現在では障害児教育も統合されており、障害児も受け入れている。障害には身体障害、言語の遅れ、社会性が未発達、糖尿病等々いろいろのタイプがある。障害児への対応が平常のスタッフでは無理ということであれば、申請により職員を増やすことはできる。 ●スタッフ 25人のスタッフの内訳は男性3人、女性22人。年齢は20代〜50代。15人が有資格者で10人がアシスタント。資格取得のためには3年半、専門学校で高等教育を受ける。アシスタントはこれから資格取得を目指している人もいる。男性は保育スタッフをやってみたいという人は少ない。(学童保育にはいる)園児に対するスタッフの人数はガイドラインがある。3〜6歳は1グループ20人で3人。1〜3歳は1グループ11人に3人になっている。園の経営が独立採算制になっているので、園児の少ない夏休みはスタッフの人数を減らし、経費削減を図ったりする。 ●保護者会、保護者理事会 年2回保護者会を開く。1回は総会で、保護者理事会の代表を選出する。保護者理事会は保護者代表7名、職員2名、施設長(園長)1名で構成。この保護者理事会で園の教育方針の大枠を決める。公立の施設でも保護者の役割りが大切で、保護者対職員という関係ではなく「子どもが安心してすくすく育つように」を目標に話し合う。行事計画では年1回親子パーティーを開く、家庭医の話を聞く等の行事を設けている。年1回父親に集ってもらい遊具等のメンテナンスをしてもらっている。 ●関係機関との連携 子どもの問題は、保護者と職員だけでなく、言語療法士、心理療法士、保健婦、家庭医、ソーシャルワーカー等専門職とも協力し合っている。 ●入所について 現在デンマークでは子どもが増えており、待機児童がいる。育児休暇を使い待っている。子どもを預けられる場所を保障するのは市の責任だが、子どもの増加に追いつかず、完全でにできてはいない。 入所の受付けは市の福祉局で、希望の園を選択することはできる。親の費用負担は年少組―1月2500クローネ。年長組―1月1500クローネ。子どもが複数の時は下の子は割引きする。 ●保育内容について 保育時間は午前6時から午後5時まで、その間親の出勤時間に合わせて自由に登園する。帰りも自由。 朝8時前に登園する子どもには園で朝食をだす。昼食は0〜3歳児にはホットミールを出す。年長組(幼稚園)はお弁当を持参。午後はおやつを出す。 親が昼間働いている間、安心して預けられる場所だが、殆どの子どもが利用するので、単なる子どもを預かる場所ではなく、幼児教育の施設になっている。そのため、一番大事にしていることは遊びを通して「子供たちの社会性を伸ばす」こと。学校に行っても問題がおこさないように、アルハベットや数なども遊びの中に取り入れて取り入れ教えている。 ●ワークショップは自己選択 幼稚園は異年齢グループになっているが、年齢ごとの活動もする。部屋は絵画や工作、人形、ブロック、プラレール等々機能別の部屋になっている。朝の30分はグループごとに集り、一人ひとり何をやりたいかを決め、行きたいところへ行って遊ぶ。昼食は11時から午後1時の間に食堂で食べる。子供たちは朝食や登園時間がまちまちで空腹も感じ方が違う。また、遊びの熱中しているときに「ごはんですよ」と無理やり止めさせ、一律に縛るのは良くない。 自分でやりたいことを自己選択・自己決定するようになって4年になる。この方法は、カリキュラムに従ってクラスごとに同じ活動をするのに比べ、スタッフのコーディネーションが大変である。特にスタッフの子どもへのアプローチの仕方が大切で、いろいろな遊び方を伝えると子供たちは興味を示し、遊びを発展させる。自分のやりたいことを十分やると、他のことにも興味が湧き、一つことばかりやっていて困るということは無い。昔の家庭のように子供たちが自由に遊びを選択し、子どもらしさを味わうことが何より大切。また、学校に行ったら否応無く集団生活をするわけで、それを0〜6歳まで下ろさなくてはいけないのかは疑問である。 このやり方に変えた当初は、今日は何をして遊んだか等子どもの園での様子を根掘り葉掘り聞きたがる人が多かったが、現在では子どもの様子を見て楽しそうならそれでいいと言う人が増えている。親にしてみれば、子どもと長い時間一緒にいたいと思うのが当然だが、それに代わるスタッフに子どもらしさを伸ばしてもらっていると安心しているようだ。 ●幼稚園組との関係 就学前教育として、学校に併設された幼稚園組がある。12時〜午後1時に終わってしまうので、放課後は学童保育を利用する。学校教育と幼児教育との間では、子ども観に多少のギャップがある。学校はカリキュラムに従って時間、規律、集団で動いていく。早く幼稚園組に入れたほうがいいかどうかと言う問題は必ず出てくる。行くか行かないかを最終的に判断するのは親だが、どうしたらいいか先生に聞いてくる人は多い。子どもが本当に学ぶのは「自然に発達した動機」が大切で、それは必ず出てくるのであまり急がずに、意慾がでるまで待ったほうがいい。早く学校教育のシステムに乗せて挫折してしまうと、回復するのは大変。一年遅れたほうが挫折を感じなくて済むので、発達の遅い男の子は一年遅くてもいいくらい。 ★統合児童施設を見学して 朝8時半から2時間かけて、じっくりお話を伺い園内の様子を視察できた。 保育園では園児10人位が保育士3人に見守られながらおやつを食べているところだった。それぞれの部屋は、とてもカラフルで家具や遊具の種類、配置も違う個性的な作りになっている。暗い部屋の隅を好む子供もいるので「暗闇の部屋」があるというのは面白かった。 幼稚園の園庭には本物のモーターボートが置いてあり、ゴーカートを運転している子供もいた。 工作コーナーに置いてある道具も材料も本物、絵具や画用紙の色も豊富に揃っているのには感動した。 鏡のある部屋には洋服や靴、帽子がたくさん置いてあり、鏡の前でファッションショーをやっている女の子を見たとき、ケア付き住宅に入居している老女が実にファッショナブルだったのは、子供の頃から自然にファッションセンスを磨いているからだと納得した。 日本の保育園に比べとにかく保育士の人数が多く、遊具や他の設備も充実しており、子供を大切にして丁寧に関わっていることが良く分かった。同年齢の子供を1クラス20人以上も画一的な部屋に押し込め、保育士が1人で対応している日本の保育の現状は、管理型で貧しいと痛感した。 |
| ○ヴォーロップゴートンスコーレ(9年制国民学校)訪問 |
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ヤール・ギャナー校長先生にお話を伺う。
●学校の概要 9年制の国民学校で開講25年目。生徒数650名、教員60名(内管理職4名)で、デンマークでは規模の大きい学校。 生徒の80%がデンマーク人で、社会階層としては中〜低所得者の子どもが多い。 20%は他国籍で、トルコ人、パレスチナ人、パキスタン人、中国人の子どもが在籍している。労働移民の子どもが多い。社会福祉が発達しているので、造船所の溶接工だった人達が家族や友人を呼び寄せているようだ。トルコ人は農民の子どもでそれ程高い教育は望まない。パレスチナ人は戦争を経験しているのでアグレッシブ(攻撃的)、等々それぞれ文化が違う。他にジプシーの子どもが10人いる。ジプシーはエルシノア市には900人くらい住んでいる。ジプシーは特異な文化をもっているので、デンマーク社会になじまず社会問題になっている。子供たちも学校へ来たがらないので電話で呼び寄せ、別クラスで授業をしている。 教育目標は、子ども達がお互いのいいところを出し合い、支え合って成長していくことを第1にしている。確認の意味の小さなテストは行うが、本格的なテストは9年生になってから。1年生に入学すると担任は9年間ずっと一貫するのが原則で、担任・生徒・保護者の信頼関係が生まれる。 親にも学校教育に参画してもらいたいので、年4回保護者会を開いている。2回はクラスの保護者会、他の2回は個人面接を行っている。 ●理事会 学校の運営は、教育方針から予算枠を作ることまで理事会が行い、その方針に従い校長が運営していく。理事会の構成は保護者代表7名(任期4年)。市議会議員1名。職員2名。生徒代表2名、計12名。子ども達は1年〜5年生、6年〜9年生の2つの生徒会に分かれており、それぞれの代表が理事会に参加する。生徒会は教頭がコーディネートし、月1回開かれる。 ●学校運営 学校の教育方針は国の大きな方針、保護者の要望、生徒の要望で決める。(今度の文部大臣は数学と国語にはハッキリした目標を作るという方針を出している。) 学校の運営資金は市の負担で、一かたまりの予算として渡されたものを工夫しながら運営していく。学校の年間予算は3000万クローネ。内訳は維持費・暖房費200万クローネ、教員賃金1800万クローネ、他の職員賃金500万クローネ、教材費500万クローネである。 1クラスの生徒数と教員数はガイドラインで決まっているが、それ以上の配慮をするかどうかは学校の裁量で決められる。教科書の選択や、職業学校選択のための準備教育をどうするか等も同様に学校の裁量で決める。多くの授業をやろうとすると教員の配置も多くする必要がある。 ●授業と教科書 カリキュラムは市が作ることになっているが、大きな目標や、最低ここまでという目標を示すだけで、具体的な年間計画は担任教師が立てる。クラス担任は国語を教える。他の教科はいろいろな教員が関わる。1年生は担任と他に2名の教員で全てを教える。 教科書は自由選択で、選び方はいろいろ可能である。科目ごとに先生方が集って、1〜9年までを段階を踏んで進めるにはどうしたらいいか、そのためには何を使うかを相談して教科書を選ぶ。 ●校長になるためには フルタイムの教師は37時間勤務である。通常は25時間勤務し、残りの12時間は準備の時間で、学校でも自宅でもかまわない。しかし、校長は実質60時間くらい働く。校長になるためには教員の資格+経営・経済の研修を受けている人が多い。または、公務員組合の委員から学校問題を考えて校長になる人もいる。教員を長く続けただけで校長になるのは無理で、経営感覚とか人をまとめるというリーダーシップ経験が必要である。民間企業でも学校でもポストが空けば公募をする。校長の職は教職員組合の新聞等にも募集案内がでる。採用に当っては理事会、市、教育委員会が面接して決める。校長にチャレンジするのは40歳くらいから。(ヤール・ギャナー校長先生はこの学校の校長になって11年目。校長になる以前に2つの学校の副校長を務めた。副校長を務めながら心理学、教育学を勉強し、商科大学で経理も学んだとのこと)。 ●施設見学から ・ シアタールーム(講堂)・・・子供たちが演劇の練習や発表をする。設置している学校は少ない。市民も利用できる。 ・ 生徒会掲示板・・・海外留学の案内、禁煙など健康に関するポスター等も掲示してある。 ・ 教員室・・・ロッカー・資料棚と休憩室(禁煙者、喫煙者に分かれている)で個人用の机は置いていない。教員の談話室で一日の授業を終えた教員はビールを飲んでもOK。他に資料室があり、教員用図書、資料、パソコンがあり授業の準備等を行う。 ・ 体育館・・・サッカーやハンドボールもできる広い体育館。午後4時まで学校が使い、その後夜11時まで地域の人が使う。 ・ 歯科治療室・・・子供の成長に歯は大切な役割を果たす。歯が悪いと言語、頭痛等影響がある。義務教育期間中の歯の健康は学校が責任をもつ。そのため歯医者他の歯科スタッフが12名いて、学校にいる間に歯の治療をする。他に歯科矯正治療室もありスタッフが12名いる。歯科矯正治療室は小さな学校にはないので、他校の生徒が放課後やってくる。 ・ 対話室・・・年最低2回の個人面談をする。保健婦の面談もある。 ★ヴォーロップゴートンスコーレ(国民学校)を視察して 校長先生のお話を伺って何より驚いたのは、学校の運営について話し合う理事会に生徒代表が2名入っていて、その1名は5年生だということ。保護者すらほとんど学校運営に関われない日本の学校に比べ、なんと民主的なこと。そして、5年生が低学年の生徒会を代表して理事会で意見を述べるだけの力をもっているということは驚きだ。 2つ目は、学校歯科の充実。学校内に歯科医院と同じような治療台等の設備とスタッフがいて、生徒の歯科治療に当っているのには本当に度肝を抜かれた。現在は少子化で、余った学校歯科のスタッフが高齢者施設に異動して、高齢者の歯科治療に当っているという話だった。 また、現在の日本では、公立小学校で外国人の子女に日本語教育すら十分行われているとは言い難い現状だが、放課後トルコ人の子供にはトルコ人の教師がトルコ語も教えるという配慮に、多くの移民を受け入れてきたデンマークの懐の深さを痛感した。 |
| ○ドイツ・デンマークの福祉視察に参加して |
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久喜市議会議員 後上民子
北欧視察は3度目ですが、回数を重ねるごとに福祉先進国北欧諸国の現実がはっきりと見えてきたような気がします。今回の視察は6名という小さな団体でしたので、ツアーの期間中和気あいあいと過ごすことが出来て、高齢者の自宅を訪問しお話を伺うなど、中味もとても充実しておりこれまで以上に実り多いものになりました。視察の目的はドイツの介護保険、デンマークの保育・教育、高齢者福祉の現状を知ることでしたが、その他にも考えさせられることが多々ありました。 ●ベルリンの現状 1989年ベルリンの壁が崩壊し、人々が東西ベルリンの境にあるブランデンブルグ門によじ登り、歓喜の声を上げる姿をテレビで見てから10年余が経ちます。 私は3年前、埼玉県女性の海外派遣団でベルリンとポツダムを訪れましたが、西ベルリン地区はボンからの首都移転を前にして建築ラッシュでした。今回は、東ベルリン地区が建築ブームのようで、街並みを復興しようと古い建造物の修復に取り組み、新築の建物も外観は昔どおりに復活させようとしているのが目に付きました。ブランデンブルグ門も修復中で残念ながら見学できませんでした。 また3年前には、ソビエト軍に接収されていた建物を、ドイツ統一に伴い元の持ち主に返還するため所有者を確定する裁判がいくつも進行中とのことで、ベルリンからポツダムに至る森の中には朽ち果てた住宅が点在していましたが、今回は多くの住宅が修復され大分きれいになっていました。 ドイツでは、工事現場から湧き出る地下水をパイプラインで別の場所に引いて、地下に戻し地盤沈下を防いだり、建築廃材で使えるものは現場で再生し再利用する等環境に配慮した工法をとっているのをみて、古くなった建物は壊して廃棄し新しい建物を建てる日本のやり方に、考えさせられました。 また、ドイツ連邦議会は旧帝国議会の建物を改修し国会議事堂として使用していますが、誰でも入場できて円形ドームのガラス越しに国会の審議を自由に覗くことができます。大勢の観光客が見学に訪れ観光コースになっています。日本の国会見学には予約や議員の紹介が必要のようですが、権威主義で敷居が高すぎるのではないでしょうか。 そしてまた、国会の敷地内にはヒトラーに抵抗し死んだ国会議員の銘版が建立されており、市内にはベルリンの壁を乗り越えようとして殺された市民の墓碑銘、ベルリンの壁の一部、道路上には壁を示した赤いラインが残されていました。その上、ベルリン市内に残るアウシュビッツの跡地に収容所を再建しようという市民運動もあるとのこと。過ちを繰り返さないように民族の戦争の歴史をきちんと残そうとしているドイツ市民の取り組みを見聞し、認識の相違で国内が2分され外圧にゆれる日本の教科諸問題を改めてかんがえてしまいました。 ●開かれた王室 デンマークは立憲君主制で王室があります。現在の国王は女王マルガレーテ2世です。コペンハーゲンの王宮広場には、円形の広場の周囲に王室の建物が4棟建っており、女王陛下ご夫妻、皇太子が住んでいます。広場には警護の衛兵がいますが、誰でも自由に立ち入ることが出来ます。車も入れますが駐停車は出来ません。衛兵の交代式は人気があり、交代時間には大勢の観光客が広場に集ります。女王陛下や皇太子が王宮にいらっしゃる時は王宮の屋根に国旗が掲げてあるので、広場をとおる人は国旗の有無を確かめるそうです。女王陛下の誕生日には広場に面したバルコニーにお出ましになり、広場に集った国民から祝福を身近に受けられるとのことで、王室と国民の距離の近さに驚きました。 また、日本では皇太子妃の懐妊で女帝問題がクローズアップされましたが、ヨーロッパの王室のほとんどが女王を認めているのに比べ、時代後れの観は否めません。 |