緑の地球ネットワーク

緑の地球ネットワーク(GEN)は、中国山西省大同市の黄土高原で緑化協力をつづけているNGOです。
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大同での緑化協力

カササギの森

2007年9月の報告

かささぎ

 実験林場「カササギの森」は、2001年4月に着工しました。2002年春に本格的な植栽を開始して以来、みなさんのご支援により、今年で無事6年目を迎えることができました。

07年夏の谷筋
07年春の谷筋

上)07年4月撮影。
一面黄土色の春の風景。
左)07年8月撮影。
谷筋の緑が洪水被害から
回復してきたのがわかるが、
川の流れはみられない。

今年度の作業概要

 今年は以前に植えた苗の補植作業を中心におこないました。野生のヤナギハグミが群生している一帯に、主にポット苗のモンゴリマツ15,000本とアブラマツ60,000本を植えました。このヤナギハグミの群生地は、土壌が非常にやせており、土壌の厚さが10cm程度しかありません。また石がごろごろ混ざり、苗木が根を張るのも困難です。そこで植える前の整地作業に力を入れました。通常、苗木を植えるために60×60×50cmの穴を掘りますが、今回は80×80×70cmのひとまわり大きな穴を掘り、肥えた土に入れ替える客土作業をおこないました。整地作業に多大な労力を費やしましたが、おかげで苗木の生育環境を改善でき、活着率の向上につながりました。

 また作業道脇にシダレニレ350本、谷底に新疆ポプラ3,000本、品種実験地に欧李と呼ばれる潅木を17,000本植えました。欧李は、中国語でカルシウム果実と呼ばれ、カルシウム含有量が豊富な実を茎いっぱいにびっしりとつける不思議な潅木です。昨年から実験的にこの欧李を植え、昨年植えた苗は、今年の夏すでに実をつけていました。果実にビタミン群などの豊富な栄養があるだけでなく、種の中の仁は漢方薬の原料になります。また茎もかごなどの手工芸品の材料として利用されるほかに、栄養価も高いため、家畜の飼料としても活用でき、水土流失を防ぐ植物として中国で大変注目されています。
 このようにカササギの森は、中国語で別名「実験林場」と呼ばれるように、ただ木を植えるだけでなく、樹種を増やすため、実験的に様々な苗木を植えています。

 2006年度、日本から20のツアー、のべ330名が訪れました。夏のツアーは主にアブラマツを植え、2007年春のツアーは欧李を植えました。

夏のツアー
春のツアー

   

   

上左)アブラマツを植える夏のツアー参加者。
上右)07年春のツアー参加者が「欧李」と呼ばれる有望な灌木を植えました。
右)棒切れのような苗だった(上右円内)欧李ですが、夏にはたくさんの葉をつけ、しっかりと根付いていました。                               

欧李

気候状況

雨のあと 今年も大同市は、南部の霊丘県を除き厳しい干ばつに見舞われました。北部のある村では、春先からの雨が8月までに41mmしか降っていません。カササギの森でも、春以降ほとんど雨が降らず、7月30日に明け方から2時間ほど待望の雨が降りましたが、それも地表を5cmほど濡らした程度でした(写真右)。

 もともと厳しい自然状況の下、自然災害に見舞われ、さらに厳しい条件となったため、苗を植えた後も、無事に活着させ、生育させるために様々な努力をおこないました。干ばつの年は、必ず害虫が大発生します。被害を防ぐために、大規模な殺虫作業を2度実施しました。また灌水も複数回おこないました。特に、今年度植樹した場所はどこも急斜面で標高が高く、水を頂上までポンプアップすることができません。そこでスタッフが毎回、水を担いで斜面を上り、苗木に水を与えました。また苗木も、ポット苗を植えることによって、根の成長を促し、活着率を高めるよう工夫しています。

 このように、単に植えるだけではなく、植えた後の灌水、病虫害の予防、除草などの管理、保護を徹底しましたが、残念ながら干ばつのため枯れるものが例年よりも多く見られました。今後も経過を見守りたいと思います。

6年を経て

 これまで6年の間に、約30種類の樹種を植えました。過去に植えた苗は、上述の通り、地元スタッフの日々の地道な管理作業によって、順調に育っています。

 アブラマツ、モンゴリマツ、トショウ、トウヒ、コノテガシワ、イブキなどの針葉樹は、干ばつのため、植えた直後に枯れるものも一部でましたが、全体的には順調です。2002年に植えたアブラマツは5年が経過し、土壌が合わないせいか、上にぐんぐん伸びるというわけにはいかず、だるまのような形をしていますが、それでも1mほどに成長しました。

アブラマツ トショウ

植えて4年になる管理棟そばのアブラマツ。成長はまだゆっくり。

 トショウ。

 また管理棟の対岸の丘に植えた花木も伸びてきました。野生のモモ、山アンズ、マイカイ、ホザキナナカマド、ライラックなど様々な花木を植えましたが、野生のモモはすでに1mを超えており、来年には花が咲き始めると思います。今後、春のワーキングツアーの頃に、管理棟側から対岸の丘を眺めながら、アンズ、モモといった花木のお花見ができるようになることが今からとても楽しみです。また欧李、ヤナギハグミのように実をつける植物を植えることで、鳥が集まり、さらに新たな種を運んできてくれることも期待しています。カササギ以外にも、ウズラやキジなどが徐々に増えてきました。今後、鳥類が増えて自然に樹種が増えるようになれば、うれしいことです。そして小動物や猛禽類が山に戻り、生態系が回復し、豊かな森になることを願っています。

花木 ウズラ? キジ

管理棟側の対岸の斜面に植えられた花木。ぐんぐん伸びています。

ウズラかな?

今年はキジを何度も見ました。

花モモ アブラマツ
マイカイ

野生のモモ。ずいぶん伸びました。

順調に育つアブラマツ。

   実をつけたマイカイ。

 以前から実験的に植えている広葉樹は、相変わらず苦戦しています。リョウトウナラ、ハシバミ、クルミなどは伸び悩み、植えて5年が経ってもわずかに生長した程度です。しかし枯れることもありません。砂棗(グミ科)は、ほぼ同時期に環境林センターに植えた苗はすでに6mを超えていますが、カササギの森ではまだ1mほどです。土壌は15cmほどの厚さしかなく、岩肌のように栄養分が乏しくやせており、また標高1,600mに位置し、一年中強風にさらされています。ここカササギの森は、自然環境が厳しい大同市北部の中でも、もっとも広葉樹を育てることが難しい場所のひとつといえます。このほか、新疆ポプラはじめ、ポプラ数種、トネリコ、シダレニレ、シラカンバなどは、まずます生育しています。今後も生育状況を見守りたいと思います。

シラカンバ リョウトウナラ

枯れもせずたいして伸びもせず、5年前から少しだけ成長したリョウトウナラ。

スナナツメ

強風にあおられて伸び悩む砂棗(グミ科)。

シラカンバ。

ハシバミ シダレニレ ヒエンソウ

上左)ハシバミも成長がゆっくり。
上中)シダレニレも旱魃の影響を受けています。
上右)ヒエンソウは例年より少なく、高さも40〜50cmほどにしかなりませんでした。
右)リンドウも小さな花が地面にはりつくように咲いていました。

リンドウ

 谷底には、ポプラ、ヤナギなどが10m以上に成長し、またヤナギハグミ、ギョリュウも人の背丈を超える高さに伸びています。谷底を流れる河は、この夏ほとんど水が流れていませんでしたが、地下1mほどの深さで伏流水が流れていて水分が豊富なため、丘陵地との生育のスピードの差は歴然としています。またアスター、エーデルワイスなどの高山植物も随所に見られます。

谷筋の緑 ウスユキソウ

谷筋にはポプラ、ヤナギの他、ヤナギハグミ、ギョリュウなどの灌木群が生い茂っています。ウスユキソウなどの高山植物も。

今後について

  このようにカササギの森は、プロジェクト開始から6年が経ち、みなさんのご支援のおかげで森林育成の初期段階は順調に経過しています。今後も、枯れた苗の補植作業の他に、灌水、病虫害の予防、除草、ウサギの害の予防など、若木の管理と保護をおこないます。また苗木が育ってくると、山火事が心配です。中国では春先の一番乾燥した4月初旬、清明節のお墓参りの際に、墓前で紙を燃やす習慣があります。カササギの森の周囲にもたくさんのお墓があるため、山火事予防のための見回りも重要な仕事の一つです。
 また来春は、環境林センターで育苗中の胡楊の苗を植えることにしています。胡楊は、「1000年の樹齢があり、死後も1000年は倒れず、倒れた後も1000年は腐食しない」といわれ、乾燥、酷寒、酷暑に耐え、きわめて強い生命力を有しています。一昨年、この希少種である胡楊が大同に残っている情報を得て、種を採取し、環境林センターで育苗をおこなっており、来春からカササギの森でも実験的に植えてみます。これからも地元スタッフと協力して、カササギの森が立派な森になるように見守りたいと思います。

07年度協力者

 2006年度、みなさんからいただいたご協力は122ha分です。このうち松下電工(株)照明事業分社施設照明事業部から23ha分、(株)ゼンショーから20ha、(株)リコーから10ha、ソロプチミスト奈良から10ha、宝塚グリーンライオンズクラブから10ha、同和鉱業(株)から6haの協力をいただいています。

報告概要


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