“空飛ぶ円盤”という言葉を生んだ、歴史的目撃事件
ケネス・アーノルド事件
Mt.Baker ~ Mt.Rainier ~ Mt.Adams, Washington, U.S
空飛ぶ円盤登場!
6月24日午後2時、消防機器会社社長のケネス・アーノルドは、ワシントン州チェハリス(Chehalis)から同州ヤキマ(Yakima)に向け、自家用機で飛び立った。晴れて視界の良い日であった。
まもなく空軍からの無線で、前日消息を絶った海兵隊の輸送機の捜索に協力を依頼された。アーノルドは予定を変更してレイニア山方向に向かった。
午後2時59分頃、ミネラルの町近郊の上空2,800mにさしかかったアーノルドが機体を180度旋回させたとたん、「まばゆいばかりの閃光が私の飛行機の表面を照らし出し」、自機の左方、はるか北にあるベイカー山方面から飛んでくる、鎖のように一直線につながったとても明るい9機の飛行編隊を目にした。
最初ジェット機かと思ったが、尾部は見当たらず(正式には図2のような形状だったと言っているが、「機体の輪郭ははっきりとはわからなかった」とも言っている)、ジェットエンジンの音なども聞こえなかった。
しばらくするとそれは数秒の間隔で急な角度での急降下と急上昇を繰り返し、ジグザグに揺れながら飛んでいるように見えた。大きさや速度を推測してみると、編隊の全長は8km、一機の長さは8m、飛行速度は2,700kmにも達することがわかった。
飛行物体がアダムズ山の最南部の峰を飛び越えるのを見届けると、目撃報告をするためユマに向かった。
アーノルドの体験はすぐに全米に広がった。記者会見で「水面をはねるコーヒー皿のような飛び方をしていた」と語ったのが「コーヒー皿のような物体だった」と誤って伝えられ、「空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー)」という言葉ができた
今もって真相は謎だが、アーノルドが物体までの距離を誤って計測した疑いもあり、物体の実際の飛行速度はそれほど速くなかったとも思われる。たしかに、形状もはっきりしない光点に近い飛行物体の距離や速度を、操縦のかたわら正確に計測するのは至難の業であろう。
ジェット機の音もしなかったというが、自分の飛行機のプロペラ音がかなりの大きさで聞こえている中、遠くを飛ぶジェット機の音を確認するには無理があるように思う。
最近ではペリカンの編隊だったのではないかという説もある。
目撃日の6月24日は世界的に「UFO記念日」と呼ばれており、それなりに有名である。UFO好きの間ではイベント等も開かれているらしい。
人類初のUFO事件でもないし、今となってはかなり地味な事件ではあるが、当時かなり騒がれたのはマスコミが大きく取り上げたせいだろう。実業家の証言、(正確だったかどうかは別にして)具体的な推定速度が計測されたのも大きいと思う。
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図1:ケネス・アーノルド

図2:ケネス・アーノルドとUFOのイラスト
「空飛ぶ円盤」という呼ばれ方に反し、実際見たのはこのような形だったという。
参考資料(敬称略)
- 学研・世界UFO大百科復刻版(ムー特別編集)
- 並木書房・政府ファイルUFO全事件(ピーター・ブルックスミス(大倉順二訳))
- 洋泉社・トンデモUFO入門(山本弘、皆神龍太郎、志水一夫)
- 宝島社・トンデモ超常現象99の謎(と学会・山本弘、皆神龍太郎、志水一夫)



