人類が移住できる可能性のある唯一の惑星
火星
赤い惑星
地球の一つ外の軌道を回る太陽系第4惑星。
大気の組成は二酸化炭素が95%を占めるが、大気の絶対量が少ないため、地球温暖化などとは状況が違う。
大気が薄いのは地球にはある磁気圏がないためで、太陽風によって大気が吹き飛ばされてしまったためと考えられる。
| 火星 | 地球 | |
|---|---|---|
| 赤道直径 | 6,794km | 12,738km |
| 軌道 | 離心率の大きな楕円軌道 | ほぼ円軌道 |
| 地球を1とした場合の 赤道表面での重さ |
0.377 | 1 |
| 大気組成 | 炭酸ガス 95.3% 窒素 2.7% アルゴン 1.6% 酸素 0.13% |
窒素 78.1% 酸素 20.9% アルゴン 0.93% 水蒸気 1%以下 |
| 平均表面気圧 | 約6ヘクトパスカル | 約1,000ヘクトパスカル |
| 表面温度 | -130℃〜20℃ (平均-63℃) |
-90℃〜60℃ (平均9℃) |
| 1日の長さ | 24時間36分35秒 | 24時間 |
| 1年の長さ | 669火星日 (687地球日) |
365.25地球日 |
| 衛星 | 2個 (フォボス、ダイモス) |
月 |
火星地下に眠るの水
かつては地球と同様に地表に豊富な水があったと考えられるが、現在は地下に氷として眠っている可能性が指摘されており、実際NASAの調査によって氷が確認されている。
また時間をおいて同じ場所を撮影した写真に、地下から水が流れたと思われる跡が見られるものがあった。
テラフォーミング
他の惑星を地球のような環境に改造することをテラフォーミングという。火星は位置的、環境的に人類が移住できる可能性が最も高い星なので、科学者の間でも真剣にテラフォーミングの方法が研究されている。
- 温室効果ガスであるフロンガスを火星の土から生成して大気に放出する。
- 気温が上がって極冠のドライアイスが溶け、二酸化炭素が発生し、さらに気温が上がる。
- 地下に凍っていた水が液体に戻ってきて海ができ、温室効果が高い水蒸気を作りさらに気温が上がる。
- これによって赤道付近の平均気温が地球の気温近くまで上昇すると考えられている。
- その後、光合成をするシアノバクテリアなどの植物プランクトンを海に放して酸素を作る。
テラフォーミングにかかる時間は、開始後100年から数百年程度と見積もられている。
ただし火星には地球のような磁気圏がないため、太陽風によって長い年月の間に吹き飛ばされてしまうだろうし、有害な放射線も地表に降ってくる。オゾン層もないので紫外線も降り注ぐであろう。これらの問題があるため、最終的に宇宙服なしに地表に暮らすのは難しいかも知れない。
探査機バイキングの写真
1976年、アメリカの火星探査機バイキング1号から切り離された着陸機が、世界で初めて火星に着陸して地表の写真を撮影した。その写真が公開されると、その空の青さから地球と同じような空気があるんじゃないかと話題になった。(図1)
しかしNASAはその写真を間違いだったとすぐに引っ込め、あらためてこれが正しかったとする写真を公開した。その写真の空は赤かったため、火星に地球のような空気があることを隠すために赤いフィルターをかけたのではないかという噂が立った。
探査機による写真の撮影方法は、白黒での撮影が基本となる。最初からカラー写真として撮影した場合、色情報の分だけ解像度が落ちてしまうので、RGB各色のフィルターをかけた白黒写真を3枚撮って、後から合成することで最高の解像度が得られるのだという。
最初の写真は合成処理のときに補正を間違ったために空が青くなり、訂正した写真では正しい色に補正したために赤くなったわけだ。ただ自分の素人目には、少し赤を強調し過ぎてしまったんじゃないかとも思える。
ウェルズの火星人襲来
高度な科学を持った火星人が地球に攻めて来るというSF小説が、H.G.ウェルズが1898年(明治31年)出版した「宇宙戦争」(原題:THE WAR OF THE WORLDS)だ。
《あらすじ》火星から何かが地球に向けて発射されたことが観測され、しばらくしてイギリスの田舎町に筒状の物体が次々と落下した。
中からタコのような無数の触手を持った火星人が出てきて、3本足で歩き回る武器を組み立て、熱線と毒ガスで町を破壊し始める。
家族と離れ離れになった主人公は、パニックになった牧師とともに家の中に閉じ込められ…
1938年10月30日、これをモチーフにしたラジオドラマがアメリカで放送された。プロデューサーは俳優のオーソン・ウェルズ。
大衆が信じてパニックになってしまったという有名な逸話がある。当時の新しいメディアであるラジオに驚異を感じた新聞メディアが針小棒大に騒いだだけで、実際はさほど大きなパニックにはならなかったという見方もあるようだ。
UFOについての陰謀論者の間では、「政府は、大衆にパニックが起きることを避けるために宇宙人の存在を隠している」ということの根拠の一つとしてこの逸話を挙げることが多い。
火星の人面岩
火星探査機バイキング1号が撮影した写真に、光の加減で顔のように見える岩があったため、古代火星文明の遺跡ではないかと騒がれたが、結局は光の具合で顔のように見えただけだった。⇒詳細:火星の人面岩
火星人はいるのか?
NASAが火星から来た隕石を調べたところ、かつて原始的生命体が存在したと推測される痕跡が発見されて話題となった。⇒UFOニュース
しかし高度な文明を持った知的生命体が存在したかどうかであれば、それは否であろう。それを裏付けるような建造物もなければ、その生活を支えていたであろう動植物の形跡すら見つかっていないのだから。
他の星から来た宇宙人が地下で生活していた(している)可能性を考えた場合、自分が宇宙人の立場だったら厳しい環境の火星にわざわざ住むより、もう少し足をのばして地球に住んでしまったほうがはるかに楽だ。
そういった理由からも、残念ながら火星に知的生命体がいる可能性はないであろう。
火星探査車スピリットが撮影した火星人っぽい写真
火星探査車スピリットが2007年に撮影したパノラマ画像に、人影っぽい物体が写っていたため、火星人ではないかと話題となった。スピリットと比較してかなり小さいようだ。
正体は岩なのだろうが、奇妙な形だ。
パノラマ写真を合成する際に不自然な合成をしてしまう場合もあるが、これはそのケースではないようだ。
⇒NASAのジェット推進研究所のオリジナル画像(右側のFull-Res JPEGをクリック)
⇒GoogleEarthの火星の表示では、マウスで視点を動かせるパノラマ画像として見られる。(GoogleEarth上で「Home Plate」で検索し、「Spirit's West Valley Panorama」と書かれたカメラマークをクリック。)
火星とフォボスのモノリス
2009年にNASAのマーズ・リコネサンス・オービターが撮影した地表の写真に、映画「2001年宇宙の旅」に登場した石板モノリスそっくりの物体が写っていると話題になった。(図3)
モノリスに似ているというだけで、実際はどこにでもある岩だという説が有力だ。
⇒GoogleMars上の位置(今のところモノリスが確認できるまでは拡大できない)
⇒アリゾナ大学のサイトにあるオリジナル画像(「JP2 QUICKLOOK (IAS Viewer)」を開いた中の「Full image〜」をクリックするとビューアーが起動する。)
アポロ11号でアームストロング船長とともに人類初の月面歩行者となったバズ・オルドリン元飛行士が、衛星フォボスにもモノリスがある(図4)とテレビで発言している。YouTubeに動画がアップロードされているが、筆者は英語が弱いのでどのようなニュアンスの発言かはわかりかねる。異星人のものとして大真面目に言っているのか、それとも視聴者の興味を引くためのジョークだったのか。
⇒Malin Space Science Systems(NASAの探査機の撮影システムを開発、運用している企業)のサイトのフォボスの拡大写真
参考資料(敬称略)
- ニュートンプレス/火星 赤い惑星の46億年史(フランソワ・フォルジェ、フランソワ・コスタール、フィリップ・ロニョーネ著、Newton編集長 水谷仁訳)
- NASAジェット推進研究所 バイキングのページ
- NHK「宇宙」
- Wikipedia/火星
- 誠文堂新光社・天文年鑑2010年版
- Wikipedia/宇宙戦争(H.G.ウェルズ)






