現在の夕張市内・南部地区にあった三菱石炭礦業線南大夕張駅近くの貯木場を起点とし、パンケモユウパロ川を遡っていた路線(注:下夕張森林鉄道)と、同線の起点から約2.5kmの地点で分岐してシューパロ川を遡り、続いて同川の支流である白金川を遡っていた路線(注:夕張岳森林鉄道)である。
沿革
全国森林鉄道および
鉄道廃線跡を歩く(1)(p.162)によれば、以下のようになる。
| 距離 | 23.7km(下夕張) 16.7km(夕張岳) |
| 開始 | 昭和14(1939)年(下夕張) 昭和17(1942)年(夕張岳) |
| 廃止 | 昭和40(1965)年(下夕張) 昭和39(1964)年(夕張岳) |
なお、日本の森林鉄道(上)によれば、上記の"開始"は完工/開通ではなく着工である。
また、これらの路線の運行期間内に大夕張ダムが建設されており、これに伴って路線の付替えが行われているのは間違いないものの、これについては史料が得られていない。
関連地形図・空中写真
この路線の載った1:50000地形図
| 図名 | 発行 | リスト番号 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 石狩鹿島 | 昭37 | 40-14-5 | |
| 紅葉山 | 昭36 | 40-15-5 |
この路線の沿線を写した空中写真
下夕張森林鉄道
| 整理番号 | 撮影 | 地形図番号 | 地形図名 | 写真番号 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C16-8 | |
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C16-10 | |
| CHO-77-47 | 昭和52年度 | NK-54-8-15 | 紅葉山 | C1-12 | |
| CHO-77-47 | 昭和52年度 | NK-54-8-15 | 紅葉山 | C1-14 | |
| CHO-77-47 | 昭和52年度 | NK-54-8-15 | 紅葉山 | C1-16 |
夕張岳森林鉄道
| 整理番号 | 撮影 | 地形図番号 | 地形図名 | 写真番号 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C15-9 | |
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C15-11 | |
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C15-13 | |
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C15-15 | |
| CHO-77-37 | 昭和52年度 | NK-54-8-14 | 石狩鹿島 | C14-14 |
研究(笑)報告
Wikipediaには森林鉄道(大夕張営林署)というエントリがある。
この路線は全国軽便鉄道に載っていない。
「全国森林鉄道」の付表ならびに「鉄道廃線跡を歩く(1)」には以下が載っている。
| 級 | km | 開設 | 廃止 | |
|---|---|---|---|---|
| 下夕張 | (1) | 23.7 | 1939(S14) | 1965(S40) |
| 夕張岳 | (1) | 16.7 | 1942(S17 | 1964(S39) |
| 盤の沢 | (1) | 1.8 | 1958(S33) | 1966(S41) |
盤の沢はパンケモユウパロ川の支流であるため、盤の沢線は下夕張森林鉄道の支線と考えることができる。
「日本の森林鉄道(上)」(p.119?)には以下が載っている。
下夕張森林鉄道は札幌地方帝室林野局によって昭和14(1939)年に着工、昭和17(1942)年に完成した、南大夕張貯木場・下夕張御料地内間16.8kmのものであり、夕張岳森林鉄道は同じく昭和17(1942)年に着工、昭和19(1944)年に完成した、下夕張森林鉄道二股・夕張岳御料地内11.6km…」
また、上記の旧版地形図には以下の特殊軌道が載っている。
- 三菱石炭礦業線の南部駅の南側を起点とし、パンケモユウパロ川を遡る約15km
- "1."の起点から約2.5km(注:大夕張ダムの南)で"1."から分岐し、シューパロ湖を越えてから湖岸を北上し、その後に白金川を遡る約13km
旧版地形図に載っているルートを電子国土ポータル機能で表現したものがこちらである(注:JavaScriptが動作できる環境が必要です)。
"1."が下夕張森林鉄道であり、"2."が夕張岳森林鉄道であることは(ほぼ)間違いない。
北海道の森林鉄道史に関する研究には、
- 昭和14〜41年に運行された、27244mの下夕張森林鉄道
- 昭和21年〜38年に運行された、16630mの夕張岳線
- 昭和33〜41年に運行された、5252mの盤の沢線
が載っている。
ただし、筆者は上記論文を閲覧&メモしたのみであり、コピーを入手した訳ではない。
このため筆者の理解が誤っている可能性もある。
開通/廃止時期ならびにキロ数の相違の理由については不明である。
旧版地形図に載っているキロ数と文献に載っているキロ数には8〜11kmの差がある。
これらはパンケモユウパロ川の数多い支流を遡る支線や作業線が存在したものの、
- 地形図の作成時点では廃止されていた
- 仮設物であるため地形図に載らなかった
のどちらか(または両方)であると考えられる。
なお、上記の旧版地形図は精度に問題がある。
具体的には、
- 石狩鹿島図は"昭和37年発行"であるにもかかわらず大夕張ダムが載っておらず、かつ夕張岳森林鉄道もシューパロ川本流の谷底を辿っている
- 白金川/パンケモユウパロ川とも上流部の地形が近年の図と合わない
おそらく、これらの地形図は戦前に行われた測量の結果を(そのまま)転用して作成されたのであろう。
不正確であること自体は困ったことであるが、当路線に関してはダム建設に伴う付け替え前のルートを知りうる…という点で有用である。