Standing on the Moon
OSHINO2007によせて 04-04-2007 zep




Standing on the Moon。
月の上に立って、地球を眺めている歌。
作詞Robert Hunter、作曲Jerry Garciaのお馴染みのコンビ。
この曲がとても好きです。
好きだから何度も聴いて、すっかりお馴染みの曲。
でも、調べてみれば、30年間のGrateful Deadの歴史の中で、演奏回数はたった75回。
なぜなら、この曲が出来たのは1989年。彼らの最後のスタジオ盤、Built To Last に収録され、演奏されたのも、その年からだから。

ずっしりと重く、ゆったりとしたバラード。
初めて演奏されたのは、1989年2月5日。彼らのホームグラウンドである、オークランドのHenly J Kaizer で。Built To Lastは、その年の10月31日に発売になっている。

歌詞だけを見れば、Grateful Deadには珍しい、そして世間では有りがちなラブソングに思えたりもする。
月に降り立った男が、地球を眺める。メキシコ湾やカリフォルニアの沿岸を小さく確認したり、地域紛争も眺め、そのむなしさや、自分の孤独を感じ、壮大な景 色の中にいながら、最後は、サンフランシスコのどこかで7月の日差しの中、裏庭のベランダで君と居るほうがいいと唄われるのが大意。

それを単なるラブソングに終わらせないように感じさせるのが、Hunterの詩とJerryの唄とギター。

月に立つことが荒唐無稽な話なのか?

♪僕の傍らには金属製の星条旗
ずっと昔に誰かがここに残していったんだ
過去の栄光ってやつが 
しゃちほこばって立っている♪ (asadenさん訳)

アメリカがご存知のアポロ11号で月面着陸したのは、1969年。
この曲が作られる20年も前のこと。
それから1972年のアポロ17号まで、例のトラブルを起こした13号を除いて、たった3年間の間に実に6回もアメリカは月に降りている。『ずっと昔に誰 かがここに残していった金属製の星条旗』は実在する。
そう考えると、結構リアルな話にもなる。

一方、何かのメタファーなのかとも取れる。
詩の意味と、それが曲と合体した時の意味あい。そして、それが演奏され、毎回違ったインプロビゼーションが行われた時に、少しづつ違った意味あいになった り、人によって全く別の印象になったりもする。
Jerryは何も押し付けない。
聴いた人が、感じたまま、想いをつなげていけば良い。

最近は、1994年のGrateful Deadにすっかりハマっていて、7月13日の音源にこの曲が入っていた。
ゆったりとしたストロークのギターによるイントロ。年輪を感じさせるJerryの静かなボーカルで、曲は開始される。1989年からだから、この曲に関し ては、若い声のJerryはいない。Philのベースが、実に心憎い場所に、ツボにはまった音を入れて来る。二人のドラムもずっしりと重い音で曲を進行す る。Vinceもシンセとピアノで入れるさりげない装飾音が光る。みんな、いい仕事をしている。この曲を聴いてハズれた記憶が無い。

Deadbaseの人気投票を見ると、1位と2位がダントツの得票を得ている。
1993年8月21日のユージーン。またこの日かと思った。この8月21日と22日のユージーンの2日間は名演奏が多い。確か、8月22日のJack Strawも2位の得票で、今日の1曲に書いた記憶がある。
もうひとつは、1991年の9月10日。これまた、この日かと思った。ブランフォード・マルサリスが全曲にsaxで参加している日だ。この音源は、かつて ホームページでも回覧したし、随分と楽しませてもらった。
2曲ともiTunesに入っていたので、改めて聴いてみた。
やはり両方とも素晴らしい演奏だった。マルサリスのほうは、実になめらか。
ついでに、久々に、Built To Lastのスタジオバージョンも聴いてみた。これまたなかなか良いではないか。スタジオ盤というのは、たまに聴くと、見直すことが多い。

94年の7月13日のものは、デジタルサウンドボード(DSBD)の高音質なものと、FOB録音があったので、両方聴いてみた。
ほとんど同じ印象。同じ演奏だから当たり前かもしれないが、SBDとFOBではかなり印象が変わるほうが多いのに、これはあまり変わらない。

1番の歌詞の部分では、それまで盛り上がっていた会場が、静まり返るのがわかる。この曲が演奏されたには、ファーストセットのエンディングか、セカンド セットのDrums > Spaceの前後。この日は、セカンドセットのラスト1曲前。ショーが完全に盛り上がり、燃焼し、最後のひと踊りに行く前の、最後の小休止タイム。
静まり返るといっても、じっと聴き入っている雰囲気が伝わって来る。メキシコ湾やカリフォルニアの沿岸が出てくれば、小さく歓声があがる。

みんなの目に男が見ている光景が見える。月の上に立ち、地球を眺める。
俯瞰。
高い山に昇った人が、地上の小ささを思う以上の俯瞰。
ハングライダーに乗って、鳥のように自由に空を飛んだ人が感じる以上の価値観の転換。離れて物を見ることは、時には必要だ。
仕事を辞めてみればわかる。悩んでいた人間関係、夢中になっていた、必死になっていた仕事、喜んだり困ったり悩んだりしたすべてが、ふっと消えてゆく。あ れは何だったのかと思う。離れてみて、やっとわかることがある。4番の歌詞。

♪勝者の雄叫びが聞こえるよ
敗者の叫び声と共に
時代の残したガラクタ 古びた子守歌が
忘れられた通りに 流れていく♪ (asadenさん訳)

むなしくなったり、ニヒルになったり、達観して悟った気にもなる。
この曲は、途中にわずかなFill Inを入れつつ、5番までの歌詞が一気に唄われてゆく。Jerryの唄は不思議だ。とても個人的な感情の部分に直接に語りかけて来る。

5番の歌詞で、達観したり悟った気分になったものを、あっさりと切り捨てるHunterとJerry。

♪月に降り立てば
他に何もすることがない
天国のような素敵な眺めだけど
でも君の側にいる方が良いな
君の側にいる方が♪ (asadenさん訳)

I'd rather be with you
そんな事よりも、君の傍にいるほうがずっといい....

繰り返されるbe with youの歌詞。
そして、ついに本格的なギターソロ。
地の底から沸き上がるような歓喜に満ちた歓声。
ギターと共に繰り返されるbe with you!

I wanna be with YOU!

というJerryのシャウト。
ますます燃え盛るギター。
いつ聴いても、どの日を聴いても、何度でも...感動する。
なぜなんだろう。この曲を聴くと、たまらなく感動する。
ラブソングじゃない感動。それを感じる。
いや、ラブソングだって、そうでなくたってどちらでもいい。

あなたと居たい。

そしてJerryの声は、あなたと居てあげたいとも聴こえる。
なぜ、Deadショーに行くのか?なぜ、何度も行くのか?なぜ、何度も聴くのか?
一緒に居たいんだ。会いたいんだ。友達に、みんなに、恋人に、愛する家族に、Jerryに、自分に。ギャザリング。
そんなDeadの本質みたいなものが、この曲に込められているから、その後のJerryのギターに、みんな思い思いに、身をまかせ、Jerryのゆくがま ま、一緒になってゆく。

あと1ヶ月で2年ぶりの忍野デッドが開かれる。
今年も提唱者であり、志半ばで逝ってしまったPAの小野さんを思い、フライヤーのロゴには、ONO LOVEの文字がつけられている。
長い間、Deadと共に生き続け、大病から復活しつつも、忍野出演一歩手前で、旅立ってしまったタニジさん。
そして、2年前に忍野で踊り続けていたという、イサオさん。そのわずか5ヶ月後に返らぬ人となった。
昨年はアジローさん。。。

Jerryはきっと、今も月の上から地球を見て、ギターを弾いているだろう。

そして、忍野の時には、きっと、みんなを連れて、みんなに会いに来てくれるのだろうと思う。

Jerry,
I wanna be with you




Standing on the Moon

月に降り立てば

Lyrics: Robert Hunter
Music: Jerry Garcia
和訳:asadenさん


Standing on the moon, I got no cobweb on my shoe
Standing on the moon, I'm feeling so alone and blue
I see the Gulf of Mexico as tiny as a tear
The coast of California must be somewhere over here
Over here

月に降り立てば
足下のモヤモヤしてたことが嘘みたいにさっぱり
月に降り立てば
とても孤独でブルーな気分
はるか遠くにメキシコ湾が見えるよ
涙の粒ほども小さく
カリフォルニアの沿岸でさえ
ここから見れば別世界だね ここから見れば


Standing on the moon, I see the battle rage below
Standing on the moon, I see the soldiers come and go
There's a metal flag beside me someone planted long ago
Old glory standing stiffly, crimson, white and indigo
Old glory standing stiffly, crimson, white and indigo
Indigo

月に降り立てば
激しい戦いが眼下に見下ろせる
月に降り立てば
兵士達のやって来ては去ってゆく姿が見下ろせる
僕の傍らには金属製の星条旗
ずっと昔に誰かがここに残していったんだ
過去の栄光ってやつが 
しゃちほこばって立っている
深紅 純白 青藍 
そうさインディゴブルーのやつだね


I see all of South East Asia; I can see El Salvador
I hear the cries of children and the other songs of war
It's like a mighty melody that rings down from the sky
Standing here upon the moon I watch it all roll by
All roll by
All roll by
All roll by

南アジアを眺めれば
エルサルバドルが見える
子供達の叫び声がここまで聞こえる
それから 戦争の歌も一緒に
それはとても力強いメロディで
あの星の空を巡っている
月の上のこの場所に降り立って
そんな全てを眺めてる 巡りながら 巡りながら


Standing on the moon, I see a shadow on the sun
Standing on the moon, the stars go fading one by one
I hear a cry of victory, another of defeat
A scrap of age-old lullaby down some forgotten street

月に降り立てば
太陽の影が見える
月に降り立てば
星がひとつ またひとつと消えていく
勝者の雄叫びが聞こえるよ
敗者の叫び声と共に
時代の残したガラクタ 古びた子守歌が
忘れられた通りに 流れていく


Standing on the moon, where talk is cheap and vision true
Standing on the moon, but I would rather be with you
Somewhere in San Francisco on a back porch in July
Just looking up to heaven at this crescent in the sky
In the sky

月に降り立てば
ここでは言葉は役立たずで 
景色だけが真実になる
月に降り立てば
でもどっちかと言えば 君の側にいたかったな
サンフランシスコのどこか
7月の日差しの中 
裏庭のベランダで
天国を仰ぎ見るように
この空に浮かぶ三日月を眺めていたかった


Standing on the moon with nothing left to do
A lovely view of heaven but I'd rather be with you
A lovely view of heaven but I'd rather be with you
Be with you
Be with you
I'd rather be with you

月に降り立てば
他に何もすることがない
天国のような素敵な眺めだけど
でも君の側にいる方が良いな
君の側にいる方が

Be with you
Be with you
Be with you
Be with you
Be with you

Be with you
Be with you


Be with you
Be with you
Be with you

I wanna be with YOU!


《05-05-2007 warlocks 感想文》